急速に高齢化が進むわが国では、10年後には4人に1人が高齢者になると予測されています。高齢化社会のキーワードのひとつとなるのがバリアフリーです。
「子供からお年寄りまで、体格、障がいなどの有無などに関わらず、誰もが自由に移動でき利用できる安全な環境を整えること」。わたしはそれを目標に、街づくりを進めていきたいと思っています。
◆ バリアフリー推進議員連盟での活動
平成6年、デパートやホテル、病院等の不特定多数の者が利用する建物について、高齢者や障がい者が円滑に利用できるような努力義務を課した「ハートビル
法」が施行され、車椅子用のトイレや駐車スペース、通路幅の確保、段差の解消、緩勾配のスロープ、点字ブロックの敷設等々が徐々に推進されていきました。
平成10年に設立された自民党のバリアフリー推進議員連盟に参加した私は、バリアフリー社会の実現に向けて議論を重ね、公共交通機関におけるエスカレーターやエレベーター整備に対する補助制度を創設し、さらに平成12年には「交通バリアフリー法」の成立を果たしました。
この法律の施行後、私は川口・鳩ヶ谷の街をバリアフリー化推進のモデル地区としたいと考え、JRや地元の議員さんたちと協議を進め、川口駅、西川口駅、
蕨駅、そして東川口駅に、エスカレーターやエレベーターの設置を進めて参りました。駅の構造や事業費負担の問題で設置するまでには時間がかかりますが、県
内で最も早く市内全駅にエスカレーターを設置できたことは、私の内なる喜びです。
昨年国政に復帰させていただき、私は再びバリアフリー推進議連に参加しております。今国会では、新たに「高齢者、障がい者等の移動等の円滑化の促進に関
する法案」が提出さる予定になっております。従来の2法案を一体化し、個々の施設から街全体にバリアフリー化を進めていくための法案です。
◆ JR川口駅構内にエレベーター設置
このような状況をふまえて、私が今手がけているのが川口駅の更なるバリアフリー化です。
1日約15万人が利用する、県内乗降客数第3位のJR川口駅。東口からは川口そごうやキャスティ、西口からはリリアのエレベーターを利用すれば、車椅子の方でも改札まであがることはできます。しかし、そこからホームに降りる手段がないのが現状です。
私は昨年の暮れより、改札内からホームに降りるためのエレベーターと下りのエスカレーターの設置についてJRと協議を行っています。
これは、JRと川口市の共同事業となり、市側の費用負担に関しては、市議会の予算措置が必要です。市の費用負担に対する県の補助制度もあり、仲間の県議、市議と協力し、国・県・市一体となって早期実現に向けて活動して参ります。
◆ 東横インの不正改造問題について
「身障者用客室を造っても年に1、2人しか来なくて、一般の人には使い勝手が悪い。うちのほかのホテルでもロッカーやリネン庫になっているのが現実だ」
身体障害者用の施設や駐車場を完了検査直後に改造工事をして撤去していたことをはじめとして、全国で70以上もの不正改造や問題ホテルがみつかった東横
イン。社長のこうした発言には、企業の社会に対する責任や倫理感は一切感じられません。耐震強度偽装問題に引き続き、法やモラルを無視してでも効率や利益
を追求しようとする姿勢は決して許せるものではありません。早急な是正、再発防止のための対策はむろんのこと、バリアフリーの理念の徹底が不可欠だとつく
づく感じさせられました。
◆ こころのバリアフリーを大切に
街中で、障がい者用駐車場に健常者の方が車を止めてしまっている光景を時折見かけます。車椅子を利用している方が身近にいない人には、その必要性がピンとこないのかもしれません。
バリアフリーはただ設備などを設置すればいいというものではありません。その設備がきちんと機能し、気軽に自由に使ってもらえるようになることが大切な
のです。高齢者や障がい者にとって歩きやすい街は、子どもや妊産婦をはじめ誰にとっても快適な街になるでしょう。バリアフリー化は、そこに住む皆さんの意
識の高まりによって完成するのではないでしょうか。
その実現のためには、障害を持った方、そうでない方も含めた、この街に住む多くの人たちの声に耳を傾けていかなければなりません。
川口駅構内エレベーター設置の話は、昨秋、私の事務所を訪ねてくれた車椅子の方からも強く要望をいただきました。私たちの街をバリアフリーを進めるモデル都市にするために、ぜひ多くの皆様の想いをお聞かせ下さい。
新 藤 義 孝 |