第7号 <シリーズ 年金改革 -2-> 真の年金改革に向けて、新たな視点を


職三閣僚の保険料未納に端を発した国民年金保険料未納問題が大きな問題となり、福田官房長官や菅直人民主党代表の辞任など政界を激震させています。私にも
「あなたは大丈夫なのか?」との問い合わせがひっきりなしにあります。ちなみに私は、すべて正式な手続きのもとで年金保険料を支払っています。

もし、我が国の年金制度に反対し国民年金に加入しない、もしくは保険料を意図的に未払いとしている国会議員がいるならば、即刻辞職すべきです。また年金保
険料の未納を指摘された閣僚や国会議員は、国民の政治不信を増幅させた事の重大さを素直に認め、今後もはっきりと責任をとる態度が肝要でありましょう。

この問題に関しては、私も厳しく指摘をしていきたいと思いますが、すでに新聞やテレビ等で報道され、皆さんもよくご存知のことかと存じますので、今回の『週刊新藤』では、この年金未納問題に加え、真の年金改革に向けての私の考えを述べさせていただきたいと思います。
肝心の「年金制度改革法案」は、自民・公明両与党と民主党との合意を受けて、ほとんど議論がなされないまま衆議院を通過する見通しです。このままで良い筈がありません。参議院で一刻も早く年金制度改革の本格的な議論が始まることを強く期待します。

今国会に提出された政府与党案は、「負担」と「給付」の新たなバランスをとったものに過ぎず、20年後を予想した出生率の認識の甘さや、2分の1に引き上げられる国庫負担の財源確保など、前号でも述べた通り課題が山積されています。

また、2007年3月までに「公的年金制度の一元化を展望し、体系のあり方について検討を行う」という一文が法案の付則として盛り込まれましたが、私は単
なる年金制度の一元化にとどまるのではなく、もっと大きな視点・立場から総合的に年金制度を考えていきたいと思っています。

今回の年金制度改革法案は、今から約20年前に改正・施行された年金法を基盤としています。ところが現在の日本は高度経済成長の後、バブルの崩壊等を経て、産業構造も大きく変わり、当時と比べて経済状況や生活環境など激変しています。   
また、医療技術の進歩などによって、平均寿命が世界一となり、元気で長生きの出来るお年寄りがますます増えていきます。(それは私の世代のことです)一方で2人の大人で1.3人の子供しか生まれないという、少子化の傾向が今後も続くと思われます。

そして、定年後は「子どもや孫に囲まれて余生を静かにまっとうしたい」といった消極的人生観から、「定年後がいよいよ第二の人生の始まり」ととらえる積極
的人生観がその大勢を占めるようになり、日本人のライフスタイルそのものが大きく変貌しています。とりわけ、女性の自助・自立の意識と社会進出は目を見張
るものがあります。
こういった諸情勢やトレンドをしっかりとつかんだ上で、生活の安全保障という観点から新たな年金制度の設計が必要ではないでしょうか。

そもそも、我が国の年金制度は、「世代間扶養システム」として成り立っています。自分の払った掛け金をその時の高齢者が使う仕組みです。一方で、これから
の日本人の暮らしのキーワードは、”自己責任と自助努力”、そして”努力が報われる社会”ではないかと思っています。その大前提として国家が生活全般に責
任を持つ”公的セーフティネット”の構築が必要不可欠です。超少子高齢化社会の到来は、これまでの世代間扶養システムによる年金制度の成立を不可能なもの
にします。払い手の少なくなった公的年金制度は、いずれにせよ縮小せざるを得ないのが実情です。

この将来の不安を解消するために、自分の納めた保険料を老後の自分が受け取ることのできる個人年金制度を拡充しては如何でしょうか?
いずれ機会を改めてご提案したいと思いますが、日本人は何歳まで働き、どのような人生を送れるのかというシナリオを国民の皆さんに示しつつ、公的年金と個
人年金を組み合わせ、将来の人口構成とライフスタイルを加味した、新しい設計思想のもとでの年金制度を創りあげなければなりません。

しかし、その前段階として早急に実施しなければならないのが、「国会議員互助年金」の廃止です。議員在職10年以上で資格を得るこの年金は、自己負担3
割、国庫負担7割という、まさにお手盛り年金制度です。次々と未納が明らかになった国会議員の頭の中には、「議員年金があれば国民年金に入らなくてもい
い」という意識が少なからずあったものと思われます。年金制度改革のためには、まず手始めに国民の代表たる議員が率先してこのお手盛り年金制度を改め、国
民にその姿勢を示すべきでしょう。

私たちひとり一人のより良き暮らしの旅路を考える上で、最重要課題である「年金制度」。今後の政府や国会での議論をしっかりと見守りながら、節目、節目に、これからも私の意見、提言を『週刊新藤』を通して述べて参りたいと思います。

新 藤 義 孝