週刊新藤第251号 機能不全となった民主党政権!〜国民の選択なくして何も決めてはならない〜

問題が相次ぐ領土問題についていろいろな場所や機会で講演し、理解を深める努力を続けています。
● 9 月20日 PM19:00〜 オープンタウンミーティングを開催します。
(川口駅東口フレンディア4F)入場自由。お待ちしております。


◆ 一刻も早い総選挙を!

 通常国会が閉会しました。国政の停滞は極まっており、国の将来は一向に展望が開けません。その隙を突いた周辺国からの圧力は強まるばかりです。
今、民主党政権は何を国民に提供しているのでしょうか?
経済回復の見通しは立たず、東北の復興の遅れは目を覆うばかりです。原発事故後のエネルギー政策の迷走は巨額の貿易赤字となって国民経済を苦しめています。
教育や福祉政策は二転三転しながら未だに方向が確定していません。領土問題や米軍再編問題など外交・安全保障の弱体化は、収拾がつかない状態です。
この苦しく厳しい政治の局面を打開する方策は一つしかないのです。
それは「総選挙」です。国民の信頼を失い機能不全に陥っている政府と国会は、選挙による選択を受け、国民の信を得た時にのみ正常な機能を取り戻すことが出来るのです。
総選挙によって各党は公約を提示します。国の向かうべき道を示す国家ビジョンと、それを実現する具体政策、実行できる実務能力と体制を示し、国民・有権者がそれを選択し、新しい政府が作られます。
「国民の信を得た政権」を樹立すること無くして、もはや日本を動かすことは出来ず、何一つ新しいことを決めてはいけないのです。


◆ 民主党国会運営の際立つ能力不足

 今国会の政府提出法案は新規・継続あわせて106本です。成立は僅かに61本、成立率は57.5%。戦後最低水準となりました。
過去最低は鳩山・菅内閣の2010年通常国会で54.5%、提出66本に対し36本でしたが、会期延長がなく、150日間での成立です。
今国会は79日間も延長され、戦後 3 番目となる229日の会期でした。それでも戦後最低水準の法案成立で終わったことは、いかに現政権の国政運営能力が欠如しているかの証となります。


◆ 野党欠席の中、強引な法案採決

 与党の乱暴な国会運営は度を越しています。今国会の重要法案である赤字国債を発行するための「特例公債法案」と、民主党が提出した「衆院選挙制度改革関連法案」は、8 日の会期末で廃案となりました。
民主党はこの 2 つの法案を衆議院で野党欠席のまま強行採決しましたが、成立の見込みのないまま参議院に法案を送る強引な手法は野党の反発を招くのみで、民主主義のプロセスを無視した行為は、受け入れられるわけがありません。


◆ 議論のある国際条約も単独強行採決

 この他、賛否が大きく分かれている「国際的な子の連れ去りに関するハーグ条約」や「偽造品取引防止協定(ACTA)」といった国際条約も、野党欠席のまま審議入りし、参議院を先に通過していたACTAについては、与党内にも反対意見がある中、野党欠席で強引に衆議院で可決成立させました。
条約の国会審議は、結果が即国際約束となります。国内意見に大きな相違がある案件については、それこそ与野党そろっての慎重審議が求められます。
議会の手続きを悪用し、反対者を排除して賛成者のみで物事を決めてしまう危険な体質は、社会主義思想を持つ議員を多く抱える民主党の本質的問題点を如実に表しています。


◆ 国会同意なしに首相権限で組織設置

 新たな原子力規制の核となる原子力規制委員会を発足させるに当たっては、委員の任命に衆参両院の同意が必要ですが、野党はおろか民主党内にも反対者がおり、国会は同意しておりません。
ところが野田首相は、国会が閉じた後、首相権限で委員を任命し、組織を発足させるというのです。
その法的根拠は、原子力緊急事態の宣言中は国会同意がなくても委員を任命できる、という規制委設置法の規定です。
その裏でこうした措置を取る理由は人事案を採決すれば民主党から多くの離党者が出かねないため、だと報道されています。
国の重要方針を決める行政委員会を国会同意なしで設置してしまおう、国会の議論より党内事情を優先しようとする危うさを、私は指摘せずにいられません。


◆ 「原発ゼロ提言」を2時間の議論で!

 原子力については、将来的な原子力発電比率を「2030年代に原発ゼロ」とする中長期の「エネルギー・環境戦略」提言が 6 日、民主党でとりまとめられました。
この方針は、次期衆院選を意識した一部の民主党議員が強く求めた結果だと報道されています。
国家のエネルギー戦略の提言は、300人を超える議員が所属する民主党で、何と約20人の議員が参加したわずか 2 時間の非公開協議によって、まとめられたのです。
これは政府が討論型世論調査などにより原発比率を「国民的議論を経て決める」とした方針と矛盾しないのでしょうか?


◆ 「原子力安全利用」国際宣言に同意

 そして、民主党提言がまとめられた直後の 9 日、ロシア・ウラジオストックで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議では「原子力の安全利用の確保」を明記した首脳宣言が採択され、もちろん日本の野田首相も合意しました。
国内で脱原発依存を打ち出しながら、国際会議では原発促進に合意する日本政府は、どうやって国際社会から信頼されるのでしょうか?


◆ 中・韓・ロシアに軽くあしらわれ

 そのAPECでは、竹島に不法上陸した韓国の李明博大統領に手を差し出され、笑顔で握手する野田首相の映像が世界に配信されました。
握手したことを咎めるのではありません。国際舞台では一国の首相の立ち居振る舞いは完全に計算され、戦略に基づいた表情や言動をすることは基本中の基本です。
野田首相は、韓国大統領に不意を突かれ思わず自然に笑顔で握手に応じてしまったのです。
韓国側は日本が無視したり、握手を拒否した場合どうするかなど、事前に様々な検討をしたと報道されています。
この握手は、竹島に不法上陸された日本の怒りを表した行動には、とても見えなかったと思います。
中国首相からは、尖閣国有化に対し厳しい言葉が投げ付けられましたが、野田首相が日本の明確な意思を伝えたとの報告は受けていません。
そして、 8 日のロシアのプーチン大統領との会談では、前回の首脳会談直後にメドベージェフ首相が北方領土に不法上陸したことに直接の言及をせず、呆れたことに日本側から12月にロシアを訪問したいと申し入れ、大統領から歓迎されました。
ロシアは前日の 7 日に歯舞群島の島にロシア語の名前を付けるための調査団を派遣しており、島に上陸しロシア国旗を立てています。
野田首相はこれらの問題に明確な意思表示をしなかったどころか、笑顔で友好に務めたようです。
日本の領土問題に欠ける不退転の決意は伝わったのでしょうか?


◆ 自民総裁選、民主代表選を契機に

 現在、自民党・民主党ともに党首選挙の真っ最中です。
党首選を通じ各政党は、日本をどのように変えていくのか、そのリーダとなる人が自ら描く国家像や政策・信念を国民の皆様に表明し、議論が深まる選挙を行わなければなりません。
現在の政権と国会は完全に機能不全となり、「決めることが出来ない政治」となってしまっています。
ここまで内政・外政ともに弱体化してしまった以上、私達国会議員は、統治能力を失った政権と国会を再構築するために全力を尽くすべきであり、総選挙の実施を求めてさらに活動してまいります。


新 藤 義 孝