第97号 植木の里 安行に出かけませんか ~植木直売所の開設


 植木の里、安行。その名前は、国内はもとより海外にも広く知れ渡っています。
 この度、安行植物取引所では一般の方向けに植木直売所を新設しました。植物取引所はせり取引を中心とした植木の卸売を主要業務にしており、植木の流通拠点として全国に名の知られた場所です。この市場は業者しか使うことができず、一般にはあまり馴染みのないところでした。
 
そこで、植木産業の未来を開く新たな事業として、植物取引所の鈴木社長をはじめとする植木業者さんたちが打ち出したのが、この植木直売所です。ここには、
植物取引所の株主である川口市内の植木業者の中から36社がそれぞれに展示スペースを持ち、その出展品目は1,000を超えるそうです。植木や苗木、鉢物
や花物のみならず、4月からは地元のあゆみの農協の協力を得て、野菜の販売も開催されるそうです。
 3月18日、私はこの植木直売所の開始式に招待され、関係者にいろいろとお話を伺ってきました。


◆「売り手は一流の植木職人」

 川口の誇る地場産業である植木産業も、和風の庭園が少なくなってきたことや消費者の好みの変化などから、近年ではなかなか厳しいものがあります。
 300年以上もの歴史と伝統を守っていくために、仲買人や流通業者のみならず、ぜひ一般の人にも植木産業に眼を向けてもらいたい。それが関係者の願いです。
 この度開設された植木直売所の特徴は、3つあります。まず第一に、「世界中の品揃え」があげられます。安行に来れば、国内はおろか世界中の3,000種以上の品種を入手することができるのです。
 次に、「いいものを安く」提供できることです。何よりも植木業者さんの直売ですから、品質の良さと低価格のものがそろっていると関係者は語っておりました。
 最後に、特に私がアピールしたいのは、「売り手は一流の植木職人」の皆さんだということです。代々培ってきた技術とノウハウを持ったプロの植木業の方た
ちが交代で常時詰めており、植木の手入れの仕方や病気のこと、庭造りのこと等々、あらゆることで相談に乗ってくれます。職人さんたちですから、ややとっつ
きにくい人も見受けられますが、気軽に声をかけて欲しい、とご本人たちは申しております。


◆ 新たな川口ブランドの創出-安行桜

 また、新たなセールスポイントとして、この地の名を冠したサクラ、「安行桜」をご紹介します。大島桜と緋寒桜が自然交配してできたもので、今から50数年前、この安行から販売された品種です。ソメイヨシノより半月から1カ月ほど早く咲き、濃いピンク色の大きい花びらが特徴です。
 私はこれまで、地域産業活性化のために地域ブランドの創出を提案してまいりましたが、我が街の地酒「初扇」、健酎「たたら」に続き、この「安行桜」を応援したいと思っています。
 植木直売所では、この安行桜のイラストをあしらった袋を作成し、シンボルとしています。敷地内にも数本の安行桜が植えられておりますので、ご覧になってみてください。もちろん、苗木も販売されています。
 川口駅近くの、旧サッポロビール工場跡地 リボンシティ内の公園にもたくさん植えられたそうです。


◆ 春に誘われて

 植物取引センターの道を隔てた向いには、川口緑化センター「樹里安」があり、さらに、すぐ近くに「あゆみの農協園芸センター」もあります。いずれも、植
木や苗木、花や盆栽などありとあらゆる品種が販売されています。昨今のガーデニングブームでデパートなどにも園芸コーナーがみられますが、こちらは3カ所
あわせて200近い業者が入っていますので、見応えは充分。
 「今の時期なら、ウメ、モモ、サクラ、シャクナゲ、ツツジなどの花ものの苗木がおすすめ」だそうです。
 色とりどりの花が春の到来を告げるこの時期に、ぜひ皆さんも、散策をかねて安行を訪ねてみてはどうでしょうか。

安行植物取引所 「植木直売所」
 水曜日定休(せり市開催のため)
 3月~8月 9:00~18:00
 9月~2月 9:00~17:00
 TEL:048-295-2580
川口緑化センター 「樹里安」
 年中無休(年末年始を除く)
 園芸販売 9:00~18:00
 TEL:048-296-4021
あゆみ野農協 園芸センター
 年中無休(但し1月1.2.3日は休み)
 3月~9月 9:00~18:00
 10月~2月 9:00~17:00
 TEL:048-295-1013
新 藤 義 孝