週刊新藤第244号 主権回復60年、「憲法改正草案」を発表!〜4月28日を「主権回復記念日」に〜

4月28日、日本が占領を脱し主権を回復してから60年目となる大切な日に、私たちは「日本国憲法の改正草案」を発表しました。
自民党や私のホームページに公開しておりますので、ぜひご覧下さい。

○The Jimin News「憲法改正草案を発表」

○自民党ビラ「4月28日を『主権回復記念日』に」

○自民党新憲法草案(全文)


◆ 4月28日を「主権回復記念日」に

 60年前の「昭和27年 4 月28日」、この日はサンフランシスコ講和条約(昭和26年 9 月 8 日調印)が発効し、日本の国家主権が回復された歴史的な日です。
日本は昭和20年 8 月15日、ポツダム宣言を受諾、9 月 2 日、戦艦ミズーリ号上での降伏文書の調印以降、6 年 8 カ月に亘り我が国は連合国により占領統治されました。
その間は国民統合の象徴である国旗の掲揚や国歌斉唱は禁止、憲法が改正され、教育制度や家族制度、財閥解体、農地解放など社会制度の大きな変更が行われましたが、国会の法律よりもマッカーサー指令の方が優越する時代だったわけです。
住む家はおろか食べ物にも事欠く厳しい暮らしの中で、当時の日本人は焼け野原の国土を復興し幾多の困難を乗り越え、再び独立国として国際社会に復帰を果たすことが出来た日が 4 月28日です。
現代日本の「スタートの日」であるとともに、二度と繰り返してはならない「戒めの日」として私たちはこの日を、主権国家の在り方や独立の意味を考える大切な日とするべきではないでしょうか?
その60周年を迎えた本年、国家行事も政府のコメントも無く、大半の国民に重要性が伝わらない現状は残念としか言いようがありません。
私たち自民党は、平成23年 8 月26日、「 4 月28日を主権回復記念日とする祝日法改正案」を国会に提出しています。
私はこれを推進する議員連盟に所属し、本年は自民党本部において民間の実行委員会の方々と国民集会を開催いたしました。
党本部に入りきれない程の参加者と、この集会が政府主催となるよう取り組むことを確認しました。


◆ 「日本国憲法の改正草案」を発表

 この日に合わせ、私たちは新しい憲法の草案を発表しました。
自民党は昭和30年、それまでの占領体制から脱却し、主権国家にふさわしい国とするため「自主憲法の制定」を「立党の原点」として結成された政党です。
以来50有余年、本来であれば昭和27年の主権回復時点で定めるべきだった、国の在り方を総括する作業は未だ行われておりません。
そして今日、日本は東日本大震災復興、経済不振、教育の在り方、年金や社会保障、外交・国防、領土・主権問題など、国家の基本を根本から見直す必要に迫られています。
もちろんそれぞれに対処するための個別・具体施策が必須であることは言うまでもありません。
しかし、「国を建て直す」ためには今こそ原点に立ち、私たちが目指す国家の在り方を、国の基本法である憲法を通じて考えるべきです。


◆ 憲法「緊急事態条項」の必要性

 例えば、東日本大震災直後、被災地は深刻な燃料不足に陥りました。燃料供給網が破壊されたにも関わらず、人と燃料を同時に運ぶことには法令制限があり、迅速な燃料輸送が出来なかったのです。
救援活動に入る自衛隊の燃料輸送ですら制限を受け、保有するガソリンや軽油を陸自の部隊移動とともに民間船舶で一気に輸送する計画は実行できず、後々海自の輸送艦で別々に運んだのです。
さらに被災地では、自衛隊による巡回パトロールなど公共の秩序の維持に当たる活動が許されませんでした。電気も通らず寒さに震える中で、自販機荒らしや住居侵入、金庫盗が皆無だったわけではありません。
大災害で警察自身が大きな被害を受ける中、自衛隊が警察を助けパトロールや犯罪取り締まりをしてほしいとの声は多く上がりましたが、当時の菅首相は自衛隊法78条に基づく治安出動を命じなかったのです。
そもそも国家非常事態でありながら、安全保障会議が招集されず、災害対策基本法による災害緊急事態も布告されませんでした。
どうして発出しないのか、という自民党議員の国会質問に対し、政府の答弁は「国民の権利義務を大きく規制することになるため」でした。
世界の大半の国が武力攻撃や内乱、大規模災害など、国家や国民の生存の危機に際し一時的な権利制限も含め事態に対処できる「緊急事態条項」を定めていますが、日本国憲法には定めが無いのです。


◆ 国防・領土保全規定がない憲法

 そもそも日本国憲法には、国民主権のもと、基本的人権の尊重と戦争放棄が謳われていますが、国と国民を守ることが規定されていません。
主権の存する領土・領海・領空・資源を保全する規定もありません。
国民の生命・財産を守ることは国家最大の使命ですが、国の基本法にその条項がないのです。


◆ 元首・国旗・国家の規定が無い憲法

 独立国家でありながら、日本国憲法には国の元首の規定がありません。また、国民統合の証となる国旗や国歌の規定もありません。


◆ 家族尊重の条項がない憲法

 人の存在は両親無くしてあり得ません。国や社会を構築する基礎単位は「家族」です。
多くの国が家族の保護・尊重条項を設けていますが、日本国憲法には家族条項がありません。
親の扶養や子供の養育といった当たり前のことが崩れつつある昨今ですが、憲法に定められているのは、個人の尊重と権利なのです。


◆ 現代に必要な条項が、欠如したまま

 さらに、環境保全の責務、個人情報(プライバシー)の保全、国の行為に関する国民への説明責務、在外国民の保護、犯罪被害者への配慮、国の教育環境整備(私学助成)、財政健全性の確保など、現憲法が公布(昭和21年11月 3 日)された時代には考えられなかった重要な条項・規定が欠けたままです。


◆ 改正への高いハードルが硬直性を

 また、憲法改正には衆参両院の総議員の 3 分の 2 の賛成と、国民投票での過半数の賛成という非常に高いハードルが設定されており、時代に合わせた柔軟な憲法改正を阻害しています。


◆ 英語により9日間でつくられた憲法

 日本国憲法の原案が、占領中にGHQの手で英語により 9 日間でつくられたものであることを、改めて訴えたいと思います。
私は衆院当選一期の時、憲法改正推進議連に参加し、憲法50周年を記念したシンポジウムを開催しました。自腹で旅費を提供し、日本国憲法の草案作成に当たった元GHQ職員を招き講演してもらったのです。
当時存命していた 3 名が来日し、それぞれに「この憲法は占領下のものであり、日本はやがて独自のものを作ると考えていた。まさか一文字も変えずに使ってくれるとは思っていなかった。ありがとう。」と言われたことを強烈に覚えています。
第二次世界大戦後だけでも各国は必要に応じ憲法を改正しています。
同じ敗戦国のドイツでは58回、イタリアも15回、米国ですら 6 回、中国・韓国共に 9 回の改正を行っているのです。


◆ 真の独立主権国家とするために

 今回発表の憲法改正草案には、今号で述べた課題にどう対応するか、私たちなりの答えを出しました。
改正草案は、自民党や私のホームページで公開しておりますので、ぜひご覧いただきたいと思います。
憲法は「不磨の大典」であってはならず、改正に向け活発な国民的議論が必要です。
主権回復から60年、人の暦なら還暦を迎え、日本はもう一度新たな人生を始める時を迎えています。
わが国を真の独立主権国家とするため、憲法改正の実現に全力を注ぐ覚悟です。


新 藤 義 孝