政治的迷走と混乱の平成22年が終わろうとしています。皆様には一年間大変お世話になりました。
◆ 日本の閉塞感と国力の疲弊
現在の日本は言いようのない失望と閉塞感に包まれています。経済力では中国に抜かれ、外交や安全保障面の弱体化は、目を覆うばかりです。
我が国の国家としての構造的な問題は、人口減少と少子・高齢化です。
日本の人口は2004年をピークに減少を始めており、現在の約 1 億2700万人が、2050年には約9500万人に減少すると予測されています。
少子・高齢化は長生きする人が増えて喜ばしいことですが、労働力となる現役世代が減り、サービスを受けたいお年寄りが増えるという、経済的には非常に苦しい状態です。
高度成長を遂げた後の日本経済は、ここ20年の名目GDPでわずか7.4%しか伸びていません。
米国の250%、中国の1800%の伸びに比べ著しく低い状態です。
国全体の生産がほとんど伸びない中、公共事業や防衛費、ODAなどを削った分を医療や年金、教育費に回しているだけなのです。削られたところは不満が膨らみ、増やしたところも足りません。
日本の国家予算のうち最大の歳出となっている社会保障費。その中でも毎年どんどん支出が増える医療費ですが、対GDP比率を海外と比較すると先進30ヶ国中の21位です。子供たちのための教育機関への公財政支出の対GDP比は、28ヶ国中28位と最下位です。
総生産額では世界第 2 位の経済大国ですが、一人あたりのGDPでは2000年の 3 位から2008年にはなんと23位までランクを落としています。
無駄を取り除き、放漫財政を切り詰める事は当然ですが、そもそも絶対的に予算が足りないのです。
その予算ですら税収を超える赤字国債を発行しなければ財源を確保できないという最悪の状況です。
この克服には、実効性ある経済成長戦略を新たに打ち立て、同時に国民負担の基本となる税制抜本大改革が待ったなしに必要となります。
現在の民主党政権のパフォーマンスや聞こえのいい選挙対策用政策では絶対に解決できないことを多くの国民が気がついています。
◆ 日本の可能性:世界に冠たる技術
いったい日本はどうしたらよいのでしょう?このまま有効策を打てずに手をこまねいているだけで、良い訳がありません。
私は日本はまだまだ捨てたものではなく、大きな発展可能性があると考えています。
その鍵を握る日本の強みとなるのが世界最先端の技術です。我が国の技術が世界をリードしている分野は非常に多く、世界市場を席巻している企業や製品も、実は日本の技術なしでは生産自体が成り立たないものが数多くあるのです。
世界的にヒットしたアップル社のiPodは、実は台湾発の鴻海(ホン・ハイ)精密工業という会社が製造を手がけています。この工場で使われている工作機械は日本企業のファナック製です。ホン・ハイは世界の有名企業から製造を請け負う超成長企業ですが、その躍進は日本の高い技術が支えているのです。
他にも、他国のものより何十倍も長持ちする電球、鉄より軽くそれでいて強い繊維など、それぞれの分野を引っ張る日本の技術は枚挙に暇がありません。
これらを世界に売り込み、経済連協定による自由貿易体制のもとで、日本に富が還流する仕組みを上手につくれば、我が国の経済を飛躍的に発展させられる道があります。
◆ 日本の可能性:資源大国への道
日本は国土面積こそ38万平方キロで世界第61位ですが、これに海洋面積を加えた経済国土面積では447万平方キロで世界第 6 位なのです。しかもこの海には豊富な資源が眠っています。石油や天然ガスに加えメタンハイドイレード、海底熱水鉱床といわれる新しいエネルギー資源が相当量埋蔵されていることが既に分かっており、これらの開発に成功すれば、日本は世界有数のエネルギー資源大国になる可能性もあるのです。そして海洋資源探査の世界最先端技術を持っているのは私達日本なのです。
地中の鉱物資源を地球観測衛星の特殊なカメラで探査するリモートセンシング技術も、日本が世界に先駆けて実用化に成功しています。
豊富な資源を自らの高い技術によって、経済力、ひいては国力に変える力を、日本は持っているのです。
◆ どうする日本!
民主党政権の失敗と力不足を追求しているだけでは、国は良くなりません。私は今こそ、与野党の枠を超えて同志を募り、国の立て直しのために自分の持てる力のすべてを使う時と考えています。
日本の立て直しに向け、新たな国家ビジョンを打ち立てつつ、必要な具体策を提案・実行していかなくてはなりません。
今後の週刊新藤では、折に触れて国の将来に明るい希望が持てるよう、必要な国家戦略や政策を提案し、具体的な取り組みをご紹介させていただきたいと思います。
新しい年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
新 藤 義 孝 |