第144号 本年を "真" の年に! ~平成20年の年頭にあたり~



1月2日、恒例の新春遊説を仲間の県議・市議の皆さんと一緒に行いました。
次回は、20日(日)15時から川口駅東口で行います。

 皆様には、お健やかに新春を迎えられたこととお慶び申し上げます。皆様にとってより佳き年となるようお祈り申し上げます。
 昨年の8月末に経済産業副大臣を拝命して以来、毎日国会に缶詰めになりながら、4ヶ月が過ぎました。内閣の一員という重要な役目を拝命できましたのも、皆様のご支援のお陰様であり、期待に応えられるよう精一杯職責を果たして参ります。
本年もどうぞよろしくお願い致します。


◆ 平成19年は、”偽”の年

 昨年末に日本漢字能力検定協会が選んだ「今年の漢字」は、”偽”でありました。この文字に象徴されるように、昨年一年間は、様々な不祥事や事件ばかりが
続いた印象があります。マンションの耐震偽装に始まり、牛肉偽装のミートホープ社、そして皆さんに親しまれていた”白い恋人”や”赤福”、さらには、高級
料亭の”吉兆”グループまでも。伝統や信頼、そうしたものが根本から崩れていった一年でした。
 その極めつけが、年金問題です。消えた5000万件と言われた年金記録の不適切な管理は、多くの国民に怒りと不安をもたらし、その処理の不手際により、
私たち自民党は参議院選挙で惨敗し、内閣支持率も激減するという厳しい局面を招きました。


◆ 国益を損なう政治のねじれ

 自民党の参議院選挙の大敗の結果、衆議院と参議院の”ねじれ”が生じ、政治の混乱と政権基盤の弱体化を引き起こしてしまいました。今や、国益に直結する
重要な法案は、
重要であればある程、与野党の国会戦略の取引材料とされてしまい、国会を通せない状況です。インド洋での海上自衛隊の給油活動再開の為の新テロ対策特別措
置法案の成立に至るまでの混乱は、皆様ご承知のとおりです。この週刊新藤が発行される頃には、衆議院で再可決されていると思いますが、一時的とはいえ「テ
ロとの戦い」から離脱したことは、国際社会に大きな失望を与えてしまいました。何よりも意志決定が容易にできない国であることを露呈し、我が国の対外的発
言力、国際的信頼を大きく低下させることになりました。このことが、どれほど我が国の国益を損ねてしまったことでしょうか。
 この政治のねじれは法案の成立だけでなはなく、政策の内容にも大きな影響を与えています。社会保障財源としての消費税論議は先送りされ、高齢者医療の負
担引き上げの凍結、地方交付税の増額、民主党による農家補償制度や児童手当増額など財政再建を脇に押しのける「ばらまき」の兆しが与野党ともに見られるよ
うになっています。


◆ 日本の存在感が低下

 こうした国内政治の混乱に連動するかのように国際社会における日本の存在感の低下が深刻な状況になっています。2006年の1人当たり名目国内生産額
(GDP)では、OECD30カ国中日本は18位となり、昨年の15位から、フランス、ドイツ、カナダに抜かれ、順位を下げてしまっています。問題は、日
本経済の停滞と中国やインドの台頭が同時進行で起きていることです。過去3年間の名目経済成長率で見ると日本は平均1~2%に対し、中国は17%、このま
まいくと2010年には中国が日本を追い抜いて世界第2位の経済大国となると予測されます。人口減少局面にある我が国は、経済の「量」や「規模」が下がっ
ていくことは仕方ないかも知れませんが、1人当たりGDPという経済の「質」や「実力」において、日本の国際的地位が落ちていくのは深刻な問題と捉えなけ
ればなりません。
 背景にあるのは、日本の構造改革の遅れです。より一層の市場開放や規制改革、法人税の見直し等、我が国の競争力を高め魅力的な市場作りの為の大胆な改革
が急務なのです。

1人あたり名目GDP順位の推移


内閣府・国民経済計算より



◆ 本年を”真”の年に!


 もちろん、私たち政治もこのまま手をこ
まねいているつもりは毛頭ありません。日本企業の収益は四期連続で史上最高益を更新中であり、本来は政府と民間が一丸となって世界に飛躍していける状態な
のです。
アジア経済圏の確立や中央アジア、アフリカなどとの資源外交を官民あげて推進します。地球環境問題解決の為に世界で最も効率の良い日本のエネルギー技術を
世界に提供してはどうでしょうか。本年7月の洞爺湖サミットは我が国の国家戦略上とても重要な使命を持っているのです。
 私たちの国には、優れた人材や組織、技術力など本当にたくさんの可能性が残っています。その潜在力を引き出すために、必要な改革を官民が一致結束して進
めることができれば、日本のパワーは素晴らしいものになるに違いありません。
 この国家の結束の最大の障害となっているのが政治不信です。昨年の”偽”は事実を隠したり見逃したりしていたことが事態を大きくしました。本年は逆に徹
底的に”真”を追求してはどうでしょうか。
 解散・総選挙の声につられ、与野党ともに世論に迎合した政治が横行しがちとなりますが、このような時こそ、広く国家・社会を見通し行動する勇気が私たち
政治家に求められるのだ、と私は覚悟しています。今後の週刊新藤では、この国に必要な”真”とは何かを皆様にご報告したいと考えています。

新 藤 義 孝