第149号 未来の車に乗ってきました ~プラグインハイブリッド自動車~



㈱トヨタの協力をいただき試乗しました。現在の車体はプリウスを使って
いますが、発売までに新しいボディになる予定とのことです。


 プラグインハイブリッド自動車が話題になっています。この車は、いわば電気自動車と従来のガソリンのハイブリッド車を合体したような自動車です。この自
動車のすごいところは、家庭用のコンセントから自動車のバッテリーに充電でき、その充電した電気だけで、走行距離にして13㎞、最高時速も100㎞まで出
すことが出来ることです。
 このため通勤や日々の買い物等の近場に出かける時には、ほぼ充電した電気だけで走行することができます。電気で走っている時には、ガソリンを燃やすこと
で生じるCO2や排出ガスをゼロにすることができるので、まさに環境に優しい究極のエコ・カーだといえます。開発したトヨタの話では走行距離を20~30
㎞まで伸ばして、2010年には販売を開始する予定とのことです。


◆ CO2削減のカギは次世代自動車

 経済産業省では、エネルギーの長期的な需要と供給について試算した「長期エネルギー需給見通し」を3月18日に発表いたしました。この中では、地球温暖
化問題の原因となっているエネルギー消費に起因するCO2の発生量について試算をしています。現状のままであれば、2020年には1990年比で
20.4%も増えてしまうことになります。一方、最先端の省エネ技術や機器を、今後企業や家庭が最大限導入していけば、1990年比で約3%減らすことが
できます。
 このCO2削減の実現を可能とする最先端技術の一つが、今回ご紹介している次世代の自動車なのです。
 現在日本では、プラグインハイブリッド自動車だけでなく、ガソリンを一切使わずにバッテリーに充電した電気だけで走る電気自動車の開発も進んでいます。
三菱自動車の「i
-MiEV」はテレビのCMでもおなじみですし、スバルは、「R1e」で東京電力と実証試験を行っていますので、皆さんもご覧になったことがあるかもしれ
ません。


◆ 日本の自動車産業は世界をリード

 世界では、年間約6,700万台の自動車が販売されています。その中で、日本の自動車産業は約1/3のシェアを占めており、まさに世界をリードする存在
だと言えます。
また、自動車は2万点から3万点の部品から構成されています。自動車メーカーは、どんなに大きな自動車工場でも、部品全てを自ら生産しているわけではな
く、外注や加工にだしたり、タイヤ等完成した構成部品を購入したりしています。その上、自動車産業は、製造に加え、販売、整備など広範な関連産業を持つ総
合産業で、これらの自動車関連産業に直接・間接に従事する就業人口は全就業人口の7.8%、約496万人にも達しています。もちろん自動車に関係する仕事
をしている企業は、我が川口市・鳩ヶ谷市にも沢山あります。
 さきほど日本の自動車産業は世界をリードしていると述べましたが、その理由は、世界に先駆けて技術革新を行い、排出ガス規制や燃費改善などの環境制約、
そして原油価格の高騰等のエネルギー制約に対応してきたからです。現下の大きな課題である地球環境問題を克服していくためにも、プラグインハイブリッド自
動車のような次世代自動車を開発し、世界における優位を維持していく必要があります。
 未来を拓くのはいつも科学技術です。技術は環境やエネルギー問題の解決につながるだけでなく、優れた技術の発信は、我が国への求心力を高め、世界から日
本への更なる投資や世界との新たなビジネスを呼び込むことにもつながります。その経済効果は、海外と直接取引を行う自動車会社だけでなく、部品産業をはじ
め全国各地の中小企業にまで及ぶことは間違いありません。


◆ 優れた部分に目を向け伸ばす

 人口減少、国際競争の激化、厳しいエネルギー環境制約などの構造的な課題に加え、最近の原油の高騰、建築着工の遅れなどの影響により、現在の日本には、
将来に対する不安
・失望感が渦巻いています。
しかし、私はいつも申し上げておりますが、悪いところばかり見るのではなく、皆さんには我が国の良い部分も知っていただきたいし、また、政府の一員として
積極的に優れた部分を伸ばしていきたいと考えています。私が今やろうとしていることは、プラグインハイブリッド自動車や電気自動車技術などのように、まさ
に日本が持つ優れた部分、強みの部分を伸ばし、さらにはこれを支える鋳物や金型を始めとした部品産業とのつながりを強化していくことで、「経済の成長」、
「安心な暮らし」、「地球環境問題の解決」などを実現していくことです。
次世代自動車の普及への取り組みもその一つであり、経済産業副大臣として、技術開発の支援や普及の促進支援に全力で取り組んでいきます。

未来の移動体、一人乗り電気自動車
「i-unit」にも試乗しました


新 藤 義 孝