8 月26・27日、私は有志の皆様と宮城県・石巻市でボランティア活動を行いました。募集は40名でしたが大きく上回り、皆様の「何かしたい」という強い想いに感謝するとともに、残念ながらご一緒できなかった方々にお詫び申し上げます。
現地には大型バスを借りて、26日深夜12時に川口を出発、途中休憩をはさみながら朝 7 時頃に石巻に到着しました。
◆ モルディブからツナ缶の支援が
今回のボランティアには、特別ゲストとして在日本モルディブ大使が同行しました。モルディブはインド洋に浮かぶ約1200の島々から成る、人口約30万人の国です。
私は縁あって国会に設置されている「日本・モルディブ友好議員連盟」の幹事長を務めております。
8 月中旬にモルディブのカリール大使から私たちの議連に、「東日本大震災への支援物資として、国民の募金により調達したツナ缶60万個を被災地に運びたい」との相談がありました。
ご縁というのはこういうもので、ちょうど被災地支援のボランティア活動を計画していた私がそのことを話し、大使はぜひ同行して自らツナ缶を東北の被災地の皆さんに渡したいということになったのです。
◆ 被災地の現状を直接確認する
石巻に到着して、まず私は特に被害が甚大だった海辺を案内しました。震災直後の 3 月31日、7 月17日に続き 3 回目になりますが、街ごと津波に奪われ、無人の荒れ果てた惨状はそのままです。
ガレキは近くの公園や空き地にうずたかく積み上げられたままで、いつ最終処分されるのか目処は立っておりません。そもそも津波で家が流され人が連れ去られてしまった街に、再び住む事が出来るのか、その方針さえ決まっていないのです。
震災から半年が過ぎようとする中、徐々に暮らしは戻ってきておりますが、道の片側はさしたる被害もないのに、その反対側は津波で全滅という光景を見せられる度に「あの津波さえなければ」という想いで一杯になります。
電子制御機能の喪失により交通信号が点灯せず、いまだに他県からの応援警察官による交差点の交通整理が行われているのです。
道路脇に見かける墓地には真新しいお墓が立ち、お葬式の案内を見る度に胸が締め付けられます。
◆ 自民党石巻支部との連携による計画
私たちの被災地支援計画は、私を3 月に案内してくれ、自らも被災者である自民党石巻支部長の斎藤さんの協力を得て、行政の行き届いてない部分や、現地の要望などを細かく聞いて、かつ、私たちが対応可能な範囲で作っています。
◆ 小学校の花壇に花を植える
今回の支援場所である石巻市立大街道小学校は、被災直後には学校全体に2000人が避難していました。今でも60人の方々が体育館を避難所にしており、不自由な暮らしを強いられています。
学校全体が 2 メートルくらいの津波をかぶり、潮と泥にまみれてしまいました。学校にいた子どもたちは上の階に逃れて無事でしたが、保護者に連れ帰られた子どもの中には、親子ともども犠牲になった人もいると聞きました。
今回は学校側の要望を受け、正門前の花壇を復旧しました。新しく植える花と土は川口の植木屋さんや農業者から寄付をいただき、バスとは別に 4 トンと 2 トンのトラックで運びました。運転は私の秘書さんたちと川口の機械屋さんご夫婦が頑張ってくれました。
まずは植え替え場所の雑草をとり土を掘り出し捨てながら、新しい土に入れ替えます。私も一緒にやりましたが、かなり腰に来る作業です。
出来上がった花壇を見た小学校の教頭先生が、ものすごくきれいだ、と喜び、子どもたちが学校に来たらびっくりしますよ、と言ってくれ、私たちは疲れを忘れました。
◆ 炊き出しを提供
もう一班は炊き出しです。夏なので、メニューはカレー・焼きそば・焼き肉・焼き鳥などです。バーベキューセットや機材は商店街などから借り、机やテントは私の幼稚園のものを提供しました。
川口で集めた食材を皆で汗だくになりながら調理し、体育館で避難生活を送る方や周辺住民の方にふるまいました。
モルディブ大使によるツナ缶贈呈式を行い、集まった人々に袋に分けて缶づめを配りました。プルオーバーなのでその場で開けて食べましたが、特にカレーライスとの相性が抜群でみなさんに喜ばれました。
この日はお茶に加え、生ビールと焼酎も出しました。被災地支援に不適切かと迷いましたが、現地関係者の意向を聞き、学校側の了解を得て提供することにしたのです。
結果的には大好評となり、会場は盛り上がりました。ボランティアと被災者との交流も、何より生まれて初めてモルディブ人を見た人たちでしたが、あっという間に楽しい人の輪ができたのです。
◆ 川口の初午太鼓で皆が元気に
炊き出しの後半は、川口の初午太鼓が披露されました。栄町 2 丁目の太鼓グループ有志がボランティアに参加してくれ、太鼓を現地に持ち込み演奏しました。その力強い響きは皆を勇気づけ、慰め、大いに元気を伝えてくれたと思います。
会場に来ていた野球チームの子どもたちも誘われて太鼓をたたき、私とモルディブ大使との太鼓合戦も急きょ行われました。
そして演奏が終わった後、それまで見ていたお年寄りの皆さんが太鼓の周りに集まり、太鼓をたたきながら唄い出したのです。「今年は盆踊りどころではなかったけど、今日はやっとお祭りができた。」と嬉しそうに言ってくれた時には、胸が詰まりました。
◆ 「前を見て、笑ってがんばる」
今回は「楽しくやること」を一つの目標にしました。被災地の現実はとてつもなく厳しく、悲しみは消えません。しかし日々の暮らしは容赦なくやってきます。
「ここまでひどい目にあうと、あとは前を見て、笑ってがんばるしかないんだよ。」被災者の方々から話を聞かせてもらった時の言葉が今も私の耳に残っています。
一方で、多くの日本人は何かお手伝いがしたい、という気持ちがあっても、いつ、どこで、何をすればよいか、情報もない状態です。
私たちが企画している被災地支援ボランティア活動は、自分たちで出来ることを、出来るときに、楽しくやろう、という考えで始めました。
もちろん私たちの活動ではすべてのニーズをカバーするどころか、微々たるお手伝いしかできません。
しかし、一度で終わりにせず、何度も継続しながら、我々の手で少しでも笑顔と元気を届けたいと願っています。
◆ みんなの笑顔と元気を届けたい
片付けが終わりお別れのとき、子どもとお年寄りが、本当にずっと私たちの姿が見えなくなるまで見送ってくれました。ボランティアの中には被災者とふれあい、互いに涙ぐむような交流をされた方もおります。
「人は人との絆によって生かされている」ことを実感します。
次回は10月 7 ,8 日です。お気持ちのある方には、ご都合よろしければ、ぜひご参加ください。
新 藤 義 孝 |