週刊新藤第250号 尖閣諸島を再び洋上視察しました〜民主党政権による外交は、完全破綻!〜 <洋上視察写真ギャラリー&動画報告>

8月19日、中国人が不法入国したばかりの尖閣諸島に、本年1月に続き再び洋上視察して参りました。ホームページには魚釣島や久場島の様子や美しい海を撮した動画を公開しています。是非ご覧下さい。

○尖閣諸島洋上視察(2012年8月18・19日)写真

○尖閣諸島洋上視察 動画報告(2012年8月18・19日)


◆ 李明博・韓国大統領が竹島に上陸

  8 月10日、韓国の李明博大統領が竹島に上陸しました。韓国の大統領として初となる暴挙です。
私は、委員長代理を務める自民党領土に関する特命委員会を外交部会と合同で10日正午から開き、鬱陵島にいる大統領に竹島上陸を止めさせるため、あらゆる方策を取るよう外務省に指示を出しました。
日本政府は外交ルートを通じ中止を申し入れましたが、韓国側は日本の中止要請を一顧だにすることなく大統領は上陸を強行したのです。

○李明博韓国大統領の竹島訪問に対する抗議声明


◆ 陛下に対し、非礼な李大統領の発言

 さらに李明博大統領は 8 月14日、「天皇陛下が韓国を訪問したいなら、心からの謝罪をする必要がある。 [痛惜の念]などという単語一つを言いに来るのなら訪韓の必要はない」という、天皇陛下に対し極めて非礼な発言をしました。
日本側から天皇陛下の訪韓を持ちかけたことはなく、招請していたのは過去に来日し天皇陛下と会見の際に申し入れた李大統領なのです。


◆ 謝罪と撤回を韓国に要請すべき

 領土特命委員会は16日にも合同会議を開き、「李大統領の天皇陛下についての発言に明確な謝罪と撤回を求めること、竹島問題の国際司法裁判所提訴や日韓通貨スワップ協定の見直しなど、対韓政策の総合的見直しを図ること」などを内容とする声明をとりまとめました。

○李明博韓国大統領の竹島上陸後の発言に対する声明


◆ 中国人活動家が魚釣島に不法上陸

  8 月15日、尖閣諸島に香港の民間船が侵入し、中国人活動家らが魚釣島に不法上陸しました。事前予告がありながら阻止できず、中国国旗を振りかざしながらの上陸は、真に許し難く強い怒りを覚えます。
16日の外交・領土合同会議では、この件についても政府に事実関係や対処方針を質しました。
海保には上陸は阻止するが、けが人を出さない範囲で対応する方針が政府より示されており、絶対阻止ではなかったこと、所管の羽田国土交通大臣と松原国家公安委員長は、何と役所に登庁すらしていなかったこと、などが明らかになっています。


◆ 抗議声明を藤村官房長官に手渡す

 私たちは尖閣上陸について「撮影ビデオの公開、被疑者に刑事手続きを進め厳正な対応をすること」等の声明をまとめ、16日夕方に、石破領土特命委員長らと首相官邸を訪ね、藤村官房長官に、韓国大統領の竹島上陸と中国人の尖閣上陸について、直接申し入れを行いました。

○香港民間団体による領海侵入及び尖閣諸島上陸に対する声明


◆ 強制送還措置は事なかれ主義の表れ

 政府は結局、尖閣不法上陸者を罪に問うことなく、わずか 2 日で強制送還しました。
出入国管理法65条は、不法入国者が他に罪を犯していない場合、強制送還できることを認めています。
みなさまも、活動家が船からレンガを投げつけたり、海保の進路変更に応じず巡視船が損傷したTV映像をご覧になったと思います。
これが犯罪に当たることは明らかだと思いますが、政府は公務執行妨害など他の罪は無かったとして、あっさり帰してしまいました。
外国人に対し「尖閣諸島に不法上陸してもお咎めはなく、すぐに帰してもらえる」との誤ったメッセージを出した民主党政権の措置は、今後に禍根を残し、我が国領土を極めて危うい状態に陥れているのです。


◆ 尖閣諸島を再び洋上視察

  8 月18・19日、私は超党派の「日本の領土を守るため行動する議員連盟」の国会議員 8 名や、「頑張れ日本!全国行動委員会」の方々と、1月に続いて二度目の尖閣諸島洋上視察を行いました。今回は21隻の船に150名が分乗しての参加です。
石垣島を夜 8 時半過ぎに出航し、明け方の 4 時過ぎに尖閣諸島「魚釣島」に到着しました。
前回は 3 メートルを超える荒波でしたが、今回は 1 メートルほどで、スムースな航海が出来ました。
とはいっても、 9 トンの漁船に客室はなく、14人全員がごろ寝です。私は船の舳先部分のデッキにバスタオルを枕にして直接寝ました。
夜明け前の暗闇に断崖が続く島のシルエットが浮かび、小さな灯台の光りが30秒に一回点灯する様は、とても神々しく、感動いたします。


◆ 戦時遭難者洋上慰霊祭を挙行

 私たちは夜明けを待って、魚釣島灯台前に集結し「尖閣諸島・戦時遭難者慰霊祭」を執り行いました。
終戦間際の昭和20年 7 月、米軍機に襲撃され、魚釣島に漂着し 1 ヶ月半にわたり孤立。溺死・餓死・病死した合計80名に及ぶ犠牲者の方々を慰霊する式は、昭和44年に一度島で行われたきり、以降は上陸を認められておりません。
領土議連では魚釣島での慰霊祭を計画し、そのための上陸申請を政府に行いましたが、政府は許可を出さず、洋上慰霊祭となったのです。


◆ 日本の国境を形成する起点が8ヶ所

 慰霊祭の後は、住居跡や手掘りの導入水路が残る魚釣島を一周し、約20分ほど離れた「北小島・南小島」に向かいました。アホウ鳥が群生する島には、住居跡がはっきり残り、かつての営みが偲ばれます。
今回はさらに約 1 時間ほど離れた「久場島」まで行きました。
前回は波が高く断念しましたが、米軍の射爆場として借り上げられている島を初めて確認してきました。
尖閣諸島には日本の国境を形成する起点が、魚釣島に 4 ヶ所、久場島に 3 ヶ所、さらに離れた大正島に 1 ヶ所の合計 8 ヶ所存在します。
この起点から200海里までを排他的経済水域(EEZ)としてわが国は経済・資源を主張できるのです。
一方、中国は尖閣諸島に71もの名前を勝手につけ、領有を国内法で担保しようとしています。
私は我が国が領有する島に標識を付けたり、絶えず風雨や波の浸食を受ける国境起点の保全措置を行うことは国家の責務と考えており、そのための「無人国境離島管理法」を議員立法で国会に提出しています。
尖閣諸島現地調査の重要性・必要性がご理解いただけると思います。


◆ 尖閣諸島を有人化し、海の利用を!

 私の乗る船が魚釣島を離れた後、日本人10人が島に上陸しました。事前の計画書にはなく、石垣に戻る際に情報があり、とても驚きました。
政府から許可を得ないままの上陸は、許容できるものではありませんが、気持ちはわかります。
終戦記念日に中国人を上陸させてしまった政府の措置が、この度の要因になったとも考えられます。
尖閣諸島を無人島とし、何人も上陸させない政府の管理方針はもはや破綻しているのです。
私は尖閣諸島の安定管理のために島を有人化して、漁業資源など海の有効利用を図るよう国策変更を提案し、自民党は次期総選挙の公約にこれを盛り込んでいます。

○自民党公約


◆ 民主党政権の外交は、完全破綻!

 中国では不法上陸者が英雄扱いとなり、再上陸宣言が出されています。
竹島について韓国に出した野田首相の親書は、韓国から送り返されてしまうという不始末です。
外務大臣が訪問したばかりのロシアは、北方領土で大規模な軍事訓練を実施することを発表しました。
国家統治能力を喪失した日本政府の稚拙な外交力を見透かした周辺諸国は、今こそチャンスとばかり日本に攻勢をかけています。
国家の基本である領土や主権を守れない、この一点を持ってしても民主党・野田政権は失格です。
この外交の悪循環を断ち切るためにも、衆議院の解散総選挙を断行し、国家観と実務能力を備えた本格政権をつくるべき、と私は考えます。
国難の時に、自らは何をなすべきか自問自答しながら、国の建て直しに向け必死に活動して参ります。


新 藤 義 孝