週刊新藤第214号 海洋資源が拓く日本のとびら~新しい国造りに向けて取り組むこと~

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本年は「卯」が示す通り、我が国は未来に向かって新しい扉を開く年にしなければなりません。日曜午後の街頭演説も続けてまいりますので、よろしくお願いします。


◆ 卯年は新しい扉を開く年

 新しい年が明けました。昨年は大変お世話になりました。本年も「週刊新藤」をご愛読のほど、よろしくお願いいたします。
 民主党政権は改造人事や小沢問題等による混乱で、迷走からいよいよ漂流状態となり、予算始め国家の運営に必要なことが何一つまともに決められない悲惨な有様です。
 国会法により 1 月中の開会が求められている通常国会は、開会日を決める事すらままなりませんでした。
 国力低下が著しい日本にとって、今取り組むべきは、日本立て直しのための国家戦略を構築することであり、それを実行できる高い実務能力を備えた強い政府が必要です。
 自民党を徹底的に改革し、皆さまから期待される政党にするべく、本年はさらに必死で活動します。
 今年の干支は卯(う)年ですが、「卯」という漢字は「扉(とびら)」の象形文字といわれています。
 「卯」が示す通り、本年は我が国が未来に向かって新しい扉を開くきっかけとなる一年にしたいと思いますし、そうしなければなりません。


◆ 海洋に関する国家戦略

 国の立て直しのためには、悪いところを取り除くと共に、良いところを伸ばし、新しい戦略分野を育てる必要があります。
 まず今号では、我が国の海洋戦略について触れてみたいと思います。
 日本は国土面積こそ世界第61位ですが、領海とEEZと呼ぶ排他的経済水域を含めた経済国土面積は、世界第 6 位となります。そして、海の深さまで含めた体積で計算すると、日本は何と世界第 4 位にまでなるのです。
 我が国を取り巻く海の底には、メタンハイドレードやレアメタルなど、豊富なエネルギー資源や鉱物が眠っています。
 これらの開発と実用化に成功すれば、日本はエネルギー輸入国から世界有数のエネルギー資源大国になれるのです。これこそが新しい国家戦略の柱として我が国がこれまで取り組んできたことであり、いよいよその実現が近づいています。


◆ メタンハイドレードの開発

 メタンハイドレードとは海底でシャーベット状になった天然ガスのことで、「燃える氷」と呼ばれる新たなエネルギー資源です。日本周辺の海域にはこれが豊富に埋蔵されており、その量は年間天然ガス消費量の約100年分とも試算されています。
 ただ、メタンハイドレードは海底の奥深くに存在し、しかも石油のように汲み上げることもできないので、開発には非常に高度な技術が必要であり、数年前より実験を繰り返してきました。ここでいよいよ実用実験の段階に入り、新年度予算にはそのための予算が組まれ、商業化に向けた研究が本格化します。


◆ レアメタルの探査・開発

 レアメタルとは、たくさんある希少金属の総称であり、昨年中国が輸出量を激減させて問題となったレアアースもこれに含まれます。
 ハイブリッドカーに不可欠のものから、製品の強度を高めたり錆びにくくしたりするために用いられ、現在の産業には不可欠のものです。
 日本近海には、このレアメタル・レアアースを豊富に含む海底熱水鉱床やコバルトリッチクラストといった鉱床が多数存在することが分かっています。政府はこのほど日本最東端の南鳥島付近でこの分布調査に乗り出し、またロボットを使った深海探査実験も開始されます。
 メタンハイドレードやレアメタルの開発は、まさに我が国の将来に大きく関わります。このような問題はどこの政党が政権を取っているかに関わらず、日本政府として進めてきたことであり、与・野党の別なく日本の未来のためにオールジャパンで取り組んでいくものです。


◆ EEZの確定交渉が必要

 このような我が国の未来を拓く海洋エネルギー資源の開発のために避けて通れない問題はEEZの確定です。世界第 6 位を主張できる日本のEEZは日本海側の中国・韓国・ロシアとの間で争いがあり、約半分が未確定なのです。これを確定させないことには我が国水域に存在する資源埋蔵量も正確に分かりませんし、本格的な開発着手への障害にもなってしまいます。
 私が国会で追及している東シナ海ガス田の問題は、まさにこれに関わります。二国間のEEZが重なる場合は両国の国土両岸から等距離をその境界とするのが一般的であり、日本はそれに則って日中・中間線をEEZ境界と考えていますが、中国は大陸棚までが自国のEEZであると主張しているため、折り合いがつかないのです。
 同様に韓国・ロシアとも、竹島・北方四島の領土問題とも絡まって、EEZが確定していません。
 私はこれまで国会で、尖閣諸島・竹島・北方四島など、我が国の領土・EEZを守るための議論を繰り返し行ってきました。これらに重点を置く第一の理由は、当然ながら国家主権に関わることだからです。
 それに加え、領土・EEZを守ることは、日本が資源を確保できるかという、国家の未来に対する死活的重要事項でもあるからなのです。
 同様に他国が無理難題を承知で、強引とも云える領土に関わる主張や行動を、日本に対して行ってくる理由もご理解いただけると思います。


◆ 海洋を守るための国内法整備

 このEEZの確定と併せ、急がなくてはならないのがEEZを取り締まるための国内法の整備です。現在、日本のEEZ内で他国の船が違法活動をしていたとしても、それを取り締まるための法令がありません。外国船による違法な漁業を禁止した法律はありますが、例えば外国船がエネルギー資源の調査・開発のためにEEZ内を航行しても、現在は取り締まるための根拠法がなく、海保の巡視船は外国船に対し退去勧告を行うことしかできないのです。
 また海上自衛隊は、平時においては警戒監視活動を行い、有事の際は海上警備行動の発令を受けて対処しますが、その間には大きな隙間があると考えられます。
 他国の船が領海内で我が国の主権を侵害するような行為を行った場合、現在の法律ではそれに対処するのは海上保安庁であり、自衛隊にはそのような警察権限は与えられていないのです。
 しかし、諸外国では軍隊が警察活動も担うのが一般的です。自衛隊にこのような「領域警備」の権限も与える法改正を行い、海の安全を海保と共に守ることのできる体制をつくるべきでしょう。
 海洋資源の利活用は我が国の可能性を大きく拓げるものであり、政府はこれを国家戦略として徹底的に力を注ぐべきです。私もその推進に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。



 新 藤 義 孝