第50号 お花見シーズン到来! わが街の桜


日本の春を彩り、列島を南から北へと薄紅色に染めていく桜。
古くから日本人の心を魅了してきた桜は、菊と並んで日本の象徴とされる国花であり、現在も多くの人に愛されています。今回の週刊新藤は、私たちに本格的な春の到来を知らせてくれる「わが街の桜」のお話です。

 日本の春を彩り、列島を南から北へと薄紅色に染めていく桜。古くから日本人の心を魅了してきた桜は、菊と並んで日本の象徴とされる国花であり、現在も多
くの人に愛されています。今回の週刊新藤は、私たちに本格的な春の到来を知らせてくれる「わが街の桜」のお話です。

◆ 日本人の心と桜の歴史 ◆

 美しい自然に恵まれた日本。四季折々に咲く幾多の花々が私たちの目を楽しませてくれます。中でも春の景色を薄紅色に染め上げていく桜は、私たち日本人に最も馴染み深く、愛されている花のひとつでしょう。
 
桜はもともと本州全域に広く分布する野生の木でした。やがて日本人が農耕を始めるようになると、穀物の種を蒔く春の到来を告げる桜は、神が宿る特別な存在
と考えられるようになりました。サクラの「サ」は農業の神である田神(さがみ)を、「クラ」は神がすわる神座(かみくら)を表し、神が集う場所という意味
でその名がついたのだという説もあります。人々は神のいる桜の下で祭りを行い、豊作を祈願したのです。

 奈良時代に編集された「万葉集」にも桜は歌われています。しかしその当時、漢文化を手本としていた宮廷人にとっては、花といえば梅のことでした。万葉集では桜を詠んだ歌44首に対して梅は118首。野に咲く桜よりも、廷内に咲く梅の方が高雅な花とみなされていたのです。

 一斉に咲き溢れる桜の、満開の時期はほんの僅かです。華やかな彩りを誇る花びらも、早々に全て散ってしまいます。桜の美しさは満開の花ばかりでなく、
の風に吹かれて雪のように舞い散る花びらの風情にこそあります。日本人は散りゆく桜の中に、哀愁を帯びた独特の美を見いだすようになりました。平安時代の
「古今和歌集」では、春の歌の多くが桜を詠んだものに取って代わっています。その頃に成立した、自然の移り変わりや人の一生の儚さに美を感じる「もののあ
はれ」という日本文化特有の概念は、桜を愛でる心と決して無縁ではないのでしょう。

 江戸時代には、品種改良によるソメイヨシノが栽培され、桜はより身近な存在となりました。花見は庶民の娯楽として定着し、老若貴賤の区別なく桜の下に集い飲食を楽しむ現在の姿となっていったのです。

◆ 赤山街道の武南桜 ◆

 かつて私たちの住むこの街にも、隆盛を誇った桜の名所がありました。鳩ヶ谷市の浦寺から川口市安行花山下まで赤山街道の両側に植えられていた桜並木です。大正11
年に、当時は摂政宮だった昭和天皇が越ヶ谷にある鴨場へ御成りの際、街道整備のために植えられたものだと言われています。およそ4kmにもわたる花のトン
ネルはそれは見事なもので、以来「武南桜」と称され、毎年春には大変な賑わいを見せました。しかし残念なことに、昭和30年頃から、道路拡張や樹木の老
化、車の排気ガス等で遂に消滅してしまいました。現在では「桜町」という地名にその名残を留めるのみです。

◆ 桜の街・復活への試み ◆

 一般の桜より早く3月の初旬に開花する、赤みをおびた可憐な花びらが特徴の安行桜。川口市安行・沖田雄司様の改良によるもので、別名
沖田桜とも呼ばれています。この安行桜を多くの人に楽しんでもらおうと、先月下旬、安行地区の連合町会により伝右ェ門川の土手約500mに桜の苗50本が
植樹されました。3年後には開花するそうなので、非常に楽しみです。

 また、神根地区では有志の農家の方たちにより「武南桜を復活させる会」が結成され、赤山街道に面する江川運動広場に桜を植える活動が3年ほど前から実施されています。春になればあちこちで武南桜が咲き誇る「花の赤山」を取り戻すことが目標だそうです。

◆ 川口桜まつり ◆

 文化放送川口送信所(赤井3-9-16)では、例年「川口桜まつり」が開催されています。広大な敷地には約300本もの桜があり、桜の開花にあわせて地
域の人たちに開放されます。今年は4月1日~3日にかけてまつりの開催が予定されており(AM10:00~PM5:00)、カラオケ大会や芸能フェスティ
バルなども企画されています。

◆ 市内の桜スポット ◆

◇グリーンセンター(新井宿700)
広い園内に約200本の桜が来園者を出迎えてくれます。またセンター南側、見沼用水沿い700mにわたる桜の遊歩道も見ものです。
◇リリアパーク(川口3-1-1)
JR川口駅の西口を出ると目の前に大きな公園が広がります。3.1haもの広大な面積を誇るリリアパークと名づけられたこの公園は市民の憩いの場となっており、ゆったりとした気持ちで桜を観賞できます。

◇芝中学校(芝6330)

小高い丘の上にあるこの中学校には107本
もの桜が植えられており、毎年入学式の時
期には新入生を歓迎するような満開の花を
咲かせます。

 私も今から開花を心待ちにしている一人です。あなたのお薦めスポットがありましたらぜひ教えて下さい。しかし皆さん、飲み過ぎにはくれぐれもご注意を。

新 藤 義 孝