第174号 2つのエコが国を動かす!~エコポイント始まる~



 今号では、審議中の21年度補正予算の目玉となる「エコポイント制度」についてご紹介します。



◆ エコポイント制度とは

 この制度は、省エネ性能の高いエアコン、冷蔵庫、テレビ(=省エネ家電)を購入すると、エコポイントがもらえ、それを使って別の省エネ製品やサービスに交換できる、というものです。
 エコマークが 4 つ☆以上のものが対象で、対象製品は約2000機種、「エコポイント対象製品」のマークが目印です。



◆ 5月15日より開始

 5 月15日以降に省エネ家電製品を購入すると、エコポイントがつくことになります。
 ただ、ポイント制度の運営はまだ始まっておらず、補正予算成立後に設立されるエコポイント事務局に後日、購入がわかる書類を送らなければなりません。
 そのため購入日や製品名がわかる領収書と保証書、家電リサイクル券を保管しておいて下さい。
 自分が得たポイントは、インターネットや事務局から郵送されてくる通知書で確認できる、という方法が想定されています。



◆ 還元ポイント数は?

 エコマークの付いた 4 つ☆以上のエアコン、冷蔵庫の価格の 5
%程度、地デジ対応テレビは価格の10%程度を目安に、品物の大きさや能力で分類されたポイントがつきます。さらに、今までのものをリサイクルする場合
は、その料金分がポイントに加算されます。
 各製品購入に付与されるポイント数については、表紙をご覧下さい。



◆ 何と交換できるのか

 交換商品は、補正予算成立後に設立するエコポイント事務局内に設置する第三者委員会で決められます。
① 省エネ型の電球、充電式の電池など省エネ・環境に優れた製品。
② 電車に乗るための「Suica」のような環境配慮型のプリペイドカード、商品券など。
③ 地域振興に資する産品や、定額給付金と連動させた商品券のような地域振興に資するもの。
・・・などが想定されます。
 具体的な品目については、それを提供する事業者の協力が必要です。各事業者からの応募を、委員会で審査し、その結果をカタログのようにして、エコポイントと交換できるようにするわけです。
 省エネ家電の購入によりエコポイントが得られるのは、平成21年度末(22年 3 月末)までです。
 エコポイントの交換はその後も当分は継続されますが、購入を検討されている方はお気をつけ下さい。



◆ 経済効果は4兆円!

 エコポイント制度は先週15日スタートしましたが、家電量販店の店頭では対象となるエアコン、冷蔵庫、大型テレビの売り場にお客が集中し、前年同時期に比べ売り上げが 3 倍に伸びたチェーン店もあったそうです。
 この事業の予算は約2950億円です。ポイント還元分を政府が企業に補填するのです。
 対して景気刺激の面では、新たな生産を誘発する効果が約 4 兆円、環境対策としてのCO2 排出削減効果が10年間で 4 千万㌧、地デジ対応テレビの普及効果が約1500万台と推計されます。



◆ 地球温暖化対策として

 家庭部門からの温室効果ガス排出量は90年比+41%と著しく増加しています。
 今回ポイント対象となるエアコン、冷蔵庫、テレビの三品目の電力消費は、家庭部門の51%を占め、これらの品目は平均的に10年前のものと比較して40%以上省エネ性能が向上しています。
 地球温暖化対策として、家庭部門における省エネ家電の普及は、重要かつ効果的であることがご理解いただけると思います。
 また、家電業界は裾野が広く、川口・鳩ヶ谷の多くの中小企業も部品製造を請け負っており、地域産業対策としても極めて有効です。
 さらに個人の家計支出の面から見ると、例えばエアコンの電気代は、10年前より約 4 割も安くなっており、新製品への買い替えは結果的に家計負担の軽減につながります。



◆ 2つのエコとは

 つまり、このエコポイントを活用することにより省エネ家電製品への買い替えを促す事業は、「地球温暖化対策(エコロジー)と経済活性化(エコノミー)を同時に推進する」という目的を持っているのです。
 そしてこの事業は、私も参加した自民党の経済再生戦略会議において提案され、実施にあたっては環境省と経済産業省、総務省の 3 省が共同で取り組む国策プロジェクトです。
 
 こうした取り組みはこれまで世界でも例がなく、中国、韓国、フランスなど諸外国からの関心も高まっていると聞いています。



◆ 早い予算の成立が重要

 私は日本が持つ世界最高水準の技術を活かし、この「 2 つのエコの両立」を実現させることこそが、我が国の新しい世界経済戦略の中核となると考えています。
 今回の補正予算では、このほかにエコカーの購入促進補助制度や太陽光発電パネルの普及促進施策など、新しい成長戦略に基づく政策がたくさん盛り込まれています。
 今後も折に触れ、こうした日本の未来を拓く政策について、みなさまにご紹介させていただきます。
 すでに補正予算案は衆議院を 5 月13日に通過しております。一刻も早い予算執行こそが最大の景気対策です。ねじれ参議院における徹底した審議と、早期の採決を大いに期待しております。

新 藤 義 孝