第145号 第169回 通常国会始まる ~必要なのは大局的論議~



1月20日 寒風の中、川口駅東口において街頭演説を行いました。
聞いていただいた多くの皆様に御礼申し上げます。

 
1月22日の東京株式市場で日経平均株価が大幅に下落しました。中国やインドなどのアジア市場も急落し、世界同時株安の危険も心配されています。日本の経
済は、米国の景気減速に伴う株価の下落、原油価格の高騰、建築基準法改正の影響による住宅着工の落ち込みなど不安材料が重なり、2002年から続く景気拡
大に赤信号が点灯しています。


◆ 外国からの日本の評価

 海外メディアがここのところ日本経済に焦点を当てた記事を多く書くようになりました。
○日本は海外からの買収防止の為、400社以上が企業防衛策により海外からの投資を妨げている。
○技術革新で世界をリードする企業はソニーからアップル社に変わった。アップルの『i-Pod』は既存の部品を革新的に組み合わせた商品だが、日本企業は純正部品でつくる自動車などは得意だが常識を越えたがらない。
○「日本はまるで迷路」-米国の大手企業買収ファンドのカーライル・グループが、KDDIからPHS事業を買い取るのに二年もかかり、従業員を解雇しないと約束してようやく実現した。外資系の日本進出は難しい。
共通しているのは、小泉内閣が進めた構造改革が頓挫し、日本が逆戻りしているのでは、という懸念です。日本の改革に対する熱意が官民ともに低下し、その結果が経済と株価の低迷に反映されつつあるのです。
 2007年の東京証券市場など日本市場での外国人株式売買シェアは約6割となっており、日本の将来に失望した外国人投資家が世界同時株安の中で日本株を一斉に売りに出した結果が、ここのところの大幅な株価下落の原因とも言われています。


◆ 改革への熱気が株価に影響する?

 元金融担当大臣の竹中平蔵氏によると「昨年一年間の世界全体の市場の株価は12%の上昇。サブプライム問題のあった米国ですら、年間では6%の上昇。一
方で日本は11%の下落となった。重要な事実を思い出す必要がある。郵政解散の末に郵政民営化法案が成立した平成17年、つまり改革の熱気が一気に高まっ
た年には、日本の株価は実に42%の上昇だった。改革に向けた期待が上昇するか下落するかで、株価動向は敏感に反応する」というのです。
 
 1月18日の通常国会開会にあたり、大田弘子経済財政担当大臣は、「残念ながら、もはや日本は「経済は一流」と呼ばれるような状況ではなくなってしまい
ました。」と演説しました。私も全く同感です。考えてみると昨年の参院選の与党大敗以来、話題に上るのは、改革の光と影、格差是正などであり、野党・民主
党が打ち出す農家補償や児童手当増額などの有権者サービス政策の影響におびえ、税や社会保障に対する抜本的な論議は先送りとなりました。今や改革という言
葉は世間にほとんど聞こえなくなり、国会のねじれ現象による国政の停滞と与野党の攻防ばかりがクローズアップされています。
 私たちの国の改革は、まだ終わっていません。しかも世界は、国や企業がものすごいスピードで変化していこうとしています。日本はもう一度世界に向けて挑戦していく気概を取り戻さなくてはなりません。


◆ 必要なのは大局的論議


 日本が行うべきは、持続的経済成長を可能とする抜本的な改革です。人口が減る中で成長を続けるのは並大抵の努力ではできません。まずは政治の場で私たちがその危機感を十分に認識し、皆様にわかりやすく説明する必要があります。
 通常国会をガソリン国会とすると野党は言いますが、ガソリンの暫定税率を廃止すると最大で2.6兆円の歳入欠陥が生じます。現実に補填できる財源はな
く、結果的には、赤字国債を発行するしか道はありません。また、税制改正関連法案が不成立となると、租税特別措置の多くが3月末で期限切れとなり、中小企
業向けの優遇措置の廃止により企業は増税となりますし、土地の売買にかかる登録免許税の半減も廃止・増税となるなど、国民生活は大混乱に陥ってしまいま
す。
 出来れば、私も税金は下げ、予算は増やしたいと思います。しかし、国民負担を軽減する為には、無駄遣いをやめる歳出合理化とともに、経済成長による財政
の健全化が絶対に必要不可欠なのです。私たちの国の政治を選挙を意識した政局最優先の観点から行うことになれば、国の内外からの信用と期待を失い、将来に
大きな禍根を残すことは間違いありません。
 通常国会は予算審議が始まり、与野党の攻防がいよいよ激化します。国会は大局的見地から政策論議を深め、いま国が為すべきことを国民の皆様の前に明らかにしなくてはなりません。

新 藤 義 孝