2003.02.23 アフガニスタン・カルザイ大統領を案内

アフガニスタンのカルザイ大統領は、日本政府が開催する国際会議「アフガニスタン『平和の定着』東京会議」に出席するため、2月20日?23日にかけて日本を公式訪問した。
新藤外務大臣政務官は、20日夜政府専用機で羽田空港に到着したカルザイ大統領を出迎え、日本政府を代表し歓迎の言葉を伝えた。

「顔の見える国際貢献」をスローガンとして衆議院初当選以来積極的な外交活動・難民支援活動を展開してきた新藤代議士は、アフガニスタンの復興・難民支援にも長らく尽力してきた。
昨年1月に都内で開催され、60ヶ国の代表と20の国際機関が一堂に会した「アフガニスタン復興支援国際会議」やそれに先駆けて開かれた各国NGOや国連
機関による「アフガニスタン復興NGO国際会議」に出席するなどし、アフガニスタンの復興・安定のために、紛争予防、地雷・不発弾の除去、難民の定住、教
育、保健医療など様々な問題について議論や提言をおこなってきた。さらに昨年12月には、アフガニスタンの首都カブールで開かれた「善隣友好会議」に日本
政府代表として出席、またカルザイ大統領、シャフラニ副大統領、アブドラ外相と会談を行うなどし、アフガニスタン政府要人から厚い信頼を得ている。

22日には、「アフガニスタン『平和の定着』東京会議」が開催されたが、その合い間を縫って、新藤政務官主催により、平山郁夫東京藝術大学長他アフガニスタンに関係する学識経験者やNGO関係者を招いて、一行を歓迎する昼食会が行われた。
今回の会議には、カルザイ大統領、アブドラ外務大臣、我が国から川口外務大臣、緒方貞子アフガニスタン支援総理特別代表、また、米国、英国、ドイツ、
EU(欧州連合)、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)および世銀ほかの約35ヵ国、10国際機関の関係者などが参加した同会議では、アフガ
ニスタンの安定した復興と平和構築にとって重要な鍵となる治安の分野に焦点を当て、アフガニスタン政府とわが国を始めとする支援国・機関との間で、アフガ
ニスタンにおける元兵士の武装解除、動員解除および社会復帰等のDDR(Disarmament Demobilization and
Reintegration of the former combatants)プロセスを進めるための具体案について意見交換が行われた。
この会議においてわが国は、DDR(元兵士の武装解除・動員解除・社会復帰)分野の主導国として、わが国自身の具体的な支援策を表明するとともに、この会議の議長として、アフガニスタンのDDRプロセス促進のための国際社会の支援を呼びかけた。


今回の大統領来日に際して、日本政府としては2度の食事会を設けた。ひとつは小泉総理主催の夕食会であり、もうひとつは新藤政務官主催の昼食会。大統領を
はじめ、昨年末にアフガンを訪問した際に友好をあたためた政府要人と再会した新藤政務官は、2時間半に及ぶ懇談をもった。その中で、来年の3月に予定され
ている公共輸送バス供与事業に先立って、中古バス・救急車・消防車等の供与事業の考えを新藤政務官が提案し、大統領の同意を得て話が進められることになっ
た。

23日早朝、新藤政務官は、日本を発つカルザイ大統領を見送った。


1979
年のソ連軍アフガニスタン侵攻後初めてアフガニスタン政府専用機(アリアナ航空。タリバンの破壊に唯一残ったもの)が日本に飛来。この飛行機見たさに多く
の人がカメラを手に羽田空港に集まり、在日アフガニスタンの人たちは、40年ぶりに見た自国の飛行機に感激の涙を流していた。

アフガニスタンに対する日本の具体的な支援策について
(平和の定着東京会議における川口外務大臣演説より抜粋)

「銃から鍬へ」の新たな秩序の一要素として、私は、昨年5月にアフガニスタンを訪れた際、「平和のための登録(Register
for
Peace)」という日本の提案を紹介しました。このイニシアティブの下、元兵士たちは武装解除され、市民社会に復帰し、地元の発展に貢献することができるようになります。日本は、国連アフガニスタン支援ミッション(
UNAMA)およびアフガニスタン移行政権(ATA)と共に、元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰(DDR)のための計画を練り、「平和のためのパートナーシップ計画(アフガニスタン新生プログラム:ANBP)」を策定する作業を行ってきています。

アフガニスタン移行政権(ATA)は、元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰(DDR)を実施するために、4つの委員会と諮問委員会を設置しました。私
は、「平和のためのパートナーシップ計画」がまもなく具体的な行動に移され、DDRプロセスが早期かつ円滑に開始されることを心から期待しています。
本日、アフガニスタンにおけるDDRプロセスを加速させるために、我が国が今後行っていく具体的な追加策を発表できることを嬉しく思います。その支援策は次の通りです。

・第一に、我が国は、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)およびアフガニスタン移行政権(ATA)と共に策定した「平和のためのパートナーシップ計画」のために、35百万ドルの資金拠出を行います。

・第二に、アフガニスタン移行政権との協力の下、我が国は在カブールの日本大使館内にDDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)班を設置し、DDR専門家の伊勢崎賢治教授をその長とします。

・第三に、我が国はDDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)の4つの委員会と国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)との緊密な連携の
下、「平和のためのパートナーシップ計画(ANBP)」の円滑な実施を確保し、DDR プロセスを包括的に推進していきます。

我が国は、DDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)の主導国として、これらの方策により、アフガニスタン側による取り組みを国連アフガニスタン支
援ミッション(UNAMA)と共に支援し、アフガニスタンのDDRプログラムの成功に向けて、国際社会の支援を結集していきます。
我が国は、DDR(元兵士の武装解除、動員解除、社会復帰)の主導国として、これらの方策により、アフガニスタン側による取り組みを国連アフガニスタン支
援ミッション(UNAMA)と共に支援し、アフガニスタンのDDRプログラムの成功に向けて、国際社会の支援を結集していきます。