第162号 インド洋の補給活動は何のために行うのか ~テロ・イラク特別委員会での質問~


去る10月17日、衆議院テロ・イラク特別委員会において、
質問させていただきました。


 去る10月17日、衆議院テロ・イラク特別委員会において私は質問に立ちました。
 小池百合子議員(元防衛大臣)、中谷 元議員(元防衛庁長官)に引き続き質問をさせていただきました。この委員会はNHKによるTV中継があり、嬉しいことに「TVを見たよ」と地元の方を始め、全国の方から励ましをいただきました。
 今号は、私が質問で訴えたことを改めてご報告させていただきます。


◆ テロとの闘いは世界の課題

 まず、基本認識として、
○01年9月11日 米国同時多発テロでは2,973人が犠牲。
 (日本人も24名の方が犠牲)。
○日本もビン・ラディンからの声明において標的として名指し。アルカイダ等によるテロの脅威は依然として世界に存在。
○現在、国連治安支援部隊(ISAF)に世界41カ国から約 5 万 3 千人が参加。
○OEF/アフガニスタン陸上での 活動に11カ国。
○OEFーMIO/インド洋におけ る海上阻止活動に 6 ~ 8 カ国
(日本は艦船への給油活動を実施中)。



◆ 日本の活動に高い評価と期待

 洋上補給は大きさの違う艦船が30メートルから40メートルの間をホースでつなぎ、3 時間から 4
時間かけて給油を行います。危険な作業であり、高度な技術が要求されます。自国外でこうした活動が出来る能力と技術を持った国は、実は世界で 5
カ国くらいしか無く、その 1 つが日本なのです。 
 インド洋での日本の活動は国際社会での評価は極めて高く、期待も大きいことを知る必要があります。
 この活動のこれまでの経費は 6 年間で約612億円です。今年度の補給支援のための燃料代は20億円。これは日本の国内ガソリン販売額( 1
年間)の0.02%です。
 皆さんもご記憶のことと思いますが、1991年・湾岸戦争の時、日本は実際の行動はせず、国際社会からの要求に基づき資金のみの負担を行いました。
 141億ドル( 1
兆8000億円!!)もの拠出を増税までして出しましたが、湾岸戦争後に出された国際社会に対するクウェイトからの感謝広告には、日本の国名はありません
でした。
 私は、この時まだ国会議員ではなく、日本は何をやっているのだ、と悔しく感じたことを良く覚えています。私が国会議員として、「顔の見える国際貢献」を
目指して外交や安全保障問題に取り組むようになったきっかけは、この時の想いからです。



平成20年10月17日テロ・イラク特別委員会配布資料より。

◆ インド洋の安全確保は日本の国益

 日本の洋上補給活動はテロとの闘いの場であると共に、我が国の海上輸送路の確保という面があることを私たちは知るべきです。
 日本の貿易に占める海上輸送の割合は、2006年で金額にして71.9%、量で99.7%を占めています。
 中東からインド洋を横断し、マラッカ海峡を通って日本に到る海上ルートは、輸入原油の 9 割を中東に依存する日本にとって死活的重要な経済動線であり、海上阻止活動はその安全確保につながっているのです。



◆ 海賊対策を早急に確立すべき

 さらに近年、事実上の無政府状態が続くソマリアの沖合で、海賊行為が激増しており、今年 4 月には海賊船の攻撃を受けた日本のタンカーがドイツの艦艇に救援してもらったことが報道されました。
 この海賊対策は日本としても早急に確立する必要があります。この問題には民主党からも、前向きな答弁がありました。



◆ 麻薬との戦いも・・・

 もう一つ重要なこと、それは麻薬との闘いです。アフガニスタンにおけるアヘンの生産量は世界の90%を超えており、国連の報告では、タリバーンは07年
度にアヘンの取引で実に106億円もの収益を得ています。日本が洋上での活動を再開した今年の 2 月から 6
月まででも、30トンの麻薬が押収されており、この量は07年の東京都内の押収量の200倍です。テロリストの資金源を絶つこと、麻薬犯罪の撲滅の為にも
効果的であることがご理解いただけると思います。



◆ 結局何もしない民主党の法案

 民主党から提出された「テロ根絶法案」について、私の質問で明らかになったこと。それは、
①自衛隊による人道復興支援は「抗 争停止合意地域」でのみ行えるが、 そういう地域は現状のアフガンに は存在しない。
②インド洋上の補給活動は国連安保理決議に基かないから行わない。民主法案が通ったら自衛隊を撤収 させる。
結局、アフガンでの具体的活動は当面何もやらない、という法案だということが明確になりました。



◆ 自民も民主もなく

 自民党も民主党もテロを根絶したい気持ちは一緒のはずです。現状の日本が出来ることであり、世界からも評価され、日本の国益にもかなう活動をなぜ民主党
は賛成出来ないのか?どうして自分たちの手法にこだわるのか?と思わず私は質問しました。外交と安全保障政策は、日本の平和と経済の繁栄につながるもので
あり、私たちの生活や中小企業の活動に直接関わってくる大事な問題を民主党は政治の駆け引きに使うべきではない、と私は申し上げたのです。 
 解散総選挙が目前に迫っておりますが、政治は何のためにあるのか、こういう時だからこそ、志を高く持ち、大切なことに真正面から取り組まねばなりませ
ん。


新 藤 義 孝