週刊新藤第199号 どうする普天間移設問題!~衆議院本会議での代表質問~

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4月22日、衆議院本会議において自民党を代表し、鳩山首相に普天間問題など安全保障についての質問を行いました。動画が載せてありますので、ぜひご覧ください。


 普天間問題の解決がいよいよ難しくなってきました。鳩山首相は 5 月末までに決着させると再三言っていますが、この約束を守ることは極めて厳しいのが現状です。
 私は去る 4 月22日の衆議院本会議で、首相の核セキュリティ・サミット報告に対する自民党代表質問を行いました。この中で普天間問題について大きく取り上げ、鳩山首相の姿勢を質しました。
 今回はこの代表質問の要旨を紹介し、普天間問題の混乱が何を日本にもたらし、その解決のためにどうするべきかを皆さまにご報告します。


◆ 「あわれで愚かな日本の首相」

 私が今回の質問で普天間問題を扱ったのは、このサミットが日米の首脳が直接顔を合わせ協議できる絶好のチャンスであり、普天間問題を進展させられる重要な機会であったからです。
 ですが結果は散々なものでした。公式な会談は米側から断られ、夕食会の最中にたった10分間の非公式会談しか出来ませんでした。10分間の会談では、まともな話ができる訳がありません。
 米国の有力紙であるワシントンポストには、鳩山首相を「最大の敗者」とし「あわれで愚かな日本の首相」と評されてしまいました。
 私は本会議壇上から総理に対し、この論評は一国の首相に対しまことに無礼な評価であるが、「このような冷遇や酷評は、あなたの優柔不断と無責任な言動に対する米国の不信感の表れではないか。心当たりがあるか?」と質しました。
 しかし首相は「会談時間の長短で重要性が決まる訳ではない」「思いを直接伝えることができたので意義はあった」と苦しい答弁をするばかりでした。


◆ 中身のない軽い言葉と場所探し

 政府は普天間基地をキャンプシュワブ沿岸部へ移設するという、日米政府並びに沖縄の地元自治体が受け入れを同意していた現行案について、検証すると言いつつ、採用できない理由を一度も語っていません。
 私は質問で、日本の抑止力の維持と沖縄の負担軽減のそれぞれの観点から現行案を受け入れられない理由を説明するよう求めました。
 しかし返ってきた答えは「抑止力を維持しながら負担の軽減を図る道はないかと、努力をしている」という、言葉をなぞっただけの全く中身のないものでした。
 首相は 5 月 4 日に訪問した沖縄で、「海兵隊が抑止力として沖縄に存在しなければならないと当初は思っていなかった。」などと信じられない発言をしましたが、鳩山政権の基地問題の取組は、安保論議には目もくれず、いかにこれまでの政府案と違う案にするかという、まさに「場所探し」をしてきただけなのです。
 また政府は「普天間問題の決着」とは「連立三党の合意」「米国との合意」「地元との合意」の 3 つが為されることと表明しています。
 客観的に見て、5 月末までの短期間にこの 3 つの合意を得られる可能性があるのは唯一現行案だけです。
 私は首相にこれまでの迷走を素直に認め、沖縄の皆さんに謝罪の上、勇気を持って現行案を進める決断をしてはどうか、と提案したのです。
 しかし総理からは、「現行案よりもさらに一層の軽減を図る道はないかという思いのもとで努力している」という、これまた全く中身のない軽い言葉しか戻ってきません。


◆ 日米関係の悪化と周辺国の増長

 普天間問題の迷走は日米関係を悪化させているだけに留まりません。日米が会話すらまともに出来ない状態の隙を突き、周辺国がここぞとばかりに日本に対して強行姿勢を強めているのです。
 先月には中国海軍の艦船が沖縄と宮古島の間を堂々と行進し、監視に当たる日本の護衛艦に、中国のヘリコプターが異常接近するということがおきました。
 鳩山首相はサミットでの日中首脳会談でこのことを知っていながら、抗議するどころか一言も話題にしていません。
 東シナ海ガス田は日中共同開発で合意していますが、昨年の政権交代以降、中国側の工事が勝手に進んでいるとの情報もあります。
 ロシアは北方領土のビザなし交流で、日本側にこれまで要求しなかった入港税を要求する動きをみせたり、第二次大戦の「対日戦勝記念日」を法制化するという話もあります。
 更に韓国は竹島の実効支配を強く打ち出し、竹島でヘリポートや海洋科学基地の建設に加え、漁業人の宿泊施設を 2 倍に増築する工事を進めるなど、日本政府が何も抗議を表明しないうちにやりたい放題となり、歯止めが利かない状態になってしまっています。


◆ 職を賭す覚悟なくして解決なし

 日米同盟は言うまでもなく我が国の安全保障の根幹を成すものです。これが一度揺らげば、日本の平和と安定はたちまち脅威にさらされる、ということが、今まさに現実のものになっているのです。
 私は質問で、良好な日米関係を取り戻し、周辺国に対する抑止力を回復させるため、一刻も早く普天間問題を解決すべきと訴えました。
 そして、「総理は 5 月末の決着に向けて職を賭して臨むべきではないか」と首相に迫りました。
 私は首相に「辞めるべきだ」と言ったのではありません。「自ら退路を断ち、自分の身を捨ててでも実現したい。」という気概を表すことで不可能が可能になるのでは、と言ったのです。
 しかし首相は全くこれに応えず、自らの責任をうやむやにするだけで逃げてしまいました。
 また、「竹島問題について韓国に抗議の上、国民に公表する。さらに工事の中止を求め韓国側と外交協議の場を設けるべきではないか。」と質しました。
 しかし鳩山首相は、外務委員会での岡田大臣と同様に、「韓国には適宜適切に申し入れをしている。詳細については明らかにできない。」と述べただけでした。
 私は再質問を求め、「首相の外交下手が国益を損ねていると思わないか。あなたの不退転の覚悟を示さなければ問題は解決できない。」とさらに詰め寄りましたが、答えは変わりません。
 いよいよ普天間問題の決着期限が近づいています。政府は苦し紛れに思い付きのような案を出し、閣僚は自分に火の粉が降りかからないよう予防線を張り出しました。与党の足並みはバラバラです。
 一国の安全保障問題が、これ以上ないがしろにされないよう厳しく政府を追及してまいります。



 新 藤 義 孝