中心市街地の整備改善及び商業等の活性化に関する一部改正法律案(質疑)  衆議院 経済産業委員会・国土交通委員会 連合審査会-1号 2006年4月7日

経済産業委員会の理事として、皆様の暮らしに直結する法案の審議が充実したものになるよう努めて参ります。

2006年4月7日 衆議院 経済産業・国土交通 連合審査会 新藤義孝質疑

○石田委員長 これより経済産業委員会国土交通委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 内閣提出、中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 本案の趣旨の説明につきましては、これを省略し、お手元に配付してあります資料をもって説明にかえさせていただきますので、御了承願います。

 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

○新藤委員 皆さん、おはようございます。自由民主党の新藤義孝でございます。

 私は、自民党を代表いたしまして、ただいま案件となりました法案の質疑について行わせていただきたいと思います。

 きょうは、何かちょっといろいろ国会の中も騒がしいようでございますが、みんなで気を落ちつけてしっかりとこの審議をやっていきたい、このように思っております。

 本日の連合審査は、この中心市街地活性化法のねらいというものが、商業の活性化に加えてまちづくりを総合的かつ一体的に推進する、こういうねらいがあるということでありますから、その観点からすると非常に有意義な連合審査になったんじゃないかな、このように思っております。

 そして、現行の中心市街地活性化法、平成十年に制定されております。これまでに約六百九十の市街地活性化基本計画が作成されて、多くの市町村で実施されました。しかし、全国の中心市街地の現況というものはまことに厳しいものがある、憂慮する事態だと私は承知しております。

 例えば、平成九年度と十五年度を対比した総務省の中心市街地活性化に関する行政評価というのがございますが、これによりますと、全人口に占める中心市街地の人口割合が、全国約七〇%の市町村で減少している、こういう傾向が報告されております。また、中心市街地の商店数ですとか商品販売額等々の統計指標においても減少が見えるわけでございまして、まさに商店街はシャッター通り化、なりつつある、進んでいる、そしてまた中心市街地の衰退は進んでいる、こう言わざるを得ないわけでございます。

 こういう背景を踏まえて、私ども自民党といたしましても、まちづくり三法の見直しのワーキングチームというものをつくって検討し、またいろいろな提言をしてまいりました。今回、この提言等も踏まえまして、政府から中心市街地活性化法及び都市計画法の改正案を提出したわけでございます。

 まず、どうしてこういう事態に至ったのか、これまでの中心市街地をめぐる制度の反省点、そしてまた今回の法改正においてどういう改善をしようとしているのか、二階経済産業大臣及び北側国土交通大臣から、簡単で結構ですので、総括的にまず見解をお願いしたいと思います。

○二階国務大臣 中心市街地活性化法の審査に当たりまして、本日、連合審査を開催いただきまして北側国土交通大臣にも御出席をいただいておりますが、私ども、国土交通省と経済産業省、相協力して、今度こそという思いでしっかり取り組んでまいりたいという決意をまず申し上げておきたいと思います。

 まちづくり三法の制定後、中心市街地は、一部の例外を除き、先ほど議員から御指摘のとおり、全体的には厳しい状況が続いておることは事実であります。これは、その後の経済状況が厳しかったということが大きな原因の一つであろうと思いますが、同時に、各地域の取り組みも必ずしも十分でなかった面もあるのではないかと考えております。

 商業の活性化のみならず、まちづくり全体をより一体的に進める必要があったものと今反省をしておるところであります。例えば、居住地を町中に呼び戻すことや、学校、病院などのいわゆる公的な施設、都市機能を中心市街地に集約することなどへの取り組みをさらに強化し、努力する必要があると考えております。

 このため、改正法案では、地域の方々の御協力をいただきながら、町全体を活性化する意欲的な取り組みを政府が一丸となって集中的に後押しをするということであります。特に、経済産業省としましては、活性化の成功事例百選というものを今つくりつつあります。恐らく連休の後ぐらいには両委員会の先生方にもごらんに入れることができるようになろうと思います。そして、その成功事例をごらんになりながら、我々の町、私たちの町でもこの程度のことは努力次第ではできるではないかということをお考えいただくと同時に、私ども経済産業省の出先の職員も総動員しまして、机に座っておって商店街を指導するなんということを言ってないで、みずから現場へ出ていって、お邪魔にならなければ一週間ぐらいはお手伝いをするぐらいの気持ちで、法律に述べておることとみずからが行動することとをやはり一致させなきゃだめだということを、けさも関係幹部によく注意してきたところであります。

 私ども、そうした面で、早稲田商店会の代表も国会に籍を置くようになっておるわけでありますから、そうした関係者とも十分議論して、なるほどということをわかってもらえるように、経済産業省、国土交通省の御理解をいただきながら取り組んでまいることを御答弁申し上げたいと思います。

○北側国務大臣 国土交通大臣の北側でございます。よろしくお願いいたします。

 平成十年のまちづくり三法が十分機能しなかったのではないか、その反省点でございますけれども、幾つかあると思っております。

 大きな要因だけお話ししたいと思いますけれども、一つは、やはり中心市街地を生活空間として十分位置づけなかったのではないかというふうに思うんです。商業をいかに振興させていくかというところにむしろ重点があって、そこが生活空間であるという位置づけが必ずしも十分ではなかったというふうに思っております。

 それと関連いたしますが、二点目に、やはり町というのは人が住まないとにぎわいは出てこないというふうに思うわけでございます。我々は町中居住と言っておりますが、そうした町中居住を維持し、また進めていく、そうした対策が不十分であったというふうに反省をしておるところでございます。中心市街地に人が住んでいない、さらには、中心市街地の商店街の方までが郊外に住んでいらっしゃって、朝、通勤して自分の商店にやってこられる、これではやはり中心市街地のにぎわいは取り戻せないというふうに私は思います。

 三点目に、今は非常に交通が発達をしまして、人の動きが広域にわたっております。そういう中で、例えば、ある市が一生懸命、都市計画をしっかりやる、そして大規模店舗についても立地を規制していくというふうなことを仮にやったとしても、隣接する市で、その辺が大規模店舗がどんどんできてしまったら、その立地規制をしている市にとってはそうした効果が全く出てこないわけですね。そういう意味で、やはりこれからの都市計画、まちづくりというのは、もちろん中心は市町村でございますけれども、広域的な調整というのがやはり必要である。そういう面で、広域的な観点からの適正立地を図っていくというふうな機能が必ずしも十分ではなかったのではないか、こういった点を反省しているところでございます。

 今、二階大臣からお話がございましたように、中心市街地に都市機能が集積されるように、また町中居住が進むような支援策をしっかり経産省と連携をとってやらせていただきたい。

 また、都市計画という観点からは、大規模集客施設については、これまでは広い地域で立地が可能であったわけでございますけれども、これからは、その土地利用の原則を逆転させまして、立地を一たん制限した上で、仮に立地をしていこうとするならば、地元の、地域の都市計画の手続を通じて広域的な観点から適正立地を図っていく、こういう手法にぜひ転換をさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。

○新藤委員 ありがとうございました。

 平成十年に制定されたときも、この中心市街地というのは大切だよ、こういうことだったんですが、それ以降、少子高齢化という国の大きな流れがさらに加速されてきたわけです。ですから、この少子高齢化の時代においては、今度は、便利で、身近なところで、町中でいろいろな機能が果たせる、そういう町中居住というのはとても大切になってくる、私もそう思っておりまして、ますますこれは時代の要請にのっとった中心市街地の活性化だ、こういうことで、両大臣、ぜひ御指導を今後ともよろしくお願い申し上げたいというふうに存じます。

 そして、そういう中で、私、きょうは二十分しかございませんで、もう半分終わってしまいましたので、あとは少し具体的な話、三点お伺いしたいと思っています。

 まず、中心市街地活性化のスキームは、民間の支援、それから市町村の支援、そして国の支援と、それぞれ大きく分けると三つに分かれているんじゃないかな、こういうふうにも思うんです。

 まず第一に、民間の支援スキームとして、今までの現行で何が問題だったのか。いろいろあると思いますけれども、一番やはり問題なのは、民間の中心市街地活性化を進める推進役、この位置づけが、また役割がはっきりしていなかったんじゃないかと私は思っているんです。

 そして、今までの中心市街地活性化の推進役というのはTMOと言われるものでした。でも、TMOというのは法定機関ではありませんし、まさに商店街の高度化を図るような構想を立てなさいと。そういう意味において、共同駐車場の整備だとかモール、歩道の舗装ですとか、そういう個々の事業においては効果を上げたと思うんですけれども、まちづくり全体としての取り組みという意味においては、これはもう全く力が弱かったと言わざるを得ない。TMOの構想が四百七件、計画も二百二十五件あったというんですけれども、やはりこのTMOだけでは難しかった。まちづくりは総合力なんだという意味において、民間の推進組織というものをしっかり組織していかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思っているんです。

 今回の法改正におきましては、中心市街地活性化協議会というものを法定化して置こう、こういう取り組みがあるわけです。ですから、TMOの反省点と、それを踏まえて今回の市街地活性化協議会、どういう改善がなされているのか。本当に短くていいですから、答えてください。

○迎政府参考人 TMOにつきましては、中小商業の活性化を中心に担うということで、御指摘のように、まさにまちづくり全体を担う主体としての位置づけがなかった。それで、メンバーにつきましても商業関係に偏っていたわけでございますけれども、新しい中心市街地活性化協議会におきましては、商業活性化を推進する方それから都市機能増進を推進する方が共同で組織をする、それで、開発関係の方、地権者、そういった幅広いメンバーを構成メンバーとするということで考えております。

 さらに、法律上の位置づけといたしましても、市町村が基本計画を作成する場合には中心市街地活性化協議会の意見を聞いた上でつくる、あるいは、その基本計画の実施の段階においても協議会が適時意見を述べるというふうなことで法律上もきちっと位置づけて、しっかりした中核推進機関にしていきたいということでございます。

○新藤委員 結構なことだと思うんですが、先ほど大臣からも御答弁がありましたように、TMOにまちづくり機能が弱かった、そして、中心市街地活性化の精神の中に商業活性化はきちんとしていたけれども、全体の町ぐるみでの取り組みというのが欠けていたんじゃないか、生活空間としての位置づけというのが弱かったんじゃないか、こういうお考えがありました。

 その意味において、市街地活性化協議会のメンバーとして、まちづくり会社だとか市街地推進機構だとか、いろいろ既存のものもございます、そういうものをしっかりと入れてもらいたい。これはもう答弁は結構ですから、そこをよく反省して改善してもらいたい、このように思います。

 それから、今お答えをいただきましたけれども、今度はもう一つのポイントとして、市町村の取り組み、市町村のスキーム。

 これも、今までの取り組みというのは、市町村がつくる中心市街地活性化基本計画というのは、まさに自治体と商工会議所だとかそういうところがつくっていたんですが、これは任意なんですね。ですから、やはり拘束力が弱かった、実行力が弱かったという意味において、この中心市街地活性化基本計画、今度は国による認定を行うんだ、こういうことでございます。

 それから、今もう答えてもらっちゃったから質問しませんけれども、ですから、今までは民間の意見はこの活性化基本計画には入らなかったわけですね、純粋な民間というのは。だから、それを今度は、市街地活性化協議会のメンバーも意見を言って、そして市町村とやりとりをする。こういう意味において非常にこれは期待をできると思うんだけれども、ここで大切なのは、結局、組織をつくっても、最後は人なんですよね。ですから、そこに、いかにやる気を持って能力のある人間を確保すること、これが私は大切だと思うんです。過去のTMOを見ると、一TMO当たりの平均配置人数が三・二人、そして専任従事者を一人も置いていないTMOが六割にも上っている、こういうような反省もあります。

 ですから、この活性化協議会をきちんと動かしていくためには有能な人材を確保しなければいけない。そういう工夫が今回なされているのかどうなのか、そこをちょっと確認しておきたいと思います。

○望月政府参考人 お答え申し上げます。

 全国で現在でも中心市街地が活性化している数少ない幾つかの例を見ますと、必ずと言っていいほど、まちづくりに執念を燃やすリーダーが常駐をして、継続的な活動が行われております。

 御指摘のとおり、中心市街地の活性化には、地域の実情に応じました独創的なアイデアを実現する熱意あるまちづくりの担い手が必要だと思っております。そのためには、地域に根差して、地域を愛する人材による取り組みが不可欠であるというふうに認識をいたしております。

 私どもといたしましては、今回、まちづくりのリーダーとなる常駐型のタウンマネジャーの活動経費を補助するような支援策なども新設をいたしまして、市街地活性化協議会のキーマンとなるようなまちづくりの担い手づくりに努めていきたいというふうに考えております。

○新藤委員 中心市街地支援措置ということで、この十八年度の予算化の項目を見てみると、いろいろあります。診断サポートだとかアドバイザーを派遣するとか、また業務委託事業というのもありますね。あるけれども、結局、時々お邪魔して講演をしたりアドバイスをする、これは、お手伝いにはなりますけれども、推進役にはならないんですよね。やはりそこにどっぷりつかって、一つの事業が始まりから終わるまで地元の人間と一緒になってやらなきゃいけない。

 それから、別に外から連れてくる必要はないので、地元に、建築家だとか、やはりまちづくりに大変関心を持っている人はたくさんいるんですよ。だけれども、その人たちには権限がないわけ。だから、人材を確保する意味において、例えばそういう人材をプールしておくことも必要だと思うし、それから、人件費になりますけれども、十分なこういう財政支援措置というのはしっかり考えてもらわなきゃいけない、このことも指摘をしたいと思います。

 本当はちょっといろいろやりとりしたいんだけれども、時間がなくなってきましたから、ここが一番ポイントだと思いますので、これからも我々はしっかり監視していきたいと思います。

 それから、今までは民間の支援スキームそれから自治体の支援スキーム、最後は国の支援スキーム、このことについてちょっと提案というか御指摘したいと思います。

 今回、国は中心市街地活性化本部というものをつくる、そして、総理大臣を本部長として、まちづくりの政府のチームをつくるんだ、こういうことで、これは、今までどうしてやっていなかったのかしらと思うのでございますが、非常によろしいことではないかなと期待をしております。

 でも一方で、私どもは今、行革をするんだ、こういうことで、行革推進を一生懸命やろうということでやっているわけでございます。そうなると、政府の中に何々本部というのは一体幾つあるのか、そして、今回また新たに対策本部をつくるとなるとそこに人員と予算が行くということになると、これは行革の精神からいうと大丈夫なのかなということになります。

 ですから、既存の政府内にあるいろいろな本部を、組織をしっかりと有効活用して、効率的に中心市街地を全体的にコントロールしていくという工夫が必要ではないかと思うんですが、この点について、何か工夫がないのか、これを確認したいと思います。

○小滝政府参考人 このたびの法案におきましては、全国各地で空洞化が深刻になっております中心市街地の活性化について、政府を挙げて集中的かつ効果的な支援を行うため、内閣に、全閣僚を構成員とする中心市街地活性化本部を設置しているわけでございます。

 この本部を支える事務局につきましては、御指摘のとおり、行革の観点も踏まえつつ、現在の体制をできる限り効果的かつ効率的に活用することが望ましいと考えております。

 また、今回講じようとしている施策でございますが、稚内から石垣までの都市再生を推進しております都市再生本部の実施している施策とも関連する面があるのではないかというふうに思っておりまして、こうした施策とも有機的に連携をさせていく必要があると考えております。

 このため、中心市街地活性化本部を支える事務局機能につきましては、内閣官房に設置されております都市再生本部事務局に兼ねさせることといたしまして、関連する諸施策が一体となって効果的に展開されるよう、政府一丸となって取り組んでいくこととしております。

○新藤委員 ありがとうございました。

 二階大臣、今度こそとおっしゃっていただきました。これは本当にこれからの私たちの国づくりの根幹になる政策だと思っておりますから、しっかり頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。