住民基本台帳の一部改正法律案(質疑)衆議院地方行政委員会-12号 1999年4月20日

住民基本台帳の一部改正法律案(質疑)
145-衆-地方行政委員会-12号 1999年04月20日

○新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。
 地方行政委員会には初めてお邪魔をさせていただきまして、質問させていただくわけでございまして、どうぞよろしくお願いをいたします。特に、野田大臣には初めてお目見えをさせていただきます。大変アグレッシブな方だと私は尊敬しておりますので、私が今回質問させていただく中でこれはと思うことがあったら、ぜひ御答弁いただければありがたいと思っております。
 ただいま、滝実先生の明治時代からさかのぼることの歴史を踏まえた格調高い専門的な御質問があったわけなのでございますが、私は、これから先の将来の日本の情報化、こういう観点から今回のこの住民基本台帳の法改正をどうとらえていくかということで、御質問させていただきたいというふうに思っております。
 いろいろなところで、行政もそれから政治家も含めて、二十一世紀の社会のキーワードは何かということになると、必ず出てくるのが高齢化社会とそして情報化社会だ、こういうことになっています。そして、閣議決定を何度も繰り返しまして、この住民基本台帳はもう既に平成九年の段階でやるんだというふうに決まっているわけでございますね。そして、政府の方でも、高度情報社会推進本部において、去年の十一月に基本方針をきっちりと決めているわけなのです。しかし、私の思うところ、我が国の情報化というのは思ったほどに、期待しているほどに進んでいるのかな、こういう気がするのでございます。
 先進であるアメリカなんかと比べましても、これはもうどんどん離れているばかりなのですね。インターネット利用は、アメリカが六千二百万人、日本は一千四百万人でございますし、人口一万人当たりのホスト数、これは日本は世界で二十三位なのですね。世界一の通信技術、コンピューター技術を誇る我が国が、自分のところでつくっているのですが、しかし、どれだけ使われているかというと、ホスト数においては、シンガポールが十三位、香港が二十二位、そして日本はその次になっている、こういうような活用状況でございます。それから、電子商取引がこれから拡大するんだ、拡大してきたといっておりますが、アメリカが二十一兆円、日本はまだ八兆円だ、こういうことになるわけなのです。
 ですから、なぜこれが進まないのか。私の考えるところ、率直に申し上げますと、便利でないのですよ。結局、自分の生活や仕事にみんなが使えるような創意工夫をしていかないと、ただ見るだけだったり、それからデータが集まってきたものを集計するだけ、そういう状況ではなかなかこれは普及が進んでいかないというふうに私は思っているのです。
 ですから、そういう意味で、今回の住基台帳法の改正が、まずは行政の効率の向上、それと住民の利便性が上がるんだ、こういうことで私は大変歓迎しておりますが、これとあわせて、情報化を進めていく中で、今回の住基台帳のネットワーク化、これは自治省、どういう取り組みをされるつもりなのか、今のお考えを聞かせていただけるとありがたいと思います。

○野田(毅)国務大臣 幾つかの論点が指摘されたと思うのです。全体として、日本の社会全体の中で、高度情報化社会に対する対応が、世界的なレベルで見て、非常に本来のあるべき姿よりもテンポが遅過ぎるのではないかという、そのことに対するトータルとしての危機感といいますか問題意識というものが指摘されたわけであります。
 この点は私も全く同感でありまして、これはそれぞれのミクロの企業レベルにおいても、あるいは、場合によっては学校における子供のころからのそういうような教育の内容そのものにおいても大事である。シンガポールなんかは日本よりもはるかに小さいころから学校教育の中で徹底してそれをやっているわけで、そもそも民族の繁栄というのは進取の気性ということが非常に大事なことであって、このフロンティアの部分をどう育成していくかということが一つの大きなポイントだと思います。
 それから、自治省において、情報化に向けてどのような取り組みを行ってきたか、あるいはまた、おるのかというようなことでございました。この点につきましては、地方公共団体における情報化というのは、地域住民の福祉の向上や、あるいは地域の活性化を図るとともに、新しい行政ニーズへの対応あるいは行政事務の一層の高度化、効率化を図るということを可能にするものでありまして、セキュリティー対策や個人情報保護に十分留意しつつ積極的に推進をしていかなければならないというふうに考えております。
 そこで、このために、自治省では、地方公共団体に対して、既に地域の情報化の推進に関する指針及び行政の情報化の推進に関する指針というものをお示しいたしておりまして、各地方公共団体における情報化を積極的かつ戦略的に推進をするように要請をいたしております。同時に、地方債及び地方交付税による財政措置により支援をいたしておるというところでございます。

○新藤委員 ありがとうございました。
 それで、とにかくこれを進めていく、どんどん進めていくべきだと私は思っておるわけなのですが、しかし、そのときにやはり留意しなければいけないのは、盛んに新聞等でも言われておりますが、やはり国家の一元管理、権力の乱用が行われるのか、こういう危惧があるという声と、それから、そもそも個人情報が保護されるのか、こういう部分が今回の改正の一番の課題になるのではないかな、こういうふうに思うのです。
 そして、ただ、私の考えですけれども、今回の住基台帳ネットワークができることによって、個人情報が漏れるなり、勝手に使われる、流用されるおそれが増す、こういう心配があることについては、私は、逆じゃないかな、こういうふうに思っているのですよ。というのは、結局今回のネットワークをやるということは、これはもう最先端のセキュリティー技術、それから暗号技術、こういうものを徹底的に工夫する、それからまた、実際運用上においても随分の工夫が、やり過ぎかなというぐらいに私は思うのですが、工夫が入ってきている、こういうふうに思っております。
 現状で、むしろ個人情報保護法というもの、これは今国家行政機関の情報だけはその保護法によって制約がありますが、民間情報それから地方公務員に関しては、その情報を守りなさいという法律すらないという今の現状の中で、社員名簿だとかそれから顧客リストの流出だとか売買なんというのはむしろどんどん横行してしまっているわけなのです。
 だから、私は、今回この住基台帳のシステムをきちっとするところで、まずシステム設計、セキュリティーを徹底的なものにする、それから職員の教育と罰則、こういう法令に基づく制約をかけていく。しかもこれに加えて、例えば住基台帳のデータを個人で、ICカードを持ってもらう、こういうことになったとすると、このICカードというのは極めて偽造だとか不正使用ができない、今のところ一番難しい、要するに今セキュリティー度が一番高いわけなんですね。
 紙なんというのは、だれか持っていっちゃえば済むわけなんですが、自分の複雑な番号をもってしては、他人様がそれを知ることはできないんですよね。そうすると、例えばこのICカードをしっかりと運用していくと、むしろ今までデータがとれたはずのものがとれなくなってしまう、そういうふうに考えたらどうかなというふうに思っているのでございます。
 それで、今回、本法改正におけるネットワークのシステム、それからルール、こういうものがどのように検討されているのか、工夫されているのか、ちょっとさわりで結構です、時間がだんだんなくなってきますので。
 国の一元管理の問題は、先ほど滝先生が御質問されました。私も御答弁に納得しております。国がやるのではなくて、国がいわゆる公益法人をつくって、そこの中で委託、県と市がやるんだよ、こういうことでございますから、納得しておりますので御答弁は結構でございます。

○鈴木(正)政府委員 この住民基本台帳のネットワークシステムにつきましての、特に個人情報保護面での配慮措置ということでございますが、先ほど申し上げましたように、基本的には国際基準を踏まえまして、法律上、技術上、十分な保護措置を講じるという考え方で構築をしてきております。
 例えば、制度面での保護措置といたしまして、本人確認情報の提供先、あるいは利用目的については、法律で明らかにして規定するということといたしております。また、本人確認情報を取り扱う関係者、市町村、県、全国センター、あるいはそれの電算処理を委託される機関等に対します安全確保措置、これを義務づけております。また、従事する職員の秘密保持の義務づけも行っております。
 また、本人確認情報の目的外利用の禁止ということを法律上明らかにしております。民間部門での住民票コードの利用も禁止しております。そういうことで、公的部門での利用ということにいたしておるところでございます。
 システム面の保護といたしましては、これまでの全国的なシステムというものの実績の上に立って、それにまさるとも劣らない内容のセキュリティー面の配慮措置を講ずることといたしているところでございます。

○新藤委員 このICカードは、別に持ちたくない人は持たなくてもいいということになっているわけなんですから、そのメリットを感じる人がお持ちになるということでございまして、別に全員に持たされるということでもないんですから、問題ないんじゃないかと思うんですよ。
 ただ、きょうは御答弁はいただきませんが、むしろ個人情報保護法というものをしっかりと包括的なものにしていく、これは絶対やらなきゃいけないと思いますね。むしろ、国だけになぜ外しているのかというのが私不思議なんですが、これはやらなければだめだというふうに思っております。
 それから、次のポイントとして、今回の課題としては、個人情報の保護と国の一元管理を、権力の乱用を排すということだとすると、逆に今度は、今回の法改正のポイントとしては、とにかく全国人口の九九%がコンピューター処理されているこの住基台帳を自治体間でネットワーク化させること、これによる物すごい行政事務の効率化が行われるということだと私は思っております。
 要するに、今までは自分の住んでいるところでなければとれなかった住民票が、勤務先のどこでもとれるし、それから転入転出の際は一回で済むんだ、こういうようなことでございます。
 それで、これに加えて、ほかの行政機関がこの住基台帳にアクセスすることができるようになれば、これは住民票をとるだけじゃなくて何かほかの、その個人が例えば雇用保険だとか労災給付、それから恩給、共済年金支給、建築士免許、宅建資格、こういうものを登録するときの申請に、一々住民票をとりに行かなきゃならなかった。それが今回は、役所同士で連携をとってくれて、個人としては自分は本人なんですよと申請をすればそれでいい、こういうことになる。非常に便利になるんじゃないかなというふうに思うんです。
 これはかなり工夫をして、さっきのお話ではたしか十六省庁九十二事務ございましたね。こういう話ですから、便利になるということで、答弁してもらおうと思ったんですけれども、時間がもったいないですから、それはもう結構なんです。
 それで、私、これに加えて本当は考えていただきたいのは、今回民間利用を禁止しております。言いかえれば、個人が行政のデータに直接アクセスすることはできない。民間の商行為ではなくて、一市民が私はアクセスしたいんだといっても、アクセスできないことになっているわけなんですね。そこが実は大変なポイントになってくると私は思うんです。
 今回、状況として踏み込めないというよりも、考えていないということなのかもしれないんですが、二十一世紀型の高度情報化社会というのは、一々自分が足を運ばなくても、自分のコンピューターで、または自分の認証されたICカードでいろいろなコンピューターのネットワークにアクセスできることで、初めて飛躍的な高度情報化社会が訪れる、こういうふうに思っているんです。
 例えばどんなことができるかといえば、自分のうちのパソコン、もしくはカードを持って駅のキヨスク、売店だとか、それからコンビニエンスストアなんかにそういう端末があったとします。そこで住民票をとりたいんだと、そうするととれちゃうんですよね。とれることになるんです。それから、介護保険の手続だとか、そんな検索なんかも自分でできるようになりますし、いよいよ始まりますけれども、高速道路で、有料道路のところにITSというのですか、自動料金算定装置、これも、自分のカードを出せば全部それでもって決済できるようになるわけなんですね。
 だから、結局、今日本の情報化が進まない最大の原因は、さっき一番最初に申し上げました、使える情報処理ができないんだ、役に立つものがないんだ、少ないんだというお話をしましたけれども、ここの部分だと思うんです。
 それで、アメリカはパソコンが家庭において半分以上普及しております。日本はまだ二割行っておりません。この最大の原因は何かなと調べました。そうしたら、アメリカは総合課税制度になっておりまして、源泉徴収もありますけれども、個人が申告するんですね。それの申告ソフトが、物すごく使いやすいソフトが普及しておりまして、だから、みんな税金の申告をするためにパソコンを買うんですよ。それから、アメリカの大学生は宿題はEメールで出るんです。ですから、大学に行って、パソコンができない者は宿題を出せないんです。だから、それを子供のころからさわらせて教育させる。自分と一対一でやっているんですよね。
 だから、ちょっと住基台帳から離れちゃっているように聞こえるんですけれども、結局、そういうすべてのネットワークを、この九九%がコンピューター処理されている日本最大のネットワークを使って、それを民間利用と個人利用をさせることでこの情報化というのは物すごく普及する、こういうことになってくる。
 それで、例えば教育問題。教育現場にパソコンを入れろというので、日本の方針ですと、平成十二年度までにすべての学校に、それで十五年までにすべての小学校に、十三年までに中高ですね。これはすごいなと思うんですけれども、アメリカは二〇〇〇年までにすべての教室、学校ではなくて、そして十二歳以上のすべての生徒なんです。日本は学校ですよね。片や世界の国は、教室、もしくは十二歳以上になったら一人一人に持たせるという、この差なんです。この差が恐ろしいんです、どんどん。
 だから、そういう意味で、私は、今回の法改正に盛り込めという気持ちはありません。ただ、今回あえて民間利用を禁止した、セキュリティーだとか権力の乱用だ、そういう不安のもとに禁止した部分、将来のことを、取り組み、お考えを聞かせていただきたいのです、どんなふうに考えるか。

○鈴木(正)政府委員 率直に申し上げまして、現在、この新しいシステムの法律を通していただきまして構築するということに精力を注いでおりますので、今お話しのように、現在考えている内容は、民間については利用を規制するという考え方でございます。
 将来のあり方でございますけれども、お話しの、民間の商業部門で使うということでなくて住民の方がアクセスするという問題でございますが、行政分野で申し上げますと、行政のいわば申請とか届け出等の行政手続面でオンライン化を進める、その場合に、認証のシステムとしてこの新しいシステムが使えないかどうかということだろうと思います。
 お話しのように、市町村の区域、県の区域を超えた全国的な本人確認のシステムでございますから、そういうものを認証システムとして利用可能性があるのかないのかということは、この制度が動きまして、あわせまして、そういったことも検討課題として考えていかなければならないだろう、こういうふうに考えております。

○新藤委員 現状では、今のところ、この法律をまず始めることからだ、このように思っておりますから、私もそれは重々承知をしています。ただ、大臣、これは自治省の仕事ではなくて国家全体の情報化を進める上で多分極めて大きなポイントになってくるはずなのでございまして、これはぜひ頭にお含みおきいただいて、そして将来に向かって検討していただきたいな、このように要望をしておきます。
 それからもう一つ、先ほどからどうしてもネットワークというよりもICカードの話が多くなってしまうのですが、この住基台帳ネットワークに伴ってICカードを入れることで、もう一つ別の利用可能性が広がります。これは要するに、この住基台帳ネットワークに入っていって使うのではなくて、それを持っていることによって個人認証がしっかりできるということによって、ほかの仕事に使えるわけなんですよね。
 要するに、本人が自治体から発行されたカードを本人と認めてもらいたい相手に渡して、そして自分が本人であることが間違いないと認証されれば、住民票要らないよ、こういう話ですね。パスポートだとか免許証だとか、いろいろあります。少なくとも紙なんかより全然安心なわけですよ。だから、こういうことで非常に私は有効だなというふうに思っております。ましてや図書館で本を借りるときだとか、それから、この間ちょっと実験をやりましたが、電子投票ですね、こういうものをやる上でも、これはぜひ本格的な導入を実施すべきだ、こういうふうに私は思っているのです。
 ただ、諸外国でいろいろもう行われています。日本はこの件に関しては後進国なんですが、お隣の韓国で、何かこのICカードの取り組みでこれまでの方針を撤回するというような週刊誌の記事が出たり、それから御視察いただいた方もいらっしゃるようですが、そういう情報が聞こえております。これについて、自治省としては、韓国の問題、どういうふうに分析されているのか、わかっておる範囲で教えていただきたいと思います。

○鈴木(正)政府委員 韓国におきましては、ICカードの利用ということで、それは、偽造、変造を防止し、情報化社会に対応した多目的な身分証とするということで、現在、紙製の住民登録証がございますが、それをICカードの電子住民カードとするための法律改正を平成九年十一月に行いまして、成立しました。その後、韓国の厳しい国家財政にとって相当の費用を要するという点、それから二つ目は、国民監視が強化されるのではないかという不安に基づく反対運動が強まったということで、電子住民カードの関係条文の削除ということを内容とする改正法律案が議員立法で国会に提出されたというふうに聞いております。
 この電子住民カードは韓国の住民登録制度の一環でございますが、日本とはかなり住民登録制度は実情を異にいたしております。
 韓国におきましては、全国民について住民登録番号をもとにして多数の情報が住民登録ファイルとして管理されておりまして、その情報が行政、民間を通じてさまざまな分野で利用されている。また、満十七歳以上のすべての国民は常時住民登録証を携帯するということが義務づけられております。この住民登録証につきましても行政、民間を通じて利用されている、こういうことでございますので、制度のもとが大分違います。
 住民基本台帳ネットワークシステムの方では、これまでもお話ししましたが、保有するデータは住民票コードと四情報、氏名、住所、性別、生年月日及び付随情報のみであるという点、また、国の機関等へのデータの利用、提供については法律上明確な根拠が必要である、また、目的外利用というものが禁止されている、それから、民間部門による利用が禁止されている、また、住民基本台帳カードは住民サービスの向上の観点から希望者にのみ発行するといったことで、韓国の住民登録制度及び電子住民カードとは異なっている、このように考えております。

○新藤委員 まあ、韓国、経済危機が深刻でございますから、そういう側面もある。そしてまた、国の一元管理、権力の乱用が心配だ、これは私に言わせれば、もう極めて感情論である。このことをやると悪いことをしてしまうからやらないよ。悪いことをしたら罰する、悪いことをさせないように工夫をする、それが知恵を使うということであって、物理的にこういうものをつくらなければ悪いことがないんだと。
 ところが、どんなことをやったって、なければないなりに、今は個人情報なんというのはむしろ横行してしまっているわけなのですから、だから、骨太の議論をしっかりすべきだ、感情論でやってもらっては困るし、私もそんなことをもし国家に管理されてしまったら困りますから、そういうことをやられないようにルールをつくり、法律をつくるということなのでございます。
 韓国と日本は違うのだということがよくわかったわけでございます。
 そして、最後の質問にさせていただきますが、結局、システムとルールをきちんとすればこれは問題なく運用できるではないか。しかも、先ほどから御答弁が繰り返されているように、四情報に限ってとか物すごい制約をかけてしまって、本来ならもっと使える、国の基幹、根本を変えられるような、産業の活性化も含めて新産業の創出も含めてできるはずのものを縛ってしまっているわけなのですけれども、将来の話として、これを国民総背番号制だといって反対されている方がいる、こういうことも聞いております。
 ただ、背番号制とは、確かにそれは全員に番号をつけるわけなのですが、しかし、広い意味でこういうものはさっきの韓国だってもう昔からですよね。含めて、アメリカ、カナダ、デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、イタリア、オーストラリア、ほとんど使ってしまっているわけなんだ、このように思います。
 それから、やはり嫌だと言っている人がいるけれども、統一された番号によって所得の正確な把握をする、これは徴税の公平化からすればやらざるを得ませんよ。こんなことを、隠しを認めるようなことが暗黙の了解というのはいかにも日本的です。こんなの絶対だめです。
 それから、社会保険だとか介護保険の対象者の把握、それから本人確認、行政事務の効率化、幾らでもありますけれども、まず第一点に、もう年金の基礎年金番号制が始まってしまっているではないか、別の番号がついてしまっているのでどうするんだという話があるわけなのです、二つ番号持たなければいけないのかと。
 それから、これから介護保険制度が始まってまいります。これも、介護保険制度はシステムの基本設計、全三千三百自治体の中の三千二百自治体が厚生省にシステム設計の補助申請を出しています。ところが、このシステムを構築する上で、ある自治体は住基台帳を根本にして介護保険の台帳をつくろうとしているのです。でも、ある自治体は国保台帳をベースにしているのですよ。統一した見解をつくっていないから、ばらばらになってしまっているわけです。
 このほか、これから例えば免許だとかほかの事務に、それから、きょうは余り僕はここで言いたくありませんが、例の納税者番号、ある新聞の社説によると、別のシステムをつくれというのです。それでは一人の人間に三つも四つも五つも番号をつくって、それのシステム運用で、私の地元、埼玉県の川口ですけれども、川口の町で介護保険のシステム基本設計をやるのに七千八百万かかっているのですよ。これまた別の台帳を使えとなったら、また同じ金がかかるわけで、三千二百自治体で、もちろん大きさは四千五百万が基本ですけれども、これはむだ遣いなんですよ。でも、国が方針を定めないから結局やっているわけなんでございます。
 とにかくこれを、この住基台帳のシステムが九九%捕捉されて日本で一番ネットワークを張っているのですから、これを今回まず入れさせてもらって、その後の日本の情報化、そして個人がコンピューターにアクセスする、こういうことの前提として、やるべきだと私は思っております。
 そういうことで、今回の決意というか、もう質疑時間が終了してしまいましたので、多分お答えは余りできないと思います。でも、そういう気持ちでやらないとこれはうまくいかないよ、私はこういうふうに思うのでございます。一点お願いするとするならば、この住基台帳コードの、将来他の行政事務への展開、このことについてどういう御見解があるのか、このことだけを最後に質問しておきます。

○野田(毅)国務大臣 基本的に御指摘のとおり、まことに私どもが申し上げたい事柄、もう随分お話をちょうだいいたしまして、大変心強い限りであります。
 いずれにせよ、これからいろいろな行政事務等にどこまで広げていくかということにつきましては、まずこれをスタートさせていただいた上で、法的な手当てをしながら具体的には展開をしてまいりたいというふうに思います。
 ありがとうございました。

○新藤委員 いろいろ申し上げましたが、いろいろな意見があると思いますが、しかし国民大多数の利便性を向上させるという観点から、私は、これは積極的にぜひ推進していただきたい、このように申し上げまして、質問を終了させていただきます。ありがとうございました。