第49号 尖閣諸島は日本の領土です



2001年9月、海上保安庁の航空機に乗り魚釣島を視察


[領土問題は国家の基本]

 私は国政を志した当初より、「この国に住む私たちが、如何にして安全且つ豊かに生きがいを持って暮らすことが出来るか」ということを政治の目的としてま
いりました。その基本として領土問題は絶対に外せない大切な分野です。またその解決のためには、まず現地を知ることが重要と考え、日本の抱える3つの領土
問題の内、近づくことの出来ない竹島を除き、これまで北方領土・択捉島に上陸し、現地島民との対話集会を開催しております。尖閣諸島については上空からの
視察を行っております。今号は、最近中国との間でとみに緊張関係が増している尖閣諸島問題について、皆さまに現状をご報告させていただきます。

[魚釣島灯台の国有化と中国の反発]
 先月9日の記者会見で細田官房長官は、尖閣諸島の魚釣島に民間が建設・所有してきた灯台を、国が直接所有・管理することになったと発表しました。これに
対し、中国外交部は「尖閣諸島及び周辺諸島は中国固有の領土。日本が取るいかなる行為も違法かつ無効である」と強く批判。また台湾外交部も、「台湾の領土
であることは疑いようのない事実」と主張しています。
 なおこの灯台は、1987年に日本の政治団体が建設し、石垣市の漁業関係者が所有していたもので、所有権の放棄を機に日本政府が国有財産とし、海上保安庁が保守・管理を行うことを決定したものです。

[尖閣諸島とその歴史]
 尖閣諸島は、沖縄本島から西方410km先に位置する東シナ海に浮かぶ日本の領土であり、魚釣島、久場島、大正島、北小島、南小島等の島々からなっています。
 1885年以降日本政府は現地調査を実施、これが無人島であり清国の支配が及んでいる痕跡がないことを確認の上、1895年(明治28年)に現地に標杭
を建設する旨の閣議決定を行ない沖縄県に編入、正式にわが国の領土としました。その後日本人が入植し、アホウドリの羽毛の採取や鰹節などが製造されていま
した。鰹節工場が閉鎖された1940年以降は無人島となっています。
 第二次世界大戦後は一時的に連合国の管理下に置かれましたが、1972年には日本に返還。島は開拓者の子孫が所有する民有地で、現在も日本政府が貸借契約を結んでおり、日本の実効支配は依然継続しています。

[尖閣諸島の領有権問題]
 この小さな島の領有権問題が浮上したのは、1968年に国連のアジア極東経済委員会の協力の下、東シナ海一帯の海底の学術調査を行ったことから始まりま
す。東シナ海の大陸棚には莫大な石油・天然ガス資源が埋蔵されている可能性があることが指摘され、1971年に中国と台湾が相次いで同諸島の領有権を公式
に主張しはじめるようになったのです。特に中国の主張の根拠は、尖閣諸島が中国大陸の大陸棚に属しているため、というわが国にとって絶対に受け入れられな
いものです。しかし中国は東シナ海の海底資源探査を進め、最近ではわが国の主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線付近でガス田事業を始めようとしてい
ます。これは国連海洋法条約に違反し、日本の主権を侵害する可能性のある行為です。わが国はこの無謀な行為に対し、断固たる姿勢を強く打ち出さなければな
りません。

[繰り返される中国側の領海侵犯]
 尖閣諸島周辺の日本領海内では、中国軍海艦船による海洋調査や中国人活動家の領海侵犯を伴った接近が繰り返されています。1978年には約100隻に及ぶ中国漁
が領海内不法操業を行う事件が発生。1988年には台湾船2隻が魚釣島周囲の領海内に侵入。さらに1996年以降は、台湾・香港等の民族主義者による領有
権主張の実力行使がたびたび行われています。昨年3月には、尖閣諸島に7名の中国人活動家が上陸。日本側が彼らを逮捕の上、強制退去させるという事件もあ
りました。また、昨年11月の中国海軍の潜水艦による領海侵犯事件は皆様も記憶に新しいと思います。

[尖閣諸島を視察]
 海上保安庁は尖閣諸島周辺海域に大型巡視船を常時配備すると同時に航空機による定期的なしょう戒を実施しています。2001年9月、当時総務大臣政務官だった私は、自らの目で現状を確認するため、現地視察を行いました。
 
那覇空港内にある第十一管区海上保安本部で説明を受けた後、管内航空機YS11「しゅれい」による海上保安庁の定期監視に同乗し、機上より尖閣諸島を視
察。また、無線により領海警備中の巡視船「よなくに」へ激励のことばを送りました。翌日は石垣航空基地から下地島へ移動。国内唯一の民間ジェット機の訓練
空港である下地島パイロット訓練所を訪れ、航空管制業務を視察。さらに、ヘリコプターで巡視船「くだか」に降立ち、海上警備の任にあたる職員の皆さんを激
励しました。報道資料等で見聞きしていただけではわからない、第一線で日本の領海を守る海上保安庁の皆さんたちの心意気が感じられ、現場で確認することの
大切さを実感しました。

 領土問題は古今東西を問わず国家の基本であり、領土を守ることは、次世代に繋ぐ私たちの責任だと思います。そして、この解決の手段は外交を用いるほかはなく、わが国政府と政治の責任は限りなく重いものと心得なければなりません。

新 藤 義 孝