エネルギーの使用合理化に関する法律案等(副大臣答弁)参議院経済産業委員会-10号 2008年05月20日

       エネルギーの使用合理化に関する法律案等

    169-経済産業委員会-10 平成200520

 

○委員長(山根隆治君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。

 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

 エネルギーの使用の合理化に関する法律の一部を改正する法律案及び揮発油等の品質の確保等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に文部科学大臣官房審議官青山伸君、経済産業省産業技術環境局長石田徹君、資源エネルギー庁長官望月晴文君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長上田隆之君、資源エネルギー庁資源・燃料部長北川慎介君、国土交通省住宅局長和泉洋人君及び環境大臣官房審議官谷津龍太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○委員長(山根隆治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

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○副大臣(新藤義孝君) このセクター別アプローチ、産業分野別ともいいますけれども、このアプローチはエネルギー効率などを分野ごとに割り出しまして、そして今後活用される技術を基礎として削減がどこまでできるかと、こういう可能量を積み上げることで公平な削減目標を設定しようというものでございます。また、途上国にとりましても導入すべき技術が明らかになる、それからどの分野でどれぐらい削減できるんだという道筋がはっきりするという意味におきまして非常に効率的な技術移転を促進できるんではないかと期待をしております。そして、このセクター別アプローチにつきましては我が省甘利大臣も積極的に国際社会において発言をされております。

 そして、過日行われましたグレンイーグルズ対話、幕張でやりましたG20、こういったものや国連の作業部会それから主要国の経済会合等で議論をして、順次今認識されつつあると。それから、非常に有効なものであるじゃないか、公平なものではないのかというふうな評価をいただいているというふうに思っております。特にEUや中国につきましては先般の首脳会談の場におきましてもこのセクター別アプローチが有用だと、また重要だと、こういう評価もいただいておりまして、引き続き国際社会に向けてこのセクター別アプローチの導入について働きかけを行ってまいりたいと、このように思っております。

 

○藤原正司君 今おっしゃたように私はセクター別アプローチというのが、一つは経済は生き物なんだから動くということに対応できるという、順応できるという極めていい性格を持っているということと、排出枠ということになると途上国が一切横を向いてしまう中でそうじゃないんですよと、具体的に削減する方法あるいはツールを教えてあげるとか、そういう意味で私は大変意味があることだと思います。

 私は、温暖化対策の最終の目標は排出枠を決めることではないので、実際に減るかどうかが問題で、その減るためには地球規模での取組が必要で、特に途上国が一緒になって取り組んでくれるかどうかに懸かっている。そのことが排出枠をセットすることで前へ進むならば私はやったらいいけど、排出枠ではなくて具体的に減らす方法、そういう技術的な問題を含めて提供することで進んでいくというのであれば、もっと言い換えれば、排出枠にキャップをかぶせることが国民生活レベルにキャップをかぶせるんではないんだということが分かってもらえるような方法がこれだとするならば、是非これはこれからも世界中に広めていただきたいし、そして我が国民に対しても是非広めていただきたいというふうに思うわけでございます。

 そこで、今技術的な方法とは別に経済的措置という問題がこの温暖化対策の中でいろいろ言われているわけですけれども、経済的措置とは一体何を指すのか、環境省にお聞きしたいと思います。

 

○政府参考人(谷津龍太郎君) お答え申し上げます。

 温室効果ガスの排出削減に当たりましては様々な手法、例えば自主的な手法また規制的な手法、御指摘の経済的な手法また情報を提供して取組を促進するような意味での情報的手法など、あらゆる政策手法を総動員してそれらの特徴を生かしながら有機的に組み合わせていくと、いわゆるポリシーミックスという考え方が重要であると思っております。その中で、御指摘の経済的手法でございますけれども、市場メカニズムを前提として経済的なインセンティブを与えながら様々な取組主体の経済合理性に沿った排出抑制対策を誘導するものだというふうに考えておるところでございます。

 我が国の京都議定書目標達成計画でございますけれども、この中で特に経済的手法のうち国内排出量取引制度また環境税につきまして、速やかに検討すべき課題という位置付けがなされているところでございます。

 国内排出量取引制度についてでございますけれども、削減の過不足、これを取引できるようにすることによりまして社会全体として小さな費用で確実に排出削減が促すことができるという制度というふうに考えております。

 また、環境税でございますけれども、二酸化炭素の排出又は化石燃料の消費量に応じて課税するというのが基本でございます。市場メカニズムを通じて低炭素社会を実現する重要な政策手段というふうに認識しておるところでございます。

 いずれにいたしましても、目標達成計画の中で総合的に検討するということになっておりますので、我が省といたしましてその検討をなお一層積極的に進めたいと考えております。

 

○藤原正司君 経済的措置そのもので炭酸ガスが減るわけじゃない。すなわち、省エネだとか燃料転換だとかを促すものとして、政策誘導を図っていくものとして経済的措置があるというふうに理解をしております。ですから、そのもの自体には削減能力は一切ないというものであるというふうに私は思っております。

 もう一つは、経済的措置を課した場合にうまく削減に機能するのかどうかという問題もあるんではないかなというふうに思っております。例えば二〇五〇年半減だとか、いや八割減だとかいうような、経済や国の制度の革命的な変化をもたらさなければならないときに、あるいは国がリーダーシップを取ってそういう方向に持っていかにゃいかぬときに、炭酸ガスの値段が付いて、あるいはその値段がシグナルとなっていくかどうかというのは、十分に考えていく必要のあることではないかなというふうに今思っているところでございまして、この炭酸ガスを減らすということに本当に機能するのかどうかということに一点に絞って考える必要があるというふうに思っているわけであります。

 その中で、今経済的措置の中で国内排出権取引という方法がいろいろ政府の中でも研究をされているというふうに聞いております。国内排出権取引というと何か今でもあるんやないかみたいな感じになって、本当はいろいろ皆さん方が関心を持っているのは、キャップ・アンド・トレードのキャップの方に関心があるのに、この国内排出権取引となると何かトレードの話ばっかりになってしまっているんですけれども、このキャップ・アンド・トレードのメリットとデメリットについて簡単にお願いしたいと思います。

 

○副大臣(新藤義孝君) もう先生よく御案内のことだと存じておりますが、要するに排出枠の交付総量を決定する、交付総量を設定した中でその排出枠を個々の事業主体に配分するんだと、場合によっては他の事業主体との排出枠の取引又は京都メカニズムのクレジットの活用、こういったものを認めるという制度、これが国内排出量取引制度でございます。

 この制度のメリットは、まず自分の国の排出量を直接的に規制できると、また、市場が十分に成熟しているというのを前提になりますが、取引を通じて全体として排出の削減のコストを最小化できると、こういう問題があります。

 一方で、デメリットといたしましては、個々の排出主体に枠を割り当てる強度の規制措置であるということです。したがって、過去においてもう熱心に省エネに取り組んできたところ、もうあとの削減枠が少なくなっちゃっているところ、要するに過去に省エネをたくさん行った人は排出枠が少ししかもらえないと。一方で、今まで余り努力を怠ってきた、というかまだそこまで進んでいないと、こういう主体におきましてはたくさん枠が与えられると。そうすると、枠が余ったところでそれが取引の材料になったとするならば、それは頑張った人に対して報われた制度なのかと、こういうデメリットがございます。

 また、京都議定書の参加国が排出量ベースで三割しかないわけです、世界の。ですから、残りの七割の方が非参加国でございますから、そういう中で、ある国が排出量の枠を設定すれば、これが排出枠の設定されてない国に対して企業が流出すると、こういうおそれもあるという心配があるわけでございます。