週刊新藤 第266号 2016新年にあたり

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◇2016年新年にあたり

皆様にはお健やかに輝かしい新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

昨年中は大変お世話になりました。干支ではどのような年になるのか、私が懇意にしていただいている氷川神社・鈴木邦房宮司さんから教えてもらいました。

平成28年丙(ひのえ)申(さる)年は、日本の伝統的な数え方で言うと、皇紀2676年、西暦でいうと2016年ということになります。

「申」の刻は、午后4時。植物の成長は「子」から始まり「亥」で一区切りします。今年「申」の段階では、きれいな花が咲き、美味しい実が付く時です。
その花が美しければ美しいほど、その実が大きければ大きいほど、中心部の「茎」がゆがみます。そこで、その「茎」がゆがまぬよう「芯」を真っ直ぐに両手で支え、両手で伸ばす象形文字が『申』なのです。文字通り、人偏を付けると「伸ばす」という意味になるのです。

「芯」が自分の心であるならば曲がらないように支えてくれるのは「親」であり「友」ではないでしょうか?そして、真っ直ぐな「芯」にしてくれた方々に改めて「感謝」をする年として下さい。

「芯」は家であれば「家長」、会社であれば「社長」であり、支えてくれるのは家族であり社員なのです。しかし、支えるものが何なのかというより、支えてくれている人々を思い、やはり、「芯」になる人こそ「感謝」を感じることが必要と考えます。今年はいつもと違う見方で周りを見てみてはいかがでしょうか?自然と「支え」「支えられ」ている事に「感謝」の気持ちがこみ上げる事でしょう。そうする事によって全てが「伸びる」年になるはずです。

動物でいうと「猿」が当てられます。「猿」といえば「見ざる・言わざる・聞かざる」をよく耳にします。「ざる」は打ち消す言葉ですから、心を惑わすようなものや、また、他人の過ちや悪いところを「見ざる・・・」といった心を持って、自分を戒めるということなのです。


 

◇「日本を、取り戻す。」挑戦は続いています。

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私たち自民党は三年前の2012年12月の総選挙において、安倍晋三総裁を中心に「日本を、取り戻す。」ことを政策の使命(ミッション)に掲げ、政権に復帰させていただきました。

そして「強い経済を実現し、子供たちやお年寄り、働く人々に優しい社会をつくる。」ことを政策目標(ビジョン)とし、その実現のための手段(アプローチ)として打ち出したのが、いわゆるアベノミクスと呼ばれる経済政策です。⦆アベノミクスは 2012年~2014年までを第1ステージとし、2015年からは第2ステージを推進中です。

デフレから脱却するために経済構造改革を断行し、新しい成長の種を蒔き育て上げる=経済成長と財政再建を両立させる。その方向性は三年前から何ら変わりはなく、その挑戦は「この道しかない」という強い想いをもって未だ途上にあるのです。


 

◇三年間で経済はどう変わったか?

では、この三年間で日本経済はどう変わったのでしょう?株価は8千円台から2万円に到達するまで急回復、雇用は100万人以上増加し、有効求人倍率は1.24倍という23年ぶりの高さとなりました。賃上げ率は17年ぶりの高水準であり、企業の経常利益は過去最高水準となっています。様々な経済指標は好転し、日本経済はデフレ脱却までもう一息のところまできているのです。

7-9月期のGDP成長率もプラスとなるなど、足下の経済状況は全体として緩やかな回復基調にありますが、新たな課題もあります。

2012~2014年の2年間を数字で見ると、企業の経常利益は16.1兆円、内部留保は49.9兆円、現預金も20.2兆円増加しているのに対し、企業の設備投資の増加は5.1兆円、給与・賞与は0.3兆円しか増えていません。

350兆円にも及ぶ企業の内部留保など企業収益の拡大が賃金の上昇と雇用の増加に向かい、それが消費拡大と結びついて新たな設備・投資が起こる=「経済の好循環」の実現が、アベノミクス第2ステージの目標です。


 

◇「経済成長と財政再建の両立へ」

経済の回復は国の財政再建にも好影響を及ぼしています。この度の平成27年度補正予算の編成を分析すると、

  • (1)赤字国債を発行せず、財政収支(プライマリーバランス)を改善
  • (2)27年度税収の上振れ分1.9兆円と26年度決算剰余金2.2兆円を活用=(経済成長の果実+行革努力の成果)
  • (3)27年度国債発行4500億円減額=(財政再建の推進)という特徴がわかります。以前のような景気対策のために赤字国債を発行した補正予算を卒業し、強い経済実現に向け戦略的に必要な施策を、細かく着実に実施するための補正予算となっているのです。

 

◇一億総活躍社会を、新たなる国家目標に!

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デフレ脱却という目前の課題克服と共に、人口減少と少子高齢化問題という、我が国の中長期にわたる構造的課題があります。将来に対する労働力の減少や国民不安が、安定的な経済成長を阻害する要因にもなっています。

「一億総活躍社会」はその克服のための概念です。
①GDP600兆円の実現による「希望を生み出す強い経済」を確立するとともに、②希望出生率1.8を目標に掲げ「夢を紡ぐ子育て支援」を行い、③介護離職者ゼロの実現による「安心につながる社会保障」を構築するという、「新・三本の矢」政策で構成されています。

今後の我が国の進むべき大きな方向として、「少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口一億人を維持することを目指し、一人一人が個性と多様性を尊重され、家庭で、職場で、地域で、学びの場でそれぞれの希望がかない、それぞれの能力が発揮でき、それぞれが生きがいを感じることが出来る社会」、すなわち「一億総活躍社会」の実現を掲げています。
私は、この新たな国家目標ともいえる総合的な施策を強力かつ包括的に推進することが、私たちの子どもや孫たちの世代に、誇りある日本を引き渡せることにつながると確信しております。

「一億総活躍社会」がわかりにくいというご意見を聞くことがありますが、国民の皆さまにわかりやすく丁寧に説明することこそ政治の責任です。日本はこの20年間、国家目標を見失い長期にわたり低迷を続けてきました。
今こそ、それを打ち破る最大チャンスが訪れています。大切なことは、日本という国家が向かうべき目標を、国民が広く共有し、実現のために各々が役割を果たす態勢を創り上げることです。

今年は一体どんな年になるのでしょう?様々なことが起こり、良いことも嬉しいこともあれば、悲しく辛いこともあるに違いありません。それらを事前に知り得ることは誰にもできませんが、どんなことがあっても目の前の大切な人や仲間と共に力を合わせ、助けあい支え合ってがんばっていきたいと思います。

私は皆様から大切な議席を委ねられた者として、本年が出来る限り平和で穏やかな年になるよう、また、少しでもくらしの心配をせず、誰もが健康で明るい気持ちで過ごせるような社会をつくるため、自らの役割を精一杯果たして参ります。本年も引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。