週刊新藤 第275号 WEB版〈「竹島・尖閣諸島、我が国の周辺海域で頻発する他国海洋調査の実態」安倍総理、外務大臣などへ戦略的対応を申し入れ!〉を発行しました。ぜひご覧ください。

 

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ここ数年来の北朝鮮による核開発と度重なる弾道ミサイル発射などの国際社会に対する挑発が続き、我が国の安全保障上の脅威が高まっています。
国民の関心がこうした問題に集まる中、竹島や尖閣諸島の周辺海域では、韓国・中国・台湾の海洋調査船による我が国が受け入れられない海洋調査事案が頻発しているのです。

 

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▶1週間居座り続けた中国海洋調査船

尖閣諸島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内では、6月6日から13日まで約1週間にわたり中国による無許可の海洋調査が行われました。
中国海洋調査船「勘407」がワイヤーのようなものを海中に伸ばしているのを海上保安庁巡視船が確認し、受け入れられない調査であり中止するよう現場海域で申し入れました。
断片的に調査を繰り返しながら居座り続ける中国船に対し、約1週間、計13回にも及ぶ日本側の中止要求は全く効果を上げることができませんでした。
中国船の調査目的は相手が明かさないので未だに不明ですが、再三の中止要求をはねのけるほどの重要性を帯びていることは明らかだと思います。
日本が許可していないEEZ内での中国の海洋調査活動は、平成27年に22回、28年が11回、本年に入り1回目の5月10日は1日のみの調査でしたが、1ヶ月間をおかずして今回の調査となりました。

 

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〇中国・台湾の海洋調査船について

また、5月18日には尖閣諸島の日本領海内に侵入した中国公船からドローンが飛ばされ領空侵犯が発生、航空自衛隊がスクランブルをかけるという、初めての事態も発生しています。それは自民党の二階幹事長が中国の「一帯一路会議」に出席し、日中関係を改善させようとした直後のタイミングで起きたことなのです。

〇小型無人機(ドローン)らしき物体の視認について

▶10年ぶりに再開された韓国による竹島周辺調査

5月17日、韓国の海洋調査船が我が国の事前の同意を得ることなく、竹島周辺の我が国EEZ内で海中にワイヤーを投入すると共に、我が国領海に侵入・漂泊しました。こうした事態は昨年4月と5月、本年1月に続きこの2年間で計4回発生しています。
いずれも海上保安庁巡視船が発見、確認し、現場海域において中止要求を行うと共に外交ルートにより「即時に中止すべき」と強く抗議を行いましたが、この事態は、2006年7月以来10年振りであり、最近再開され、継続的に実施されているのです。

〇韓国の海洋調査船について

17日に活動した韓国調査船の「ヘ・ヤン2000」は10年前に、韓国が海底地形名称を国連に申請しようとして、日本側が中止を要請すると共に日本も独自の海洋調査を準備したため、日韓が互いに、巡視船にエンジンをかけるなど物理的対抗措置をとる事態に発展し、大騒動になった時と同じ船なのです。
ちなみに、その時の外務大臣は麻生太郎副総理、官房長官は安倍総理、韓国側の外交通商部長官はパン・ギムン前国連事務総長でした。両国の大臣協議、事務次官協議を行い、ギリギリのところで衝突は避けられ、互いが矛を収めることで決着しましたが、極めて緊迫した事態でした。
私はその時、平成18年5月31日と6月7日、11年前の外務委員会でこの問題を取上げ、政府に厳正対処を要請しつつ解決の道をさぐるなど、事態に深く関わっておりました。

 

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◎第百六十四回国会(平成18年5月31日)衆議院 外務委員会議事録(新藤義孝の質問部分をご覧下さい。)

◎第百六十四回国会(平成18年6月7日)衆議院 外務委員会議事録(新藤義孝の質問部分をご覧下さい。)

この様な10年前のいわく付きの船が、また同じ海域で調査活動を始めています。
韓国は何の意図をもって海洋調査を再開させたのか、重大な注意が必要です。
しかも、この韓国の海洋調査が行われたのは、韓国からの新大統領特使が来日して、安倍総理や岸田外務大臣と面談しているその最中です。
韓国側の無神経さと、片時も気を抜けない厳しい外交の現実が浮かび上がってきます。

▶台湾の海洋調査船、与那国島日本EEZ内で昨年8回、本年すでに3回

5月27日、与那国島沖合の50㎞沖合付近で、台湾調査船「海研1號」が何らかの器具を海中に投入しつつ、再三にわたる海保の中止要請を受けながら6月1日まで約1週間にわたり海洋調査を実施しました。台湾船による海洋調査は、いずれも目的は不明ですが、昨平成28年に8回、本年にもすでに4回行われているのです。

▶なぜか報道されない、他国による受け入れられない海洋調査

海上保安庁では、こうした事態が発生すると一般国民や報道機関向けに「広報」を実施していますが、情報が公開されているにもかかわらず、何故か新聞やTVニュースでほとんど報道されません。報道がなければ大半の国民は知ることが出来ず、世論の声を上げることも出来ません。
私は海上保安庁に対し、こうした類いの広報を実施した際には逐一連絡をするよう要請し、送ってもらったものを自分のフェイスブックやツイッターで皆さまにお知らせしております。
現在政府では、こうした広報の強化について具体的検討を行っております。

▶安倍総理、外務大臣、国交大臣、海洋政策担当大臣へ対策を申し入れ

周辺国による我が国が受け入れられない海洋調査が頻発していることは、4月19日と5月19日の2度にわたり、私が委員長を務める自民党の領土特命委員会で取上げ、政府に厳格対処を求める決議を申し入れております。

〇「韓国海洋調査船による竹島領海侵入及び調査活動並びに中国公船による尖閣諸島 領海侵入及びドローン飛行に対する非難及び政府への厳格な対処を求める決議」

 

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また5月31日の衆議院外務委員会で質問し、外務省と海上保安庁及び海洋政策本部に対し、厳正対処と共に我が国に必要な海洋調査を総合的に把握・検討の上、政府一体となった戦略的対応を取るための体制整備を提案しました。

◯2017年5月31日 外務委員会 新藤義孝質疑
衆議院「TVインターネット審議中継」でご覧になれます。

〇2017年5月31日 衆議院外務委員会 新藤義孝質疑

 

さらに6月2日の首相官邸での安倍総理申し入れに続き、岸田外務大臣、石井国交大臣、松本海洋政策担当大臣を相次いで訪ね、閣僚に対し直接状況説明を行い、日本が取るべき対策の意見交換を行っています。

 

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これまでも竹島や尖閣諸島に関する、領土や主権問題で深刻な事態が起こる前触れとして、他国による海洋調査が実施されてきました。
こうした韓国や中国の動きには、最大限の注意が必要であり、わずかな隙も許さないよう緊張感を持って推移を注視していかなければなりません。
また、こうした我が国が受け入れられない他国の行為に対し、「許せない」という国民の声をきちんと上げていくことが重要と考えています。

領土特命委員会決議書、外務委員会議事録、関連資料は私のホームページ、フェイスブック、ツイッターで公開しております。ぜひご覧ください。