第178号 この国に必要なもの~裏千家・千 宗室(そうしつ)家元の講話~


 
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09年4 月 裏千家東京本部にて 千宗室お家元より呈茶・講話をいただきました。


  いよいよ解散総選挙が間近に迫っております。新聞やマスコミの報道は、解散はいつか、麻生総理の決断はあるか、自民なのか民主なのか、などと過熱するばかりです。
 私自身、選挙体制を整えるために後援会の皆さんと準備に大忙しです。そういう中で私がいつも自問自答しているのは、目の前のことに夢中になりすぎ、本来の目的を見失っていないか、選挙のための政治になっていないか、ということです。


 ◆ 瑞林(ずいりん)会

 私は自民党の若手・中堅の衆議院議員と共に「瑞林(ずいりん)会」という会をつくっています。
 会長は石原伸晃代議士、座長には根本匠代議士が就き、塩崎恭久代議士や同期の大村秀章・河野太郎代議士それに後輩議員など30人の会です。月2000円の会費制で、国会中は隔週で昼食をとりながら審議中の法案のことや時事問題について意見や情報交換を行っています。
 きっかけは平成13年の小泉首相が誕生した自民党総裁選です。当選2 回の私は仲間の議員と「派閥によらない総裁選の実施」を掲げて独自の運動を展開し、橋本派反乱軍などと呼ばれました。当選4 回の石原さん達も「自民党を改革する会」を結成し、政策本意の自由な総裁選を訴え行動しました。
 「派閥をぶっ壊す」「自民党をぶっ壊す」と叫んだ小泉さんが総裁になり我々の運動は実を結びましたが、その後も党改革運動を続けていくために、両方のグループが集まったのが瑞林会の始まりです。
 この名付け親は、石原代議士と親交があった茶道の裏千家・千宗室家元です。
 「瑞(ずい)はめでたいこと、そのしるし。林は同種の物、人が集まっていることの意味。瑞林会は、人との調和を保つこと、人の立場を考えた行動を心がけること。権威知謀あり。正義貫きて大志大願成就となる。」という意味です。
 瑞林会では年に一回、千宗室家元と懇談会を行っております。
 今年の懇談会では、家元より心に響くとても良い言葉をいただきましたので、自分に言いきかせると共に、みなさまにご紹介させていただきます。


 ◆ 千宗室家元の講話


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● この言葉は紀元前5 世紀の中国の僧堂(修行僧の学校)の教えです。
 「牛の飲む水は乳となり、ヘビの飲む水は毒となる。不平不満を持っている人はどんなに修養しても良いことは出来ない。すべては心がけである。」という意味になります。国会は国の泉ではないでしょうか?そこに集まる人は、牛もいればヘビもいるでしょう。自分が常に牛でいられるように、心がけなければなりません。
 いまこの国を大不況が襲い、人々の不安が増大している。また、教育の荒廃により日本人の心が乱れ、大人から子どもまで信じられないほど残酷な事件を起こしている。
 国民の代表である政治家の言葉が軽すぎるのではないか。「寄らば大樹の陰」という言葉があるが、世の中の不安が止まらないのは、いまの日本にその「大樹」がないからです。国を守り、くらしを支えている与党の政治家には言葉の重みが必要ではないか。
・・・というお話しでした。


 ◆ 国の大樹とは

 家元の講話は、真に的を得た内容で、かつ私の耳に痛い話でした。
 我が国が近代国家となった明治以降を振り返ると、極めて明確な国家目標=大樹があったことに気が付きます。
 「明治維新」、「富国強兵」、「殖産興業」、「戦災復興」、「高度経済成長」という風に見事なまでに国家の目指すビジョンと、国民の努力の方向性が示されています。
 しかし、バブルがはじけた後は、「失われた10年」、そして「構造改革」で少し持ち直したかと思ったら、「格差社会」の批判が巻き起こり、「世界金融システムの崩壊」で、我が国は向かうべき道を決めきれずにいます。
 一刻も早く目標を定めなければ、この国の強大なパワーは空回りし、世界との競争に後れをとることになってしまいます。


 ◆ 保守政治の統合と再編

 今度の総選挙は、自民党か民主党かを選択する選挙であるとの声を聞きますが、本当にそれで良いのでしょうか?どちらを選択しても問題が残ります。
 まず自民党は変わらなければなりません。族議員や世襲制など政治家の体質の問題と、天下りなど公務員制度に大なたをふるう必要があります。政権党であるが故の、長い間のウミやムダを取り払うことは必須です。
 一方で民主党の中の社会主義的な政策指向性は極めて注意が必要です。労働組合や日教組の影響が色濃く出た財政・経済、教育、福祉、農業などへのバラマキ政策と、防衛・安全保障分野における一国主義は、国の発展と暮らしの安定に致命的なダメージを与えることになります。
 ある世論調査では、次期政権の枠組みについて、一番高いポイントを得たのは、自民中心でもなく民主中心でもなく、政界再編なのです。
 私はかねてより「自民党の族議員を切り、民主党の組合を切ったところに保守政治の新しい固まりがある。総選挙は保守政治の統合と再編の機会にするべきだ。」と考えてきました。
 この度の選挙は、政党を選ぶ前に政治家の気質と政策を選ぶべきではないでしょうか?
 この後の週刊新藤では、私たちの国に「新たに打ち立てるべき大樹」とは何か、をみなさまに問いかけて参ります。

 

新 藤 義 孝