北極のフロンティアについて考える議員連盟<北極政策の戦略的推進と予算拡充について関係大臣へ申し入れ>(2016年1月14日)

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1月14日、私が副会長を務める「北極のフロンティアについて考える議員連盟」で、林 幹雄 経済産業大臣へ、我が国の北極政策の戦略的な推進と北極関連予算の拡充について申し入れを行いました。

昨年、党議員連盟は、北極に関する国家戦略を早急に策定することなどを強く要望し、それを受けて、内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部において、我が国として初の北極政策が決定されました。

今後、政府において、北極の環境変化とその影響に関する研究や北極に関する国際的な議論への貢献など、北極政策を戦略的に推進・実現するための予算の拡充・体制強化をするよう強く要望いたしました。

引き続き議連として、官房長官、総務大臣、外務大臣、文部科学大臣、経済産業大臣、国土交通大臣、環境大臣、領土担当大臣、行政改革担当大臣に申し入れを行います。


 

○決議書

我が国の北極政策の戦略的な推進と北極関連予算の拡充について

北極は、地球温暖化の影響が最も顕著に現れると考えられている地域の一つであり、また、北極の環境変化が地球全体の環境や生態系に影響を引き起こすことが懸念されている。一方、海氷の減少により、北極海航路の利用や資源開発など、人類の新たなフロンティアとして、北極に対する世界的な関心が高まっている。北極は環境変化に脆弱な地域であり、北極における活動が、この地域の環境・生態系、さらには先住民族など北極圏の人々の生活に与える影響について配慮する必要がある。

北極における課題は国際社会が一致団結して取り組むべきものであり、地球環境問題への取組を重視する我が国は、その科学的・技術的能力を活かし、北極における諸課題の解決に主導的・積極的に貢献していくべきである。

こうした認識のもと、昨年10月、当議員連盟は、「北極に関する国家戦略の策定及び北極関連予算の確保について」との決議を採択し、政府に対して、北極に関する国家戦略を早急に策定することなどを強く要望した。

本年10月16日、内閣総理大臣を本部長とする総合海洋政策本部において、我が国として初の北極政策が決定された。この北極政策の決定にあたり、安倍内閣総理大臣から、「日本の強みである科学技術をさらに推進し、これを基盤に北極をめぐる国際社会の取組において主導的な役割を積極的に果たしていく」との決意が表明され、また、各閣僚に対して、北極政策に戦略的に取り組むよう指示があったところである。

今後、政府においては、今回決定された北極政策に基づいて、北極の環境変化とその影響に関する研究や北極に関する国際的な議論への貢献などに、戦略的かつ積極的に取り組むべきである。

以上の認識に基づき、当議員連盟は、政府に対し、以下のとおり、北極政策を戦略的に推進するとともに、北極政策を実現するための予算の拡充・体制強化を強く要望する。

一 北極政策の戦略的な推進と体制の強化

総合海洋政策本部で決定された北極政策を戦略的かつ強力に推進すること。また、北極に関する関係閣僚会議や関係府省局長級会議を設置し、北極政策の推進体制の一層の強化を図ること。

一 北極の環境変化とその影響に関する研究開発の推進

科学的知見に基づく北極の環境変化とその影響に関する現状把握、将来予測は、北極に関する諸課題への対処の出発点である。平成27年度には、「GRENE北極気候変動研究事業」等の成果を活かし、北極研究をさらに戦略的に推進するため、「北極域研究推進プロジェクト(ArCSプロジェクト)」が立ち上げられたところである。
我が国の北極政策の戦略的な推進に不可欠な科学的・技術的基盤の強化のため、「北極域研究推進プロジェクト」により、北極圏における研究拠点を整備し、国際共同研究や若手研究者の人材育成を実施するなどにより、北極に関する諸課題への対応に資する北極研究を推進すること。また、自律型無人観測プラットフォーム・センサの開発や北極域研究船の検討などの「先進的北極域観測技術の開発等」を推進すること。

一 北極に関する国際的な議論・ルール作りへの積極的関与・国際貢献

「北極評議会」やその他の北極に関する国際的なフォーラム・会合、また国際海事機関等において、北極研究・北極観測により得られた科学的知見や高い技術力等の我が国の強みを活かしつつ、北極に関する国際的な議論、取組、ルール作りに積極的に関与し、イニシアティブを発揮すること。また、そのためにも国際的な場で活躍できる人材を育成・確保すること。

一 北極に関する情報発信・広報活動の強化

我が国の北極への取組を国際社会と共有し、我が国のプレゼンスを高めるべきである。このため、動画やインターネット・ソーシャルネットワーク等を駆使して、我が国の北極研究の成果等を積極的に国内外に発信することにより、北極に関する国際的な情報交流のプラットフォームを形成し、総合的な情報発信・広報活動の強化を図ること。

一 北極に関するコミュニティの拡大

国内外の多様なステークホルダーの意見を取り入れて、北極に関する取組を推進する必要がある。このため、自然科学系のみならず人文社会科学系を含む研究者、産業界、政策決定者などを結集して産・学・政・官の連携体制を強化し、北極に関するコミュニティの拡大を図ること。

一 北極に関する予算の拡充

上記を実行・実現し、我が国の北極政策を戦略的かつ強力に推進するため、北極域研究船の導入に向けた検討を含め、必要な予算の抜本的拡充を図ること。

以上、決議する。

平成27年12月8日

北極のフロンティアについて考える議員連盟
会長 鈴木 俊一