平成9年一般会計・特別会計等予算(質疑)衆議院予算委員会第三分科会-1号 1997年03月03日

予算委員会第三分科会-1号(質疑)

140-衆-予算委員会第三分科会-1号 1997年03月03日

 

○新藤分科員 自由民主党の新藤義孝でございます。
 何点か御質問させていただきたいと思いますが、最初に、小杉大臣、連日御苦労さまでございます。大変な激務の中ですばらしい御努力をいただいていることをまず感謝申し上げるとともに、敬服申し上げたいというふうに存じております。
 まず最初に、大臣に基本的な御所見をお尋ねしたいと思っておりますが、このたび、国の五大改革に加えて教育改革が加えられたということでございます。そして、総理の指示で文部省は教育改革プログラムというものを取りまとめたということなんでございますが、まず最初に、今回なぜ新たに教育改革が取り上げられたのか、そのあたりの意義というか、必然性、必要性について、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと存じます。

○小杉国務大臣 御指摘のとおり、総理から新年早々に教育改革プログラムをまとめるようにという指示をいただきまして、一月の二十四日にこれを提出いたしました。今、国として、行政、財政、金融、経済構造、社会保障、そういった分野で五大改革を掲げているわけですけれども、それらの改革のすべての基盤である教育、この教育の改革こそこれと連動してやっていく必要があるんではないか、そういう見地からまとめたものであります。
 内容については、また、お尋ねがあればお答えいたします。

○新藤分科員 それでは、これは御担当の方で結構なんですが、これまで教育制度の改善施策というのは、いろいろな提言、答申が出されてきたということでございます。もう私が言うまでもなく、昭和二十八年を第一回とする中教審、そして臨時教育審議会、さらには、昨今の行政改革委員会の中での教育にかかわる部門、それから地方分権推進委員会の中での教育にかかわるところと、それぞれずっと文教関係事項の改善施策というものが出されてきているわけでございます。それから、六十二年八月には、これは今でも続いていると思うのですけれども、文部省教育改革実施本部というのができているわけでございます。ずっと、教育制度の改善、改良、これについては営々と御検討をいただいて、そしてまた順次施策としてやってきている。
 そうすると、今回の教育改革プログラムの内容で、これまでの中教審や行革委員会やそれから臨教審だとか、そういうもので提言されている以外に、新しい大きな項目というものは何かあるのでしょうか。

○富岡政府委員 先生御指摘のとおり、教育改革につきましては、臨時教育審議会とか、それから幾次にもわたります中央教育審議会、さまざまな御答申をいただいておりますし、また、各政党からもさまざまな教育改革の御提言などをいただいているわけでございます。そういうもの全体を十分現時点で精査しまして、検討しながら、現在とり得る教育改革の方途につきまして、文部省挙げて検討したわけでございます。
 その中の内容といたしましては、今までは例えば中高一貫の問題などについては答申等でもさまざま指摘はございましたけれども、今次の教育改革のプログラムでは、これを具体的に、学校制度複線化構造を進めるという観点から中高一貫教育制度の導入の問題とか、それから教育制度の弾力化という観点から特にすぐれた才能を持つ子供に対します大学入学年齢の緩和の問題とか、学校週五日制への積極的な取り組みなどについて、具体的な課題と方針を今回お示ししたということでございます。

○新藤分科員 ちょっと回りくどいような言い方で恐縮だったんですけれども、私、これは持論でございます。専門家の皆さんが、それも日夜御担当いただいている方々が一生懸命やっていることは重々承知をしている上で、あえて申し上げたいのでございますが、私は、改革と名のつくもの、また、総理が今回おっしゃっている、やろうとしている、我々がやらなければいけないこと、それはまさに、明治維新、それから第二次大戦後の新しい民主主義社会、これに次ぐ第三の改革だというふうに言われております。すべてのいろいろなシステムや国家のあり方、そういうものを変えましょう、こういうことになっている。
 大臣は先ほど、このもろもろの改革を進める、また社会や国を構成しているそのすべてのもとに教育があるのだ、こういうお考えを示されました。私も全く同感でございます。人がすべて運営し、人がつくり上げ、人が行うものですから。
 そういう意味で、今回の教育改革が、一体全体、平成の大改革にどうやってつなげていけるのか。改善と改革の、この言葉の遊びになってしまっては困るのですが、大きな違いがあるのではないか。体制を、形を変えなければいけないのではないか。そういうことができないと、今の閉塞感というか、また子供たちにかかわるいじめだとかもろもろの無気力感、こういったものまでを取り除くのは難しいのではないか、こういうふうに私は思っているのです。
 それで、北大の山口二郎教授がいいことをおっしゃっていました。これはつい最近の日経新聞のインタビューの中で、「二〇二〇年からの警鐘」ということなのですが、「教育問題も深刻だ。教育改革は民主主義を担う市民をいかにして育てるかという問題ともつながる。今の学校教育は社会の現状がこのまま変わらないという前提に立っており、それが社会を固定化してしまう要因になっている。これまで見逃しがちだった教育問題は今後、大きな政策課題になるだろう」、こういうふうにおっしゃっています。
 私はこのとおりそうだとは言いませんが、少なくとも体制を変えるということ、もちろん内容が伴わなければ話にならないのですけれども。私が今一番疑問にというかじれったいなと思っているのは、教育改革というと、これからの教育のあり方、哲学、理念、こういうものにどっと行ってしまう方と、それから、どうやったら進めるのだ、いつ進めるのだという方法論がごっちゃになってしまうのですよね。我が党でも、教育ビジョンだとかつくっております。いろいろなことをやっています。教育論ばかりは、私もここでこんなことをお話しさせていただいているように、教育を受けた者ならば、そして子供を持っている者ならば、だれでも持っている、物が言えるのではないかと思うのですね。そこで大事なのは、全員がいいではないかとか満足して納得できる制度というのは、これは無理なのではないか。
 江戸の藩校体制、寺子屋から、明治になって学校になったときに、それがいいと思ったというよりも、全然違う人間が、社会の仕組みが変わったのだから、運営体制が変わったのだから、今度は
こっちなのだといってつくられたものだと思うのですよね。それから戦後の今の教育制度も、当時はよその国の人まで入って、こういう形でやろうといって変わった。
 そうすると、このたびの教育改革が、まさに平成の改革、日本近代史上の三回目の改革をやろうということであるならば、これはもう少し強力な体制をつくることと、それから思い切ったプログラムの内容、今まで提言されてきたものを取りまとめて、その中で具体的に一歩踏み込みましたという、そういう程度で果たしていいのかな、こんな素朴な疑問を私は持っているのです。

○小杉国務大臣 新藤委員のお気持ちは十分理解できます。
 私ども、今日本が直面している状況というのは生易しいものではありません。猛烈な勢いで経済が高度化し、国際化が進み、高齢化社会が進行していく、そして情報化ももちろん進んでおります。そうした中で、日本がこれから二十一世紀、従来のような活力を維持しながら発展していくためにはどうしたらいいのか、そういう視点に立って、五つの改革が提唱された経緯がございます。
 私たちは、教育の場においても、やはり新しい時代に即応した教育ということを考えなければいけない。そうなりますと、例えばこれからの経済の高度化、先端産業、独創的な産業を育成しなければいけない。そのためには、もっと独創力のある子供たちを育てなければいけませんし、また学術の振興、高度な科学技術教育もやらなければいけない、そういう時代の要請もあります。あるいはまた、情報化に伴うコンピューターとかインターネット、そういった新しい教育のあり方も追求しなければいけませんし、また高齢化社会の中で、介護とかボランティアとか、そういう教育もしていかなければいけない。たくさんの要請があるわけです。国際化にしても、留学生をもっと受け入れなければいけない、あるいは英語教育がいかにあるべきか。そういった新しい時代のさまざまな要請にこたえるために、我々は一体何をやるべきか。
 そこで、従来から、御指摘のとおり中教審を初め臨教審、さまざますぐれた提言をされております。これは何もそのときの提言ではなくて、やはり二十一世紀を見据えた、将来のあるべき姿というものを考えた貴重な提言がありました。私どもは、そうした数々の提言なり報告書の中で、実現、改善できるものはどんどん取り入れてまいりました。例えば生涯教育であるとか。しかし、残念ながら国民の合意が得られずに、なかなか実現できなかったような問題もあります。中高一貫教育にしろ、週五日制の問題にしろ、そういう今まで積み残してきたものをこの辺でひとつ何とか実現したいということで、簡単に申しますと、この教育改革プログラムの目標は二つございます。
 一つは、そうした新しい時代に対応できる、すぐれた人材を養成するという側面。それからもう一つは、今盛んに言われておりますのは、どうも戦後の教育は知識詰め込み主義ではないか、偏差値教育ではないかという批判も一方にあります。あるいはまた、硬直性とか、均質性ばかりを大事にするではないかという批判もあります。そういうことにこたえて、もう少し個性を持った、また自立心を持った、他に対する思いやりとかあるいは正義感とか道徳心とか、そういった豊かな人間性を育てるという人間教育、人間性というものを重視した心の教育、そういう面も大事ではないかということで、この二つの目標を考えました。
 そして、その進め方としては、今御指摘がありましたように進める体制をどうするかということですけれども、私たちはできるだけオープンな形で、単に教育関係者とか学校関係者だけではなくて、広く外に目を向けてオープンな形で、経済界もあるいは地域社会もすべて加わった形で、学校外の社会との提携ということを最大限に尊重したいと思っております。そういう意味では、近々、教育改革フォーラムというようなことで、各界各層を網羅したような定期的な会合もやっていきたいと私は思っております。
 それからもう一つは、余り固定的に考えないで、できるだけ柔軟性とか多様性というものを取り込んでいこうということ。それから、単に提言とかプログラムを提示するだけではなくて、このプログラムを一体いつまでにどうするのかという期限を区切って、スケジュールを示したというところに大きな前進があり、また特色があろうと私は思っております。
 しかし、いずれにしても、今度の教育改革プログラムは改革のための第一歩でありまして、今いろいろな御意見をいただきましたけれども、これから国会の各党の意見もお伺いし、また経済界とかその他の広い皆様の御意見も加えながら、充実した教育改革を実行していきたい、私はそういう心境であります。

○新藤分科員 強い決意、大臣のお気持ち、お考えは理解をさせていただいたというふうに思っております。
 あえて重ねて言わせていただくならば、もろもろの改革、今までの国の転換というものは、外圧で大きく変わってきた。これは総理自身もお認めになっておりますが、大きな力の中で、社会体制の変革の中で行われてきたのが、それが今回はないわけですから、それを自分たちの知性によって切りかえていこうということでございます。いろいろな知性があるわけで、ぶつかり合います。ある時期で、これはもうやるのだ、この形をもっと強力に打ち出す必要があるな。やらなければいけないのは、文部省にやれと言うよりも、国会がしっかりしなければいけないのではないかというふうにも思っております。もちろん文部省の皆さんとどうやったらいいのかということを、もう少し大きな枠組みで、そして強い枠組みをつくるべきではないかな。
 今大臣は、全く同じ、わかっているというお考えだと思いますからこれ以上申しませんが、この件については、決して教育の現場で中で教えている人間ではありませんが、いずれにしても、教育改革を進めるということについては大きな関心を持っております。これが、一つこれもできました、従来懸案となっていたのだけれどもようやっとこのことだけはできましたというような程度で進んでいたのでは、これからの次代を担う人間、子供たちを育てる中で、今と大きな差のある子供ができるのかしらという懸念があります。今後も、またぜひそのことについては活動させていただきたいと思っておりますので、きょうはこの辺にさせていただきます。
 それから今度は、もう一つ具体的な話で私学助成について、私学振興という観点から何点かお伺いをさせていただきます。
 まず、これもまた数字を読み上げていくと時間がなくなってしまいますから、要するに教育を受けている子供たち、学生生徒の中で、大学、短大で八割、高校で三割ですか、幼稚園で約八割、私学に負うところが多いということでございます。そしてしかし、私立と国公立の納付金だとか教育研究条件ということになると、今度は随分大きな差が今出てきているということになっているわけでございます。私立学校の経常費に占める補助金の割合も低下している。私立大学がピーク時二九・五%あった補助率が、平成七年には一二・一%。
 これは御存じのことだから、要するに厳しい環境の中で私立学校の果たしている役割の重要性、そしてそういう厳しい状況を認識して、私学振興の取り組みをやはり積極的に行うべきだ、こういうふうに思うのでございますが、特に今年度の予算案において強く取り組んでいただいたところ、そこの部分、どんなふうにお考えなのか、教えていただきたいと思います。

○雨宮政府委員 平成九年度予算案におきまして、特に取り組んだところというお尋ねでございます。
 御案内のように、科学技術基本計画ということで、これは国公私の大学、それから国立の試験研究機関をすべて含んだ計画であるわけでございますが、その中におきまして、私立大学におきまし
ても学術研究の振興ということについて大きな役割を期待いたしたいという観点から、私どもといたしまして研究基盤の強化ということで、最先端の研究開発プロジェクトに対する支援を行うハイテク・リサーチ・センター整備事業、これは今年度もあったわけでございますが、これを引き続き実施するということが一点。それから、新規の事柄でございますけれども、新たに私立大学におきます中核的な研究拠点に対する総合的な支援を行うということで、学術フロンティア推進事業というものを創設することといたしまして、合わせまして七十四億円余りを計上しているところでございます。
 また、これ以外に私立学校の施設につきまして、この近代化、高度化を推進するということのために、新たに老朽校舎の建てかえ整備事業に対する利子補給制度というものを創設することにいたしまして、そのための予算といたしまして十八億円を計上している。これが来年度に向けての私立大学関係の新しい事柄であろうかということでございます。

○新藤分科員 大変厳しい予算の中でいろいろと御苦労いただいて、また、私も当時私学助成担当の主査としていろいろ大蔵省さんにもお伺いいたしましたから、この御努力は評価したいというふうに思っております。
 そこで、ちょっとこれは答えづらいのかもしれませんが、文部省の教育振興をしていくということと、それから今盛んに言われている財政再建を行う、これをどうリンクさせるかということを一つお尋ねしたいと思っております。
 文部省の予算、九年度五兆八千百九十八億円余り、これは経常部門が全体の九一・九%ですよね。うち人件費だけで七八%、四兆五千億使われているということになる。橋本総理は、財政再建には聖域を設けずとおっしゃっているわけなのですけれども、質を落とさずに、そしてやらなければいけないことは数限りなく要望が出てくる。そういう中で、今後の財政再建に合わせて、財政構造改革なのかもしれませんが、どこを削っていったらいいのか。それは、私そういうことを考えていく必要はあるのじゃないか。私も含めて、あれもっけろ、これもっけろと言いますけれども、あわせて、やはり入りをはかりて出るを制すじゃないけれども、この原則にのっとったところのどこを削る必要があるんだ、また、考え方なんだということについて、よろしければ大臣。

○小杉国務大臣 まず申し上げたいのは、教育という仕事は人間がやることでありますので、まさに教育は人なりということで、人件費の占める割合というのはもう宿命的に大きくならざるを得ないのですね。これを削れということは、もう先生を全部解雇しろ、こういうことにもなるわけでございまして、そういうことで、しかも今の義務教育費国庫負担金というのが五兆八千億円の半分にもなるわけです。
 これは、戦後の憲法で、教育は国の義務であり、またひとしく国民はそれを受ける権利がある、こういうことで二分の一国庫負担金制度というのができたわけですね。それで東京とか鹿児島、沖縄、北海道、そういう地域差なしに一定の財源的な保障というものが行われた。そのおかげで、この五十年間に日本の教育の機会均等は飛躍的に増したし、また教育水準が世界の中でも有数の水準になったという原動力になったと思います。
 そういう根幹をなす部分でありまして、予算委員会でもこの辺は随分議論が出たのですけれども、じゃ、これを全部地方交付税対象にしてしまえ、こういう議論もあります。しかし、そうなった場合には、当然これは財政事情によって、財政の苦しいところはどんどん切り詰められていく。それでよければ、私どもはそれで結構ですと言うわけです。しかし、やはり戦後の我々の基礎を築いた教育、こういうものを、特に義務教育についてはこの根幹は維持していくのが国策上重要ではないか、そういうことで、しかしだからといって我々は、教育がすべて聖域であるなんということは思っておりません。今の大変危機的な状況にある財政状況の中で、この義務教育費国庫負担金の中身についてもやはり改めるところは改めるということで、旅費であるとか恩給費であるとか、いろいろな面で逐次改善を続けてきたところでございます。
 今後も私たちは、聖域は設けない、こういう政府の方針に基づいて、どこを削ったらいいのか、これはもうとにかく削るところはないくらいみんな必要不可欠な予算でありますけれども、そういう中で、あえてやはりそういう姿勢で今臨んでいるところであります。

○雨宮政府委員 文部省全体の予算の組み立てにつきましては大臣御答弁申し上げたとおりでございますが、私学助成に関して申し上げますと、先ほど申し上げたような種々の新規事項を含めました私学助成の拡充策を含めまして、私学助成関係の予算の伸びは対前年度で四・四%ということでございます。文部省全体の予算の伸びが一・一%ということでございますので、文部省全体の予算のやりくりの中で、私学助成につきましてはかなりの程度優先度を上げて措置をいたしたというつもりでございます。

○新藤分科員 大分時間も少なくなってまいりましたので、本当にさわりだけの質問になってしまって恐縮なのですけれども、そこで私は一つ、提案をというか考えを述べさせていただきたいと思うのです。
 今大臣のお話にもありましたように、先ほどは使途別に見て経常部門、人件費が突出するんだ、これは当然、仕方がないのですね。今度は主要事項別に見ると、今お話しの義務教育国庫負担金、これが半分以上、三兆、五一・九%ですね。それであとは国立学校の特別会計に一兆五千億で二六%。だから、残り一兆二千億のうちの私学助成が大体六%ぐらい、私はこんなふうに思っているのです。ここの部分に財政再建だよとぶつけていけば、それはまた、私学にも聖域なしなんだと思うから……。
 これは国全体に言えるのですけれども、むだな部分というのは、恐らく、要らないなんというところはほとんどないはずなんですよね、みんなきっちり必然性があってやってきているものなんだから。しかし、じゃ、めり張りをつけるためにどこを削るんだというところで今苦労されているわけなのです。
 私は、もう一つ、これからの考え方は、直接、いただいた税金をまた割り振りを考える、その中で国のいろいろな施策、いわば私はサービスと呼んでいますけれども、そういう公的なサービスが行われる中で、何も徴税だけに頼ることはないではないか。いろいろな民間の活力という、自分でこれを手伝いたいよという人は、国や公的なものを通さなくても、自分たちでやりとりをする中で活動できないかしら。要するに、民間活力というのはそこだと思うのです。それを教育分野にでも少し工夫してみたらどうかな、こういうふうに思っております。
 要するに、税制面だとか融資面だとか、そういう施策で少し工夫をして民間の資金が入りやすくするような、それによって、今まで公が負担をしていた、公というよりも文部省が負担をしていた予算を振りかえることができれば、また別の展開が図られていくのではないか。これは何も教育だけに限らずに、すべてのいろいろな、福祉にしても医療にしても私は提案させてもらおうと、もちろんその最たるものが行政改革ですからと思っております。
 そこで、まず要望が出ていることでなかなか取り上げられないことで、受託研究に対する課税問題ですね。これは要望が出ているのですけれども、今年度も認められなかったわけですよね。この辺について、まずはこういうことからじゃないのかなという気が私はしているのですけれども、文部省の方でのお考えと、それから、わざわざきょうはその観点で、分科会の担当外で大蔵省の方にも聞きたいということでお呼びをいたしておりますけれども、そこのあたり、ちょっと聞かせてもらいたいと思います。

○雨宮政府委員 今御指摘の、私立大学が外部からの委託を受けて行う場合の受託研究の扱いでございます。
 これにつきましては、大学の社会に対する貢献としてだけでなくて、大学自身の活動を活性化する上でも有意義でございますし、また公共性も高いということから、文部省といたしましては、かねてから私学団体からも要望がございますので、これらを踏まえまして、受託研究の非課税化を税制当局にお願いしてきたところでございます。
 ただ、平成九年度の税制改正の検討におきましては、医療法人とかあるいは株式会社等が行う場合につきましては課税されているということで、これとの均衡を図る必要があるのではないかということ、それから、学校法人につきましては御案内のように各種の税制上の優遇措置が既に行われているというようなことなどから、受託研究の非課税化は見送られたという経緯がございます。
 他方で、受託研究課税の執行面の問題につきましては、税務当局と私学団体との間で種々検討がなされているところでございまして、文部省といたしましては、その状況も踏まえながら今後の対応について検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。

○伏見説明員 今文部省の方から既に御説明をいただきましたが、十分御案内のことと思いますが、現行税法上の考え方を簡単に御説明させていただきたいと思います。
 現行の法人税法上でございますが、私学等学校法人でございますが、税法上は公益法人等という分類になってございます。これは、その活動が公益的な活動を目的としたものであるということで、営利活動を主として行います一般法人とは異なる性格を有しております。それに応じた課税関係を、課税のカテゴリーをつくっているわけでございます。
 十分御案内と思いますが、具体的に申し上げますと、一定の事業、他の民間営利法人等も行うような特定の事業を行いました際には課税関係が生じる。これも所得でございますので、単に収入全体に対してもちろん課税するというわけではございませんで、収入から経費を引きました残り、プラスがあれば課税関係が生じる。
 それから、特に学校法人の特徴でございますけれども、そうした収益事業部門から公益事業部門、本来の業務、そこへ支出をいたした場合、これは税法上寄附金ということになりますが、その損金の算入限度額でございますけれども、一般の社団、財団の場合には所得金額の二割ということになりますが、学校法人につきましては所得金額の五〇%と年二百万円のいずれか多い金額、ここまでがいわば損金として認められるということになってございます。その上でもさらにいわば所得が残ったという場合に、この税率も、一般の法人が三七・五%の基本税率でございますが、それを二七%の税率で課税をさせていただいているというところでございます。
 具体的な非課税の要望、これは当方としても承知をしているところでございますが、今文部省の方からもお話がございましたように、民間の例えば財団法人である研究所とか、あるいは純粋な民間企業であっても、特定のいわば研究を受託をしましてそれが事業活動の一端になっているというようなケースもございますものですから、そことの関係の整理をどうするかといったことがありまして、なかなか難しい問題があるのだろうと思っております。
 以上でございます。