1 日程及び面会先
○日程:6月20日(金)?25日(水)
6月20日(金) 成田発、ロンドン経由でアンマン着
21日(土) アンマン発、バグダッドへ陸路にて移動
22日(日) バグダッド市内視察、関係先への調査
23日(月) バスラ、ウンム・カスルを視察しつつ陸路にて移動
24日(火) クウェート発、ロンドン経由で日本へ
25日(水) 成田着
○主な会談・視察先等
(バグダッド)
米軍の活動状況視察(警察署、給油所、国立小児教育病院等)
CJTF-7(連合軍司令部)によるブリーフ
ブレマーOCPA(連合暫定施政局)長官
ソーヤーズ大使との会談(OCPA本部)
ユーニス デ・メロ国連事務総長特別代表官房長、ケネディ副人道調整官との会談
現地イラク人との懇談、邦人NGOとの懇談
サウラ・シティなど市内視察
(バスラ)
英軍のブリーフ、バスラ空港・市内視察
(ウンム・カスル)
港湾等視察
2 参加メンバー
杉浦正健(自民党・衆)(団長) 新藤義孝(外務大臣政務官)
岩屋 毅(自民党・衆) 小島敏男(防衛庁長官政務官)
阿部正俊(自民党・参)
舛添要一(自民党・参) 田村重信(自民党政務調査会)
斉藤鉄夫(公明党・衆) 高鍋博之(公明党政務調査会)
山本 保(公明党・参)
泉 信也(保守新党・参) 他、内閣官房、外務省、防衛庁から参加。
3 調査の概要
与党調査団は、国会議員7名(自民党4名、公明党2名、保守新党1名)、外務、防衛政務官各1名等のメンバーにより、イラク復興支援特措法案との関連でイラク国内の現地調査を実施した。
イラクの調査では、ヨルダンからバグダッドを経由してバスラからクウェートを車で実際に走行するなど、在外公館の協力を得て、短期間にもかかわらず効果的な視察・調査が実施できた。
(1)イラク国内情勢
① 治安状況
イラクにおいては、もはや戦闘は終了しているが、今なお旧政権の勢力が散発的な襲撃を行っている。しかしながら、治安状況は日に日に改善されており、イラクでの会談者の全員から、イラクの国内、特にバグダッドの治安は急速に改善してきているとの説明を受けた。
上記したように、旧政権の残党などによる犯罪は続いているが、組織的・計画的な攻撃は見られていないとのことであった。日本国内で懸念されていたバグダッ
ド市内の治安状況については、他の大都市一般に見られる程度にまで改善しているとの評価も聞かれた。しかし、現地の警察組織が不完全な状況であるため、米
軍などが治安維持の重要な役割を担っている。
② 国内の社会経済基盤(インフラ)
戦争による被害は局所的なものであったものの、戦後の略奪行為もあり、またサダム政権下の長年の社会経済基盤(インフラ)への投資不足及び経済制裁などに
より、電力や、上下水道など今後の復興の上での社会経済基盤が不十分であり、治安をはじめとする国民生活全体の安定、向上に支障を生じている状況であっ
た。
そこで、米国などはイラクの治安、電気、上水道、下水道、ゴミの収集、教育、市場の再生などの国民生活の向上のための社会経済基盤整備に全力を挙げてい
る。なお、イラク人による統治への第一段階として、Iia(イラク暫定行政機構)の7月中の設立に向け調整がなされている状況にある。
(2)各国のイラク支援活動状況
現在の治安状況の下、現状では、各国によるイラクの復興支援については、軍隊が中心的な役割を担わざるをえない。すでに、米、英、ポーランド、オーストラリアなど15ヶ国の軍隊がイラク国内に展開し、また、14ヶ国が派遣を決定している。
(3)我が国の復興支援における役割社会経済基盤が不足し、かつ治安状況が安定していないイラクにおいて、各国は軍隊を中心に復興・支援活動を行っている。
こうした状況下では、各国と同様の活動を行う上からも、我が国としても、自己完結性を持った組織である自衛隊を活用することが有効であると考えられる。
今回の会談先からは、日本の自衛隊の参加については、あらゆる分野について日本からの支援申し入れがあれば歓迎するとの意向が表明された。そして、支援分野については、日本の主体的な判断を尊重する、との見解が示された。
現状においては、イラク国民の生活の安定・向上を図る人道・復興支援やイラク国内の安全確保に当たる各国の軍隊に対する支援活動などが考えられる。自衛隊
の具体的な活動としては、水の浄化・補給・配給や人道物資を含む輸送などの分野が考えられる。とりわけ、航空輸送の分野においては強い期待が示された。
また、日本が行ってきた経済支援や人道支援に対する感謝の意が表明された。今後、この分野での協力を拡充させることが肝要である。
(4)結 論
今回の調査の結果、イラクでは戦闘が終わり、治安が急速に改善され、国際社会はイラクの復興及び民主的な統治機構の設立に向けて全力を挙げて支援している
ことが明らかとなった。国際社会がこのような努力を行う中で、我が国に相応しい主体的な協力を行う必要性があるとの認識に達した。
そのためにも、イラク復興支援法案を早期に成立させるとともに、より専門的・実務的な調査を実施した上で、技能と経験を有する自衛隊などをできるだけ速やかに派遣することが、イラク国民のためにも、また我が国の国益の上からも極めて重要なことである。
さらに、日本政府としては、今後のイラクの復興と支援にあたっては、我が国の持つ人的物的資源を動員して、長期的な展望の下に政策を立案・実行していくことが不可欠である。