週刊新藤第255号 臨時国会で決めるのは衆院解散のみ〜断末魔の野田首相が果たすべき責任〜

安倍晋三新総裁のもとで、私は自民党「シャドウ・キャビネット(影の内閣)経済産業大臣」に就任しました。広報戦略局長、領土特命委員長代理としても活動してまいります。総選挙がなければ国の方針は何も決められません。いよいよ野田首相は決断を迫られています。


臨時国会がようやっと開会しました。開会手続きのための初回の衆議院本会議も議運委員長代理の職権で設定されるなど、民主党政権は国会運営もままなりません。


◆ 自民党影の内閣・経済産業大臣に

 自民党は安倍新総裁体制となり、党執行部を始め役員人事の交替がありました。
私は「影の内閣(シャドウ・キャビネット)経済産業大臣」に就任いたしました。野党が政権をとったと仮定して組織するのが影の内閣です。
同時に、党・政務調査会の「経済産業部会長」に就任し、円高・デフレへ対策と経済再生、TPPへの対応や諸外国との経済連携、原発を含むわが国のエネルギー基本計画や地球温暖化対策の方向性、さらにはメタンハイドレートやシェールオイル、海底熱水鉱床、海洋レアアース開発など、資源確保のための戦略策定に取り組んでまいります。
いずれも重要な課題ですが、これまでの経済産業副大臣や党・商工部会長代理を務めた経験をもとに、私なりのアイデアも入れ、意義ある成果を得られるよう精進いたします。


◆ 広報戦略局長・領土委員長代理

 また、自民党の広報部門の責任者として「広報戦略局長」に就任し、早速に安倍総裁と石破幹事長によるポスターを決定したり、広報物の編集発行作業に取りかかっています。
インターネットを通じて集まってくれた方々と独自の活動を行う「自民党ネットサポーターズクラブ(JーNSC・会員 1 万2600人)」については設立企画者として初代代表を務めましたが、引き続き事務局長としてお手伝いさせていただきます。
竹島・北方領土・尖閣諸島問題に取り組む「領土に関する特命委員会」も、引き続き「委員長代理」として担当しております。


◆ 二期務めた行政監視委長を退任

 国会で二期に亘り務めた決算・行政監視委員長を退任いたしました。
委員長として従来の決算審査に加え「福島原子力発電所の事故対策に関する集中審議」や「尖閣諸島問題に関する集中審議」などテーマを絞った行政監視質疑を行いました。
また、憲政史上初となった自由質疑形式による国会版「事業仕分け」の実施と、これまた明治帝国議会以来・初となる「政府に対する行政改善の決議」を議決しました。
国会の閉会中審査として、「東日本大震災復興予算の使途の適正化に関する行政監視質疑」も、国民の大きな関心をいただきながら最終的に開催することができました。
委員会は神戸市のスーパーコンピュータ「京」視察や、埼玉県の国保連合会へ医療報酬レセプト審査事務に関する視察を行ったり、宮城県気仙沼の仮説商店街や石巻の捕鯨拠点など被災地の視察も行いました。
与・野党の枠を超え、極めて充実した委員会運営が行えたことは、私の内なる喜びです。
私が委員長として進めた質疑方式やルールは委員会運営マニュアルとして文書化し、後任の委員長や各党理事に引き継いでいます。
政府・行政機関が行う事務を厳しくチェックし、無駄撲滅や行政改善のための勧告を行うことは、立法府・国会の本質的な役割です。
衆議院に設置された委員会のなかで最強の権限を有する決算・行政監視委員会が、今後もその権能を活かし大いなる成果を上げられることを期待しております。
また、委員長の間は中立性確保のため、他の委員会も含め質問ができませんでしたが、委員長を外れたことで議会質問を再開いたします。
所属委員会は経済産業委員会ですが、予算・外交・安保委員会などテーマに応じ、今後は各委員会で質問をさせていただきます。


◆ 三年で198人の大臣が誕生!!

 支持率も急落した野田政権は、もはや断末魔の様相です。
かつて野党の民主党は「一年ごとに大臣が交替する」と時の自民党政権を厳しく批判していました。
ところが、野田政権の組閣は昨年9 月の発足以来 4 回です。最初の内閣改造は政権発足から 4 ヶ月目、2 度目が 5 ヶ月、3 度目の今回も 4 ヶ月しかもちませんでした。
一年間で 3 度の内閣改造を行った政権は日本の憲政史上、他に例がありません。
民主党政権が2009年 8 月の政権交代以降、一内閣18名の閣僚ポストに就任させた大臣は 3 年間延べでなんと198人!、人数で68人です。
法務大臣は 9 人目、拉致担当大臣は 8 人目、少子化担当大臣は10人目、消費者担当大臣は 9 人目、これでまともな仕事が出来るわけがありません。「一内閣一大臣」の方針を掲げた政権交代前の民主党の主張は、一体なんだったのでしょうか?


◆ 選挙後に86人離党・58人除名!!

 また民主党では離党者が続出しています。政権発足後に民主党を離党した国会議員は、現在までに衆参合わせて86人に上ります。
しかも、離党者のうち58名の議員が民主党を除名されています。
明治以来の政党政治の中で、これほど大量の離党者と除名を連発した例も聞いたことがありません。
私は国会で、民主党中堅議員の目下の最大の仕事は当選回数の少ない議員が離党しないよう監視し、機嫌を取ることだという話を聞き本当に情けなく、気の毒になりました。


◆ 法案通せない、予算編成できない

 前国会は79日間も延長した末に内閣提出法案の成立率は57.5%、戦後最低水準です。
9 月に発表された来年度予算の概算要求総額は一般会計で98兆円、東日本大震災復旧・復興費 4 兆 5 千億円を合わせると102兆円超の膨大な予算案です。
その前提となる25年度歳入見込みは、税収を今年度並みの42兆円としても、国債発行は中期財政フレームとして44兆円を超えない範囲とすることを閣議決定しており、合わせて86兆円です。
102兆円−86兆円=不足する16兆円もの財源は、一体どこから賄うのでしょうか?
マニフェストで掲げた16.8兆円の事業仕分けは結局2.5兆円しか達成できず、埋蔵金などというものは存在しませんでした。
政権交代時の2009年度一般会計+特別会計=総額207兆円だった総予算は、2012年228兆円、わずか 3 年で21兆円も膨張しています。
無駄を削れず、バラマキを続ける民主党政権の財政運営の失敗が、日本の混乱と停滞を招く最大原因となっているのです。


◆ 「明日の責任」を果たすために

 東日本震災の復興予算の不適切・横流し問題も含め、民主党政権は、
①内閣を維持できない。
②法案を通せない。
③予算をつくれない。
④政党を維持できない。
⑤仕事が出来ない。
⑥国の領土・主権、安全を守れない。
という悲惨な状態です。
野田政権がこのまま国政運営にあたることの恐ろしさと、私が衆議院の解散・総選挙を度重ねて訴える理由がご理解いただけると思います。
8 月 8 日、野田首相は自民党・公明党と「近いうちに」国民の信を問うことで合意しました。
これは一国の首相が国民の前で交わした約束です。これが反故にされ、国民に「ウソをつく」ことは絶対に許されません。
政権や議席の維持・延命が目的と云われるのは、野田首相も民主党議員も本意ではないはずです。
今の国政に必要なことは、総選挙によって国会議員と政党を選び直し、国民の期待と信頼を得た政策を着実かつ迅速に実行することです。
来年に任期切れを迎える私を含めた現在の国会議員は、野田首相の言う「明日の責任」を果たせません。
国を建て直す仕事を始めるためには、一刻も早い総選挙が必要です。私はまず「今日の責任」を果たすために必死で活動してまいります。


新 藤 義 孝