小児神経科-主に扱っている疾患
■発達障害(精神遅滞、自閉症など)
■注意欠陥・多動性障害(AD/HD)
■学習障害
■行為障害(家庭内暴力など)
■チック、トゥレット障害
■排泄障害(遺尿症)
■摂食障害(拒食、過食症)
■選択性寡黙
■虐待
■統合失調症
■気分障害(うつ、躁うつ病)
■パニック障害
■社会恐怖症(引きこもりなど)
■強迫性障害
■解離性障害
■身体表現性障害
■PTSD(外傷後ストレス障害)
■不登校
■発達障害(精神遅滞、自閉症など)
うちの子は発達が遅れてるのではないか?ということで、相談に来られるケースが多いです。健診で引っかかってくる場合や、保育所・幼稚園で来院を勧められる場合もあります。
平均的に、知能・運動とも遅れているのが、精神遅滞。
社会的相互交渉の障害(愛着行動=お母さんの後ろをついてまわる、ができない、など)、コミュニケーションの障害(合同注意=他者との共感を含む、ができ ない、言葉の遅れ、など)、こだわりがある(おもちゃの車ばかりで遊ぶ、一列に積み木を並べる)場合は、自閉症の可能性も考えられます。
言葉が出るのだけが遅れている(男の子に多い、表出性言語障害)、「さ」行、「た」行がうまく言えない(音声障害)ケースもありますが、言葉の指導により、うまくしゃべれるケースが多いです。
<対応>
早期発見、早期療育が大切です。病院などに併設されている「ことばの教室」などに週1回や隔週で通う一方で、地域の幼稚園などへの通園を勧めています。
自閉症児の場合、状況を読みとるのが苦手なため、不安になることが多く、構造化された指導をしたり、絵カードなどの視覚的な教材を、言葉の指導と共に併用したりします。
早期療育により、言葉が出てくる子供も多いですが、中学生・高校生となってゆくと、今度は対人関係の問題で悩む子供も多いです。
最近は、診断感度が以前より増しており、高機能例やアスペルガー症候群(著しい言語発達の遅れがない)と診断される症例も多く見られます。
■注意欠陥・多動性障害(AD/HD)
小学校入学してから、授業中落ち着きがなかったり、歩き回ってしまったり、忘れ物、落とし物が多かったり、人の話を聞いていないなどの症状で、学校の先生に勧められて来るケースが多いです。また注意力がないことで、人見知りしない子が多いのも特徴です。
男の子は多動優位、女の子は不注意優位が多いです。
<治療>
薬物療法ではリタリン。朝、昼、服薬することが多いです。服薬により5時間くらい、落ち着きが出てきます。副作用の食欲低下がでることもあり、定期的な体重チェックが大切です。
周りの対応は、しかりすぎないこと。見ていて危なっかしいので、危険な物は危険!としっかりピンポイントで叱るのも大切です。
気が散らないように、宿題をするときはいるものだけにするとか、教室の中での席を、先生の目の届く範囲にしてもらったりします。
こういう子はしかられすぎて、自信を失い、大きくなって行為障害に化ける危険性があります。診察時には学習障害の合併の有無も、チェックしておきます。
■学習障害
LD,と最近騒がれている学習障害です。
ひらがな、漢字を書くのが下手、誤りが多い、筆算が苦手、協調運動が苦手、空間の把握が苦手(迷子になりやすい)、順序立てて説明するのが苦手、など多様 な症状を呈しますが、何でもかんでもLDにしてしまう今の悪い現状もあります。WICSⅢなどの検査で、LDを判定します。教科ごとに不得意教科と得意教 科の点数の極端な開きがあるかどうかもチェックします。
<対応>
視覚的な教材を用いるなど、わかりやすい教育指導をします。字が汚い子にはます目に大きく文字を書かせたり、ワープロを使ったり、4コマ漫画で状況説明の 練習をしたりします。子供を叱りすぎないことが大切です。いいところを見つけて褒めることで、課題へのやる気や自信を育てます。
■行為障害(家庭内暴力など)
人や動物に対する攻撃性、所有物の破壊、嘘をつくこと、窃盗、重大な規則違反などが頻繁に見られます。学校などでは、いい子であっても、家の中では荒れている子もいます。学校、家庭、社会で支えきれなくなって、病院に来るケースも多いです。
<対応>
難しいです。まず、話をちゃんと聞ける第三者の存在が大切だと思います。状況を認知させて、対応を考える方法もありますが、すんなりと良くなるケースは少 ないです。かんしゃく、暴力を起こしているときは、叱っても効果がないと言われています。(混乱して、状況把握できていないため)継続的な粘り強い対応が 必要と考えられます。
気分調節薬、抗精神病薬などを、用いることもあります。
■チック、トゥレット障害
目をパチパチさせたり、鼻を鳴らしたり、肩すくめをするような動作を繰り返します。意図的に一定時間止めることはできますが、「くせ」と異なり、抵抗でき ない不随意的な運動で、大多数が半年以内に消失する一過性チックですが、中には慢性化したり、運動チックに音声チック(咳払い、クンクンと鼻を鳴らす)な どを合併してトゥレット症候群を呈するものもあります。
ストレスの増減(学校への登校など)により、症状が変動します。
<対応>
あまり気にせずに、チックを個性として受け止めることが大切です。指摘したり、やめさせたり、過度に触れないように周りが緊張するのは好ましくありません。慢性的なものには、ハロペリドールなどの薬物療法を用います。
■排泄障害(遺尿症)
ふつうは、3歳前後で日中の失敗は少なくなり、4歳以降で、随意的な排尿ができるようになります。年長さんになっても、夜、おねしょが続いている。または、昼間、お漏らしをしてしまうという症状で外来に来院されます。
神経内分泌系の発達の遅れ(尿道括約筋の発達が未熟)に、心理環境的要因が重なって起こると考えられています。
<治療>
まずは、頻回にトイレに行かせるようにします。授業中でも先生に声掛けをしてもらったりします。トイレに行くことが恥ずかしくて、行けない場合もあります。夜尿の場合、寝る前の水分摂取は控えることが大切です。
尿が出ている途中に我慢して止めたり、トイレに行きたくなっても、少し我慢することで、尿道括約筋を鍛え、膀胱の容量を増やさせる方法があります。ブラダロン、ポラギスなどの薬を用いることもあります。
シールを使って、うまくできた日は褒めてあげる。シールが集まると、何か買ってもらえる的なご褒美作戦が効果を示すこともあります。心理的にも不安定な場合もあり、ストレス(同胞の誕生とか、嫌いな授業があるとか)などの環境因子を考えて、対応してゆきます。
■摂食障害(拒食、過食症)
現代病といわれる、食べられない(拒食)、無茶食いをして、嘔吐してしまうこともある(過食)病気です。自己に対するネガティブなイメージが強く、太る= 誰からも相手にされなくなるという恐怖感や、吐くことや、体重が減少することの達成感から、生活が壊れてゆきます。下剤の乱用なども見られることがありま す。また、抑うつを合併することも多いです。
特定の原因は分かっていなく、多因子的な要因が考えられます。
<治療>
痩せることで周りから認められる(自己不全感の克服)、All or nothingの考え方、の是正や、体重低下に伴う体の不調(抜け髪、多毛、肝機能障害、低K血症、浮腫、心嚢水腫)を示し、病識を形成。また、一日の食 事カロリーを設定し、体重増加不良例には点滴を施行するなど、患児と目標を立ててやってゆきます。
食事チェック表をつけて、何を食べたか?過食・嘔吐したくなった時の対応などを考えさせるのも有用です。
薬物療法は、衝動性を押さえるSSRI、アナフラニールなどの抗うつ薬を用いますが、あくまで補助的です。
これまで染みついた考え方は、簡単には変わらず、自己否定感の改善も困難です。依存的な母親に対する指導など、患児とその周りの「成長」が必要なため、長期戦を余儀なくされることが多いです。
■選択性寡黙
ある場面(学校など)になると、突然、言葉が出なくなる病気です。。家庭や他の場所ではふつうに話すことができます。小学校入学以前に発症することが多 く、恥ずかしがり屋、引っ込み思案といった性格に、環境因子(入園、入学)・遺伝因子といったものが組み合わさっていると考えられます。
<治療>
話すことを強制しないことが大切です。身振り、手振りを用いたり、絵を描かせたり、と非言語的なアプローチと、潤滑な友達関係を支えることで、不安を取り除いてゆきます。
■虐待
身体虐待(叩く、たばこを押しつける、など)、心理的虐待(子供の傷つくことを言う。口をきかない、など)、ネグレクト(養育拒否)、性的虐待、社会的虐待(戦争させる、など)があります。
核家族化、近所づきあいの希薄化などにより、母親がストレスをため込みやすい環境にあり、ついつい叩いてしまうというケースも多いですが、問題行動が繰り返されることで、子供との愛着形成が不完全になり、子供自身が周囲に過敏になり、発育も不良になってゆきます。
<治療>
深刻なケースでは、養育者から分離するなどの方法をとります。ニュースでは、虐待が起きたところには注目はしますが、虐待児のその後についてはあまりク ローズアップされません。虐待のフラッシュバック、自己否定感情、愛情形成不全から生じる極端な防衛と傷つきやすさ(ちょっと注意されただけで、絶望にな る)、など成長の課程で、問題点は多くあります。絶対に大丈夫という環境づくりと自己に対するいい肯定感を育ててゆく、ねばり強い関わりが、虐待の連鎖を 断ち切る鍵になるのかもしれません。
■統合失調症
幻覚、妄想が主体の陽性症状と、引きこもりを主とする陰性症状が出現します。最近までは、精神分裂病と呼ばれていましたが、症状に比して名前自体のインパクトが強く、統合失調症に改められました。
自分の周りを守る壁の障害があり、それが故に、まわりに影響されやすく、また被害妄想や幻聴(自分を悪く言う声が聞こえてくる)などが見られます。
<治療>
抗精神病薬による薬物療法を中心に行います。最近は、非定型とよばれる新しいタイプの薬も出て、発症しても、人格荒廃を抑えられ、予後も良い症例が増えてきました。
■気分障害(うつ、躁うつ病)
最近、子供にもうつ病が多いということが言われるようになってきました。他の病名(行為障害、不安障害など)がついていても、うつ病、抑うつ気分を合併す ることも多いです。うつ病は、セロトニン系、ノルアドレナリン系のホルモンのバランスが崩れるために生じると言われ、基本的に、診断基準は大人に依りま す。抑うつ感情が大人に比べて乏しく、元気がない、不機嫌そうな表情、態度に表れることが多いです。希望や喜びの喪失、死にたいっていう気持ちも出てきま す。
躁うつ病の場合、躁状態ではかんしゃくを起こしたり、攻撃的になったり、性的逸脱行為をしたりします。
<治療>副作用が少ないと言われるSSRI、SNRIといった抗うつ剤を使いますが、案外、眠気とか吐き気がでる子が多いです。三還系抗うつ薬は副作用は目立ちますが、切れ味がよく、意外に使っています。
励まし(「がんばれ!」)は、追いつめることになるので原則禁忌、休息第一ですが、状況に応じて対応が変わります。
■パニック障害
突然、不安や恐怖感が生じ、自律神経刺激(動悸、発汗、震え、冷感など)、胸腹部の不快感、精神状態異常(離人症=自分じゃないような感覚、めまい感、コ ントロールできない不安、死への不安)を伴って、数分間続く不安発作です。過呼吸、パニック、暴力などの形で外に発散されてゆきます。発作が続くと、悪循 環を呈し、連続しやすい場合があります。
<治療>
パニックが起こった状況を把握し、再発の悪循環に陥らないようにします。また、パニック発作が起きても、周りが支えられる大丈夫な環境を作ります。過呼吸 発作時には、紙袋で呼吸する(過呼吸により低下した血中二酸化炭素濃度をあげてやるため)という古典的な方法もありますが、経口薬のセルシンを持たせたり して安心感への配慮をしたりするのも大切です。
もちろん発作の背景にある、不登校、行事、友人関係などへのカウンセリングも行ってゆきます。
■社会恐怖症(引きこもりなど)
自分が他人の注視を浴びているかもしれない状況で、自分が恥をかいたり、困惑したりするように何かをしたり、振る舞ったりするかもしれないという恐怖感 が、何かの刺激で誘発されてしまう病気です。対人恐怖はもっともよく見られ、特に知り合い(顔見知り程度とか、クラスメートとか)の同世代に対して大きい です。他にも、電話恐怖、視線恐怖(他人の視線を強く意識する)、赤面恐怖などがあります。このような恐怖症により、引きこもりになったりもします。
<治療>
抗不安薬、SSRIを補助的に使いながら、行動療法、精神療法をします。恐怖を引き起こさせる状況を考えて点数化したり、不安なこと(学校に行くとか)の 前後で不安の程度を評価したりします。(不安に思っていても、実際にしてみたらそうでもないことが多いです。)自律訓練法が有用なこともあります。
■強迫性障害
不合理だと分かりつつもその行為を考えてしまう、してしまうもので、前者を強迫観念、後者を強迫行為といいます。強迫観念としては、汚れなどについての恐 れ、何か怖いことが起こるのでは?という恐れ、強迫行為としては、ドアが閉まっているかどうか何度も確認してしまう。儀式化された手洗い、入浴などがあげ られます。
周りに確認させたりする他者巻き込み型と、自己完結型があり、子供は他者巻き込み型が多いです。
<治療>
暴露反応妨害法などの行動療法が有用と考えられています。最大苦痛を100としてそれぞれの不安をチェックし、患者自身に、これがなくなったらいいな?っ ていう優先順位を決めて、実際にやってみます。たとえば、不潔と考えられているハンカチなどを触って、手を洗わないように指示して、これを繰り返します。 治療者が患児に先立ってモデルを示す(触ってみる)ことが大切です。
薬物療法としては、SSRIや3還系抗うつ薬、抗精神病薬などを用いたりもします。
■解離性障害
解離とは、過去の記憶、同一性と直接的感覚の意識、そして身体運動のコントロールの間の正常な統合が一部ないしは完全に失われた状態で、何かをしていても 覚えていなかったり(解離性健忘)、どこかに行って、保護されたときは名前も覚えていないとか(解離性遁走)、いきいきとした感じがしない、感情がなく なった感じ(離人症)です。よくリストカットをしているとき覚えていないとかいうのは、これに当たります。解離が高度なものとしては、別人格が生じる解離 性同一性障害(多重人格障害)があります。
<治療>
解離とは防衛機制であり、不安、恐怖、絶望などから自我を守っているところがあります。被虐待児に多いのはこのためで、いきなり記憶をはっきりさせるので はなく、現実を受け入れられるような安心した環境作りと、徐々に現実と向き合えるよう、遊戯療法やカウンセリングで対応してゆきます。
■身体表現性障害
検査では異常はないのに、吐き気やめまい、腹痛や頭痛、また歩けなくなったりします。学校に行く前におなかが痛くなると言うのはそうで、子供は言語化の発 達が未熟なため、身体的に表現される(転換)ことが多いです。疾病利得(学校に行かなくていいとか、仲の悪い両親をつなぎ止めるとか)があると考えられて いますが、無意識的なものも多く、あまり原因追及しないほうがいいです。
<治療>
病気のふりをしている「詐病」(意識的)ではありません。心因性としてしまうことで、患児の心の弱さを指摘し、症状増悪することもあります。(無意識・意 識的に、本当にしんどいのに!と反発するため)環境調整をしながら、支持的に接してゆきます。歩けない子には、リハビリをしたりもします。なんか、アルプ スの少女クララを思い出しますね(^^;;
■PTSD(外傷後ストレス障害)
人が予期しない、自己および他者の身体的、精神的安全が極度に脅かされるような外傷体験の後に生じる不安、恐怖などのことで、戦争、災害、虐待、レイプなどが外傷体験としてあげられます。
<治療>
外傷体験は、個々の主観的な受けとめかたで異なるので、患児の感情表出、言語表出を促し、受け止めてゆくことが大切です。同じような体験をした子供たちで話し合いをしたりする、体験の共有も大切です。
■不登校
不登校というのは、疾患名ではなく状態を表しています。学校に行けない理由は、クラス内のいじめ、学級崩壊、特に理由もなくいけなくなった、など色々で、抑うつを伴っていたり、社会恐怖を合併していたり、統合失調症の初発だったり、いろんなケースが考えられます。
指導にしても、学校に行かなくていい、といったありきたりの指導ではなく、小学生は、保健室登校でも継続して登校させる方がいい場合があります。

























