◆ 小沢氏の不起訴
2 月 4 日、東京地検特捜部は、民主党の小沢一郎幹事長の元秘書である石川知裕衆議院議員ら三人を政治資金規正法違反で起訴しました。一方で小沢氏は嫌疑不十分として不起訴処分となりました。
しかし、このことで小沢氏の疑惑が晴れた訳ではありません。小沢氏には国民に対し重大な説明責任が残っています。
◆ 虚偽記載の総額は21億円!
小沢氏は不起訴となった夜、記者団に「不正なカネをもらったことはない。石川は形式的なミスの責任を問われている」と繰り返しています。
しかし、起訴された 3 人の秘書経験者の虚偽記入は合わせて21億円にも上ります。こんな巨額の政治資金の虚偽記入は過去に例がありません。それを形式的ミスと平然と繰り返す小沢氏の説明に、世論調査で 9割近くの国民が納得できないというのは当然の結果だと思います。
◆ 19年間で30億円の企業団体献金
小沢氏にまつわる「政治とカネ」の問題は、今回の政治資金規正法違反だけではありません。むしろ、これは大きな問題のうちのほんの一部分に過ぎないのです。
ゼネコンなどから集めた企業・団体献金は、平成 2 年から19年間で約30億円!!なぜそんなに巨額の献金を集め、何のために使っていたのでしょうか?
◆ 政党解党時に22億円を横流し?
平成 6 年、小沢氏が代表を務めていた新生党は新進党結成のために解党されました。その直前に残っていた資金約 9 億 2 千万円が、小沢氏と関連の深い「改革フォーラム21」という政治団体に移されました。
移動された資金のうち約 5 億円は公金である立法事務費であり、いわば国民の税金を自身の団体に横流ししたことになります。
同じことが平成15年の民主党との合併に伴う自由党解散時にも行われています。自由党の残金、約 5 億 6千万円の政党助成金を含む約15億 5千万円のうち、約13億 6 千万円が解党当日に実質的に小沢氏の関連団体と言える「改革国民会議」に移されているのです。
◆ 手続き上は法に反せず??
政党助成金や立法事務費の原資は国民の税金ですが、政党解散時の返還義務規定がありません。政党助成金は法律上、解散時に総務大臣が残金の返還を求めることが出来ることになっておりますが、命令に従わなくても罰則がないのです。
政治資金規正法や政党助成法の成立にかかわった小沢氏は、法律の不備や抜け道も熟知しており、記者会見等で連発する「私は法に則って適正に処理しております」というフレーズは、「手続きどうりにやって何か悪いことがあるのか」という内心が表れたものでしょう。
しかし手続きの不備を突くことが正しい手法といえるのでしょうか?
小沢氏が長年行ってきた資金の不透明な移動や不動産取得は、全く法の予定していないものであり、このような姑息な行為について、政治的・道義的責任は逃れられず、決して許してはならないと私は思います。
◆ 自浄能力が問われる民主党
政権与党時代の自民党に、今回のような総理や閣僚・党幹部による事件が起きていたら、どうだったでしょうか。問題を起こした議員には世論だけでなく、党内からも大きな批判が上がり即刻役職辞任、または議員辞職、政権はその時点でつぶれたことでしょう。
今の民主党はあれだけ政治と金の問題を追及し、「秘書の行ったことは政治家の責任だ」と舌鋒鋭く政府を追及してきた鳩山首相はじめ政府・与党の幹部が小沢氏の幹事長続投をあっさりと認め、その政治責任を問う声はおろか、説明責任を求める声もほとんど上がりません。
また、小沢氏不起訴が正式に決まる前日の夜には、約40名の民主党議員が議員宿舎で不起訴を祝う「前夜祭」さながら、小沢氏のお面をかぶった議員が鬼に豆をまくという、節分の豆まきごっこに興じたという報道もありました。
民主党議員には、政権党の一員としての自覚と自浄能力の発揮を強く求めたいと思います。
現政権が掲げる「政治主導」の手法は、いったん指導者を民主的に選べば、後はその指導者の決定に無条件で従い続けるというレーニン主義の旧ソ連や、中国共産党が行ってきた「民主集中制」そのものです。
◆ 小沢政治は危険な「民主集中制」
今回の不起訴により小沢氏の党内支配がさらに強化されることになれば、選挙に勝つことが全てであり、選挙に勝てば何をやっても良い、という危険な「小沢流政治」がますます横行することになります。
小沢氏は自民党寄りの業界団体には面会を拒否し、予算の大幅削減を行います。「会わない、聞かない、出さない」これが、選挙に協力しない者への小沢氏の態度なのです。
このような「小沢流民主党政権」の影響は、既に私たちの地域にも表れています。
川口では、植木のセリ市や花の展示会が毎年行われおり、総理大臣や農林水産大臣等の「大臣賞」が授与されておりました。
主催者団体が例年同様にこの申請を地元選出議員である私の事務所を通して行いましたが、各省からは今年より民主党県連を通じたもの以外は受付できない、と断られてしまったのです。政務三役からのきつい指示だそうです。
民主党に頼めば要望が通り、そうでなければ申請すら受け付けない状態になってしまったのです。
もちろん私たち自民党はそんなことはやったことがありません。私も副大臣として政府におりましたが、自分たちの支持者であろうが無かろうが、政府は国民のものであり、どなたの要望や申請も分けへだてなどしたことがありません。
◆ 「小沢流政治」との決別
政治とカネの暗闇を引きずり、選挙至上主義を恥ずかしげも無く横行させる「カネと数の小沢流政治」。
良くも悪くも政権交代という新しい政治が始まった今こそ、私たちは古い小沢流政治と決別すべきではないでしょうか?
これは、自民対民主の争い以前に、日本の民主主義を進展させるために絶対に必要なことです。私は健全な民主政治を取り戻すため、精一杯の活動を行ってまいります。
新 藤 義 孝 |