第192号 永住外国人参政権問題に見える鳩山・民主党政権の危うさ

0192-01.jpg
毎週日曜日、午後 3 時から 5 時過ぎまで川口駅東口デッキ上にて国政報告と湘南新宿ライン署名活動を行っております。皆さまと意見交換をすることもございます。ご都合がよろしければ是非お立ち寄りください。


◆ 小沢流政治と決別せよ!

 今週、通常国会が開幕しました。冒頭より小沢幹事長を巡る政治とカネの問題で国会は大荒れ模様です。新しい政治を目指す民主党の最大権力者に、表の顔とは別に底知れない闇に包まれたゼネコンとカネの関係が浮かび上がっています。
 ところが鳩山首相を先頭に、民主党議員たちはいっせいに小沢幹事長の擁護に回り、批判や説明責任を問う声はなく、逆に検察批判のための勉強会まで出来る始末です。
 民主党を自由や議論のない陰湿な政党にしてしまった最大の原因は、どう考えても小沢幹事長という政治家の体質と手法にあると思います。
 我が国には新しい政治体制が必要であり、その実現のために政権交代があったのだと私は考えています。
 自民党はこの機会に大胆に変わらなければなりません。未だその改革は不完全であり、さらに思い切った行動が必要です。
 同様に政権交代のみを最優先事項とし、政策も主義も違う人たちの寄り合い所帯である民主党も、所期の目的を達成した今、内部にためている膿みを出し、体質浄化と転換を図るべきではないでしょうか?
 小沢幹事長の政治とカネの問題は、権力や政治的な圧力を加えることなく、事実解明のための検察当局の厳正な捜査と、当事者の説明責任が果たされるべきと考えます。


◆ 永住外国人参政権問題を考える

 今国会の予算審議後に焦点となるのが、「永住外国人地方参政権付与法案」の取り扱いです。
 この法案は国家の主権に関わる問題であり、私は一貫して反対の立場をとってきました。
 法案の中身については、民主党案が明らかになった時点で詳しく論じさせていただきますが、私は内容以前に法案提出そのものに反対です。
 今回はこの法案に関する民主党の姿勢を通して、現政権の危うさを明確にしたいと思います。


◆ 民主党運営の独裁制

 そもそも今回の提出方針決定の前に、外国人参政権についての民主党議員たちによる意見集約の場はあったのでしょうか。年末の幹部会議で決定されたことは報道されましたが、総選挙後に議論の場があったことなど聞いたことがありません。
 民主党内には、賛成・反対の両方の意見が混在しており、衆院選マニフェストからは意図的に削除されたと報道で聞いております。
 鳩山首相も昨年の訪韓の際、李明博大統領との会談でも「個人的には賛成だが、国内にはいろいろな考えがあり、時期を検討したい」と述べています。
 ところが、昨年の12月に小沢幹事長が訪韓し、外国人参政権について「日本側が積極的に取り組まなければならない問題だ」と発言すると、急に事態は動きだします。
 山岡国対委員長はじめ幹部が早期の法案提出を明言するようになり、通常国会への提出が既定路線のようになってしまったのです。
 党内議論なしに、小沢幹事長の意向で党と政府が動いてしまう、民主党の独裁的な意志決定の姿が浮かび上がってきます。


◆ 政府提出法案とする意味

 平成10年以来「永住外国人地方参政権付与法案」は何度か国会に提出されています。いずれもほとんど審議なしに廃案になっておりますが、全て議員立法でした。
 「選挙」という純粋に政治的な分野に関わるものであること、また極めて政治的な判断が必要とされる問題であり行政府の所管には馴染まないものであることがその理由です。
 しかし、小沢幹事長が「日本政府の姿勢を示す意味でも政府提案で出すべき」と述べると、その方向で流れが決まってしまったのです。
 政府提出法案であれば、当然国会での採決に党議拘束がかかることになります。圧倒多数を持つ民主党は最終的に数の力で押し切り、何が何でも成立させることが可能です。
 党内議論ばかりか国会審議も軽視し、議論よりも結果ありきという民主党の本質的な危うさを示していると言わざるを得ません。


◆ 法制局長官を答弁から外す意図

 民主党はこの通常国会から内閣法制局長官を国会答弁から除外することを決定しました。
 日本国憲法第十五条は、「公務員を選定することは、国民固有の権利である」と定めています。外国人に参政権を与えることは、憲法違反にあたる可能性が極めて高いのです。
 この問題の合憲性を、法体系の一貫性を保ってきた法制局長官ではなく、内閣の一員である政治家が答弁するとなると、法解釈に政治的な判断が入ることが危惧されます。
 「政治主導」の名の下に、法解釈の中立性や一貫性をないがしろにし、自分たちの政策をすすめるために長官答弁を禁止するのだとすれば、こんな危険なことはないと思います。


◆ 外国人参政権法案は選挙対策?

 民主党の山岡国対委員長は、今年の在日本大韓民国民団(民団)の新年会において「外国人参政権を今国会で実現するよう錦の御旗として全力で取り組む」と発言しました。
 同じく赤松農水大臣は、昨年の衆院選での民団の民主党支援に「心から感謝申し上げる」と述べた上で「外国人参政権は民団への公約」と強調しています。
 永住外国人参政権の付与を条件に選挙で民団の組織的支援を受けたことを公に認め、外国人参政権法案の提出とその成立が、民団への「恩返し」であり、夏の参院選に向けたさらなる支援要請と捉えられます。


◆ 政権党の健全性をチェックする

 私には外国人参政権問題を巡る民主党の状況から、法案の内容自体もさることながら、国民主権を唱え新しい国づくりを掲げる民主党の裏側に潜む独裁性・独善性・国会軽視・選挙最優先という体質が見えるような気がしてならないのです。
 民主党の全てを否定するつもりはありませんし、他所の党の批判をする前に自民党の改革が必要なことは大前提です。しかしその上で、この国の政治を司る政権党が健全であるかどうかをチェックすることは、正しい国家運営に絶対不可欠です。
 この通常国会においては、さらに政策論争が重要になって参ります。外国人参政権法案の成立阻止は無論のこと、健全な国会運営に向けて、精一杯活動してまいります。


 新 藤 義 孝