自民党「第5回 経済好循環実現委員会」<クールジャパン戦略、ビジットジャパン戦略について>(2015年4月2日)

4月2日(木)私が委員長を務める党経済好循環実現委員会を開催し5回目の有識者ヒアリングを実施しました。日本旅行業協会の田川博巳会長、全国旅行業協会の近藤幸二副会長、放送コンテンツ海外展開促進機構の岡素之理事長に講師をお願いしました。

(株)JTB会長で、日本旅行業協会の会長も務めておられる田川講師からは、
・2020年オリンピックまでは日本を世界に売り込む黄金期=海外へ1700万人・国内へ1300万人・計3000万人に。その後も「アジア観光ビッグバン」の流れに乗り2030年には海外へ2000万人・国内へ2000万人の「4000万人相互交流」時代に入るシナリオ。
・観光立国の推進においては、世界レベルの観光地経営の視点が求められ、継続的な財源確保、持続可能な組織構築・人材育成が急務。戦略的に開発する観光地を選定し、官民連携により集中的にヒト・モノ・カネを投入する。
・更なる旅行消費額拡大を目指し、国内主要都市にクールジャパンブランド商品の情報発信・販売拠点を設置。
・外国人旅行者の地方都市からの出国率を増加させ国際交流を活発にし、全国的な外国人旅行者受け入れの機運を醸成する。
などの提言をいただきました。

法律により旅行業に関し研修、調査・広報などを行う全国旅行業協会の近藤副会長からは、
・訪日観光客の増加に伴い、国内での移動手段である貸し切りバスの確保が問題に。
・国内各地を訪れる外国人観光客の団体が急増し、観光地での渋滞、文化の違いから来る摩擦などが発生。
・外国人リピーターが地方に入るようになると地域コミュニティの理解がないと「ノー」のサインが出かねない。
・「住んで良し」の観光地での外国人観光客の受け入れ意識の醸成が必要。
・地方自治体、観光振興団体、地元旅行会社が連携して受け入れのための知恵を発揮する必要。
などの諸課題を指摘いただきました。

(一社)放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ)の岡理事長からは、
・日本の放送局や権利者団体、大手商社などが中心となって日本のテレビ番組の海外展開を図るとともにクールジャパン戦略、ビジットジャパン戦略など官民一体の国家戦略を推進するために平成25年8月、当時新藤大臣の下でBEAJを設立。
・日本の放送コンテンツのアジア各国での放送枠大幅拡大を推進。
・これにより日本の技術、産業製品、ファッション、文化、伝統、日本語などへの関心を高め(クールジャパン戦略)、日本への観光を誘い(ビジットジャパン戦略)「地方創生」に結びつける好循環構造を構築。
・HTB北海道テレビ放送が北海道紹介番組「北海道アワー」を台湾のCATV経由で東アジア向けに毎週放送。97年の放送開始後2年間で台湾からの観光客が2倍に、10年後には5倍強に増加。その8割の人が「北海道アワー」を見て北海道を訪問。地域の観光・周辺経済に7000億円の恩恵と約3万人の雇用増加を。
・住友商事がシンガポールの地上波放送局の放送枠を買い取り、現地日系企業を中心にスポンサーを確保、日本のキー局等から調達した既存の番組を放送。月間の接触率11~12%を獲得し、10年間でシンガポールからの観光客が7.6万人から14.2万人におよそ倍増。しかも黒字の事業としてのビジネスモデルを確立。
・放送コンテンツ海外展開促進機構は、当面フィリピン・インドネシアなどASEANの6か国で地上波等効果的メディアの放送枠を確保、魅力ある日本の放送コンテンツを継続的に放送する活動を展開。
・このような活動をクールジャパン機構、日本政府観光局(JNTO)、日本貿易振興機構(JETRO)との協力で国家予算も最大限活用しつつ官民オールジャパン・ワンチーム体制で推進する。
とのお話を伺いました。

訪日外国人旅行者は2012年アベノミク開始時点では、リーマンショック、東日本大震災のあとで835万人でした、2013年は1036万人と初めて1000万人を超え、昨年は観光庁の暫定・推計値で前年比29.4%増の1340万人でした。アジアからの旅行者が79%を占めています。私たちは、当面は2020年オリンピックイヤーをターゲットにして官民一体となってこの経済好循環の流れを加速してまいります。


-配付資料-
田川 博巳 会 長 日本旅行業協会 講演資料(1)
田川 博巳 会 長 日本旅行業協会 講演資料(2)
田川 博巳 会 長 日本旅行業協会 講演資料(3)
近藤幸二副会長 全国旅行業協会 講演資料
岡 素之 理事長 放送コンテンツ海外展開促進機構 講演資料(1)
岡 素之 理事長 放送コンテンツ海外展開促進機構 講演資料(2)