第78号 第163回特別国会の閉会にあたって

◆ 第163回特別国会が閉会

 
11月1日、第163回特別国会が閉会しました。42日間という会期にもかかわらず52本(政府提出24本,議員立法28本)もの法案が提出され、私たち
与党の選挙公約であった郵政民営化関連法の成立を始めとし、懸案であった改正政治資金規正法、改正公務員給与関連法、改正テロ対策特別措置法、高齢者虐待
防止法、障害者自立支援法など28法が成立。短いながらも成果の多い国会でした。
 10月31日には第三次小泉改造内閣も発足。小泉改革の総仕上げへ向けた、重厚で実力ある方々の顔ぶれがそろった布陣に、総理の強い意志が感じられました。
 小泉政権は発足して4年半で、道路公団改革や三位一体改革、そして宿願だった郵政民営化に挑み、着実に成果をおさめてきました。来年9月の任期まで残すところ1年をきりましたが、改革への取り組みはこれからますます加速していきます。
 少子高齢化によって、20年後には65歳以上の高齢者が総人口の約3割を占めるようになると予測されています。このままでは、年金・医療・福祉など社会
保障の給付額は現在の2倍、152兆円にも増大してしまいます。皆様の暮らしに直結する、持続可能な社会保障制度の確立は喫緊の課題です。
 国と地方を合わせて774兆円にも膨れ上がった財政赤字。財政健全化に向けた取り組みは、わが国にとって最重要課題です。そのためには、大胆な歳出削減
を行いながら、歳入を増やすことも考えなければなりません。小泉総理は在任中に消費税率の引き上げを行わないことを明言していますが、政府の目指す
2010年代初頭の財政安定化に向けての道筋をつける必要があります。
 私は政府・与党の一員として、閉会中は年末まで、税制改正及び来年度予算編成に全力を挙げながら、山積する課題に取り組んで参ります。


◆ 国会運営のあり方について

 この特別国会で、民主党は「対案提出・改革競争」路線に転じました。与野党がそれぞれに法案を示し、議論を深め、政策を競い合う-(法案の質や完成度は
ひとまず置いておくとして)野党がこうした姿勢を打ち出したことを私は大いに評価しています。与党は法案作成を役人まかせにし、野党は成立する見込みのな
い対案を提出する気力もなく、重箱のスミを突っつくような質問、あげ足取りの質問、個人のスキャンダル追及に熱をあげるだけ・・・。そうした従来の国会論
戦をかねがね心苦しく感じていたからです。
 ところが、前ページの表で明らかなように、野党提出法案は19本ありましたが1本も成立することはなく、委員会審議すら行われないものも多くあります。民主党内のベテラン議員からは、早くも対案作成の労力の大きさとその報われなさに不満の声もあがっているそうです。

 せっかく芽生えた対案討論型の国会運営が後退しないよう、有権者の皆さんには大いに関心を持っていただき、また監視していただきたいと思います。
 今こそ、政治は国の改革を進めることと併せ、国会の立法活動そのものを構造改革すべきです。国会審議の活性化と政治主導による政策立案システムの確立に向けて、私も力を注いで参ります。

新 藤 義 孝