遺骨収集事業や日米合同慰霊祭の開催について「硫黄島問題懇話会」総会を開催しました(2016年3月4日)

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3月4日、私が幹事長を務める超党派の議員連盟「硫黄島問題懇話会」総会を開き、遺骨の収集・日米硫黄島戦没者合同慰霊祭の開催などについて政府から説明を受けました。


▽硫黄島における遺骨収集帰還事業及び関連予算

昭和27年より始まった遺骨収集事業は平成28年2月までに125回行われ、収集したご遺骨は10,380柱であり、未だ11,520柱(52.6%)が島で眠られたままになっています。
遺骨収集の体勢の強化を図っていますが、水や食糧自給ができず、島での受け入れ体制の充実が課題です。

旧日本軍による持久作戦が行われた島内には、総計18kmに及ぶとされる地下壕と、1000基近くのトーチカが埋もれています。
特に、壕内は地熱のため60℃以上もの高温となる場所もあり、有毒ガスなどの危険もあります(平成20年にも死亡事故発生)。
また、島内各所には未発見の壕口(縦穴)も多数存在しています。

最大の懸案は米軍占領以来一度も行われていない飛行場滑走路下の遺骨収集です。まずは、電波調査などIT技術も導入して空洞調査や遺骨確認を行い、反応した場所の調査を進めています。その後に現滑走路を引きはがし全面調査、収集を行います。滑走路下の遺骨収集は、戦友、遺族関係者の長年の悲願でありましたが、予算と実施主体の確定等、政府全体の取り組みが必要であり、私は実施に向け強く働きかけてきました。

その結果、平成25年12月の硫黄島遺骨収集推進関係省庁会議において、滑走路地区の掘削・遺骨収容を4年間で実施し、終了後その結果も踏まえ、現滑走路の移設に着手することが政府として決定されています。(平成25年12月11日基本方針、平成26年3月26日取り組み方針)

また、戦没者のご遺骨の収集等を厚生労働省の所掌事務として法律上明示し、遺骨収集事業のさらなる推進を図る議員立法を提出、先般参議院で可決され今国会での成立を期して、衆議院の審議を行っている状況です。※「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律案」(議員立法・冒頭資料参照)
私たちは「最後のお一人まで故郷にお還りいただく」まで遺骨収集に取り組んでまいります。


▽日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式典

3月19日には、第17回目となる日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式典を開催します。昨年の終戦70周年には、防衛・厚労大臣が現職閣僚として初めて式典に参加いただきました。私も遺族代表として参加させていただいております。
かつて戦いを交えた者同士が集い、合同で慰霊追悼を行うのは世界でただ一カ所、硫黄島のみです。

この慰霊祭のことは、昨年の4月29日米国議会における安倍総理の演説の中で、戦後の日米の和解と連携の象徴として紹介いただきました。
その場で私は、米側指揮官であったスノーデン海兵隊退役中将と万感の想いを込めて静かに握手を交わし、盛大なる拍手と最大の栄誉を賜ったのです。

私たちは、祖国のため、家族のために戦った先人に心より哀悼の誠を捧げると共に、現在の平和と繁栄が貴い犠牲の上に成り立っていることを心に刻み、硫黄島戦没者に対する顕彰追悼並びに遺骨収集帰還事業を続けてまいります。