第189号 これでいいのか鳩山政権!~政権の本質を問う3つのポイント~

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11月17日 私が理事を務める衆議院安全保障委員会において、沖縄の米軍・普天間基地の移転問題について外務・防衛各大臣に質疑を行いました。その模様は動画でご紹介しておりますので、ぜひご覧になって下さい。


 今、日本の政治・経済は極めて深刻な事態に陥っています。その根本の原因は、政権交代した後の鳩山連立政権の体質にあると私は考えています。今号では 3 つの観点からこれを検証したいと思います。


◆ ①強権・独裁的国会運営

 鳩山政権初の臨時国会は、党首討論は一度も開かれず、我々が求めた予算委員会の集中審議は無視、法案質疑もほとんど行われず、最後は強行採決という乱暴な国会運営が行われた末に、36日間というこれまでにない短い期間を、わずか 4 日間延長しただけで閉会してしまいました。
 大幅な会期延長は来年度の予算編成に支障をきたす、というのは理由になりません。自公政権時代の昨年の臨時国会は12月25日まで、2 年前が越年の 1 月15日、3 年前が12月19日まで開いておりましたが、同時並行で予算編成も年末までにしっかり仕上げております。
 あきれたことに、民主党議員には党の方針により質疑時間はほとんど与えられず、議員立法も原則提出禁止、新人議員にいたっては地元選挙活動を優先し、国会は採決だけでよい、というような小沢幹事長のおふれのもと、大量議席を持ちながら所属議員たちが委員会で発言しないという異様な国会が出現したのです。
 党側では、かつて設置されていた政策部門会議が廃止され、政府に入らない民主党議員が政策について正式に議論する場はありません。
 政府側も、政権に参画した大臣は与党内の他議員の意見や、議員を通じて伝えられるはずの世論を受け止める機会さえなく、自らの感覚で政権運営をしているのです。
 国会を短く閉じてしまったのは、鳩山総理や小沢幹事長などの政治資金にまつわる疑惑追求から逃れるためであるとか、小沢幹事長が12月10日から民主党議員140人とその支援者の合計615人を引き連れ中国を訪問する予定があり、その前に国会を閉じる必要があったためともいわれております。
 政権獲得後の民主党には、自由に政策を議論する党内民主主義が影を潜め、強権・独裁的な国会運営は、まさに議会制民主主義を否定していることにならないでしょうか。
 鳩山政権にこの体質を改めさせるためには、まず国民・有権者にこの実態を知ってもらわなければなりません。国益や国民生活に深くかかわる課題を議論し、結論を導き出すのが与・野党を問わず国会の役割であるという基本を、私は敢えて皆様に訴えさせていただきます。


◆ ②首相の無神経外交

 沖縄の米軍普天間基地の移設問題では、鳩山内閣の対応の不手際により日米信頼関係が大きく揺らいでいます。それは我が国の安全保障環境に重大な影響をもたらし、国の発展と安全に支障をきたすことにもなりかねません。
 私は過日の衆議院安全保障委員会でこの問題について質問させていただきましたが、外務・防衛両大臣からは責任ある明確な答弁は得られませんでした。
 極めつけは鳩山総理の煮え切らない態度と無神経な言動です。
 オバマ大統領との東京での首脳会談では「トラスト・ミー(私を信じてほしい)」といい、翌日のシンガポールでは「大統領と約束はしていない」と言い放つ無神経振りを発揮。日米首脳会談の成果は一日で首相自ら壊してしまいました。
 日米合意に至った経緯と地元沖縄県民の苦渋の決断の重みを考えず、具体的な代案・腹案もなく軽々しく方針転換の可能性を持ち出したことがそもそも間違いです。
 沖縄では基地反対運動が勢いを増し収拾がつかなくなる恐れがあります。社民党は政権内で県外移設を声高に主張し、連立解消にまで言及し政権を揺さぶり始めました。
 この寝た子を起こすような事態を招いたのは、ひとえに鳩山首相の無神経な言動と外交音痴が原因と厳しく指摘せざるを得ません。
 私は、普天間基地の移設問題はこれまでの日米合意に基づいて、沖縄の負担軽減に配慮しつつ、出来るだけ早く結論を出し、新年度予算に基地移設関連経費が反映できるよう処理すべきと主張しています。
 一刻も早く鳩山総理は決断し、国会で国民に説明すべきなのです。


◆ ③予算編成のからくり

 デフレや円高の進行、3 兆円の補正予算の執行停止により、経済は 2 番底の危険にさらされています。
 にもかかわらず鳩山政権の公共投資削減はこれから逆に本格化し、事業仕分けという予算の減額作業に熱中しています。
 新政権の予算の重点は企業の競争力を高め全体を潤す政策から、消費者へ直接給付に移る方向です。
 政府が打ち出した21年度第二次補正予算 4 兆円超の内訳は公共事業を除いた自民党景気対策の焼き直しです。世間には伝わっておりませんが、政府が各省庁に求めた予算提出の期限は、なんと 2 日間で出せ、というものでした。
 22年度概算要求は95兆円まで膨らんでおりますが、これは自公政権で組んだ21年度当初予算の88兆円に民主マニフェスト分 7 兆円を乗せたものです。民主党はこれまでの予算をほとんど削らず、自分たちの分を上乗せして要求しているのです。
 一方、22年度の税収は38兆円の見込みです。今年度と同じ税外収入を10兆円とし、国債発行を今年度と同じ44兆円とすれば、合計は92兆円です。政府がこれから削るといっている 3 兆円の根拠はこんな程度のものなのです。
 さらに22年度の国債発行44兆円という枠には、言葉の大きなすり替えがあります。
 麻生政権が発行した21年度当初予算の国債は33兆円です。その後の第一次補正予算に11兆円の国債を追加発行し、2 回の予算編成で発行した44兆円を、鳩山内閣では22年度当初予算一回分で発行する、というすり替えを行っているのです。
 しかも、自公政権の第一次補正予算の見直しで停止された事業の内、約 3 分の 1 にあたる101事業が、22年度概算要求に復活して盛り込まれている始末です。
 経済は生き物であり、投資の流れやこれまでの活動を、パズルのように簡単に組みかえることはできない、ということを新政権は思い知らされていると思います。
 私は、国や国民にとって必要な予算や政策は何か、ということを責任を持って訴えて参ります。



 新 藤 義 孝