週刊新藤第195号 日本経済には明るい未来がある~現状、政策、中小企業の可能性~

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毎2月22日、川口地区雇用対策協議会(川口、鳩ヶ谷、蕨、戸田各市)の主催で「経済・雇用問題に関するシンポジウム」が行われました。司会は川口の岡村市長、パネラーとして労・使の代表に加え、私と民主党の石田代議士が同席する初めての催しでした。当日の動画がホームページにありますので、是非ご覧になってください。


◆ 依然として厳しい経済状況

 リーマンショック以降、低迷し続けていた日本経済ですが、09年度10?12月期のGDP成長率は年率換算で+4.7%です。
 また鉱工業生産は09年12月で前月比+1.9%であり、10ヶ月連続の上昇となっています。
 しかし、この数字をもって景気が戻ったといえるわけは無く、例えば鉱工業生産はリーマンショック前の07年平均と比べると、未だ 8 割の水準です。これは全国平均ですが、川口の状況は更に悪く、鉱工業生産は、07年比で未だ 7 割です。日本経済、特に地域経済は、依然として厳しい状況のままなのです。


◆ 低迷する雇用

 雇用も低迷しています。12月の有効求人倍率は0.43、08年平均の0.88には遠く及びません。
 製造業や小規模企業が多い川口の状況は全国平均よりさらに低い0.38となっており、より深刻なものであることがわかります。


◆ 原因は35兆円の需要不足

 経済が未だ苦しい状況を抜け出せない原因は明確です。需要が不足しているのです。現在の日本経済の需給ギャップは、35兆円と言われており、仕事を増やし実体経済を刺激しつつ、デフレから脱却しない限り本格的な経済回復は望めません。
 しかし、民主党政権は言葉では景気回復を掲げておりますが、子ども手当てや失業手当ての拡充など給付を増やしているものの、実需を刺激する策に乏しく需要不足を解消する予算になっておりません。公共事業の過度な削減により、特に地方経済に冷え込みが厳しくなっています。


◆ 経済成長戦略の実行

 日本経済の根本的課題は経済成長力の欠如です。1990年から20年間で、アメリカのGDPの伸び率が実に245%なのに対し、日本はわずか 7 %の伸びしかありません。
 20年間の国内総生産がほとんど増えない中で、企業はリストラとコストカットによる生き残りを図り、そのしわ寄せが国民生活に及ぶなかでデフレに見舞われているのです。
 これからの日本に必要なことは、国家として日本経済の再生に向けた経済成長戦略を早く実行に移し、景気の本格回復を果たすこと。それと共に将来の不安を取り除く財政再建に向けた道筋を示すこと。この 2 点に尽きるのではないでしょうか?
 国民の雇用や賃金に対する不安を取り除くためには、在籍する企業の競争力を強化しなければなりません。需要と供給は一体不可分です。
 現在のような雇用を守り消費者第一などという、かたよった経済政策を続ける限り、経済再生は遠のいてしまうと私は考えています。


◆ 企業競争力の強化が必要

 企業活動を活性化させる税制改正を急がなければなりません。日本の法人税の実効税率は約40%であり、韓国27%、シンガポール18%など、アジア諸国の中で突出しています。
 法人税率を下げることは企業の負担を軽減するだけでなく、日本への投資を呼び込む上でも重要です。
 ところが民主党政権は、この流れに逆行し、大企業の内部留保金に対する課税を検討すると言い出しました。企業関係者は皆、これが実施されれば日本に留まれなくなるとまで云っており、政府には慎重な対応を求めていきます。
 良いこともあります。自民党政権下で、日本企業が海外で稼いだお金(約20兆円)を配当として国内に戻す場合に実質非課税にするという法改正を行い、昨年 4 月から実施されています。これまで40%の税負担であったものが免除されるようになり、海外からの資金が国内に流れ込むようになりました。
 企業マインドは政策・税制によって大きく変化するものであり、それをうまく誘導することが時の政府の努めだと思います。


◆ 日本の潜在的可能性

 日本経済の将来については悲観する声も大きいですが、私は日本の未来は決して暗くないと思っています。むしろ、やり方によっては無限の可能性があると感じるのです。
 まず日本は国土こそ狭いですが、排他的経済水域を含めた経済国土は世界第 6 位です。しかも、そこには石油・天然ガス・メタンハイドレード等、多くの資源が眠っています。
 家電や携帯電話に含まれる金・銀・レアメタル等の「都市鉱山」と合わせて、日本は資源大国になる可能性すらあります。
 さらに技術の分野では環境・ロボット、医療技術など日本は世界のトップランナーであり、世界市場で優位に立てる潜在力は計り知れないものがあります。
 さらに日本の可能性を広げるのは、EPA(経済連携協定)を活用した市場拡大と自由貿易体制の拡充です。もうすでに取り組みは始まっており、ASEAN(東南アジア10カ国)とは10年以内に90%以上の貿易が無関税で取引が出来るようになります。メキシコやチリ、スイスなどとは締結済です。
 日本の市場は人口減少、少子高齢化となり縮小しますが、知恵を使い経済の国境を広げていけば、我が国の経済を成長させていくことは充分に可能だと思いませんか?


◆ 中小企業の可能性

 そこで活躍を期待されるのが日本の中小企業という存在です。高い技術を持った中小企業が地域に集積し、大企業とセットになって産業ネットワークを形成しているケースは他国にはほとんどありません。
 大企業がグローバル化し市場を拡大する中で、日本の中小企業も海外展開をするようになれば我が国産業は大いに活性化します。
 日本の工場や社員さんたちを海外に持っていこうというのではありません。企業の持つ技術やノウハウをもっと広い世界に展開させようということなのです。
 何も全てをさらけ出す必要はありません。知的財産にあたる根幹の技術はブラックボックス化し、難しい部分は国内で対応するようにすれば空洞化も防げると思います。


◆ 前を向き、世界に目を

 私たちの国は、世界に誇れる技術と中小企業ネットワークを使い世界に貢献しつつ経済利益を受けることが出来るのです。その成功に向けてのシナリオを如何に書き、国民の皆様に示せるか。それが政治に課せられた最大の課題です。
 私はその実践モデルとして、我がまち川口地域を舞台に何か出来ないか模索しております。
 日本の明るい未来を描くために、必死に行動してまいります。


 新 藤 義 孝