週刊新藤第197号 竹島問題に抗議しない民主党政権~「怒り」の外務委員会質問報告~

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3月26日、衆議院外務委員会で竹島に関する緊急質問を行いました。
その模様はホームページに動画公開しておりますので、ぜひご覧になって下さい。
 


 島根県沖に浮かぶ竹島は、歴史的に見ても、また国際法上も、我が国固有の領土です。(詳しくは外務省ホームページをご覧下さい)。
 しかし現在は韓国に不法占拠され、日韓両国の長年の外交上の懸案となっています。
 この竹島で、最近韓国の実効支配をさらに強めることになる大きな変化が起きようとしています。しかも、これが日本の主権を強く侵害するものであるにも関わらず、日本政府は国内に発表せず、韓国政府にどう対応するのか明らかにしません。
 これは国家の根幹そのものに関わる重大な問題です。皆さまに、いま竹島で何が起きているのか、日本政府はどう対応するべきなのか、について報告します。


◆ 竹島ヘリポート改修工事が強行?

 韓国は1981年、竹島にヘリポートの建設を強行しましたが、この改修工事が30年ぶりに行われることが韓国内で報道されています。
 ヘリポートの現状は、韓国警察が保有する28人乗りのヘリコプターが10分以上は止まれないほどの状態ですが、改修工事によって、従来の2.5倍のCH47型大型ヘリが24時間離着陸可能となります。
 既に 2 月に発注され、9 月に工事を終わらせる予定と報道されています。改修の目的は「突発事態に対応するため」だそうで、いったい突発自体とは何を指すのでしょうか?


◆ 沖合に海洋科学基地の建設も?

 それだけではありません。別の日の韓国内報道では、竹島北西 1 キロの海上に「竹島海洋科学基地」なるものを計画しているというのです。
 竹島のヘリポート改修工事が完了する本年 9 月に着工し、2013年の完成予定との報道です。
 この洋上の科学基地は、日本海の気象・海洋情報の収集を行いつつ、「韓国の竹島主権強化を深化させる基盤」であり、また、「韓国のEEZ(排他的経済水域)確保を有利にする」狙いがある、と新聞記事ではコメントされています。


◆ 不法占拠と云わない外務大臣

 この 2 つの計画は、我が国の領土である竹島と、その周辺領海に対する韓国の新たなる侵害行為であり、日本として絶対に認めることは出来ない重大な外交事案です。
 我が国にとって仰天すべき情報を寄せてくれたのは、韓国や竹島問題を研究している拓殖大学の下條正男教授です。私は下條先生が昨年11月に主催した竹島問題シンポジウムにお誘いいただいて以来、おつきあいをさせていただいております。(私のホームページで、週刊新藤第187号をご覧下さい)
 私は下條先生と共に、このヘリポート改修工事と海洋科学基地の建設情報に強い危機感を覚え、3 月26日の衆議院外務委員会で、この問題について政府に質問をしました。
 それに対する岡田外務大臣の答弁は想像を超えたひどいものでした。
 まず大前提として、竹島問題に関する政府の基本認識を質しました。岡田外務大臣は、竹島が日本の領土であるとは言いましたが、「韓国が不法占拠している」と自分の口から言うことを最後まで拒み続けました。私が何度も促したのにも関わらず、です。
 外務省のホームページには「韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠」であるとはっきり書かれているにも関わらず大臣がその明言を避けるということは、大臣自身に何らかの「意図」があるとしか思えません。


◆ 竹島を議題にしない民主党政権

 さらにヘリポートの改修工事と海洋科学基地の建設に対する日本政府の対応を質したところ「韓国の報道は承知しているが、工事の進捗情報や日本政府として抗議したか否かを含め、外交上の個別案件への答弁は差し控える」という理由で、竹島の現状とその対応について外務省は一切を明らかにしませんでした。
 そして岡田外務大臣は、鳩山政権が誕生して以来、日韓の首脳間で竹島問題を取り上げたことはなく、2月に自らが韓国を訪問した際、問題を承知していたにも拘わらず議題にしなかったことを認めました。
 それは日本政府が韓国側に誤ったメッセージを送っていることにならないでしょうか?


◆ 必ず抗議した自民党政権時代

 これまで韓国は竹島について数々の問題行動をとってきましたが、日本政府はその都度強く抗議し、外交案件として取り上げてきました。
 平成18年には、日本が主張するEEZ内で韓国が海流調査を単独強行しようとしましたが、日本政府は強力な抗議をすると共に、海上保安庁調査船に出航準備をさせ、対抗措置を取った上で、当時の麻生太郎外相と潘基文外交通商相の大臣同士の協議を経て、最終的には両国による共同調査で決着させたこともありました。私は外務委員会で竹島についてたびたび質問を行ってきましたが(ホームページ国会アーカイブをご覧下さい)政府は事実を公開し、抗議の内容と政府の対応方針についても当然のごとく説明しております。


◆ 暗黙の了解を与えるのか?

 私は日本政府が今回発生した竹島問題に口を閉ざし、国民に何の発表もなく事態をやり過ごさせてはならないと強く考えています。
 このまま韓国側に抗議もせず、外交案件として協議も行わないことになれば、それは竹島を韓国に自由に扱わせることを了解することになり、日本の領土である竹島を放棄するということにつながります。
 国家は国民と領土を護り、そこに主権を確保することで存在します。国家主権を主張できない民主党政権ならば、もはや政府を名乗る資格はありません。
 私は今回の問題を、野党が政府を攻める政局として追求しているのではありません。
 日本という歴史ある国家を運営する政府の継続性の問題であり、先人達が時には自らを犠牲にして護ってきた「国」というものを軽く扱うかの如き鳩山政権の姿勢を許すことが出来ないのです。
 もちろん韓国とは隣国として信頼関係を築き、友好を深めていくことは重要です。しかしそれは相手にとって厭なこともはっきりと主張し合い、違いや不信を乗り越えたものでなければ真の信頼とはなりません。
 私は質問の最後に鈴木外務委員長に対し、竹島問題についての集中審議を要求しました。この問題をこのまま終わらせる訳にはいきません。
 今後、日本政府が韓国に対し具体的な対応を開始するまで、徹底的に厳しく追及してまいります。



 新 藤 義 孝