◆ 郵政法案成立
10月11日の衆議院本会議、続く14日の参議院本会議で郵政民営化法案が可決されました。前国会で廃案となった同法案は、8月の衆院解散と9月の総選挙という政治的激動を経て国民の皆様の大きな支持のもとで成立するに至ったのです。
明治4年に始まった日本の郵便制度。以来130年余を経た今、郵便物の引受総数は年間250億通、郵便貯金残高220兆円、簡易保険の総資産120兆
円、常勤職員は国家公務員の3分の1を占める28万人という巨大組織に成長しました。日本の個人金融資産の1400兆円の4分の1は郵貯・簡保が占めてい
ます。ドイツやフランスにも同様の郵便貯金がありますが、残高は日本の10分の1以下に過ぎません。その民営化は、明治以来の大改革なのです。
関連6法は今月中に公布され、政府は来年4月に郵政民営化委員会を設置します。2年後、国営の日本郵政公社は解散し、郵政事業は民営化した4事業会社に
分割して引き継がれます。郵政法案の成立を皮切りに、財政再建、行政改革、公務員制度改革、社会保障制度改革、政府系金融機関改革など、改革への取り組み
は今後さらに加速していきます。
「構造改革を断行し、政府の規模を大胆に縮減していく」-今国会の所信表明演説で、小泉総理は郵政民営化法成立後のテーマをはっきりと示しました。改革
の方向は、「誰もが安心して豊かに生活できるよう、国民への負担を少なくし、簡素で効率的な政府をつくること」です。
◆ 加速する改革と歳出削減
総選挙中に小泉総理が繰り返していたように、郵政民営化はあらゆる改革の突破口となるものです。
憲法や教育基本法といった国のあり方に関わる問題。福祉や年金、医療など私たちの暮らしに直結する課題。さらに、少子高齢化・人口減少化を迎えるわが国の経済の変化に合わせた小さな政府への構造改革は待ったなしの状況です。
今のわが国の財政は危機的な状況にあります。国と地方の長期債務残高はGDPの1.5倍にあたる774兆円にも達する見通しです。国民一人当たり600万円超の借金を背負っていることになり、先進国の中でも最悪の水準となっています。
わが国の財政を再建し、新たな借金に頼らずに財政の政策的な経費を賄っていくこと、基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化するには、徹底した歳出削減が不可欠です。
郵政民営化は公的部門への資金の入口の改革であり、資金の出口の1つである政府系金融機関の改革は急務です。政策金融のゼロからの見直しが必要であり、
役割を終えた機関は廃止、民間でできるものは民営化するという大胆な改革が必要です。また、小さな政府実現のためには、総人件費削減を含む公務員制度の改
革も避けられません。仕事のやり方や人事制度にまで踏み込んだ改革も同時に進めていかなければなりません。
一般会計の2.5倍にも膨れあがった、官庁が縦割りで管理している特別会計の抜本的見直しも重要課題です。
従来、こうした公的部門の削減は、関係省庁や族議員、利益団体の抵抗によってなかなか進展しませんでした。既得権者の抵抗を排し、無駄を廃し、時代の変化に応じた適切な政府規模を実現すること。それが今回の総選挙で示された民意だと認識しています。
「週刊新藤」ではこうした改革の取り組みについて、逐次皆様のもとへ国会の生の現状をお知らせして参ります。
新 藤 義 孝 |