中小企業の経営承継の円滑化に関する法律案等(副大臣答弁)                    衆議院経済産業委員会-5号 2008年04月09日

2009年7月28日 20:59

 中小企業の経営承継の円滑化に関する法律案等(副大臣答弁)

  169--経済産業委員会-5 平成200409

 

 

 

○東委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官居戸利明君、金融庁総務企画局審議官河野正道君、金融庁総務企画局参事官私市光生君、金融庁総務企画局参事官三村亨君、法務省大臣官房審議官始関正光君、財務省大臣官房審議官川北力君、国税庁課税部長荒井英夫君、国税庁徴収部長秦邦昭君、経済産業省大臣官房長松永和夫君、特許庁総務部長長尾正彦君、中小企業庁長官福水健文君及び中小企業庁事業環境部長高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

 

○東委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大島敦君。

 

○大島(敦)委員 おはようございます。民主党の大島でございます。

 きょうは中小企業の経営承継に関する法律につきまして質疑をさせていただきます。よろしくお願いをいたします。きょうはたっぷり一時間いただいておりますので、丁寧に質問をしていきたいと考えております。

 まず、去年の九月に初めてこの経済産業委員会の所属になりまして、ビジネスの世界というのか実業というのか、経済に関することに久しぶりに戻ってきた感じがしまして、去年の十月ころでしたか、久しぶりに経営環境を見てみると、私、五年ほど生命保険のセールスをしていたものですから、ことし、来年の景気は極めて悪いな、自分が営業マンだったらことしはほとんど売れないなと直観をしたところなんですよ。

 それでいろいろと調べてみまして、ことしの一月の七日ですか、去年の経済誌で論文を書かれていた何人の方かアポイントメントをとって、サブプライムローンを中心に意見を聞かせていただきまして、その中で大体今の動きが想定がついておりました。きのう、多分テレビかな、報道を聞いていましたら、今、欧州、EUで株価が下がって金融機関等が影響を受けていると。このことについても、年初来、専門家の間では当然のこととして語られていたことでして、アメリカは昨年、アメリカの金融機関の持っている証券のランクづけを変えて明らかにしたと。ヨーロッパの方はまだそこが明らかになっていないので、多分影響としては、アメリカの次は恐らくヨーロッパの金融機関が影響を受けるだろうという話でございました。

 そうすると、日本経済に対する影響が今後、物すごくというか非常に厳しい状況がまた数年続くと思っていまして、六年間景気がよかったうち一、二年、中小企業の方が、ことしはよかったな、あるいは、ことし一年間、飲めや歌えやではないですけれども、本当にことしはもうかってよかったなという一年があれば、これからの景気後退期にもある程度あきらめがつくわけなんですけれども、皆さんの御地元でも、中小企業の経営者の方とお話しさせていただくと、結構、厳しいという声が強いと思うんですよ。その中での景気後退期ですから、これからこの数年をしのいでいくのがなかなか厳しいなと自分は今実感をしているところなんです。

 いろいろな経済政策について役所の皆さんとお話をさせていただくと、私は金をまけと言っているんですけれども、金をまいたとしても景気はよくなりませんよという意見がなかなか多くて、過去においても、いろいろと経済対策で国民の皆さんにある程度の手当てをした時代もあったんですけれども、それが本当にうまく機能したかどうかというと、なかなかそうでもなかったという話を聞いたりして、需要が落ちるときにおいてはある程度の財政出動も機能してくると思うんです。しかしながら、信用収縮が起きている経済のもとにおいての財政出動というのは余りきかないかもしれないと思っているんです。

 今でも自分としては、ある程度、お金をまけというのは非常に下品な言い方なんですけれども、懐を温めるというのか家計を温める施策は必要だと思うんです。それでもようやく踏みとどまることができるかどうかというのが中小企業の皆さん、あるいはそこにお勤めでいらっしゃる皆さんかなと思っておりまして、これから数年間の厳しい時代、我が国の将来の飛躍に備えた中小企業の皆さんにどうやって生き残ってもらうかということが必要かなと考えておりまして、まず、中小企業の承継の問題につきましても、その観点から質問をさせていただきたいと考えております。

 まず、今回の経営承継の円滑化に関する法律の目的について御答弁をいただきたいんですけれども、よろしくお願いをいたします。

 

○福水政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業経営者の年齢が最近高まってきておりまして、そういうことで廃業がふえている。よく議論の中で開業率と廃業率の問題がございますが、廃業がふえているといった場合に見てみますと、後継者がいない、あるいは後継者になかなか円滑に事業を引き継げない、見つからない、そういう課題が浮き上がってきたわけでございます。そういう観点で、我々十七年ごろから、総合的な事業承継のあり方のようなものを検討してまいりまして、それで今般この法律案を提出したような次第でございます。

 その中身につきましては、大きく言って三点ございまして、一点目は、兄弟間での紛争があって、お父さんがお亡くなりになった後に遺留分の問題で問題が発生する、これを何とか事前に防止できないだろうかというふうな点が一点。

 それから二点目は、最近は親族以外への承継という問題も多く出てきております。統計によりますと四割ぐらいというような状況になっておりまして、そういたしますと、違う人が承継する、あるいは従業員が承継する、こういうふうな場合にいろいろな資金的な手当てが必要だろうというふうなこと、これが二点目でございます。

 それから三点目は、相続税の負担が重いということもありまして、これにつきましては、この法案の中ではございませんが、二十一年度の税制改正に向けて検討していくというふうなことで法案がなっています。

 これ以外に、予算措置として事業承継センターをつくったり、そういうふうなことで進めていきたいというふうに考えてございます。

 

○大島(敦)委員 ありがとうございました。

 国会で質問される皆さんは、それぞれの人生を背負って質問されていると思っていまして、それぞれのこれまでの人生を振り返りながら、あるいは御経験、そして御地元、あるいは応援していただいている団体の皆さんの御意見を踏まえて質問されるかと思うんです。

 自分も、中小企業とのかかわりというのは、鉄工会社で非常に大所高所的な仕事をした後に、一保険のセールスマンとして五年ほど飛び込みセールスをずっとやっていた時代がありまして、中小零細企業を中心にあまねく、小さいところから大きいところまで、ドアノックしながら一軒一軒訪問した経験があります。この衆議院議員になってみると非常にありがたくて、どの会社も社長室に通していただくものですから、いつも社長室に入ったときに、自分が営業マンのときには、ここに来るまでは相当努力が必要だったなと思いながら、社長さんにお会いをさせていただいているんです。

 ですから、中小企業と一概に言っても、町場の商店、あるいは本当に小さなものづくりの作業所から始まって、大きくは、売り上げ規模が百億円を超え五百億円とか一千億円に迫るような大きなところまであるわけでして、中小企業といっても、置かれている立場、あるいは歴史によって大分考え方が違うということを五年間の営業の中で学ばせていただきました。

 今回、経営承継のこの法律の概要を聞いたときに、自分としては、そんなに対象は大きくないなとぴんときたんですよ。自分の営業経験からして、このようなスキーム、枠組みの中で事業承継を考える会社というのはそう多くないということで、前回長官に質問をさせていただきまして、多分、年間七千五百社ぐらいが母数になっているという、一選挙区当たりは大体二百社から三百社ぐらいですから、そんなに多くはないなと考えた次第なんです。

 そうしますと、中小企業の中で事業承継、自分の新規顧客の開拓の中で一番長い会社が四百年の会社なんですよ。これは、江戸時代からの油屋から始まって、今ガソリンスタンドを経営しているところ。あるいは、その次に長かったのが、二百年の伝統ある会社があるわけです。これは米問屋です。伝統ある会社というのは、会社の中に事業承継のDNAが入っているんです。今回の法律をつくらなくても、現行法制の中で、あるいは生前贈与をお子さんが小さなときからしっかりやっていって、自分たちの息子の中もうまくいくように手当てをして準備をしている会社も実は多いんですよ、我が国の中には。

 今回のスキームというのは、ある程度伝統的な会社もそうなんですけれども、初代で大きくなった会社が往々にして、経営者の方がお亡くなりになると、先ほど長官もおっしゃっていらっしゃいました兄弟間の仲たがい、これも結構大変な問題なんです。あるいは最近、親族以外の方が継ぐケース、あるいは相続税の負担が大きいなどあるんですけれども、個々の点は非常によくわかるんですよ。

 兄弟間の仲たがいというのも、ちょっと演説して申しわけないんですけれども、この問題は、仲のいい兄弟ほど大変なんです。仲のいい兄弟ほど、相続問題というのは意外と大変になってくるんですよ。子供のころ仲がよかった。その後の結婚してからの人生の方が相当長いものですから、親が倒れた後に昔仲がよかった前提で話すと、お互いに食い違いが大きくなって、係争、争いが長くなってしまう。仲が冷めている方がビジネスライクに割り切っていきますので、相続問題は意外とよかったりするというのが、自分の経験から多少推しはかるところがあるんです。

 その中で、今回、兄弟間のところについて若干質問を進めていきたいと思うんです。

 今回のケースなんですけれども、質問のレクのときに皆さんの方にはお知らせしているんですけれども、準備をしていた会社、準備をして十分に、息子も生前贈与で株式を五〇%を超えて取得している場合、これは今回の対象になると伺っているんです。もう少し気のきいたというのかな、立派な息子さんがいらっしゃって、その息子さんは自分の給与で、あるいは親と共同出資をして、今現時点において、この法施行時において五〇%を超えて株式を持っている、要はその会社に対して実効支配ができる、そういう方は今回の円滑化に関する法案の対象になるかどうか、ちょっと教えてください。

 

○高原政府参考人 今委員御指摘のケース、例えば、後継者が先代の経営者の方から有償で、自分の金で株を買い取っていたような場合でございますけれども、こういった株式は、先代経営者の相続の際には遺留分の算定には算入されません。減殺請求の対象となることもございません。

 したがいまして、後継者が有償で買い取った株式で議決権の過半数を所有しているような場合でございますけれども、その余の株式が相続人間で分散をいたしましても、後継者の持ち株比率が過半数を下回るということはございません。基本的に、会社の意思決定に支障が生ずるといったような事態はないのではないかというふうに考えております。

 また、今回の法案に含まれております遺留分制度の特例でございますけれども、基本法でございます民法の根幹をなす遺留分制度の特例でございまして、事業承継の円滑化のために真に必要な範囲に対象を限定する必要があるのではないかというふうに考えてございます。

 したがいまして、本法律案におきましては、民法特例を利用することができますのは、後継者が所有する株式のうち民法特例に係る合意の対象とした株式を除くと、後継者が議決権の過半数を保持できない場合ということに限ることといたしております。

 したがって、御指摘のケースのように、後継者が先代の経営者から有償で買い取った株式で既に議決権の例えば六〇%を所有している場合につきましては、残りの四〇%の株式につきまして、後継者が先代の経営者の方から贈与を受けたといたしましても、当該株式を対象として民法特例に係ります合意をすることはできないという仕組みにさせていただいております。

 以上でございます。

 

○大島(敦)委員 確認させていただきますと、例えば、息子さんのうち次男の方が会社を継がれる。その次男の方は、自分の所得の中から有償で経営者の方から株券を取得して五〇%を超えて持っている場合には、それは実効支配できるわけですから、今回のスキームからは離れる。

 今、全く準備をしていなくて、親が、今回のこういう制度ができたので、自分もそろそろ将来のことを考えて、息子に継がせよう。息子三人を呼んで、娘さんが一人いらっしゃったとして、君たち、ちょっとサインしたまえ。この息子に継がせて、君たちには、ほかの息子さんたちには、自分の家屋とか持っている有価証券なり現金をちゃんと贈与というのかな、相続させるから判こをつきなさいといって、ついた場合、もちろん先代の経営者の奥さんも含めて相続人がすべて合意をしたときには、今回では株式を一〇〇%取得できるということでいいんですよね。

 念のためなんですけれども、ちょっとそこだけ答弁をお願いします。

 

○高原政府参考人 お答え申し上げます。

 そのとおりでございます。本法律案の民法特例におきましては、後継者が総株主の議決権数の過半数を有して、そして合意をした対象となった株式を除きますと二分の一を下回ることになるという要件を設けています。この要件を満たす限り、合意の対象とする株式の割合について上限はございません。

 以上でございます。

 

○大島(敦)委員 先ほど長官が、兄弟間の争いが非常に多いということをおっしゃっているということは、これは非常に多く散見されるケースかな。大体、会社の実効支配は、五〇%を超えて持っていれば株主総会を開いて決めることはできるんですけれども、一%以上あるいは三%以上持っていたりしますと、株主総会を開けと言ってみたり、取締役の皆さんにちょっと解任請求を出してみたり、意外と、経営に対する妨害と言ってはあれなんですけれども、自己主張ができるわけですよ。そういうことを使うケースというのかな、これは損得ではなくて、相続というのは損得ではないんですよ。一回もめ始めると、疲れ果てるまでお互いに争うのがこじれたケースです。

 そうすると、今回ですと、法の前の平等という観点から見ると、一〇〇%認めるんでしたら、今五〇%を超えて、例えば自分の才覚で五一%持っていらっしゃる方の残り四九%分を、それぞれの兄弟の皆さんが合意して、お母さん、先代経営者の奥さんも合意していただければ、一〇〇%取得した方が、会社の経営としては非常に安定的にできるかなと自分は思うんですよ。あるいは、法の前の平等という観点から見れば、逆に今回のスキームは、一〇〇%じゃなくて五〇%プラス一株というところを上限にして譲り受けられるということでもいいかなと思うんですけれども、その点についてもう一度お考えを聞かせていただければありがたいです。

 

○高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 大変難しい御質問でございますけれども、今回の民法特例、主に三つの観点から整理をさせていただいております。

 まず第一に、民法特例は、後継者を含む先代経営者の遺留分権利者の全員の方の合意ということを前提といたしております。その意味では、どの程度の株式を遺留分の算定から除外するかということにつきましては、当事者間で柔軟に合意ができるということを原則といたしております。

 第二に、他方で、相続人間での株式の分散を防止して事業承継の円滑化を図るという立法目的に照らしますと、後継者が議決権の過半数を有しないような場合にまで民法特例の利用を許容するのは適当ではないのではないかというふうに考えております。そのため、民法特例を利用することができる後継者は、総株主の議決権の過半数を有しているということを要件といたしております。

 第三でございますけれども、民法特例は、基本法たる民法の根幹をなす遺留分制度の特例でございます。その適用範囲につきましては、事業承継の円滑化の観点から、真に必要な範囲に限定をするという観点も必要かと思っております。減殺請求によりまして株式を分散してもなお後継者が過半数の議決権を確保することができるような場合、これは先ほどの御質問に関連すると思いますけれども、そういった場合にまで特例を利用することは適当ではないのではないかというような考えでございます。

 以上のような三つの観点を総合的に勘案いたしまして、特例に係る合意の対象とできる株式を五〇%プラス一株にとどめる必要はないということでございますし、また、出資によって後継者御自身が既に遺留分の対象とならない株式で議決権の過半数を所有している場合には、民法特例の利用を許容するのは適当ではないといったようなバランスで、本法案に提出させていただいております考え方を整理させていただいております。

 以上でございます。

 

○大島(敦)委員 なかなか難しい議論だと思うんです。

 繰り返しになるんですけれども、私個人としては、今回、現時点において自分の才覚で五一%持っていらっしゃる方が適用外で、全く準備していない会社が今回の仕組みを利用することで一〇〇%、合意が得られればの前提なんですけれども、相続というのかな、持てるというのは、今、五一%、こういう会社というのは結構優良企業なんですよ。会社の中で事業承継をDNAとして持って、さまざまな手を打ちながら準備している会社というのは、ちゃんと後継者も育てている会社なわけです。そういう会社はおおむね兄弟間もいいケースが多かったりもするものですから、そういう会社が今回の仕組みから外れることというのは、その会社の姿が何社か目に浮かぶものですから、余り芳しくないな、それはやはり認めてほしかったなというのが自分の考えなので、多分皆さんも努力された結果だとは思うんですけれども、今後ともそちらの方向で考えていただければと思います。

 そして次に、今回認めるときというのは、まず経済産業大臣の確認ですか、要は経済産業大臣の方に相続で経営者になられる方が書面を届けて、それを経済産業大臣、役所の方でチェックして、その後、家庭裁判所の方にそれが回されて、本当に相続人が真意、本音でサインしたんですかということを多分確認されると思うんです。

 なかなか、経営者の方は激しい方が多いんですよ。皆さん御承知のとおり、サラリーマンと違いまして、大きな会社のサラリーマンというのは、役所の方もそうだと思うんですけれども、大体きれいな枠の中で、あるいはさくの中できれいに育てられている方たちなわけです。そこから一歩出て地元で商売をやっていらっしゃる方というのは、ジャングルの中でサバイブ、要は生き残りをかけて戦っている方たちなわけですよ。この人たちというのは非常に大変なんです。この中で生き残っていくというのは相当の才覚がないと、また下品な言い方をすると、人間、動物ですから、動物としてある程度優秀じゃないと生き残れないんですよ。これはなかなか大変なんです。

 だからこそ、激しい経営者の方というのは、息子を呼んで、おまえら、サインしろと言ったら、なかなか自分でも断り切れないですよね。サインしてしまうわけですよ、創業型の経営者の前においては。それで、家庭裁判所に行って、家庭裁判所の裁判官の方ですか判事の方ですか、本当に本音でサインしたんですかと言ったときに、親の顔を浮かべると、真意は違うんだけれども、いや、そうなんですと、後が怖いですから言ってしまうケースがこれから出てくると思うんですよ。

 その点について法務省の方にお聞きしたいんですけれども、どうやって真意を、本音を確認するか。営業でも本音を確認するというのは結構大変なんです、政治でもそうなんですけれども。その点について教えていただければ助かります。

 

○始関政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案におきましては、遺留分というものが、被相続人の相続財産に対する期待を保護するため、被相続人の財産処分の意思に反しても相続人に確保されるべき重要な権利であるということにかんがみまして、遺留分権利者全員の合意を要件の一つとしております。

 そして、委員御指摘のとおり、合意が遺留分権利者の真意に基づくということは極めて重要なことでございますので、合意が効力を生ずるためには家庭裁判所の許可を必要とし、その許可要件として、八条第二項でございますが、「家庭裁判所は、」「合意が当事者の全員の真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを許可することができない。」としているわけでございます。

 さて、その遺留分権利者の真意の確認を具体的にどのような方法でするのかということでございますけれども、これは個々の事件に応じまして各家庭裁判所が判断をすることにならざるを得ないわけでございます。これまでの他の家事審判事件におきましても真意の確認の場面というのがいろいろあるわけでございますが、その実務を見ますと、裁判官が当事者等を審問いたしましたり、あるいは書面で事情を照会するというようなことをいたしまして、当事者等の意思の確認を行っているというふうに承知をいたしております。

 本法案におきます合意の許可の事件におきましても、他の家事審判事件と同様に、事案に応じて各家庭裁判所において適切な方法が選択されることになるというふうに理解をいたしております。

 

○大島(敦)委員 家庭裁判所の役目というのが非常に大きいと思うんです。スムーズな事業継承のためには、ある程度押さえつけるということも必要なのかもしれない。しかしながら、法の前の平等という観点から見れば、本当の本音でサインされているかどうかというのは、特に遺留分ですから、本来であれば法定相続の二分の一は自分の権利として主張できるところをこれは譲っているわけですよね。人間の本音としては、やはりもらいたいというのが本音かもしれないし、家に帰って奥さんに聞いたら、どうしてこんなのサインしちゃったのよと言われてしまうかもしれないわけですよ。そこの本音を丁寧に見てほしいんです。

 あるいは、その場でサインしたとしても、家庭裁判所としては、あり得ないことか、認めたとしても、実は封筒がちゃんと閉じてあって、お亡くなりになったときにそれをあけてみると実は同意していなかったとか、そういうことだって必要なのかもしれない。家庭裁判所が、同意したということをその場でわかってしまうということが、意外と相続を後継者以外の方が受けたときに実は違っていたということになりかねないので、そこの仕組みをもう一歩進めて考えてほしいんですよ。家庭裁判所に行って、その場でサインして、真意は同意かもしれないけれども、封筒か何かに入れてしまっておいて、将来的に、あけてみると、そのときの結果がわかるみたいなことなんということも必要なのかもしれない。ですから、そのところをぜひ丁寧にやっていただくことが、今後のいろいろな争い事を起こさないことにつながるかなと思っているんです。

 特に、本当にそういう大方の経営者の皆さんは、自分が死なないと、これは違う質問に移っていくんですが、なかなか大変なんです。何回も事業承継を経た会社というのは、経営者の方が亡くなる前提で考えているわけです。しかしながら、自分で会社をつくった方は、自分は死なないと思っているんですよ。特に、六十、七十を超えて、大分自分もいい年になってきたかというときに、税理士さんあるいは息子さんから、そろそろ事業承継のことを考えてみませんかと言われたときに、おまえはおれの死ぬことを願っているのかなんて極端な反応があったりして、なかなか言い出せないのがこの事業承継の難しさなわけですよ。

 今回、この事業承継の中で、事業承継計画というのをつくることになるんですか。事業承継計画をつくれば、それを前提として、今までは一〇%だったところを八〇%まで、これは納税猶予というのですか、その分を認めて枠を広げますよということだと思うんですけれども、その点につきましてちょっと伺いたいんです。

 

○福水政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、事業承継を計画的に行うというのは非常に大事な、承継の基本じゃないかというふうに考えてございます。

 おっしゃいましたように、二百年、三百年、特に京都とか行きますと非常に長い会社があるわけですが、そういうところは仕組みを使わないで、そういう遺伝子があるというのは御指摘のとおりだと思っていますが、逆に、非常に国際的な競争の中で、いろいろな業態、業種、経営者の方がふえてきているというのも、また一方では事実じゃないかというふうに思っております。

 そういう観点で、計画的な承継というのは非常に大事なことだと思っていまして、先ほどお答え申し上げましたが、十七年度から我々いろいろ検討してまいりまして、例えば事業承継ガイドラインをつくっております。こういうふうなものを全国でセミナーを開いてPRするとか、まさに今回のこの法律案の提出も、おれは永遠に死なないと思っている社長にも、ふと、そういうことも大事だと思わせる契機の一つになるんじゃないかというふうなことも考えておる次第でございまして、そういう計画的な取り組みを支援するためにも、適用条件というのですか、そういうことも考えていきたいと思っている次第でございます。

 

○大島(敦)委員 今回の事業承継の、これは承継計画という名前で呼んで差し支えないかどうかなんですけれども、事業承継計画を立てるわけですよね。要は、今回の、違うスキームの中で計画をつくって、事業継続のチェック項目があるということを伺っておりまして、そのチェック項目の中だと、適用を受けた相続人が引き続き代表者であったり、雇用の八割以上を維持するとか、あるいは相続株式の継続保有とか、八割にして納税猶予を図っていくというのは、幾つかの指標があって、その前に承継計画をつくることが適用となる条件なのかどうかについて、もう一度だけちょっと教えてくれますか。

 

○福水政府参考人 お答え申し上げます。

 円滑な事業承継を推進するということで、委員御指摘の計画的な取り組みが非常に大事だというふうなことで、後継者を決めていくとか、後継者に対します教育というのですか、引き継ぎのようなことを時間をかけてやっていくとか、あるいは段階的に株式を移していくとか、そういう事前の計画の取り組みというのが極めて大事だというふうに考えてございます。

 こうした観点を踏まえまして、この事業承継税制の適用要件となります計画的取り組みの具体的な内容につきましては、今後検討してまいりたいというふうに考えてございます。

 

○大島(敦)委員 その内容について、結構大切だと思うんです。これは私は評価しています。ただ、いろいろと考えてみると、事業承継計画をつくれば、例えば一割が八割に納税猶予枠が広がるということは非常にありがたいことかもしれないんですけれども、そこにもう一つ工夫があるといいなと思っています。

 役所の皆さんの計画の中で、例えば、今から十年ぐらい前かな、国交省さんなんですけれども、新経審といって、入札の基準を変えたときがあるわけです。その中で、福利厚生の項目で、退職金制度を入れてあるかどうかという項目を追加しただけで、全国の金融機関の皆さんは中小企業を相手に、そういうような制度設計をした方が受注がもっとスムーズにいきますよということで営業活動をされたりもするわけですよ。

 今回、確かにこのスキームも非常にいいスキームだと思うんです。私たちとしては、この八割を十割まで上げてくれということをいろいろと、私たちの、経済産業政策を担っている皆さんは悲願として考えておりまして、八割よりもより大きい数字ということは思っているんですけれども、今回の八割の中で、今申し上げましたとおり、もう一つ、言いやすいこと。

 例えば、事業承継計画をつくれば、具体的に今何らかのメリットがある、余り助成金とか補助金というのは好きじゃないんですけれども、そのようなものがあったりもすると、税理士の皆さんというのは言いやすいかもしれないし、息子さんも、社長さん、ちょっとこういうふうに考えれば現時点においても会社にとってプラスですよというのが仕組みとしてあると、もう少し広がっていくのかなと思うので、その点について、お答えというかお考えがあったら伺わせてください。

 

○福水政府参考人 お答え申し上げます。

 計画的な取り組みあるいは今後の事業承継をどう進めていくかということにつきまして、現在、弁護士連合会あるいは公認会計士、税理士さんは、中小企業の経営を助ける、支援するという意味で非常に関心をお持ちでございまして、我々既にいろいろな局面でそういう方々と議論しておりまして、中小企業の事業承継が円滑に進んでいくためには、こういう制度に加えまして、中小企業の周りでいろいろ中小企業活動をサポートしておられます、そういう士業の方々の支援もないと円滑に進んでいかないというふうなことで対応を進めておりますし、法案が通りますれば、例えば、各地につくります事業承継センター、そういうところと各士業が連携などをとりまして、中小企業の方に広く周知、啓蒙なども進めていきたいというふうに考えてございます。

 

○大島(敦)委員 今回の法案の第一条の目的のところに、「多様な就業の機会を提供する」という記載がございまして、地域においての中小企業の役割について、こういう観点から中小企業は必要だよということを目的として述べているわけです。今の論点として、どうしてスムーズな事業継承が必要なのかというのは、地域社会においての雇用の受け皿になっているのが中小企業だからだと思うんです。

 ですから、そこに着目をして、そこの雇用を守るという前提で、経済産業省の皆さんの資料の中には、八割の雇用は五年間にわたり守ってくださいということが書いてあるわけだと思うんですけれども、その点については、この八割というのは、もう確かな数字として認識していいかどうかを一点伺わせていただくとともに、一条の「多様な就業の機会を提供すること」の意味について、もう少し深く御答弁ください。

 

○福水政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業は四百三十万社ありまして、地域において、ほとんどすべての業種でございますが、いろいろな業種でいろいろな就業機会を提供して地元の雇用を確保されているというようなことで、目的のところにそういう趣旨を書いているわけでございます。

 税制のところは、事業の継承が地方の雇用確保を通じて地域の活性化に通じるというようなことにかんがみまして、一定期間、五年間雇用を確保しつつ事業継続を行う企業に限定して、今回の事業承継税制の適用対象にしようというようなことを考えておりまして、そういう意味で、しっかりとした要件を設定することが不可欠であるというふうに考えてございます。

 他方、団塊の世代が定年退職を迎えつつあるとか、あるいは、中小企業の中には三百人のところもあれば十人のところもある、非常にバラエティーに富んで、小規模企業も多いというようなことを踏まえますと、雇用が一人たりとも減ったら猶予されなくなる、そういう硬直的な制度になりますと、中小企業の本来の機能といいますか活動を担保することに支障が生じてしまうんじゃないかというふうに考えてございます。

 そういうふうなことを考えまして、雇用の一〇〇%だということではなく、気持ちとしては、事業が大きくなってふえていくというのを当然望んでいるわけでございますが、雇用の八〇%以上を確保、これを条件に納税猶予制度を運用していきたいというふうに考えてございます。

 

○大島(敦)委員 やはり雇用の観点というのが、八〇%というのが非常に必要で、それで納税猶予を一割から八割まで伸ばしたということ。

 会社にはいろいろな会社がありまして、従業員に着目すると、今国の方で決めている中小企業のいろいろなカテゴリー、小売とか卸とかあるいは製造業とか、いろいろな会社があって、雇用の観点から着目いたしますと、十人雇っている会社というのは結構立派な会社、五十人雇っている会社というのは、大企業から見るとちっぽけな会社かもしれないけれども、地域に帰ると本当に大きな中堅企業だと思うんです。地域のゼネコンさん、売り上げが二十億円ぐらいの会社でも、従業員の雇用数は大体二十人から五十人ぐらいかなと自分の経験値で持っているんですけれども。

 そうすると、今回は法人が対象になりますから、資産管理会社はだめだ、しかしながら、例えば不動産関係の会社、ビルとかのオーナー、幾つも店舗を持っていらっしゃる会社というのは、十人でも結構多くのビルを管理できるわけですよ。

 日本の相続税の中を見てみると、日本の相続税が年間大体一兆五千億とか六千億ぐらいだと思うんですけれども、その半分が、土地に関する課税、土地に関する相続で国の方に納めていただいている。そうすると、業種によって相当開きが出てくるのかなと。

 これを聞いて、自分が不動産の管理会社の経営者であれば非常にありがたい制度だなと思うんですよ。大体、ほかのところは全部アウトソーシングをして、十人ぐらいでビルを十棟、二十棟、五十棟ぐらい管理していて、今回のスキームを使えば、そのまま八割は納税猶予で息子に引き継げるわけですから。売ったとしてもそんなに、要は、売って利益を得るよりも、家賃収入が毎年毎年あった方が人生としては安定しますから。

 だから、そういう会社も含めて、要は、雇用との格差、八割という線で一挙に一割から八割、あるいはさらに突き抜けてというふうにした方がいいかどうか、自分は今ちょっと疑問に感じているところがあるんです。

 雇用というところに着目すれば、一挙に八割じゃなくて、わかりやすい話、八十人雇用があれば八割だ、七十人だと七〇%だ、六十人雇用すれば六〇%だと段階的に設ける、地域における雇用を守るために中小企業のスムーズな継承が必要だとすれば、雇用に着目をして、今の納税猶予の割合を一から一〇〇まで、要は一〇〇%まで認めてそれを段階的に区切っていくということも考えられるのかなと思うんだけれども、その点についていかがでしょうか。

 

○福水政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用確保、これは非常に重要な点でございまして、今回の事業承継税制において根幹をなす一つだというふうに考えてございますが、先ほどから申し上げております雇用の八〇%以上の確保というのは、ほかの国でも例を見ない要件ということで、五年の事業継続とともに、八〇%以上の確保を今回の納税猶予制度の適用要件として位置づけている、そういう状況でございます。

 しかしながら、自社株に係る相続税の負担額が同じ場合であっても、企業の従業員数というのは、業種とか業態、とりわけ立地、そういうことによって大きく異なるというふうな状況でございます。

 したがいまして、従業員数のみを尺度として相続税の軽減割合に差を設けることとすると、かえって課税の公平の観点からいろいろな課題も出てくるんじゃないか。それに、事業継続要件五年間というのも、その間に中小企業がいろいろな変化、変遷をしていくことは十分考えられることだと思っております。

 そういう観点も踏まえまして、従業員数に応じて軽減割合を設定するということではなくて、一律に、中小企業に限って自社株式の八〇%に対応する相続税の納税猶予制度をつくっていこうということにしたものでございます。

 

○大島(敦)委員 理屈としては、一つの理屈かなとは思います。

 しかしながら、さまざまな中小企業がある中で、特に雇用という点に着目した場合に、では従業員数のベースになる従業員が何かというところについて質問させていただきたいんですけれども、今多様な就業形態がありますから、正社員の方もいらっしゃると思う、派遣社員あるいは契約社員、あるいは自分の一定の業務をほかの会社に委託しているケースもあると思うんです。その場合、ベースになる従業員数というのは正社員なのか。そして、雇用の安定という観点から見ると、正社員でも、私としては、社会保険、厚生年金とかあるいは健康保険とかにしっかり入っていただいている方の方が正しいのかなと思うんだけれども、その点についてのお考えを聞かせてください。

 

○福水政府参考人 お答え申し上げます。

 雇用の確保要件の際の従業員の定義についてでございますが、御指摘のありましたとおり、厚生年金に入っているとかあるいは健康保険に入っているというふうな状況、そういうことを踏まえまして、今後十分に検討していきたいというふうに考えてございます。

 

○大島(敦)委員 雇用の点については、批判してはいけないんだけれども、今の大手の会社の経営者の方が昔の経営者のようにもっと品格を持っていらっしゃるとありがたいなと思っていまして、地域の経営者の皆さんは、ライオンズクラブとかロータリークラブに入られていて、しっかりと地域経済の中で貢献した上に、さらに、自分の所得の中から毎年社会福祉協議会に例えば車を提供したり、いろいろなボランティア活動をさまざまやっていらっしゃるわけですよ。相当、地域の中小企業の経営者の方たちは地元に根づいて、地元の発展のために本当に頑張っていらっしゃると思うんです。でも、今の大企業の経営者の方たちはそういう社会貢献をほとんどしない、土日も、ゴルフはするんだけれども地域貢献をしない方がふえていると僕は思っているんです。その点について、僕は中小企業の経営者の方たちは守らなければいけないなと思っている立場なんです。

 ですから、彼らにとっては、雇用の観点もちょっと厳しいかもしれない。でも、正社員ということ、社会保険に入っているということを前提として考えてもらいたいのが一つ。

 もう一つ、大臣に、これはちょっと自分がこだわっているものですから、先ほど中小企業庁の長官といろいろとやりとりをさせていただいて、今、一挙に一割から八割に納税猶予が広がるわけですよ。私は、ここに雇用の観点を入れて、百人雇っていれば一〇〇%納税猶予する。六十人だと六〇%納税猶予する。十人で一〇%は低いから、十人の人は三〇%ぐらいまで上げてもいいのかもしれないけれども、段階的に、雇用という観点に着目して納税猶予の枠を、エスカレーションというか区切っていった方が実態に近いと思っているんです。

 いろいろな会社がある中で、先ほどいろいろな御指摘をさせていただいて、五十人、百人雇っている会社も、資産規模がそんなに大きくない会社もあります。十人の会社だけれども、資産規模が本当に大きな会社もあります、不動産を中心として運用している会社は。自動車学校も、不動産を中心として相続税は非常に多い。しかしながら、従業員の方を雇っていますから、それは雇用という観点から見ると、しっかりお仕事をされていらっしゃるなと思うんですよ。特にこれからは、都市部においての自動車学校の資産価値が非常に高いものですから、そうすると、今回のスキームで意外と、従業員の方も三十人、五十人雇っていらっしゃいますから、助かるなと思うんです。

 ですから、この従業員に着目することが、事業承継、今回のスキームの中で、一割なのか八割なのか一〇〇%なのか、納税猶予の枠を決めるときに、一挙に八割ということではなくて、そこに段階を踏んだ方が、会社に対するモチベーションも、おれの会社、今のところ二十人なんだけれども、将来は四十人、五十人、大きな会社にして、その分息子には楽に会社を引き継ぐことができるんだという努力目標の方が何となくいいかなと思うんですけれども、その点について大臣の御答弁をお願いいたします。

 

○甘利国務大臣 この種の施策を構築するときに、施策を受ける方も、そしてそれをチェックする方も、余り複雑に使いづらいものにしてはいけないと思います。できることなら共通の物差しで、この適用を受けようとする経営者も、ならばこういう方法でやってみよう、今まで子供の給与から株式を保有させようと思ったけれども、こういう方法もあるなとか、いろいろ設計ができると思うんです。

 もちろん、やってみて、本当に不都合な点が顕著であるという点が出れば、当然、法律を改正するなり、あるいは運用で済むところは改善するなりという措置はあると思うんですが、新しい制度を仕組んでいくときに、極力わかりやすく、それから、こっちを立てるとこちらが立たないということがいろいろあると思います。承継をする者に余り有利にすると公平性が損なわれるとか、いろいろな点があると思いますので、他との公平性等も加味して落としどころを決めたということになるわけであります。

 これは、法律が施行されて、使い勝手その他、あるいは先ほど来御指摘があるモチベーションの点で、明らかにこうした方がいいという点があれば、また委員会の中でいろいろと御議論いただければよろしいかと思っております。

 

○大島(敦)委員 五年間たつと見直しがありますから、今後の運用も踏まえて議論をしなければいけないと考えております。

 今、いろいろな経営者の方がいらっしゃいまして、半分海外で暮らしていらっしゃる経営者の方もおります。半分海外で、ハワイで多分暮らしていたのかな。三百六十五日のうち半分ハワイで暮らすと日本の税金がかからないものですから、そういう経営者の方も結構今ふえていらっしゃるわけですよ。経営者の方は、税に関しては結構、払いたくないという意識を持たれている方も少なくはないという言い方の方が正しいのかな。皆さんは、ちゃんと社会的な義務として、ロータリークラブにもライオンズクラブにも入って社会貢献をどんどんしているんですけれども、ちょっと少数の経営者の方が自分の資産の防衛に走りがちで、それが、脱法とは言えないんだけれども、法のすき間をかいくぐりながらというところがありまして、今回のこの仕組みもそうならなければいいという危惧を私は持っているんです。

 それで、ちょっときょうは、内容的に答弁できるかどうかわからないんですけれども、財務省の方にも来ていただいておりまして、相続税の今後の検討をされる中で、内容について、どういう方が、伺いましたら、相続税一兆五、六千億円のうち、上位二〇%が八割を納めていらっしゃるという話を伺いました。ですから、相続税のこの二割について今後よく検討をしながら、今後の、要は租税特別措置法なりあるいは相続税の改正に役立てた方が無難かなと思うんですけれども、その点について御答弁いただければ幸いです。

 

○荒井政府参考人 お答えします。

 国税庁でございますので、数字の面だけ確認をさせていただきます。

 平成十七年中に相続が開始した者に係る相続税の課税状況を見ますと、被相続人ベースでの課税価格の合計額が三億円を超える件数は全体の課税件数の一七%を占めておりまして、その納税税額は全体の七八%を占めているところでございます。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 相続税の今後の見直しにつきましての御質問でございました。

 相続税につきましては、主にバブル期に地価が急騰いたしまして、その際に基礎控除の引き上げ等減税が行われまして、また平成十五年度の改正では最高税率の引き下げを含む税率構造の見直しが行われました。

 昨今、年間の死亡者数のうち相続税の課税が発生する割合は四%程度というふうに減少しておりまして、政府の税制調査会の答申におきましては、資産再分配の機能とか財源調達機能が低下しているという指摘をいただいております。

 また最近、相続税をめぐる環境の変化といたしまして、高齢化が進みまして、相続を機会に高齢者世代内での資産格差が次世代に引き継がれる可能性も増してきているということで、格差の固定化の防止という観点について、相続でどう考えるかというような御議論がございます。

 また、公的な社会保障が充実しまして、老後の扶養を社会的に支えているということでございますので、高齢者が死亡した際には資産の一部を社会に還元するという考え方も重要ではないかというような指摘等々いただいているところでございます。

 こうした点を踏まえまして、今後、課税ベースあるいは税率構造につきまして検討を行っていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 

○大島(敦)委員 ですから、今回の制度、要は、非常にいい制度だとは評価しておりまして、賛成の立場なんですけれども、しかしながら、脱法的行為とか、あるいは今回の制度を悪く使う方がいらっしゃるケースがあるかもしれない。特に、税の公平の観点から、上位二〇%の方が八割を納めている、七五%ですか、その部分についてはよく、チェックというか検討していただいて、運用で反映してください。

 最後に、条文の質問なんですけれども、十二条で支援措置というのがありまして、今度は、先ほど長官おっしゃっていらっしゃいました、相続人以外の方が会社を相続するときに、なかなか金銭面で、あるいは資金的な援助が必要だということで、これは大臣の方で認定をして、要はこの会社は大丈夫ですよと認定するということをされるんですけれども、前回の委員会で大臣は、結構今の銀行は企業を見る目がないという、目ききというお話をされておりました。私も、我が産業の中で、なかなか難しくて、どの会社が伸びるかという目ききがいないかもしれない。

 アメリカも目ききがあると思っておりましたら、今回のサブプライム等で、格付機関もみんな目ききじゃないということがばれてしまったものですから、本当にどこに目ききがいるかというので僕も悩んでおりまして、日本国内において、私の観点からしますと、今後、厳しい厳しいこれから数年間をしのぐ中で、将来の飛躍に備えてこの会社は残っていてほしいなという、余りえこひいきはしちゃいけないんですけれども、そういう観点も必要かなと思っているんですよ。

 この認定というのは、要は企業の生きるか死ぬかを判断する認定かもしれない、この基準というのは。これは極めて大切だと思っておりまして、最後に、この点につきまして、どういう考えでこの認定をしているのか。その点について、もしも大臣が御答弁できれば大臣の答弁をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

 では、福水さんから大臣の方にお願いいたします。

 

○福水政府参考人 お答えします。

 中小企業の事業承継というものに対しましては、株式や事業資産買い取り資金を初め、そういうことで多額の資金が必要になってくる。あるいは、経営者が交代いたしますと信用力の低下という課題が出てまいりまして、金融機関から見ると、借り受け条件を厳しくしたり、そういう課題も起こってまいります。

 そこで、十二条におきましては、事業承継に伴ってこういうふうな事態が発生し、あるいは事業活動の継続に支障が生じているということにつきまして、私ども経済産業大臣が認定を行う。その認定を行いました中小企業者、あるいは、従業員とかが承継する場合もありますので、その代表者に対しまして、中小企業信用保険法の特例でありますとか、あるいは日本政策金融公庫法の特例というふうな金融支援を行っていこうということでございます。

 それで、具体的な認定基準につきましては、十二条で省令で定めるということになっておりまして、中小企業の事業承継の実態も十分踏まえて検討を行ってまいりたいというように考えてございます。

 

○甘利国務大臣 基本的には、長官がお答えしたとおりであります。

 認定するところとか査定をするところが、目きき能力をしっかり身につけさせる、これは最大の課題で、いわば永遠の課題であると思います。これは、経験値を積み上げていくということしか、特効薬はなかなかないんだと思います。

 金融機関でいいますと、私は、商工中金というのはなかなか立派なものだと思います。これは、やはり中小企業を育てるという志のもとに、そこに特化した金融機関であるという認識を持って、自立する力をつけていくという意識をみんなが持って、そこで見抜く力を積み上げていって経験値として持ってきたんだと思いますし、行政を含めて、そういう力を蓄積してノウハウとしていきたいというふうに思っております。

 

○大島(敦)委員 ありがとうございました。

 

○東委員長 以上で大島敦君の質疑は終了いたしました。

 次に、北神圭朗君。

 

○北神委員 おはようございます。

 まず、質問の前に、理事会にちょっと資料をおくれて提出しまして、理事会の皆さんに大変御迷惑をかけたことを一言おわび申し上げたいと思います。

 それでは、資料に基づいて質問をさせていただきたいと思います。

 きょう、引き続き、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案について質問をしたいというふうに思います。

 今まで、事業承継については、基本的に世襲を優遇するような税制が続いてきた。現行は、自社株については一割減免、それと土地については八割減免という制度だというふうに思います。今回の法案のいいところは、世襲だけじゃなくて親族外の承継も含めて、企業の承継が非常に困難になっている今のニーズにこたえる包括的な中身になっているということは、私は、評価ができるというふうに思います。

 ただ、親族外の部分については、これからMアンドAとかMBOとかEBOとか、何かアルファベットばかりなのでなかなか覚えにくいんですが、そういうところをもっと議論しないといけないというふうに思うんですが、やはり今回の法案の、あるいは法案というよりは今回の政策の目玉というのは、事業承継の税制の、相続税の措置だというふうに思っておりますので、これについて議論をしたいというふうに思います。

 これについては、私らも一〇〇%の自社株の減免を求めてきたわけでありますが、党税調としては、また違う、少し幅のある表現にはなっておりますが、経済産業部門としてはそういう要望をしてまいったわけであります。

 今回、それでも一割から八割に拡大をされたところを見て、私たちも、よく今回大臣も頑張ったな、経済産業省、中小企業庁も頑張ったな、一方で、主税局もすごく柔軟になったなというふうに喜んだわけでございますが、よくよくいろいろ見ていくと、この喜びというのはぬか喜びかもしれないなということがちょっと気にかかるところであります。

 まず大臣に、今回の法案について、この法案はどういう目的を達成されようとしているのか、その目的に対してどういう効果を具体的に見込んでいるのかということをお聞きしたいと思います。

 

○甘利国務大臣 大企業と中小企業、上場企業と非上場企業を比較しますと、経営者の死亡等による交代が事業の存続と直接かかわってきてしまう。それによって、中小企業が培ってきた技術の蓄積が継承されないとか、あるいは雇用が崩壊をしてしまうとか、地域経済を支えてきた中小企業がその存在を失ってしまうとか、いろいろな弊害が指摘をされてきました。

 そこで、雇用の確保であるとか地域経済の活力維持等、重要な点にかんがみ、この法律でそういう支障が、事業が健全に営まれているにもかかわらず、そうしたことによって雇用や技術が失われるということのないように、許容の範囲で手当てをしていこうということであります。

 具体的には、この法律案によりまして、民法特例を設けるとか、あるいは金融支援措置を講ずるということであります。そして、税制措置に関して言いますと、納税猶予制度をこれから税制改正で創設していただくわけでありまして、十月一日以降の相続にさかのぼってそれを遡及適用するということをしていただくわけであります。

 もちろん、後継者自体がなかなか見つからないということの悩みにもこたえるために、事業承継支援センターを全国に展開していきますし、制度融資についても前広に考えていくということであります。

 こうしたことを通じまして、現在言われている年間平均廃業数の四分の一である七万社が後継者がいないということを理由にする廃業であるということに対する処方せんが描けるのではないかと思っております。この七万社の廃業に伴って失われる雇用というのは、年間二十万から三十五万に上るというふうに推計をされておりますので、こうした雇用喪失に対する処方せんになり得るとも思っております。

 

○北神委員 ありがとうございます。

 雇用確保という具体的な効果を今述べられましたが、この相続税の課税の措置というのは、やはり、簡単に言えば、まけてもらう、どのぐらいまけてもらうかということが、実際には、経営者にとっては、あるいはその承継者にとっては大事な話だ。

 今までだったら、自社株については一割減免だということですが、これから八割ということで、普通に考えたら、これは非常に相続税対策というか、相続税について今までこれが一つのハードルになってなかなか承継できなかったというところがより大きく解消されるというふうに考えるのですが、今回の法案を見ると、実際の内容というのは、さっき大臣がおっしゃったように、遡及適用ということで、平成二十一年度、来年度の税制改正で実際の措置がなされるということであります。

 だから、今回の法案は、附則の第二条にしか、簡単に、平成二十年度中に相続税の課税について必要な措置を講ずるということで、具体的には資料の一ページにありますように、政府の閣議決定で、平成二十年度の税制改正の要綱に事業承継税制を書いたり、自民党さんの方でも税制大綱を昨年決められたというふうに思うんです。

 ここを読みますと、「この新しい事業承継税制の制度化にあわせて、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めることを検討する。」と。「その際、格差の固定化の防止、老後扶養の社会化への対処等相続税を巡る今日的課題を踏まえ、相続税の総合的見直しを検討する。」という文章になっております。

 これは、先週の太田委員に対する答弁で、大臣は、今回の法案は歴史的であり革命的であるという話をされました。長年この問題について取り組んでこられた大臣の苦労を考えると、これはやはり大きな成果だというふうに思われるのは私もよく理解できるんですが、この文章を読んでいると、私は、革命的とおっしゃいますけれども、一見、中立的で無感情で淡々とした文章の行間に、アンシャンレジームの主税局の反革命の意思を感じるんですね。

 これはどういうことかというと、別に演説をするつもりはないんですけれども、まず、あわせてやるということは、事業承継税制と相続税の見直しをあわせてやる。相続税の見直しというのは、後から申し上げるように、恐らく増税の方向になるというふうに思います。

 それで、その中で増税というのは、昨今の政治情勢の中でなかなか難しい話でありますから、仮に相続税の見直しというものがなされない場合、事業承継税制というものが合わせわざのように書かれていますから、セット論なのか、それとも相続税の見直しがなされなくても承継税制はちゃんとやるのか、その辺の確認だけをしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 

○甘利国務大臣 今回提出をさせていただいている法律で、税の手当てをきちんとするというふうに書いてあります。でありますから、少なくともその部分についてはちゃんと対処をするということであります。その部分の税制改正要綱を読みますと、その際にいろいろと課題と思っていることも一緒に検討したいというふうに書いてあるわけであります。

 とにかく、税制というのは、国際的な動き、それから国内的なトレンドの変更、変更といいますか、高齢化になってきた場合には、税制度もそうでないときと変わり得る要素がある等々を含めて、見直しというのはやらなければならないことであろうと思いますけれども、それを前提要件にしているというふうには私は理解をしておりません。

 

○北神委員 それは確認だけで、おっしゃるとおり、附則の方に課税の措置をするということが書かれているので、そこは安心ができるというふうに思います。

 ただ、さっきの税制改正要綱の方に戻りますと、相続税の課税方式をいわゆる遺産取得課税方式に改めるということになっております。これはもう大臣も御存じだと思いますが、現在の我が国の相続課税も一応は遺産取得課税方式と言えるというふうに思いますが、重大な修正が加わっている。これは要するに、わかりやすく言うと、相続した場合に、民法上の相続の割り当てがありますから、それに基づいて仮の計算をして相続税額、総額を決める。そして、実際に遺産を相続された相続人それぞれに応じて案分をするという方式をとっているわけであります。

 この方式、もともとは遺産取得課税だったのがなぜこういう方式に修正をしたのかというと、私が調べたところ二つありまして、一つは、純粋な遺産取得課税の方式だったら、結局一人の相続人に遺産が集中するとやはり税負担が非常に重くなる。当然、相続課税というのは累進税率ですから、そういうことがある。ですから、隠ぺいをしたりあるいは仮装したり、そういったことがあるからそういうことをさせない、する必要がないようにするために修正をする、これが一つです。

 もう一つは、農村地域なんかに行くと、大体長男に遺産を集中させる。これも、さっき申し上げたように、純粋な遺産取得課税だったら累進税率が非常に重くのしかかってくる。そういう配慮があってこういう方式に修正をした。

 ところが、今回、相続税のいろいろな独自の理論があるから、それはそれでいろいろな考えがあっていいと思いますし、それに基づいて、大臣がおっしゃったように、今の日本の社会の情勢に応じていろいろな改正をするというのは私は結構なことだというふうに思っております。

 要するに、税制改正要綱に書いてあるのは、相続税の課税方式の今の修正方式を純粋な遺産取得課税に戻す。ということは、逆に言えば、今申し上げたように、そもそも修正の方式が導入されたのは、遺産が一人の相続人に集中をした場合に大変税負担が重くなる、だから修正をしたのであって、これをまたもとに戻すということは、当然そういう方にとっては非常に相続税の負担が重くなるということであります。

 特に、事業承継については、今回の民法の特例なんかでもまさにその趣旨で設けたんだというふうに思うんですが、当然、相続をするときには、事業承継を円滑にするためには、事業を承継する方に、相続人に遺産を集中する必要がある。そうじゃないと、分散すると、なかなか経営の安定というものが保てないということであります。となれば、まさに事業承継をやる上で純粋な遺産取得課税方式に改めると、やはりこれは累進の税率が重くのしかかってくる、こういうことは言えるというふうに思うんですよ。

 これはやはり、二十一年度、来年度に合わせわざでやるということであるならば、これは我々が期待していることよりも効果がちょっと減殺される、場合によっては相殺される、理論的には下手するとマイナスになる可能性もあるということであります。

 ですから、これはやはり非常に重要な問題だというふうに思いますし、恐らく大臣もそうですし、副大臣も政務官も皆さんも、そして中小企業庁の皆さんも、ここまで汗をかいて獲得したんだというふうに思っていたところ、大変な反革命に遭って、当初の思い描いていた夢がしぼんでしまうというおそれがあるんじゃないかというふうに思うんですが、この点について、大臣、いかがでしょうか。

 

○甘利国務大臣 これから税制調査会で議論をしていただくわけであります。この法律の趣旨が税によって逆にねじ曲がるということがないように、税制調査会のメンバーにはしっかり留意をしていただきたいというふうに思っております。

 ただ、基本的に、今回の制度は納税猶予制度であります。つまり、納税猶予というのは、その資産を売却しようとする際には税がかかる、つまり、いわば限定的な公共財である会社等を運営していくに際して、それが、個人の私有物に、個人財産に変わったという途端にその効能が途切れるということは、この法律の趣旨が、会社の存続を個人の相続と切り離して可能なようにしていくという道を開いたんだと思っております。ですから、法律の趣旨というのは、とにかく個人の相続によって会社の存続が損なわれることがないような道を開いた。ただし、それによって個人資産形成が有利に働くということについては一定の制約を設けたんだというふうに思います。

 法の趣旨はそうだと思いますが、税制は税制として、調査会で議論をしていただくわけでありますから、冒頭申し上げましたように、この立法の趣旨が、法の趣旨が損なわれるというようなことがあってはならないというふうに思っております。

 

○北神委員 ぜひ、その点、お願いをしたいというふうに思います。

 また同じような趣旨の質問なんですが、一応、大臣ももう重々御承知かもしれませんが、御参考までにちょっと申し上げたいのは、二十一年度の相続税の総合的見直しという言葉が書いてありますが、大体私の経験からいえば、主税局が見直しと言う場合は大体増税なんですわ。これは大体そうなんですよ。課税当局としては、私は、今の財政再建の中で、彼らは彼らの仕事をやっているというふうに思います。ただ、これは政策税制ですから、我々は、そこの点は、せっかくやるんでしたらやはり効果のあるものにしていかなければならないというふうに思います。

 資料の二ページ目を開いていただきますと、これは昨年の政府税制調査会「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」というところから抜粋をしましたが、相続税の箇所について、今後の方向性について述べております。これを見ると、全部もう増税にしか向いていないんですよ、方向性が。

 まず下線のところだけ読みますと、「相続税の負担が大幅に緩和された結果、」これは先ほど川北審議官が大島委員に対してお話しをしたように、バブル時代に基礎控除を引き上げたりいろいろしてきた、その結果、「年間死亡者数のうち相続税の課税が発生する割合が四%程度まで減少するなど、その資産再分配機能や財源調達機能は低下している。」と。財源調達機能というのは、要するに税収が足りないということでありますから、これも基本的に増税の方向であります。

 三ページ目を見てみますと、「以上の相続税を巡る環境の変化等からすれば、これまでの改正により大幅に緩和されてきた相続税の負担水準をこのまま放置することは適当ではなく、相続財産に適切な負担を求め、相続税の有する資産再分配機能等の回復を図ることが重要である。」ということですね。

 それで次に、課税方式については、先ほど申し上げた遺産課税、純粋な遺産取得課税方式に改めるということがニュアンスとして出ているわけでありますし、もう一つ、わかりやすい話としては、3の基礎控除と税率構造については、「前述の通り現在の地価はバブル期以前の水準まで低下しており、また、相続税の担税力を有する層は拡大している。」と。相続税を払ってもらえる人たちはどんどんふえているということであります。

 次の四ページに移りますと、「格差の固定化の防止や老後扶養の社会化に対する還元」、格差の固定化の防止というのは、要するに人生のスタートラインを大体平等にすべきだということですから、恐らく相続税をたくさん取らないといけないという発想だというふうに思いますし、老後扶養の社会化というのは、これはちょっとどうかと思うんですが、年金とか医療とか、この辺の制度が充実をしているから、今までだったら老後の不安のためにお金を、財産を蓄積しないといけないけれども、ここまで社会的な保障が行き届いていたらそういう必要もないという意味合いで、これも恐らく相続税をより多く取らないといけない。こういう「今日的な観点も踏まえれば、地価上昇時に引き上げられ高止まりしている現在の基礎控除の水準は引下げが適当」だと。

 基礎控除の引き下げですから、より多くの事業承継者、事業会社がこの相続課税の対象に入ってくる可能性が高まるということであります。より相続税を払わないといけない。今かなりの方々が払わなくていいわけですから、その基礎控除を引き下げれば、課税最低限が下がるということでたくさんの企業が対象に入ってくる。

 もう一つは、「現在の基礎控除の定額部分は、分割困難な農家及び中小企業の相続を考慮し、」つまり、これは中小企業の相続を考慮して基礎控除の定額部分というものを設けていたということですが、その「一定額を基礎的に控除する趣旨で設けられたが、その後の各種特例の整備に伴い、当初の意義は低下している。」「最高税率を含む税率構造のあり方についても、格差の固定化の防止といった観点から検討する必要がある。」と。

 最後に、事業承継税制の部分があって、これは基本的にさっきの税制改正要綱と同じ趣旨でありますが、一番最後の下線の文章を見ていただくと、「相続税制全体の見直しの中でさらに検討を進めることが必要である。」と。これはちょっとニュアンスが違って、税制改正要綱の方は事業承継税制の制度化が主で、それにあわせて相続税の総合的見直しを検討するということでありましたが、これは相続税制全体の見直しの中で事業承継を考えるべきだと。ニュアンスは違うけれども、相続税制見直しが前提となっているように書かれているわけですから、これもやはり気をつけないといけない表現だというふうに思っております。

 ですから、大臣に申し上げたいのは、法案の趣旨、これはすばらしいことだというふうに思います。私も昨年議論を、ちょっと無謀な議論でしたが、やはり個人資産と事業資産というものをいかに明確に分けるか。少なくとも、疑似的に、法律上、事業用資産というものを分けるという意味で納税猶予制度というのが設けられたということは、私は一つの非常に大きな転換だというふうに思いますが、実際申し上げたいことは、はっきり言えば減税額なんですよね。今の現行の自社株の一割の減免措置の中でどのぐらいの減税額があって、そして、今回決めた八割の納税猶予によって、現行の相続課税の制度、今の相続税制度の中でどのぐらいの減税額が発生するのか。

 というのは、総合的見直しをしたときに、これは当然、全体が増税されるわけだから、この事業承継税制の効果というものは少なくとも多少は相殺されるわけです。ここと比較をしないと、実際ちゃんと、大臣がおっしゃったように、この法案の趣旨に配慮をしてくれたのかということが担保をとれないというふうに思うんです。

 ですから、そういった意味で、まずお聞きしたいのは、今の相続税の制度のもとで今回の八割の納税猶予を導入した場合はどのぐらいの減税額を見込まれるのかということをお聞きしたいというふうに思います。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、現在の事業承継税制の減収見込み額でございますが、これは、いわゆる特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算特例ということで、御指摘どおり、一〇%の軽減のところでございます。これは、現行の運用状況をもとに十九年度のベースで概算、試算いたしますと、減収額で十億円程度でございます。

 次に、新しい制度についてどうかという御質問でございました。

 新しい事業承継税制につきましては、まず、現行制度とは適用企業の規模等、要件がかなり異なっておりますし、また、詳細な内容については、御案内のとおり、二十一年度税制改正ということでございます。

 また、加えまして、御指摘がありましたが、事業承継税制の制度化に際しまして、相続税全体についても見直しを検討するということでございますので、今、新しい事業承継の減収見込み額について、これを具体的に申し上げるということは現在では困難でございます。

 

○北神委員 今の一〇%の場合でいけば、仮の試算で平成十九年度で十億円程度だということで、そして、今答弁があったように、やはり相続税の見直しが二十一年度に予定されているから、なかなかその減税額が出ない一つの要素になっているわけですね。

 だから私は、その比較をするためには、まず、この十億円程度の今の現行の減税額というものはしっかり頭に入れておく必要があるし、もう一つお聞きしたいのは、川北審議官がおっしゃったのは、来年度の相続税の見直しをした上で、どのぐらいの減税規模になるかというのは計算できない、これはそのとおりだというふうに思います。

 ただ、今の相続税の制度のもとで、仮にこの八割の納税猶予を導入した場合の減税額というのは幾らになるかということをお聞きしたいと思います。

 

○川北政府参考人 繰り返しになりますが、新しい事業承継税制の詳細設計につきましては二十一年度の税制改正になりますので、その制度につきまして、今、幾らの減収かというのは計算してございません。

 

○北神委員 これは、審議官がおっしゃったように、対象になる条件が今度の制度でいろいろ変わるとか、あるいは経産大臣の認定というものがあるから、そこでどのぐらいの企業がこの優遇措置を受けられるか、そこで変動がなかなか見通せないということでありますが、やはり大臣、これは仮の試算でもやっておくべきだと思うんですよね。

 というのは、私たちは、今の相続税のもとでこの八割の納税猶予というものを求めてきたというふうに思うんです。相続税の、あわせてやるような見直しの部分というのは、多分想定していなかったというふうに思うんです。

 ですから、少なくとも申し上げたいのは、今の現行の一〇%減免の制度の中では十億円程度の減税額がありますから、もちろんこれは、正確に言えば、単純に比較はできないですよ。いろいろな制約条件も変わりますし、納税猶予になるとか、できないけれども、やはりこの十億円を上回るぐらいの減税規模というものが、来年度ちゃんと制度が整って、相続税の見直しも行われた後にこれを上回る減税額が出ないと、一体我々は何のために頑張ってきたのかということになるというふうに思います。

 本当は、今の現行の相続税のもとで、仮の、非常に単純な、いろいろな前提を置いた計算で大体このぐらいの減税規模になるということも大事だと思うんですが、先ほどもたしか話が出たと思うんですが、ひとり歩きしている数字があります。

 私もきょう部屋の箱を見ると、信金中金月報という信金中央金庫が出している雑誌がありまして、そこにたまたま事業承継について論文が書いてあるんです。そこを見ると、今回の改正による減税規模というのは大体百から二百億円程度というふうに見込んでいるんですが、この数字というのはどこから来たのかわかりますか。それとも、全く根拠のない数字でしょうか。

 

○高原政府参考人 お答え申し上げます。

 私は、その信金中金の月報を拝見しておらないので確たることは申し上げられませんけれども、事務的に私どもが数字の積み上げをして試算をしたというようなことはございません。(北神委員「ない」と呼ぶ)はい、ございません。

 

○北神委員 これはもう全く根拠のない数字というふうに理解していいんですか。

 というのは、先週もたしか太田委員が同じようなことを言って、大体減税額が百から二百億円程度だというふうに聞いているというふうに言っていたので、これは根拠のない数字でいいのであれば、やはり大体その減税規模はどのぐらいになるのかということを大臣も財務省と本当は詰めて、今の現行の相続税制度でこのぐらいの減税規模が見込まれるけれども、あなたたちが総合的な見直しをするのは、それはそれでやられたらいいけれども、これについて、ほとんど減税がふえないとか、あるいは、減ることもないとは思いますけれども、ただ、わからないですよね、この相続税の見直しによって。ここは不確定なわけですよ。

 だから、これは法案の附則に書いてある話で、そして税制改正要綱に書いている話だけであって、全然、現実に我々の前で何も決まっていないということでありますので、その点について、大臣どうお考えか、お聞きしたいというふうに思います。

 

○甘利国務大臣 私も党の税調の役員をずっとやっておりまして、確かに、主税局が書いてくる文章というのはなかなか素直に読めないので、気をつけないと、行間にいろいろな思いが詰まっている、割とトリッキーな書きぶりがあるということは経験上よく承知をしております。もちろん、減税要求をする場合には、それに見合って何か人質を差し出すということが過去に私の経験であったことも事実であります。

 ただ、いずれにしても、法律できちんと対処、法律に、税制改正で対処するということが書いてありますし、それはそれできちんとやっていただく。

 相続税全般の見直しについては、実は、私が党にいるころから、ごく一部の者が大宗を占めている、だから、広く薄く、たとえ千円でも納めるべきではないかという議論は確かに税調の中でもありました。それによって大変な負担を強いるというのじゃなくて、相続を通じて全員が国家に何らかの、次の時代を担う者のために会費を払うという発想はあっていいはずだというような議論がありました。

 ただ、私は、それは別建てで書いてもらうならそれはどうぞということでありまして、これをやる際にこれが条件であるということとは法律上はとらえていないはずだというふうに思っております。

 

○北神委員 ぜひ、さっき申し上げた減税規模の試算とかそういったこともちょっと検討していただいて、本当にちゃんと担保をとれるようにしていただきたいというふうに思っております。

 私の資料の七ページを見ていただきますと、相続税の見直しについては、具体的な内容がもちろん今の時点では出ていませんから評価はできませんが、私たち民主党も、税制調査会においては相続税の強化ということを訴えておりますので、これはこれで相続税の世界の中でいろいろな議論があっていいというふうに思います。繰り返しになりますが、せっかく政策減税を導入して、これで、おっしゃるように歴史的、革命的なものにしていかなければならない。ですから、反革命に遭わないように、重々ここは注意をしていかないといけないというふうに思います。

 中小企業庁の皆さんは、情熱的で前向きで、そこのところはすばらしいというふうに思うんですが、主税局は守りに関しては鉄壁なものがありまして、大臣がおっしゃるように、昔だったら、所得税を減税するときにあわせて消費税を増税するとか、税収中立というのがやはり、これは彼らの観点からいえば、財源調達機能とかそういうことからいえば当然なんだろうけれども、そういう発想で物事を考えている。

 それがだんだん最近は緻密になってきて、各税目についてでも、この税目について減税するんだったら、スクラップ・アンド・ビルドの発想じゃないですけれども、どこをあなたは増税するんだいと。そういうことをちゃんとやらないと認められないということも我々もよくわかっておりますので、これはやはり杞憂ではない、だから、ぜひそこを注視していただきたいというふうに思います。

 もう一つ申し上げるならば、七ページに、現在の相続税の負担率を見ても、決して日本というのはそんなにめちゃくちゃ低いわけでもない。この負担率というのは、日本の方、現行が太線に書いてあります、これは主税局からいただいた資料でありますが。しかも、課税最低限も割と低いんですよね。これは一番左の方に行くと、要するに、割とほかの国に比べて早く課税される、早くというのは相続の金額に応じてですね。

 ですから、これをさらに増税するという方向性が明確に打ち出されているわけでありますから、ぜひそこは、ちゃんと担保をとってやっていただきたいというふうに思っております。

 次の質問に移りたいというふうに思います。

 今回の事業承継税制、我々も賛成なんですが、これについては、普通にいけば、相続税対策に困って事業承継ができない中小企業の皆さんに配慮をする制度だ、ちょっとマスコミ的な言葉で言えば弱者救済的な色彩が強いと思われる部分があるというふうに思います。

 一方で、中小企業庁の、平成十一年の中小企業基本法の大きな改正を起点として、中小企業対策というのは、今まではどちらかというと弱者救済の色彩が強かったけれども、やる気があって能力のある中小企業というものをこれから育てていかなければならない、あるいはそういったところにインセンティブを設けていかなければならない、そういう大きな中小企業政策の方針転換をされたというふうに思います。

 そういった流れの中で、今回の法案、特に世襲の税制については、ややもすると、逆戻りじゃないかという批判もあるというふうに思います。これに対してどのように整合性をとっておられるのか、お聞きしたいと思います。

 

○中野副大臣 北神委員御指摘のとおりに、今回の支援策は選択と集中という考え方に沿ったものだと私たちは確信をいたしております。

 今回の事業承継税制については、雇用確保を含む五年間の事業継続、そしてその後の株式の継続保有といったしっかりとした要件を課すこととしており、まさに、能動的に事業継続に取り組んでいる中小企業に絞って集中的に政策資源を投入することにいたしております。

 今委員から御指摘がございましたように、今までの、従来の中小企業の政策スタンスは、社会政策的な側面がありましたけれども、近年の政策スタンスは、独立した中小企業者の自主的な努力、それを前提にしながら、意欲ある前向きな取り組みを重点的に支援するのだ、そういう方向性でありますから、私たちは、今回の支援策と現在の中小企業に対する政策スタンス、委員御指摘のとおりに整合性のとれた政策だ、こう確信をいたしております。

 

○北神委員 ありがとうございます。

 そこら辺はなかなか難しいところがあるというふうに思いますが、今回の法案の一つの、大臣も強調されているように、親族外の承継という部分について金融支援を中心としていろいろやっておられる、恐らくそういったところで強化していかなければならないというふうに思います。

 ただ、今回の納税猶予を導入した考え方については、私も一定の理解はできるんですが、今まで、同じような中小企業の事業承継の問題について、一割の減免だった、これが八割になって、私は当初、八割の減免になるのかなというふうに思っていたら、納税猶予というものが入ってきた。これは恐らく、減免をすることと納税猶予というのは根本的に考え方が違うというふうに思うんですね。

 減免というのは、恐らく担税力とかそういうことに配慮をして一定の非課税の枠を設けて優遇をするということですが、納税猶予というのは、もともとからいえば、もちろん農地猶予の制度はあるけれども、あれも私は例外だというふうに思って、本来は、本当は払うべきなんだけれども、ずっと猶予をしてあげている、だからこそ罰則的な利子税がかかるわけですよ。

 ですから、これは何なのかな、考え方が変わったのかなと。単に一割から八割にまける金額がふえただけじゃなくて、根本的に考え方が変わったのかどうか、その点についてお聞きしたいというふうに思います。

 

○新藤副大臣 私は、考え方が変わったとは思っておりません。

 それでまず、今までの減免制度というのは、負担の軽減、そしてその負担の軽減をすることによって事業の継続性をよくしよう、こういうことだったと思うんですね。しかし、それにおいても、現行制度でもまだ事業継承に非常に困難が伴う。こういったことをより緩和するために、今回は負担の軽減とあわせて、事業の継続性それから産業がそれによって発展する、こういったものもあわせて効果をつけていこうということで今回の制度になったんだと思っています。

 ですから、事業の継続と雇用の確保、こういったものを前提といたしまして、そして課税の公平性の観点から株式保有を要件とする、こういうことだと思うんです。

 それで、その相続税の負担を軽減するわけなんですが、したがいまして、申告時に納税を求めないで、結局、事業継続や株式保有という要件を満たす、その条件を維持してもらうということでその間の納税を猶予するという方が、私は、申告時に税負担を軽減されるよりも望ましいのではないかな、そういうふうに思っております。

 

○北神委員 考え方が変わらないという御答弁ですが、要は、今までだったら、多分、入り口のところでいろいろな条件があったけれども、そこをある程度緩和して、そのかわり納税猶予の方式の中で、さっき大臣がおっしゃったように、事業用資産としての位置づけというものをちゃんと保ち続けなさいよということだというふうに思います。

 ただ、そこはやはり、罰則的な利子税がかかるというのはちょっとおかしいと私は思うんですよ、その発想でいけば。つまり入り口の条件というものを後回しにして納税猶予の方式で担保するということですが、では、なぜ利子税がかかるのか。もちろん、租税回避的なものであれば利子税がかかるのはいいです、これはわかります。ただ、現実に考えると、前も質問でやりましたけれども、やはり相続をしまして事業承継をして、五年間事業をしないといけない、雇用も八割確保しないといけない、死ぬまでちゃんと株式を保有しなさいという一定の条件がある。これを考えると、今までもうまくいっているような企業であるならば、何とか同じような形で、同じような経営方針でずっと存続することができるというふうに思います。

 ただ、現実には、やはり承継をされた経営者が発奮をして、いろいろなことを考えて努力をして事業の発展を目指す。そういった中で、自社株、非上場株式というものを公開したり、そういったことも十分考えられるし、むしろそれは、中小企業対策の観点からいえば望ましいことだというふうに思うんですよ。あるいは、MアンドAとかそういうこともまた考えられる。そういったときにはやはり株式を手放さないといけない場合もある。そこで相続税がかかってしまうというのは、納税猶予をとっている以上はやむを得ないということかもしれませんが、私は、余計なのは、それにまた罰則的な利子税がかかるのはどうかなと。

 なぜそこで、別に租税回避でもないのに、新しい事業、積極的に、まさに選択と集中の中小企業政策にかなった、能力とやる気のある経営者が新たな展開を考えて株式の公開とかあるいはMアンドAとかそういったことをやろうとするときに、相続税も猶予分にかかる、さらに利子税が罰則的にかかるというのは、これはちょっと制度がおかしいんじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

 

○新藤副大臣 先生の御指摘は、両方をうまく補わなければいけない、達成させなければいけない、こういうことだと思うんです。

 その意味におきまして、まず、事業承継におきまして雇用確保それから経済活力の維持、こういったものを図る。これにあわせまして、今先生から御指摘いただきましたような、要するに中小企業の前向きな活動、こういったものを阻害することなく、両方を共存させなければいけない。

 したがって、実質的には、事業継続期間中に株式が公開される、また組織再編があった、そういったものに関しましては、要するに事業継続要件を実質的に満たしているかどうか、これが納税猶予措置を維持するか否かを検討する観点になるのではないかなと思っております。

 また、そういう部分につきましては、今後詳細に制度設計をいたしまして、二十一年度における事業承継税制の制度化の中でさらに詰めていかなければいけないことだと思っております。

 

○北神委員 ぜひ、事業の発展をできるだけ阻害しないような形で制度設計をしていただきたいし、運用も図っていただきたいということを申し上げたいと思います。

 もう一点、最後に、先ほど冒頭にるる申し上げたことで、二十一年度に事業承継税制の制度化を図る、それにあわせて相続税の抜本的な見直しをする。増税です、多分。増税をする。こういった中でどのぐらいの効果が実際にあるのかということはなかなかわからないけれども、唯一、私は必ず成果を得られる方式があるというふうに思っておりまして、それはまさに我々が主張している、八〇%じゃなくて一〇〇%にすれば、相続税を幾ら増税してもらっても影響を受けないんですよ、こういうこともあるんですね。こういうこともございますので、我々も、党税調の厳しい目を受けながら、ぜひ、こうしたことをしっかりと大臣に要求していきたいというふうに思いますが、最後にいかがでしょうか、一〇〇%。

 

○甘利国務大臣 個人事業主とのバランス、それからこういう企業経営に参画しない方とのバランスとか、事業承継が円滑になされる、そして不公平感も醸成しない、あるいは法人企業と個人企業とのバランスにも配慮する、いろいろと勘案した上で設定した落としどころだと思っております。

 この法案を成立させていただいて、これを運用していく中で、当然、見直し期間もあるわけでありますから、そこで全体を見て、さらに改善すべき点があるとするならばそこで議論をしていただければというふうに思っております。

 

○北神委員 見直し期間の話が出ましたが、ぜひ、納税猶予の部分の使い勝手とか相続税の抜本的見直し、こういうのを踏まえて、そこをしっかり我々もやっていきたいというふうに思います。

 以上でございます。ありがとうございます。

 

○東委員長 これにて北神圭朗君の質疑は終了しました。

 次に、近藤洋介君。

 

○近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介でございます。

 本日は、事業の承継の円滑化にかかわる法案について質問の機会をいただきました。委員長を初め理事の皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 本題に入る前に、一つ税関連で大事な点、ちょっと質問させていただきたいと思います。

 租税特別措置の話であります。この租税特別措置については、いわゆるガソリン税については期限が切れて、現在まさにスタンドの中でガソリンの値段が下がっておるわけでありますが、これは参議院において審議中。また、もう一つの、いわゆるつなぎ法案という形で与野党が合意をした部分、ナフサであるとか自動車取得税の免税等々、この点、七点についてはつなぎということで合意をしたわけであります。

 ただ気になるのは、残っている、租税特別措置が切れてしまったものがあるわけであります。例えば中小企業の投資促進税制の延長であるとか、またRアンドD税制の拡充部分であるとか、人材投資促進税制の延長であるとか、こういった部分であります。

 この点については、私ども民主党も、延長については賛成である、こういう考えをかねてから表明しておりますし、法案審議の中でも、切り離しをしてぜひ議論をしていただきたい、こういうことで主張してまいりました。残念ながら、切り離しは成らずに切れてしまった、こういう状況であります。

 御案内のとおり、法案は参議院において現在まさに審議中でありますが、気になるのは、もう既にこの減税法はないわけでありますから、中小企業向けの減税が果たしてどうなるんだろうか。

 具体的には、四月に決算、例えば、きょうは九日でありますが、きょう決算を迎えた企業は果たしてこの減税が適用されるのかどうか。もう既に法案がないわけであります。そして、この法案の行方はまだどうなるかわかりませんが、いずれにしろ、現時点、この四月の時点で失効している状況の中でこの減税措置が適用されるのかどうか。法律が成立をした暁には遡及して適用されるんです、こういうことであるならば安心をしていいわけでありますが、もし現在政府が提案されている法律で遡及されないというのであれば、これは何らかの国会としても手だてを打たなければいけないわけであります。

 この点につきまして、大蔵省主税局の見解、現在、法案がない時点において、現在の政府提出の法案で果たして、四月、五月に決算を迎えた企業にこの措置が遡及して適用されるのかどうか、確認をしたいと思います。御答弁いただきます。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の中小企業関係税制につきまして、確かに現時点では既に適用期限が過ぎておる。一方、改正法案が未成立の状態にあるわけでございます。

 現在、その税制改正法案につきましては国会で御審議いただいているところでございますので、私からは基本的な仕組みの御説明になりますが、法人税につきましては、一般的には、各法人の事業年度の終了時に納税義務が成立いたしますので、そのときの法律が適用されるということになるわけでございます。

 政府としましては、成立した法律の規定の趣旨に沿って対応していくことになりますが、いずれにいたしましても、この法案が成立するまでの間は、個人や企業にとりまして、こうした特別措置に関する将来の課税関係が不透明ということになりまして、事業活動に支障が生じかねないということもございますので、私どもといたしましては、税制改正法案の早期の成立をお願いしたいと考えているところでございます。

 

○近藤(洋)委員 ちょっとよくわからなかったですね、審議官。

 要するに、だから早期成立を望む、その答弁はよくわかります、それはいいんです、望まれて。どうぞ望んでください。ただ問題は、今、その法律がないわけですから、ない時点で決算期を迎える企業が、報道によれば、四月決算企業というのは約二十万社あると言われていますね、二十万社というのは容易じゃないですよ、五月の決算期を迎える企業というのは二十三万社ある、こう言われているんですね。大変多くの企業があるわけです。

 この企業に対して、不安定な時期でありますから早期の成立をというのではなくて、この不安定な時期は、仮に成立をした場合は遡及されるんですか。遡及されて適用されるということで、それは現在の法の運用で、大蔵省はそれを確約できるのかということを聞いておるんです。もう一度お答えいただけますでしょうか。

 

○川北政府参考人 今、基本的な制度ということで御説明させていただきましたが、現在改正法案がございませんので、四月決算の方につきましては、その事業年度の終了時に施行されている法律が適用されるということでございます。

 税制改正法案につきましては、先ほども申し上げましたが、現在御審議いただいているところでございますので、成立していただきましたその法律の規定に沿って適用するということでございますけれども、現在まだ御審議いただいておるところでございますので、その様子を見ているところでございます。

 

○近藤(洋)委員 済みません。私の理解が足りないのか、まだよくわからないのですが、大臣、これは大事な点だと思うんです。

 この中小企業向けの租特、また企業の規模に関係なくRアンドD減税等々、これはもうほとんど党派を超えて合意をしているわけですね、必要だと思っているわけです。こういった部分については、現実問題としてもう法律がないわけですから、事業を運営されている企業の方々に、心配はないんだ、どうであれ、仮に法律が、今法律がなくても、いずれ法律が制定されれば遡及して適用されるんですよという政府の意思を明確に出すべきだと思うんですね。

 減税を遡及するのは、これは法的に問題がないはずなんです。増税を遡及することはできないはずですね。増税について、例えばガソリン税については、もう切れているわけですから、五月、六月に仮にさらに増税法案が当国会において成立したとしても、四月に遡及して増税することは、これはできないはずです。しかし、減税については遡及して適用することは十分可能なはずでありますから、ここは経済産業所管の大臣として、遡及適用をできるんだ、そういう形で対処するんだということを、意思を示すべきだと思いますが、大臣、御所見いかがでしょうか。

 

○甘利国務大臣 純粋な法律論でいえば、その時点でそういう法律があるかないかということでありますから、財務省の答弁のとおりだと思います。でありますから、できるだけ早く、一刻も早くこの税制改正法案を成立していただきたいというふうに思っております。

 その上で、ガソリンスタンドの混乱のときにもお話をしましたけれども、一般論として言いますと、どういう事態になろうとも、国民の混乱を回避、軽減するように政府として最大限努力をするということは当然の話なのであります。

 ですから、そういう事態が発生するときに、国民の混乱を回避するために最大限の努力はもちろんいたしますが、いずれにしても、きちんと法律があるということがベストでありますから、できるだけ国会に対しては、混乱が発生するような事態を極力短い期間で避けていただくような努力をぜひお願いしたいと思っております。

 

○近藤(洋)委員 大臣の立場で言えることと言えないことがあるのは十分承知してあえて伺っているんです。しかし、こういった部分というのは、もう既に決算期を迎えている企業が二十万社を超えるものがあるわけでありまして、そういった企業経営に対して安心感を持ってもらうということは大事だろうと思うんですね。

 よく、衆参でそれぞれ第一党が違うという現状の中で何も決められないんではないかという御批判を受けています。これについては、私はどちらがどうのというのをこの場で言うつもりはありません。しかし、やはり知恵として、合意をしている部分についてはきちんと進めるということはあっていいわけですし、その部分について、やはり法案成立、法案成立だけで突っぱねるのではなくて、手当てをしていくということは政府として十分やっていいものなんだろう、こう思うわけでありますし、ぜひ善処をお願いしたい、こう思うわけであります。

 新たな法律は恐らく必要ないと思いますので、これは主税局当局の法の運用の中で十分できる話であろうかと思いますので、法律が必要だとするなら、四月企業に適用するために、遡及させるために新たな立法が必要ならば、それは早急にしなければいけませんし、そうでないというのであれば、ぜひその意思を政府として明確にすべきだろうということを指摘させていただきたい、こう思います。

 この法案の審議に入りたいと思います。

 事業の承継については、大変関心が高い分野であります。私も地元を歩いておって、事業承継の話なんかを経営者の方にすると、何か亡くなることを想定するようで失礼かなと思うわけですが、そんなことはなくて、もう五十代の経営者の方でも、おれの息子は今大学生だけれどもどうするということで、非常に高い関心を持っている分野であります。ですから、このアナウンス効果というのも含めて、非常に大きな一歩を踏み出されたと思いますし、中小企業、小規模零細企業の方々からはこの法案を喜ぶ声が大変わき起こっているということを私も認識しております。

 私ども民主党としても、事業承継についての制度改正を訴えてきた者として、よくやっていただいた、こう思うわけであります。大臣のお言葉をかりれば、これまでかねてから先輩議員の方々が取り組んでこられたこの課題、いわゆる門前払いを受けてきたということでございましたが、その門前払いをしてきた財務省は、なぜこの時点において方針を大転換されたのか、その最大の理由は何だったのか、主税局、お答えいただけますか。

 

○川北政府参考人 お答えします。

 私どもといたしましては、事業承継の円滑化につきましては、地域経済の活力の維持ですとか雇用の確保という観点から極めて重要というふうに思ってきてまいりましたが、その際に、相続税の問題のみならず、事業の将来性とか後継者不足とか、あるいは遺産分割、遺留分等々、さまざまな課題に対して総合的な対応が必要ではないかというふうに考えているところでございます。

 今回御審議いただいております法律案で、こうした課題に対応いたしまして、中小企業の事業承継円滑化のための総合的な支援措置、そのための法律というのを提出するということでございます。

 私どもといたしましても、こうした総合的な支援の一環といたしまして、税制面におきまして相続税の特例を抜本的に見直すこととしたものでございます。

 

○近藤(洋)委員 要するに、せんじ詰めれば、やはりそういった総合的な取り組みをする法的な枠組みもできたので了としたというか、取り組むことにした、こういうことだろうと思うわけであります。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、こういった法的枠組みができた背景は、私は、もちろん中小企業庁においては、平成十七年から二年がかりでこの事業を計画してきた、この政策の実現に向けて勉強してきたということは聞いておりますが、大きな要因、エンジンとなったのは、やはり政治の意思だと思うんですね。

 これは、二〇〇七年の参議院選挙における各党マニフェストの抜粋であります。ここで、まことに恐縮です、共産党なり社民党さんのものを入れていないんですが、主要三党のマニフェストを記載させていただいております。

 これを見ますと、民主党、公明党、自民党、三党とも事業承継税制の拡充をきちんと書いているんですね。自由民主党も、「美しい社会と暮らしのために 成長を実感に!」というところで書いています。そして公明党さんも、これはまた相当念入りに中小企業政策を入れておりますけれども、中小企業税制のことを書いています。円滑化のことを書いていますね。そして、我が民主党でありますが事業承継税制、中小企業予算三倍増、公明党さん二倍増、それぞれ充実ということ、さまざまなことを書いていますが、共通項は事業承継税制なんですね。

 これを各党がマニフェストで書いて、そして、これは別に意識的に自民党さんを小さくしたわけではありませんけれども、あえて言えば、昨年七月の参議院選挙は、いわゆる格差論争が大きなテーマになったわけです。そして、その格差論争の中で大企業と中小企業の格差ということを訴えさせていただいて、もちろん自由民主党におかれてもこの点は主張されたけれども、大きな流れにおいては、大企業と中小企業の格差を是正しようではないかということを言った、もちろん公明党さんもおっしゃっていますが、この「七つの提言 中小企業を元気にして、日本経済を生き返らせる。」ということで、我々民主党も勝たせていただいた。全部の政党が言って、そして格差論争がテーマになって、それが勝ったということ、これが実は政治の大きな意思だったんだろう、こう思うんですね。

 ここまで来て、さすがの守りに徹した主税局も、それは守ることができなかったんだろう、こう思うんです。そして、その流れに乗って中小企業庁もきちんとした法律を出されたんだろう、こう思うんですね。これはやはり、ある意味で、政治の意思というのが大事だし、それは各党一致した共通項なんだ、こういうことをあえてこの場で指摘をさせていただきたい、こう思うわけであります。

 そして、その中で、北神圭朗議員が先ほど大変緻密な質疑を重ねておられましたので、私も、重なるところを省略いたしますが、これだけ各党が共通して主張してきたこの大政策、もちろん甘利大臣を初め当局の御努力もあっての上でありますけれども、それにもかかわらずこの効果が言えない、どれだけの減税効果があるのかという額が言えないというのは、どうも不可解なんです。

 重ねてお尋ねします。主税局、なぜこの減税効果の数字を言えないんでしょうか。お答えいただけますか。

 

○川北政府参考人 重ねてのお尋ねでございますけれども、新しい事業承継税制につきましては、今回のこの法律の制定を踏まえまして、二十一年度の税制改正で創設するということになっております。したがいまして、現時点ではまだその詳細な内容について確定しておりませんし、その前提となります経済産業大臣の認定の運用につきまして、その状況を踏まえる必要がございます。また、先ほど来御指摘もございましたけれども、相続税制全体につきましての見直しの検討ということもございますので、現時点では、この数字につきまして具体的に申し上げることは困難でございます。

 なお、関連する基礎的な統計を申し上げますと、先ほど、現行の一〇%の軽減につきまして、十億円程度というお話をさせていただきましたが、平成十七年の相続税の課税遺産総額を見ますと、十一兆三千億ほどでございます。そのうち、いわゆる取引相場のない株式の課税価格というのが約四千億円程度となっております。

 したがいまして、この株式価格のうちからどのくらいの価格が今回の新しい事業承継税制の対象となり、それに対してどういう税制が組まれるかということで減税額が最終的には計算されるということになると思います。

 

○近藤(洋)委員 精いっぱいお答えをいただいているんでしょうが、やはりこれだけ力を注いでいるものの具体的な効果が言えないというのは、大変残念なわけです。

 それはやはり私も、これは資料の三でありますけれども、北神議員と同じような論点で、これは閣議決定の文書で、自民党税調とほぼ同じ文章でありますが、同じ点が気になりました。北神議員のように実務家として霞が関で仕事をされていた方も精緻に分析されますが、私のように素人が見ても、やはりこの「今日的課題を踏まえ、相続税の総合的見直しを検討する。」というのは、うん、何かあるぞ、こう思わざるを得ないのですね。先ほどの北神議員の指摘にるるあったように、これは主税局、どう見ても相続税の増税が背後に控えているとしか思えないのですね。きれいな服の下によろいが見え隠れというか、もうぎらついているとしか思えないのです。

 確認です。先ほどの議論も踏まえて、主税局は、相続税の増税を来年度、再来年度に向けて検討されている、こういうことでよろしいんですか。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど政府の税制調査会の答申について、資料の御配付をいただきましたけれども、そこで言及がございましたように、政府の税制調査会では最近の相続税の現状あるいは新しい課題を踏まえまして総合的な見直しをすべきだという見解でございます。

 特に、事業承継の関係でございますと、今申し上げましたとおり、課税財産の中での同族株式のウエート、かなりのものでもございますし、そういう意味で事業承継の税制の検討とあわせて相続税を検討するということは、政府税調からも指摘があったところでございます。

 

○近藤(洋)委員 答弁だけ聞いてよくわからないわけでありますが、客観的に見て増税を検討されるんでしょう。そういう中で、同僚議員と同じ指摘なわけですが、やはりこれだけ目玉の政策でやってきたものを、これは政治の意思なんですね。これは、ぜひ踏まえていただきたい。政治の意思で、各党これだけマニフェストで国民に約束をして、そして我々は国会を構成しているんです。その意思を無視するようなことは絶対許されないということなんですね。結局ネットで見たらば増税になった、事業継承をやられていた方が、結局増税だったなんということは、これは役人ののりを越えるこそくなことだということだけは、この事業継承税制については思うので、指摘をさせていただきたい、こう思います。

 その中で、税制議論でありますが、私も個人的にはそういった抜け道を防止するためには、やはり一〇〇%の猶予というのが一番正しいんだろう、こう思うわけであります。この一〇〇%を猶予すればそうした抜け道等々ができなくなるわけでありますから、効果がきちんと、受けることができる、こういうことであります。

 その点とあわせて、要は我々の政策目的は、健全な企業が続くことで、大臣も御答弁いただいたように、雇用が永続し、そして技術が引き継がれ、地域社会が発展する、この政策目的のために中小企業があるんだ、この思いは党派を超えて一致するわけでありますから、この事業継承税制のさらなる拡充と、財務省が相続税全体を見直すという意思を固めつつある中で、我々として政治の舞台でやらなければいけないのは、この事業継承税制を完璧なものに、まず大きな一歩というので、さらに拡充するということとあわせて、質問を重ねてまいりますが、中小企業の法人税、軽減税率であります。

 これは現在二二%なんですね。法人税については、いわゆる一般の企業は三〇%。この法人税全体については、政府の中で引き下げ論が一時出ていたのは、私は承知しています。私どもは、大企業についての法人税引き下げ、全体の法人税引き下げについてはまだ時期尚早ではないか、こういう立場に立ちますが、しかし逆に、中小企業においてはこの二二%の軽減税率を半減すべきだ、こういう主張をさせていただいております。

 やはり景気後退局面の中で減税をするということが、逆にこれは景気浮揚策にもなるわけですし、中小企業者の方々は、なかなか税金を払いたくても払えないのが現状。もう一つは、やはり払っても、こう言ってはあれですけれども、売り上げ何兆円もの企業と売り上げ五千万円の企業の税率が、片や三〇%、片や二二%では、余りに累進性が低過ぎやしませんか、こういうことなんですね。やはり五千万円の企業は一〇%ぐらいで何兆円もある会社は三〇%、こういうのが普通ではないか、こう思うわけであります。

 逆に軽減税率を低めた方が中小企業の方々も、よし、今回黒字にしてみようか、銀行もいろいろあるから、うるさいから、黒字にして社会貢献してみよう、こうも思うわけだと思うんですね。私は、逆に税収がふえるんじゃないか、こういう思いもあって、民主党としては、二二%を半減したらどうだ、こういう主張をさせていただいています。

 この事業継承猶予の一〇〇%見直しともあわせて、中小企業の軽減税率の半減等も含めた中小企業税制の見直しについて、大臣なりの御見解を伺いたいと思います。

 

○甘利国務大臣 この八〇%の設定というのはどういう根拠かというのは、先ほど来るる述べさせていただいたところであります。先行する個人事業主の事業資産との見合い、あるいは先行する外国の税制度との見合い、あるいは課税の公平性の観点から、中小企業の事業承継者に過度に優遇措置という不公平感が社会に充満するようなことがないか等々、もろもろを勘案して、落としどころとして引いた線だというふうに思っております。

 もちろん、この数値、八〇%という数字が、あるいはそれ以外のものを含めて中小企業事業承継制度としてどうかということについては、この法施行後、いずれ見直すタイミングがあると思いますので、そのときに、全体像をよりよき姿にするためにこうあるべしという案があるならば、またその時点で検討していただきたいと思います。

 それから、中小企業の法人税率についてであります。

 大企業との差をどれくらいつけるかということについては、都度都度いろいろ議論があったところでありますが、現状で、現在の所得八百万まで二二%ということとしているところであります。

 中小企業がこういう景況感が悪化している中で元気をつけるために、さらなる思い切った減税措置をしたらいかがかというのは、お考えの一つと思いますし、それはそれとして理解をするところでありますが、全体のバランスの中でぜひ議論をしていただきたいというふうに思っているところであります。

 中小企業に対しましては、税制の面と金融の面、そして予算の面等もあります。総合政策としてこの自立を支援していきたいと思っておりますし、税制面におきましても、平成二十年度税制改正におきましては、人材投資促進税制などの中小企業関連税制の拡充も決定をしているところであります。こうしたもろもろのツールを使って、中小企業がたくましく自立していくことを支えていきたいと思っております。

 法人税全体の水準がどうあるべきか。これは、競争相手となり得る国々で法人税を軒並み下げてきております。それで、いつの間にか日本の法人税本則が高い方の部類になってしまった。これはやはり、法人税制全般を考える中で、競争政策を担保するという視点もしっかり入れていただいて検討をいただければというふうに思っております。

 

○近藤(洋)委員 ぜひ政府においても法人税のあり方は御検討いただきたいと思うわけであります。

 中小企業については、繰り返しませんが、もう少し累進性があってもいいのではないか。法人税の全体の十三兆円でしょうかのうち、一社で一割ぐらい払っている現状ですよね。逆に、裏を返せば、一社というか、一社グループというんでしょうか、それだけやはり大企業に集中しているわけですね。ですから、やはり税金を払ってもらえるような環境をつくるということにおいて、ここまで来ると、中小企業の税率を下げて、逆に納税させるというのも一つの発想としてあり得るんだろう。主税局の方に言わせると、また目をひんむいて反論が二百ぐらい出てきそうでありますけれども、これも政治の意思で議論をさせてもらいたい、こう思うわけであります。

 事業承継でありますけれども、非上場株式の親族の継承について、十分な手当てができました。また同族以外の方について、融資の制度もできました。よかったと思いますが、あわせて、やはり非同族の、従業員の方であるとかそういった方に対する手当ては、今回もとれましたけれども、もう一歩、二歩、充実する必要があろうかと思います。

 とりわけ、さまざまなファンド、基金を、基盤機構を初めあるわけでありますから、この辺を活用して、従業員の方が、同族以外の方が継承したという場合の資金繰りの手当てを充実させるべきだと思いますが、経産省、いかがでしょうか。

 

○中野副大臣 近藤委員御指摘のように、経済産業省、中小企業庁では、中小企業基盤整備機構によるファンド出資事業に取り組んでおるところであります。

 事業継続ファンドについては、すぐれた技術やノウハウを持っているにもかかわらず事業の継続に問題を抱える中小企業に対する支援を重点的に実施するため、平成十八年度に創設したものでありまして、これまで四つのファンドが組成されております。

 御指摘の親族外の承継についても、親会社の意向によって閉鎖をさせられ、そして閉鎖を迫られた工場の従業員がその事業を親会社から買い取って継続する際に、このファンドから資金供給を実施するなど、いわゆるEBO、従業員による事業の買収や経営権の取得のことでありますけれども、このEBOが進められた事例も生まれているところであります。

 委員の御指摘のとおりに、今後とも、こういったファンド組成を積極的に誘導していく、そして、このようなファンド事業を通じて、親族内承継だけではなくして、第三者や従業員に対する親族外承継も含めた支援をしっかりと進めてまいりたい、こう考えております。

 

○近藤(洋)委員 ぜひ今後、この点も進めていただきたい。副大臣、よろしくお願いします。

 もう一点、今度は話はかわるんですが、中小企業関連で、私は最近、中小企業の資金繰り、実はちょっと心配をしております。

 資料の二をごらんいただければと思うんですが、こちらの方に、左手の一覧表でありますけれども、小さな表で恐縮ですが、貸出残高、国内銀行の一覧表を出させていただいております。出典は日本銀行の資料でありますけれども、ここの貸出残高の中で、ちょっと太枠になっている、中小企業向け貸し出し、去年の九月からマイナス〇・九%、そして十二月はマイナス一・一%と減っておるわけですね。これは、民間銀行の貸し出しが、中小企業向けが減り始めた、こういうことであります。

 そして、資料には添付しておりませんが、三月末のセーフティーネット申し込みがまた急増しております。御案内のとおり、この委員会でも指摘をしてまいりました、建築基準法の拙速なる施行の問題もこれあり、また原油高等もあり、三月末に向けて中小企業向けの資金繰りが大変厳しくなっている。

 一方で、この右側の表なのですが、中小公庫と国民金融公庫の貸し出し規模であります。これが、何と平成十六、十七、十八とどんどんどんと減り続けている、十九年度も減り続けているんですね。国金も減り続けております。

 これは、いろいろな要因があろうかと思うのです。もちろん一つは、全体で資金需要がなくなったということもあるでしょう。また一方で、銀行、いわゆるメガバンクがビジネスローンを実は十七年、十八年度、怒濤のごとく貸し続けた、こういうことがあるんですね。これは、この左側の表でも明らかなんです。ところが、問題は、このメガバンクのビジネスローンが、サブプライムを初め、この年明け以降、昨年九月ぐらいから一気に引き始めたという現実がある。中小公庫の方はどっと減り始めた、政府系金融は減り始めているわけであります。そしてもう一つの要因は、これはこの後の議論にもなりますが、いわゆる政府系金融改革論議の中で、直貸しはもうやめろという風潮が政府全体であったのではないかと推察されるんですね。

 そういうことも絡めて、政府系金融の貸し出しが減っていると。

 ここでお伺いしたいのですが、大臣、この中小企業の資金繰りの現状も踏まえて、中小公庫の一般貸し付けであります。この一般貸し付けはどんどん減っているんですが、御案内のとおり、ことしの十月一日から新しい政府系金融機関、統合金融機関になると、この一般貸し付けは廃止されます。これまでは、特別貸し付けの漏れた部分を一般貸し付けで何とかやっていた部分もあろうかと思うのですが、今度これがなくなってしまう。

 そうなると、これからいよいよ雲行きが、もう雨がしとしと降っているわけですね。雨が降っている中で、いよいよ九月、十月、どしゃ降りかもしれない。どしゃ降りのときに、民間銀行は傘をもう引き始めている。その中で、大事な傘がないんじゃないか、大丈夫なんだろうか。一般貸し付けをやめて、十月一日、本当に大丈夫なんだろうか、こういう危惧を思うわけであります。

 いかがでしょうか、大臣、これは法律で決まってしまったことでありますけれども、何らかの措置が必要ではないかと思うのですが、御答弁いただけますでしょうか。

 

○甘利国務大臣 かねてから、官業は民業の補完に徹すべしという議論がありました。政府系金融機関は、民間金融機関でもできる部分からは撤退をして、なかなか手を差し伸べない部分に徹せよということで、一般貸し付けからは撤退をして、その穴は民間金融機関が埋めるという話で、そういう方向にかじを切ったわけであります。でありますから、民間金融機関は、その趣旨にのっとって、政府系金融機関が市場をいわばあけてあげたところについて適切に対処をするということが求められるわけであります。

 それがきちんとなされているかどうか、もちろん返ってくる当てのないところに民間にオンリスクで金を貸せと言っているわけではありませんで、先ほど来お話が出ていますとおり、目きき能力を磨いて、それで、物的担保に不安があろうとも、そこの企業の将来性を見抜いて、あるいは、メーンバンクとして経営支援をしっかりとしながら育てていくという発想を持つということが大事ということでありますが、それがなされているかどうかをしっかりと見ていくことが大事だというふうに思っております。

 この一般貸し付けから撤退をして特別貸付制度に特化をする、しかし同時に、前回の法改正のときに附帯決議があったはずでありますが、これにのっとって、幾つかの特別貸し付けの制度を創設する、二十年度においてでもするということは、前回のこの関係委員会の御指摘を踏まえて対応をとっているところであります。

 具体的には、この法案の中でも出ておりますが、事業承継を円滑化するための後継者個人への融資を可能とする制度の創設とか、あるいは、資本とみなし得る貸付金を提供し、中小企業の資本強化を支援するための資本性劣後ローン制度の創設、あるいは、中小企業の新規立地促進等のための超低利融資制度の創設、あるいは、中小企業の温室効果ガス排出削減対策、地球温暖化防止対策、これを支援するための制度融資の創設等を行っているわけであります。

 法改正が政策目的にきちんと資するように、しっかりとフォローしていくということは怠ってはならないというふうに思っておりますし、附帯決議に付されていますように、中小企業者の資金需要に機動的に対応できるよう、今後とも、特別貸付制度について必要な拡充を行うということを含めて、中小企業の資金繰り支援にしっかりと取り組んでいくという所存でございます。

 

○近藤(洋)委員 大臣、附帯決議も付しているわけですから、これに沿って、御答弁いただいたように、やはり一般貸し付けがこの十月一日でなくなるというのは、現下の経済状況から見ると、いざというときに本当に大丈夫なんだろうかという懸念が出るわけですから御検討を急いでいただきたい、こう思うわけであります。

 金融庁、来ていただいておりますが、そういう状況の中で、政府は、経済緊急対策をまとめられました。成長力強化への早期実施施策、緊急対策をまとめられておりますが、この金融周り、金融庁が出されたと思われる部分、こういった現在の状況にかんがみると、済みません、御答弁をいただく前に感想を言ってはいけないのですが、どうもシャビーな内容だと思うのですが、この中で金融庁が、これは中小企業向け金融の目玉なんだ、この対策なんだと胸を張って言えるのは何ですか、お答えいただけますか。

 

○私市政府参考人 お答えいたします。

 金融庁といたしましては、中小企業に対する円滑な金融の重要性にかんがみまして、従来より、年末、年度末金融の円滑化の要請とか、あるいは地域密着型金融の推進等に取り組んできたところでありまして、ただいま先生から御指摘のとおり、経済対策閣僚会議におきまして、成長力強化への早期実施施策が決定されましたけれども、金融庁としては、金融庁のできる限りのことを施策として盛り込んでいるつもりでございます。

 その中としては、御承知のとおり、中小企業の資本強化といたしまして、資本的性質を有する劣後ローン等を資本として融資先企業の債務者区分を査定できる旨、金融検査マニュアルに記載、運用、あるいは、ミドルリスク・ミドルリターン市場の開拓として、動産等を担保とした融資あるいは外部機関の信用審査能力を活用した融資の促進、あるいは、地域産業の再生として、企業の事業再生への取り組みに資するよう、銀行グループ等の議決権保有制限の例外措置の拡充等を盛り込んでおるところでございます。

 

○近藤(洋)委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。

 資本増強の、劣後ローンを資本とみなす、これは大事なことだと思いますよ。私どもも主張してまいりました。企業の場合は根雪融資が多いわけですから、それを資本とみなしてあげる、これは大事な点だと思いますが、よく、ホチキスでとめた政策集とやゆされるんです。これはまさに物理的にホチキスでとまっているから言うわけじゃないんですけれども、本当に今まであるものをホチキスでとめた印象を受けるんですね。

 金融庁、さっきちょっと申し上げましたけれども、この二年間、ビジネスローンを大手メガバンクは一気呵成に貸し出したんですよ。貸し出したはいいけれども、ここのところ一気に撤収しているんですね。これは非常に無責任だと思うんですね。メガバンクは、一気呵成に貸して、それでけ散らしてけ散らして、私たちに貸してください、出しますよといって融資したはいいけれども、そのリスケだとか借りかえというのを全く認めなくなってきている。これは非常に無責任。金融庁がやらなきゃいけないのはそういうところだと思うんですね。きちんと監督をしなきゃいけないと思うんです。

 無責任だと思いませんか。何かそういう対策を含めて打つべきだと思いますが、金融庁、いかがですか。

 

○河野政府参考人 失礼いたします。

 委員御指摘のビジネスローンでございます。これは、平成十二年ごろから取り扱いを始めました、いわゆるスコアリングモデルを活用しました無担保、第三者保証不要という商品性を持つものであるというふうに理解しております。これにつきましては、残念ながら、その後、デフォルト率の上昇などもございまして、メガバンクの中には、商品数を減少させたり、あるいは残高が減少しているものがあることは事実でございます。

 ただ、この点は、ヒアリングもいたしましたけれども、完全に撤退するというようなことではございませんで、やはり現下の厳しい状況の中で取り扱いがどうしても減っておる部分があるということは承知しております。

 その上で、では中小企業金融というものがメガバンクにとって大事でないかといいますと、そんなことはございません。これは、私どももヒアリングの中でも確認をしておりますけれども、これからのビジネスの一つの柱として、やはり中小企業金融というものをメガバンクといえども考えていかなければならないというふうに聞いております。

 その中でどういう工夫をしていけるかということで、できる限り多様な工夫をしてもらう。やはり中小企業者のニーズを酌み取りまして、例えば、例などを聞いてみますと、工作機械や牛などの動産とか、あるいは売り掛け債権を担保とした融資商品の取り扱いでございますとか、ビジネスマッチングイベントの開催、あるいは財務分析レポートなど各種のサービスを無償で提供していくといったように、いろいろな面で工夫をするようにということは私どもとして申してきておりますし、今般の経済措置に向けた早期実施策の中にも関連する項目がございますけれども、やはりいろいろなベストプラクティスと申しますか、いい事例集のようなものを周知していくような形で適切に監督してまいりたいというふうに考えております。

 

○近藤(洋)委員 そのスコアリングモデルを使って経営危機に陥っているのが、いわゆる石原銀行、新銀行東京なわけですよね。大手メガバンクはいわゆる石原銀行と違って先に撤収をして、石原銀行と余り個人名を言ってはいけない、新銀行東京は現状のようになってしまったということなんですね。要するに、スコアリングモデルなんというものは、そう楽なものではないということだと思うんです。それだけやはり中小企業金融というのは難しいんです。

 だからこそ、これは結局、政府系金融なり信用保証なり、政府系金融機関の出番があると思うんですよ。全部民に任せていいという問題でもないだろうし、そして金融庁においてもきちんとした監督を、そうはいっても、メガバンクは出ていたんだから、あなた方、ちゃんとやりなさいよということは促さなきゃいけないと思うんですね。それは責任はあるんだと思うんです。

 もう時間が参りましたので、これはもう御答弁を求めませんが、大臣、このいわゆる金融改革なり中小公庫の一本化なりを仕立てた方はだれかといえば、竹中平蔵氏なわけですよね。竹中平蔵氏は、今や大学教授になられて評論活動をされているわけであります。あれだけの大改革をやって、郵政民営化をやり、そしてその裏側の金融改革だといって、二本柱だといって、大見えを切って改革をやって、そして今は、いよいよこれから大変だというときにこの国会にいないんですね。

 不祥事でおやめになったとかいうのならばいざ知らず、そして落選をしたというならいざ知らず、閣僚は政治任用ですから、それはやめてもいいんですが、政治家もやめてしまったというのは、こんな無責任な態度はない。政治家としてあるまじき行為だろうと思いますし、本当はこれは大臣の御所見を、政治家としてこういう身の処し方をした政治家をどう思うか、彼の政策じゃなくて身の処し方ですよ。大臣、こういう政治家の身の処し方は正しいかどうか、ぜひお教えいただきたい。それだけお聞きして、質問をやめたいと思います。

 

○甘利国務大臣 国会議員の任期というのは国民から与えられ、国民の意思を負託されているわけでありますから、特別な事情がない限り、与えられた任期を全うするというのが本来の姿だとは思っております。

 

○近藤(洋)委員 終わります。

 

○東委員長 次に、後藤斎君。

 

○後藤(斎)委員 午前の部をスタートさせていただきます。

 大臣、冒頭、関連する質問を幾つかさせていただきたいと思います。

 先週の金曜日の閣議で、国家公務員制度改革基本法の閣議決定をされたという話を聞いています。その中で、私、ちょっと本当にいいのかなというのが一つありまして、従来、大臣はこの委員会でも、政と官のあり方というのは、余りに近過ぎてはいけないかもしれませんが、お互いが切磋琢磨をし、そしてまた行政の部分では政策遂行能力を高めていく部分で、公務員の身分も含めて考えていきたいという趣旨の御発言をしたということを記憶しています。

 大臣、今回の法案の第五条で、「議院内閣制の下での国家公務員の役割等」ということで、基本的には政官を分断する、いわゆる接触制限という条項が五条の一号に入っております。ただし、政務専門官というらしいんですが、政務専門官以外の方は、大臣の指示によって、その限りにあらず、要するに接触ができるということのようでありますけれども、大臣、本当にこんなことでいいのかな。

 私たち、今、民主党は野党であります。私たちが接する情報というのは、当然、公開情報もありますし、また、役所の皆さん方がどんなお考えで、またどんな数字を持って検討をし、政策立案をしているかということが、ある意味ではこの条文が、三年後ですか、本格的に、この限りにあらずということであると、やはり私たちが接触する情報というのがかなり低減をするし、なおかつ、政務専門官なる人以外は、自由にかどうかは別としても、これからルールづくりはするということでありますけれども、大臣が判断をして、おまえはこの人には会っていいよ、この人はだめだよと大臣の御判断でそれができるような仕組みというのが本当にこれからの我が国にとって、そして行政の活性化にとって、また立法府がもっときちっとした役割を果たすという三つの面も含めて、やはり私は、そうであってはいけない。

 やはりこの規定は、本当に通るのかどうかはよく知りませんけれども、大臣は内閣の閣議の中で同じように意思決定を了としたということだと思いますので、きちっとした検討の結果、やはりこれは違うということを、私は大臣に、声を大にしてこれから内閣の中で発言をしていただきたいというふうに思うんですが、大臣、この国家公務員制度改革基本法の五条の一号についてはどのような御見解をお持ちでしょうか。

 

○甘利国務大臣 閣議決定がなされるまでは、それぞれの閣僚、いろいろと意見を言わせていただいたというふうに思っております。それらを勘案して閣議決定をなされたわけでありますから、私も内閣の一員として、この閣議決定に沿って対処するということになります。

 ただ、いずれにしても、政策を決定する際には、幅広く情報を収集し、あるいは政府が意図している、考えている考え方をしっかりと適切に理解をしてもらうことが必要だと思います。そういう上で、行政にかかわる人間と政治にかかわる議員とが、しっかりと意見交換をし、意思疎通を図るということは重要なことだと思っております。その基本に支障が出ないということが大事な視点だというふうに思います。

 一方で、政治の議論になる前に役所の人間がすべて根回しで、時に行政側の都合のいい根回しが行われているんではないかというような疑念を払拭するということも、やはり求められていることだと思いますから、ある種の規律というものを設けるということになっているわけであります。

 国家公務員が各大臣というものを補佐する役割を適切に果たしていくために、制限というよりも規律を設けるということは、確かにそれなりの意義はあろうかと思っております。そうした趣旨が、法の意味するところを離れてひとり歩きをして、物理的な制限に走るというようなことになってしまってはいけないと思っておりますし、先ほど申し上げました規律の具体的な内容については、法律案の成立後に検討されるということになっておりますので、この法案を閣議決定した閣僚の一人として、その内容を注視してまいりたいというふうに考えております。

 

○後藤(斎)委員 大臣が従来からお話をされたものと若干違う部分も、今の御発言、御答弁、あるような感じがするんですが。

 この基本理念の立て方、別にこの委員会でやることではないのかもしれませんが、私たちもそうですし、国家公務員の皆さん方はやはり国、国民全体の奉仕者であるという大前提が、本来は基本理念の一番初めに書けていなければならないのに、そうではない、何か少し下の方に書いてあったり、公務員の、議院内閣制のもとでというのは、その趣旨はよくわかるんですが、やはりこれが行き過ぎたら、大臣の指示を必要とするという、その部分で大きくいろいろな部分が変わってしまう。情報の多寡が、要するに本人の意思以外にあってはいけない。私は、これからルール化をするということでありますから、その点についてはぜひ十二分な御配慮をお願いしたいと思います。

 続きまして、これも四日の日、経済対策閣僚会議で、先ほど近藤議員も触れておりましたが、成長力強化への早期実施策の件についてであります。これについては、全体の項目が四十七項目書いてありまして、確かにホチキスをとめたような感じもしますし、ある意味では、大臣、大変申しわけないんですが、中小企業政策についてのたくさんの指摘がございます。

 後ほど金融庁の方にはお尋ねをしますが、中小企業の体質強化の点についても、今までの部分をどう、これから事業開始をしたり再スタートをするかというようなことで、ある意味では、本当に目新しい新鮮味はないというふうな指摘も、多分大臣の耳にもたくさん届いていると思います。

 大臣、この基本的な考え方もそうなんですが、この委員会でも、私もそうですし同僚議員の皆さん方も、これだけ厳しい現下の情勢のもと、要するに中小企業の皆さん方は本当に、将来が見えない中でお仕事をされている方もたくさんいらっしゃいますし、借りたくても借りられない、事業承継という今回の法律も、ストックの部分はある意味では非常に改善をされたものの、フローの部分の手当てが全然できないと。

 子供たちがこれを見て、今会社経営や地方で頑張っている方々がこの成長力強化への早期実施策をごらんになって、おれたちこういうふうに頑張ればもっとプラスに行くんだなと、本当に夢が持てるような実施策になっているんでしょうか。私は、もっと基本的な考え方も含めて、もっとシビアに基本的な現状認識を踏まえた施策でないと、この事業承継という一つのものもそうですけれども、生きないと思うんです。

 確かに、プラスの寄せ集めというのは、それぞれまだ縦割りの部分で、先ほども触れたこの国家公務員基本制度の改革というものも、要するに縦割りではいけない、もっと総合的、内閣全体でという発想も当然あるというのは承知をしておりますが、実際公務員の皆さん方がそういう形になっても、結局縦割りでそれぞれのプラスだけやって、これを見ろと言っても、本当に、中小企業の皆さん方にこれを見せて、おっ、すごいなというふうに、そういう評価も含めて、お話をお聞きになっていますか。大臣、これはどういうふうに評価をなさいますか。

 

○甘利国務大臣 新規性があるかないかといえば、既に二十年度予算で立てている政策でありますから、目新しい点は、もう既に発表してあるものでありますから、新規性というふうに問われると、目新しさというのは確かに欠けるというふうに思います。

 若干、足元下振れリスクが高まりつつある中で、総理から三月十一日に指示がありましたのは、成長力強化への施策というものを早期に具体化できるものについては早期にせよということでありましたが、その際に、新たに予算を追加して何かをやるということではないということも加えられたわけでありますから、既に新年度で行うという施策の中から、前倒しできるものについてはできるだけ前倒しをするという視点で選定がなされたわけであります。

 この中身については御案内のとおりでありますが、地域力連携拠点。これは、つながり力の強化という総理の趣旨に沿って全国三百カ所に整備されるところでありますけれども、これをできるだけ早く立ち上げるということ、中小企業がそこに相談すれば、いろいろな新しい事業展開ができる、あるいは現状の事業の革新ができる、そういう相談をするわけであります。

 あるいは、早急になすべきことと従来から言われておりました中小企業のIT経営の導入。どうもどんぶり勘定で行われている経営は、自身の課題の把握から出発することが大事である、そしてそれの解決処方せんを描くことが次の段階と言われておりますが、IT経営というものを導入することによって、自身の企業としての健康状態がしっかりと把握できるという意味も含めて、IT経営を導入する。

 あるいは、新年度で注目を浴びております政策の一つが農商工連携でありますが、これも、身近に農商工連携の成功例が見えるようにした方が施策は早く進んでいくだろうということで、農商工連携八十八選というのを今月四日に公表しました。これは、農商工連携がこうしたいと思っていることを既に支援策なしに自分で独自にやっているという例であります。これに見習ってやっていくと今度は支援策がつきますよということでありますが、それを発表させていただいたということであります。

 おっしゃるように、全くの新政策を出したということではありませんので、確かにそういう点からすると、新鮮味に欠けるというのはおっしゃるとおりだと思っております。

 

○後藤(斎)委員 大臣、もう一点ですが、四月一日の日に、経済成長戦略大綱第二回フォローアップという資料を経産省からいただきました。

 今、大臣が最後にお答えいただいたように、経済成長戦略大綱のこれまでの主な成果というのが、大綱関連の法律案が二年間で五十九本成立または国会提出していますとか、予算についても燃費効率の高い予算執行、何かハイブリッドカーみたいなあれですけれども、制度改正が二百三十項目とか、税制改正が二年間で、二十年度これからやるものを含めて三十二項目とか。

 何か数字を羅列しただけで、本当にこの一年間、二年間、例えば一年間どういうふうになってきたのか、これから二十年度、大臣が最後におっしゃられたようにどうなっていくのかというのが分析であって、足りない施策は何かということで、例えばこの早期実施みたいなものが時々加速をするような、オイルなのかエンジンなのかは別としても、違うエンジンをつけるというような形でないと、これは本当に、新鮮味どころか、真水でもないし。だから、先ほどもお話をしたように、中小企業の経営者の皆さんや地方で生活している皆さんから見れば、本当に大丈夫なのという不安感ばかりで、やはり新しいものもやるというのが本来でいえばこの四月四日の趣旨ですし、私はこの二つを見て非常にがっかりして、本気で政府は今やろうとしているのかなと、先ほど御指摘をした基本的考え方の意識も、地域や中小企業の経営者の皆さん方の視点から見ればまだまだ不十分だということを指摘させていただきたいと思います。

 大臣、時間があれなんですが、午前の部で一つだけ最後にお聞きをしておきたいと思います。

 大臣には、企業の開業、廃業の話を従来から何度か、できれば開業がたくさんできるような施策ということでいろいろな施策を講じているという話は繰り返しお聞きをしているんですが、高コストの企業が存続するということも、大臣が去年から、この委員会でも議論をさせていただいた、生産性をサービス産業でも高めていくとか、前回の委員会でも、この十年間国内総生産は全然上がっていない、いろいろな部分を御指摘させていただきました。

 今一番問題なのは、要するに開廃業が活発に起こらないような社会構造、経済構造にこの四、五年間でなってしまった。平沼当時大臣が平沼プランを提唱し、それは全然達成はしませんでしたけれども、当時からそういう議論はあったんですが、結局、構造的に開廃業が起こらない。要するに、欧米でいえば一〇%近い開廃業の比率にあるにもかかわらず、日本は、開業が四%、廃業が五%くらいの平均的な数字。

 大臣、これを構造的にやはり理解し、そこにどういう形でメスを入れ、手術をし、悪いものがあれば摘出するか。昨年、〇七年の中小企業白書には、そういう部分のかなり細かな分析もありますが、それをきちっとトータルして、どういうふうな形になっているのかという評価をして、午後も触れますが、今回の承継税制であるとか、要するにストックの部分、フローの部分をどうしていくのかということがないと、いやいや、四%で、やる気がないからしようがありませんということではないと思うんです。

 これがもう構造化している、こういう視点に立って、開廃業、例えば廃業される方もいれば、それは年が来てやめられる方も当然いらっしゃいますけれども、やはり開業したいという人にどんな施策を講ずるかという具体的なものがあるかなしやによって、恒常的なものが、そうではない、活性化をするという視点で対応ができてくると思うんですが、その点について、大臣、どのような御見解をお持ちでしょうか。

 

○甘利国務大臣 一九八〇年代後半以降に開廃業率が逆転しているわけであります。それまでは、開業の方が多くて廃業の方が少なかった。そのときのことを私は鮮明に覚えておりまして、大変な危機に陥る、日本じゅうから会社の数が実数で減っていきますよということを講演でよくしゃべったことを記憶いたしております。

 それ以来、いろいろな手は打っているのであります。創業支援をするための融資制度や、あるいは創業塾というようなものも開催いたしておりますし、直近では、地域資源を活用して業を起こしていくというような施策もつくらせていただいております。

 中小企業の経営者の高齢化が心配をされておりまして、それゆえに廃業率が高まっているという点もありますし、そこについては、事業承継の円滑化、まさに今御審議をいただいているわけでありますし、いろいろな処方せんは描いているわけでありますけれども、一言で言いますとアントレプレナーシップといいますか、自分で立ち上げて、リスクをとって業を起こしていこうという志がちょっとなえてきているのではないか、どうしても、世の中全体がリスク回避志向に染まりつつあるのではないかということを心配しているわけであります。

 もちろん、リスクは少ないにこしたことはありませんから、環境整備は行っていきますけれども、ぜひ起業家精神を高揚するような成功事例が身近にたくさん出るということが必要だと思いますし、そういう成功事例を表彰して、こんなに頑張っているアントレプレナーがいる、あるいは業績を伸ばしている中小企業があるということを身近に見えるようなことを通じて、創業家精神を高揚していきたいというふうに思っております。

 

○後藤(斎)委員 午後もまたやります。ありがとうございました。

 

○東委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

 

○東委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。後藤斎君。

 

○後藤(斎)委員 午後の部をスタートさせていただきます。

 午前中、開廃業の我が国の低さ、これが多分恒常的になってしまっている、その解消する施策ということで大臣にお尋ねをしました。

 私、この法律の質問をするに当たって、昨年の、〇七年の中小企業白書を少し熟読させていただいたんですが、開廃業がどんな形で経済全体に影響を与えるかという分析を昨年の白書の中でいろいろしておりました。実は、EEAという指標がOECDであるそうですが、これは、一つとして起業の準備を始めている人、二つ目が創業後四十二カ月未満の企業を経営している人の人口が十八から六十四歳人口百人当たり何人いるかというのがこの指標の定義だそうであります。我が国は、ハンガリーに次いでOECD諸国の中で低い、要するに、起業活動の活発さの水準が低いという数字が載っております。

 その後で、開廃業が活発に起こらない社会においては、競争が活発化せず、正常な新陳代謝が起こらないため、高コスト体質の企業が存続し、イノベーションも起こりにくい状況が生じることが懸念される云々というふうな指摘があります。その後に、開廃業の雇用に与える影響ということで、開業する企業は、当然ですが雇用を大きく創出する、廃業のところはマイナスになる。存続事業についても、我が国は雇用喪失の部分の方が大きいというふうな分析があって、ああ、なるほどなというふうに私思いました。

 それで大臣、改めてお尋ねをしますが、こういうふうな指摘の中で、起業家を、要するに、開業する、新しく業を起こす方を支援する施策というのは、先ほど、午前中大臣もお話をされたように、いろいろなアンケートをあわせてしている中で、やはり開業資金の調達について非常に御苦労なさっているというふうな部分、次が、少しというかかなり数字が落ち込んで、質の高い人材の確保というのが業を起こすときに非常に御苦労だという指摘がございます。あわせて、開業時には、ほとんどの企業で自己資金を投入して開業するというふうなことが挙げられております。

 あわせて、後ほども触れさせていただきますが、我が国では、先ほど大臣も、やはりリスクをとりたくないような、要するに起業家精神みたいなものが今喪失をしていると。まさに私もそのとおりだと思いますし、それも、同じ白書の中に、事業者対雇用者収入比率の推移という指摘がありました。これも非常に構造的な部分をよく見抜いているなというふうな部分があったんですが、やはり事業承継が進まない理由ということで挙げられておりますが、要するに、これは裏返して言えば、後継者がなかなか育たない、参入したくない。

 これは、例えば農業分野でもそうでありますが、一九七五年―九五年くらいまで、要するにバブルがはじける前くらいは、製造業では事業者対雇用者収入比率というものがほぼ一・〇でありました。それが、それ以降この十数年間下げどまりをして、まだとまっているかどうかわかりませんが、〇五年では〇・六まで、要するに、事業者の収入の方が働いている雇用者の方よりも低いという比率になっている。

 これもまさに、事業承継が進まない、創業ができない、リスクを冒してまで経営者になりたくないということで、日本全体の開業、創業する方々が少なくなってしまったということであるんですが、それに対して、もちろん経産省がそれについて全体をどうこうという立場じゃなく、大臣が御指摘になられたように、気持ち、精神ということかもしれませんが、そうではない、施策の部分でそこに焦点を当てて政府として後押しをしていかなければ、やはり開業率、開業をする方がますます減少してしまう。

 これは、前回の、子供たちが理科系離れ、理科が嫌いになるというその構造的な変化もいつも大臣と御議論させてもらっていますが、その辺も含めて、どんな形で開業を高めていくかということについて大臣の御見解をお伺いできればと思います。

 

○甘利国務大臣 御指摘のように、会社をやめて、サラリーマンをやめて、おやじの仕事、中小企業を引き継ぐということで来たはいいけれども、収入を計算してみたら勤めていたときの方がよかったということは往々にしてあるわけでございます。そういう事態が蔓延をしますと、確かに事業承継に支障を来しますし、事業を自分で起こそうという意欲に関してもなえていってしまうということになりかねないわけであります。

 ただ、サラリーマンのときの収入よりも自営をしたときの収入の方が上がるようにという指示をするわけにもいかないわけでありますから、要は、生産性をどうやって引き上げていくか、企業経営効率をよくしてリターンを上げていくというためにどういう環境整備をするかということになろうかと思っております。

 地域資源法で、地域資源を活用して、そこから新たな業を起こしていくということや、新事業を創出するための支援措置というものはいろいろと組んでいるわけでありますが、こうした中小企業にかかわる創業支援とか、あるいは創業者を育成するとか、あるいは生産性を向上させていく、中小企業施策というのは相当たくさんあるのでありますけれども、中小企業庁の人間でも、自分の役所にある施策が、どれとどれがあって、どう使えるかと全部知っている人は多分いないのであります。

 そこで、支援拠点をつくりまして、企業ごとに、こういう施策メニューがありますよと問題点を把握して処方せんを描けるようなアドバイザーというものが必要になってくると思いますし、そういう専門家を配置する、あるいはその専門家が使えるような手だてを組んでいく。

 中小企業施策の各種施策を企業ごとに、その企業に合ったメニューをつくり上げて実施できるような体制を組んでいくということが大事であろうと思っております。そこで、地域連携支援拠点三百カ所を設けまして、中小企業の個別メニューを組んで支援をするという体制を、新年度になりましたから、早々に立ち上げたいというふうに思っております。

 

○後藤(斎)委員 おっしゃることはよく理解できる部分もあるんですが、大臣がおっしゃるように、たくさんの施策を総合的にというのはわからないわけでもないです。やはり構造的な部分をもう少し目配り、分析をしながらその処方せんというのを考えていかないと、本当に体質的なものが変わっていくということはないと思うので、その点だけ指摘をしておきたいと思います。

 今回の事業継続の円滑化というのは、ストックの部分、税の部分を中心に、できるだけプラスの資産を上手につなげていこうということがメーンではないかなと思うんですが、もう一方で、後継者というのは身内なのか、それとも少し遠い親戚なのか、それとも全く会社の中の新しい人なのかということはまた別としても、事業を継続するには幾つかの、もちろん血の濃い順から分かれていくわけでありますけれども、そのときにも、この白書で上手に指摘しているのをあえてもう一度お話をさせてもらうと、資金調達の部分で、では、事業を承継しても、おやじが資産を担保に入れていたとか、まだそれが足りなくて、自分の本当にしたいことが、事業承継した後でも個人保証しなければ融資が受けられないとか、やはり金融面で後継者になりたくないというのが分析されていると思うんです。

 特に、中小企業の部分では、五人未満の小規模企業と言われている部分では、債務超過企業であるという部分が非常に大きい。そのときには、いろいろな金融施策を、セーフティーネットの拡充とか対象事業の拡大とかいろいろなさって、それは評価をもちろんしますが、ただ、実質の部分で、借りたくても借りられないというふうな部分、新しい事業展開をしたくても借りられないという方もやはりたくさんいらっしゃると思うんです。

 大臣ばかりだとあれなので、金融庁にもきょう来ていただいているので、金融庁にちょっとお尋ねをします。

 現下の情勢、先ほども、午前中指摘をした成長力強化への早期実施策というところで、金融検査マニュアル別冊の周知ということが改めてここに掲載をされております。これも、昨年もしつこく企業にお聞きをして、いやいや、中小企業に対する融資というのは、赤字や債務超過といった事実のみでなく、中小企業の特性を踏まえた経営実態の適切な評価を行うというマニュアル別冊の趣旨に基づいてちゃんとやっているよといっても、改めてここにお書きになるというのは、やはりそうではないということを金融庁もお気づきになって、金融庁が指導監督、特に監査をする際の、特に地方の金融機関に対する部分が余りにも厳しいと。

 金融現場でお話を聞くと、金融庁のマニュアルに従ってやらないと、要するに、自分たちの、金融機関自体の屋台骨が揺らいでしまうということで、もう企業別に、ここまでが限度だということを実は金融機関は決めて、いかに政府が施策をして別枠でいろいろするといっても、その企業が、例えば将来性がない企業や、今まで債務が、かなり借入金がある企業であれば、追加なんかできっこないじゃないかというのは、金融庁のマニュアルによるというふうな話もかなり聞くんです。

 実態はそうなのかなと思って金融庁にお話を聞くと、いや、そんなことはありません、ちゃんとやっていますと言っても、改めてここにまさに書き込んだこと自体、そういう意識がやはり皆さん方、金融庁にもあるからじゃないかな。であれば、四月以降改めて徹底というふうにありますが、以降というのが五月なのか六月なのか知りませんけれども、早急にまさにこの趣旨でやっていただかないと、金融機関が幾ら、例えばもう三十年、四十年おつき合いをしている会社、ここに融資してやればこの会社が新しい事業も展開できるけれども、やはりできないよなと萎縮をしているというのが金融機関の現場だと思うんです。

 この規制をなされたことも含めて、中小企業マニュアル別冊に書いてあることはこれはこれで正しいにしても、本当に中小企業の特性を踏まえた適切な評価をするという原点に改めて戻っていただきたいと思うんですが、金融庁の御見解をお尋ねします。

 

○居戸政府参考人 金融機関が中小企業向けの融資を評価するに当たりましては、委員御指摘のとおり、表面的な財務状況のみにとらわれず、中小企業の経営、財務面の特性等、例えば、先生今言われました、赤字になりやすいとか、債務超過になりやすいというところを十分踏まえて、経営実態を適切に把握することが重要であるというふうに考えております。

 こういう認識のもとで、今委員御紹介いただきました金融検査マニュアル別冊というのをつくりまして、数字にあらわれない技術力とか販売力とか、経営者の資質等に着目をすることが必要等の中小企業の経営実態を把握する際の具体的な着眼点を記載しているところでございます。このマニュアルにつきましては、私どもの現場の検査官にきめ細かく徹底をするとともに、これまでも、金融機関に対しましてあらゆる機会を通じて周知徹底を図ってきているところでございます。

 先般、経済対策閣僚会議で取りまとめられました成長力強化への早期実施策において、マニュアル別冊の趣旨について、金融機関の営業現場を含め周知徹底することとされたことを踏まえまして、今委員御指摘のとおり、原点に戻ってもう一度周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。

 さらに、金融機関の向こうの借り手の方に対しましては、別冊のわかりやすいパンフレット、中小企業の資金調達に役立つ金融検査の知識というものをつくりまして、中小企業庁と連携をしまして説明会を各地の商工会議所等において開催しているところでございます。

 金融庁といたしましては、こうした取り組みによりマニュアル別冊の周知徹底を図りまして、我が国経済の基盤を支える中小企業に対する金融の円滑化を図ってまいりたいと考えております。

 

○後藤(斎)委員 ぜひそういうふうにしていただきたいと思いますし、あわせて、これもこの委員会でも何度も、私自身もそして同僚議員も御指摘をさせていただいているように、地方の、地銀さん、金庫さん、組合さんを含めてですが、もっと地域に密着した金融体制、要するに企業を支える形をつくろうということで、平成十七年の三月二十九日のアクションプログラムの資料もいただいていますが、それもまさに本当に地域密着型金融についてという本旨にかなっているかどうかという部分が私自身は若干疑問があります。

 というのは、先ほどもお話をしたように、どちらが先かは別としても、中小企業マニュアルの別冊に基づいてやれば、赤字や債務のという部分だけではなく、もっと貸しますよといっても、なかなか、それが本当の融資につながるかどうかというところまで当然金融庁さんもフォローできないし、このアクションプログラムの中でも、最終的にはもちろん民民の中でやってくださいよという指導をなさっているわけですよね。

 そうなると、では、自分たちを金融機関が守るのか、それとも長年おつき合いをした中小企業の経営者の方、どちらをとるかといえば、まず自分、そしてそこで働いている雇用の職員の方というのが当然優先順位になると思うんです。

 だからこそ、例えば、後でお聞きをしますが、信用保証協会の保証をかみ合わせたりしてサポートする形を、大臣がおっしゃられたように、たくさんの施策を総合してやるという中で、本当の民民の部分で、どうしてもきょう五百万借りたい、どこへ行っても借りられないとなったら、非常に今厳しくなっていますけれども、貸金業、一〇%、一五%で借りてそのつなぎをするという企業が全国に本当に何百万という形で僕はあると思うんです、一年間で。それがショートをすると、去年一年間で五兆五千億、一万件を超す倒産件数の会社の方々の負債が五兆五千億くらいになってしまうわけですね。結局だれがその負担をするかというと、債権者がということに当然なるわけですし、一部は金融機関も債権放棄をするということもあるわけです。

 そういう意味では、ぎりぎり貸せるというところには、本当に、成長性とか経営者のやる気とか社員の方のという、別冊にあるようにやりながら、あわせて、この地域密着型金融について、今度新しく、総合的な監督指針というのを改正して昨年から対応しているというお話は聞いておりますが、やはりこれを徹底的にやっていただく、現場で実施していただくということが必要だと思うんですが、監督指針をきちっと入れ込んだということについてもあわせてちょっと御見解をお伺いします。

 

○三村政府参考人 地域密着型金融につきましては、委員御指摘のとおり、平成十五年から十八年の間、二次にわたるアクションプログラムに沿って推進をしてまいりました。平成十九年度よりは、こうした時限的な措置ではなく恒久的な取り組みとして、監督の大きな柱の一つとして地域密着型金融を推進することといたしております。

 新しい枠組みにおきましても、各金融機関の取り組みを促すために、各金融機関に対し、地域密着型金融の取り組みに係る主要計数について決算期において開示を要請し、当局においても取り組み状況等の報告を求め、これを取りまとめて公表し、定期的なヒアリングの中で取り組み状況のフォローアップを行うといった施策を実施することにより、地域密着型金融の取り組みを促していくことといたしたいと考えております。

 また、従来より、地域密着型金融に関するシンポジウムを全国の財務局で開催をしておりまして、事業再生等への理解やノウハウの共有化に努めているところでございますが、さらに先般、各金融機関が行う地域密着型金融の中小企業の実態に即した先進的な取り組みについて取りまとめをいたしました事例集を作成し、公表したところでございます。こうした取り組みにより、各金融機関の中小企業に役に立つ融資ノウハウの共有を一層促進してまいりたいと考えております。

 金融庁といたしましては、こうした取り組みを通じまして、引き続き各金融機関の自主的な取り組みを促し、地域密着型金融を一層推進してまいりたいと考えております。

 

○後藤(斎)委員 ぜひその形でお願いしたいのですが、今、最後にお話をしていただいた部分で、新しく基本的な監督指針に盛り込んだということについては評価をしますし、また、その中で具体的取り組みという、主な着眼点というところがございますけれども、やはり、事業価値を見きわめる融資手法、要するに赤字とか債務というその部分だけではなくというところもきちっと現場に伝わるようにお願いをしたいと思います。

 あわせて、ライフサイクルに応じた取引先企業の支援強化、これはまさに、会社の社長が、そろそろ息子に譲らなきゃならない、代をかえなきゃならない、そういう部分も含めてだと思いますけれども、やはりそういうきめ細かな部分を現場で、実際にマニュアルとか指針にきちっと書き込んだようなことが行われるように、監督だけ強化をするのではなくて、ぜひその辺のフォローもお願いをしたいというふうに思います。

 次に、信用保証制度の責任共有制度についてお尋ねをしたいと思います。

 これが昨年からスタートをして以降、中小企業庁のお話によると、いやいや、融資が滞っているということは別になく、順調にいっていますよというふうなお話をお聞きするんですが、実はそうではなく、これは、先ほどお話を聞いた金融庁の監督局長からも、責任共有制度の導入に係る対応ということで、昨年の十月十日に要請書が、銀行協会の会長とかそういうところに要請が行われていますが、やはり現実は、責任共有制度が導入されたことで、どうしても保証協会の保証をつけなければ金融機関は融資をしないというところが、そういう企業が実際の融資を受けられないということを、たくさんかどうかという比較のしようがなかなか難しいのですが、これはあることは事実であります。

 ただ、中小企業庁にお聞きをすると、いや、そうじゃないんだというお話もあって、私が聞いているのとちょっと矛盾をするのですが、現状について、貸し付け状況と、中小企業者の方はどんな評価をなさっているかということも含めて、簡潔に御答弁をお願いします。

 

○福水政府参考人 簡潔にお答え申し上げます。

 昨年十月に責任共有制度というのを導入して、私どもは、全国に相談窓口をつくるとともに、きめ細かな周知徹底を行いましてやっているところでございます。

 最近の実績を見てみますと、二十年二月末現在で二十九兆二千三百六十一億円ということで、前年比で一〇一%という実績になってございます。したがいまして、全国的に見て、責任共有制度を導入したから保証残高が減っているというふうな事態にはないのではなかろうかという認識をしておりますが、いずれにしても、資金繰りにつきまして、我々もいろいろなところでヒアリングしておりますが、厳しい意見を現地で聞いておりますので、きめ細かく対応していきたいというふうに思っております。

 

○後藤(斎)委員 長官の御指摘のとおりの数字はお聞きをしていますが、ただ一点、私の方からつけ加えさせていただくと、やはりこれも地域によって違うのではないかなと。

 要するに、全国一律で、よく言われるように、霞が関が机上とは私は言えませんし、よく中小企業庁、特に金融課の皆さんが現場に行っている比率は高いとは思うんですが、やはり地域によっても違うし、先ほど開廃業の話をちょっとさせてもらったときに、それは構造的な問題なのか、長期化する問題なのか、どこに体質改善のメスを入れるかというのをきちっと把握をしてもらうためにも、なお一層のウオッチとフォローをお願いしたいというふうに思っております。

 実はもっとたくさん聞きたいことがあるのですが、時間がそろそろなくなってきたので。

 大臣、きょうの読売新聞をごらんになりましたでしょうか。これは後で話をしますが、中国産松阪牛、中国産美濃焼という形で、一面の真ん中くらいに大きく「勝手に商標申請」という形がありました。

 私は何が言いたいかというと、例えば、事業承継円滑化法、この法律改正をして、ストックの部分がうまく伝わっていく、あわせてそこで働く人の身にもプラスになる、これは正しいものだというふうに思います。しかしながら、先ほど金融にも触れさせていただいたように、では、本当に仕事を新たにしたい、起こしたい、今ある仕事の新しい部分をしたいというときには、金融というものが必要であります。これは特許法のときにも御指摘をさせていただいたとおり、それが一企業でできることと、地域全体でやること、業界全体でやること、それと日本全体でやることというのがあると思います。

 中国産松阪牛というお話は、地域団体商標、後でちょっと触れさせていただきますが、今、全国で三百七十一件、ことしの四月一日までに地域団体商標というのが、大臣の御地元でいえば小田原かまぼこというのが、小田原干物というのも地域団体商標らしいですが、これが特許ではなく商標法の中での部分であります。要するに地域ブランドの促進の部分であります。

 これが中国で、ジェトロの北京センターの調べでわかったということでありますが、松阪牛でもない、美濃焼でもないものが中国産、中国でつくられたものが商標申請をされて、取り消し申請が認められなければ新たな登録が逆に日本の方からできないというふうなことが指摘をされています。

 大臣、やはり日本ブランドをこれから促進していく。これは私は、日本全体が、前回の委員会でも御指摘をさせていただいたように、これからはもちろん企業も努力をしていただかなければならない、地域も、そして産業全体もということでありますが、来週以降また議論がある農商工連携もそうですけれども、いわゆる農業の地域の特産品、地域資源というものはたくさんあるわけです。DNA鑑定をしなければできないようなものも当然あるかもしれませんが、やはり、幾ら日本ブランドを、地域ブランドを育成しても、簡単に商標の部分で違ったルールに基づいて申請をし、対応が今の日本の仕組みではできないわけですから、業全体がよくなっていくということでは、地域のブランド化ということは当然やってもらうのは大前提だと思います。

 それがひいては日本ブランドということで、要するに、松阪牛といえば、おいしい、高い、品質もいいということが直観的にすぐわかりますし、小田原のかまぼこも、多分、おいしい、高いということで、要するに付加価値を高めて売れるということだと思うので、そういう意味でもこういうふうなブランド力を高める。

 そして、例えば金融をしやすくする、事業承継をしやすくする、それぞれの目的で中小企業全体を底上げして、会社の社長たちにはもうかってもらう、税金も払ってもらう、働く人も安定していい、また所得税も払うという、いい循環を全体でつくっていくという中で、この中国産松阪牛、美濃焼というのは看過すべき事項ではないと思いますし、地域ブランドの育成、日本ブランドの育成という観点からもこれは十二分な調査をし、そしてしかるべき対応を大臣みずからがぜひやってほしいということを私は最後にお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○甘利国務大臣 日本の産品は、中国を初めとする途上国で大変な人気でありますけれども、中国に行きまして驚いたことに、コシヒカリとかササニシキがもう登録されてしまっている。この種の話は漫画、コミックにもありまして、本家が出ていったら、にせものに本家が訴えられたというような、わけのわからない事態が発生をしております。

 これはまず、国際的な枠組みの中に中国がきちっと入って知財を守るということを国家としてやっていただかなければいけないわけであります。そのために、海賊版・模倣品防止条約というものを日本から提案して、恐らくあと一、二年でまとまる話だと思いますが、これをきちんと関係国が批准をしてもらって、それに従って国内法制をちゃんとしていく、そして知財を尊重する。それは、中国にとってだって、中国の新しい知財はできてくるわけでありますから、我が事としてとらえてもらう。そのために政府が総力を挙げて地ならしを行っている最中でありますし、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

 

○後藤(斎)委員 最後に、この最後の記事にありますように、現在の中国の商標法では、例えば外国名や広く知られた地名の使用は認められていないということで、頭に東京や大阪の修飾語がつくとだめらしいんですけれども、松阪だといいみたいな形になっているので、大臣がおっしゃるように、そこも含めて多分協議をなさっているというふうに承知していますので、ぜひ遺漏なきようにお願いをして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

 

○東委員長 これにて後藤斎君の質疑は終了いたしました。

 次に、吉井英勝君。

 

○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。

 今、中小企業経営者の平均年齢が大体五十八から五十九歳になっていますね。それで、ちょうど団塊の世代が日本経済の大事な柱である中小企業経営者の中心に今座っている、こういう状況にあります。今、その中で引退したいとしている現役経営者の方の平均年齢を見ますと、これは六十四・五歳。ですから、今後大体五年から十年以内に世代交代の対応が迫られてきている、そういうところに今あるというふうに思うわけです。中小企業の後継者問題は、ものづくりの技術の継承を含めて、これからの日本経済にとっても深刻な問題に今なってきております。

 そこで、東の大田区、西の東大阪、八尾、そういう二つの基盤的技術の集積地を見てみても、中小企業の実態を見ますと、経済環境が悪く、下請いじめなどを考えると、息子に後を継がせる自信がないという方がおられたりとか、適正な後継者が見つからないという声、それから、後継者がいても、相続によって事業資産が分散されてしまうから継ぎたくても継げない状況だという声など、いろいろ伺っているんです。ですから、中小企業の事業承継の円滑化を図る、これは本当に緊急課題だと思っています。

 そこで、最初に甘利大臣に伺いたいんですが、中小企業の経営承継が円滑にいくようにするには、相続に関する制度を整備すること、これとあわせて、やはり後継者の方が事業承継に自信が持てるとか、あるいは承継する人が父の事業にやりがいを感じたり報われたりする仕組み、やはりそういうものを整備していくということが今非常に大事だと思うんですが、この点について、大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

 

○甘利国務大臣 おっしゃるように、中小企業の事業承継が困難視される理由は幾つもあります。

 事業それ自体が余り魅力があるものに感じられない、一生懸命働いているけれども、汗みどろ、油まみれになって働いている父親の姿を見て、それでは自分もサラリーマンをやめて帰っていこうかと思うと、サラリーマンの給料とおやじの給料を比べたら自分の方がよかったというようなこと、元請に納める金額はもう頭からカットされて、資材が上がろうが見てくれない、そういう姿が恒常的になってくると、やはりわざわざ条件が悪くなる職場で働こうという気概は、幾ら家業とはいえ、なかなか起きないわけであります。

 そこで、下請取引の適正化については、かなり重点を入れて取り組んでいこうということで、去年から始めております。これは、法的に立ち入って調べる、申告はなかなかしづらいでしょうから、書面で調査をする対象を広げる。それだけじゃなくて自主的な取り組みも促していって、立派な元請はあくどいことはしませんよという文化を定着させていきたいということで、下請取引適正化に今取り組んでいるところであります。

 あわせて、中小企業施策があまたあるけれども、どれとどれを組み合わせればもっとうまくいくのか、それを本当にわかっている人は余りいないんじゃないか、まして中小企業者はそんなことを知るすべもないということで、拠点を設けて、そこに相談に行けば、あまたある中小企業施策の中から一番適切と思われる、あるいはもちろん全部使ってもいいんですよ、それをアドバイスするコーディネーター、アドバイザー役をきちんとそろえるということを、特に今の地域力連携拠点というのは二十年度予算で三百カ所整備しますが、これは前倒しでやっていきます。それ以外に、文明の利器というか科学の力といいますか、ITのハード、ソフトを活用する手法についてアドバイスをし、助言をし、経営環境をよくしていく。

 とにかく、今回の法律、そして税制あるいは財政措置、金融措置、そしてそれ以外の措置も含めてフル稼働して、中小企業が魅力ある職場であるように取り組んでいきたいと思っております。

 

○吉井委員 一九八九年以降、我が国で廃業率と開業率を見ると、廃業率が上回るという逆転現象が起こっておりますが、年間平均三十万社が廃業ですね。この中に事業承継されない企業もたくさん入っているわけです。

 本法では、事業承継に際して多額の費用を要するなど事業活動の継続に支障を生じている中小企業に対して、経産大臣が認定して、そして金融支援を行う。また、この認定中小企業者に対しては、自社株式の相続税八〇%猶予とか、この税制改正は来年度でということですが、納税猶予に際しては、五年間程度の事業継続要件を課して、相続人が当該中小企業の代表者であること、雇用の八割以上を維持、相続した株式を継続保有することなどを求めているということで説明を受けております。経産大臣がチェックするわけですが、具体的なスキームはこれからのことということになってきております。

 そこで、脱法的な納税逃れに厳しく対処するのは、これは当たり前だと思うんですけれども、ほとんどの中小企業はまじめに事業継承を図ろうとしているんです。しかし、この消費不況、経済環境の厳しい中で、事業継続しようと頑張っても、さまざまな困難がつきまとっているというのは現実です。

 そういった中小企業に対しては、五年間程度の納税猶予期間というふうに言われておりますが、この程度というふうに説明を受けましたが、弾力的に運用することとか、金融面での困り事はないかとか、経営基盤の方にも親身な相談に乗って支援していくとか、やはりきめ細かな支援を行っていくというのは、もともとの本法の目的だろうと思うわけです。

 そこで、今も少し、いろいろな施策についてもお話ありましたけれども、形式的に事業継続を見るのではなくて、やはりきめ細かな支援を行っていく、そのことが大事だと思いますので、その点についての決意といいますか、きめ細かなものへのお考えだけ、伺っておきたいと思います。

 

○甘利国務大臣 今般の事業承継税制は、中小企業の事業の継続、発展を通じた雇用の確保であるとか、あるいは経済活力、特に地域の経済活力の維持を図ることを目的としているわけであります。

 この要件については、相続税を納めるのを猶予するという大方針の転換でありますから、要件はしっかりと設定をすることが不可欠だと思っております。

 他方で、中小企業の事業承継については、相続という一時点に限定した支援ではなくて、事業が安定的に継続していくよう、おっしゃるように、きめ細かな支援を実施していくことが御指摘のとおり重要だと私も思っております。

 このために、相続後の信用状態の低下に伴い必要となる資金などさまざまな資金ニーズに対応する金融支援であるとか、あるいは事業承継後の社内体制の構築など、あらゆる問題に対応する事業承継支援センターでの相談対応、こういうふうなことで、相続時に限定されることなく、継続的に事業を営んでいくための支援というのをきめ細かに行うことといたしております。

 御指摘を踏まえて、しっかりやっていきたいと思います。

 

○吉井委員 今、私は廃業と開業のお話をいたしましたけれども、資料一をごらんいただきたいと思うんです。

 これは自営業者数の推移のグラフですが、OECD各国は、一九八〇年と比較して大体一・二倍から一・八倍とおおむね増加なんですね。このグラフ上、最後の二〇〇五年と二〇〇六年だけは、本当は時間軸でいきますと少し縮めなきゃいけませんが、全体としてこういう傾向にあるわけですね。それで、日本は六七%まで落ち込んでいるんですね。

 そこで、大臣、世界でこういう傾向が見られるんですが、次に、この傾向についてどのようにお考えになるか、これを伺っておきたいと思います。

 

○甘利国務大臣 私も長いこと中小企業政策を担当してきまして、中小企業に関して演説を行うときのまくら言葉が、中小企業者四百七十万と言っていたのが、直近では四百三十万であります。私の記憶の中でも、何年かの間でもう四十万社も減ってしまったわけであります。

 開廃業率が逆転しているということは、世の中から会社がどんどん減っていっているということであります。これは雇用機会がどんどん減っていっているということでありますから、何とか歯どめを打たなければならないと思います。

 先ほど来の質問にもありますとおり、業を起こすということの意欲がわくような環境整備をしなくちゃいけないですし、業を引き継ぐことの障害で、取り得るものについてその障害を取り去る。もちろん、そこにはある種の公平性なり平等性なりをしっかり目配り、気配りしながら図っていくということが大事でありますが、そういう環境整備をしていく必要があると思います。

 また、あわせて、OECD諸国の中で日本が事業者数の低下傾向が顕著であるということであるとすると、どこに魅力が欠けているのか、それもしっかりと検証していかなければならないというふうに思っております。

 

○吉井委員 私は、多分大臣とも、一九九九年の中小企業基本法のころ、あのころ商工委員会でちょうど審議に当たったかと思うんですけれども、EUは、二〇〇〇年にヨーロッパ小企業憲章というのを制定しているんですね。この憲章は、小企業はヨーロッパ経済の背骨である、小企業が最優先の政策課題に据えられて初めて新しい経済の到来を告げようとするヨーロッパの努力は実を結ぶであろうという言葉から始まるんですけれども、ちょうどほぼ同時期に、一九九九年に、逆に、日本は中小企業基本法を改定して、そこで市場原理主義、規制緩和というのを導入して、中小零細が随分切られていく弱肉強食路線に変わっていったという問題がありました。

 そこで、私は、少し国税庁の方に伺っておきたいと思うんですが、この間、中小企業の事業承継の問題について私も話を聞いて回っておりまして、例えば、文京区では、十年前に三十九軒あった豆腐屋さんが今二十四軒、そのうち後継者がいるのはわずか三軒、十年後にはなくなってしまうのではないかという話も聞きまして、これは食文化にとっても深刻だなと思うんです。

 後継者がいないから廃業せざるを得ないのだが、実は、経営に見合う収益が得られないことがその最大の原因ではないかという声もあれば、ここは大臣もさっき言っておられたこととも重なりますが、所得税法五十六条の問題が大きいという声もあります。

 全商連青年部協議会が昨年行った全国業者青年実態調査によりますと、家族従業者、業者二世ですね、千六百三十二人の六割以上の青年が家業を継ぎたいという事業承継を望んでいるんです。ところが、親が個人事業主である白色申告の業者二世から、所得税法五十六条はおかしい、事業承継の担い手である業者二世の働き分を正当に認めてほしいという声が多数上がっております。

 国税庁に伺っておきたいのは、事業を承継するために親の事業所で働く青年を一人の独立した人間と認めて、この人に支払われる給与は事業者の必要経費として算入するのが普通だと思うんですね。

 そこで、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスでは、業者二世やあるいは配偶者に支払う対価を必要経費として認めているんじゃないかと思うんですが、アメリカなどについてはどうですか。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 諸外国の税制についての御質問でございました。

 御指摘の各国におきましては、個人事業者に対しまして記帳保存義務の義務づけがございますけれども、そのもとで、家族従業員に対しまして支払われる給与につきましては、当該給与が専らその事業のために支払われていたものでありますとか、あるいは第三者に対する給与支払いに相当する額であるとか、そういった必要経費として控除することが適切であるものにつきまして控除が認められていると承知しております。

 

○吉井委員 御丁寧な答弁をいただいたけれども、それは世界標準というべきものなんですね。

 所得税法五十六条は、居住者と生計を一にする配偶者その他親族は、その居住者の営む事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しないとしているんですが、一九五〇年にこの規定が創設されたときの理由というのは何ですか。これをちょっと簡潔に伺っておきたい。

 

○川北政府参考人 御指摘の所得税法第五十六条でございますが、これは、昭和二十四年にシャウプ勧告がございまして、所得税の課税単位を原則として個人単位にするという大きな御指摘がございましたけれども、その際に、家族を従業員として雇用することによる所得分割を抑制する措置をあわせて導入すべきという指摘がございまして、それを踏まえまして、昭和二十五年度の税制改正において導入された規定が前身となっております。

 

○吉井委員 シャウプ勧告に基づいて出てきたんですが、要するに、租税回避をどう穴を防ぐかというところの発想からですね。

 問題は、その規定創設の時期というのは、ただそのことだけじゃなしに、それは資産性所得についてはその後の改正によってもう外しているわけですから、これだけまだ残っているんですが、規定創設時と現在では、実は家族を取り巻く環境が変わっているんですね。

 当時は、戦争直後のことですから、家制度の残滓を引きずっている面があったわけですね。もう一つの面としてそれがあって、しかし、現在では、今おっしゃった個人単位に課税するという税の原則があるわけですが、一人一人を独立した人格を持つ人として尊重する、そういう人権意識が向上し、たとえ同一生計といえども、労働力を提供すればその対価を支払うのは当然ということになってきております。女性の就業率も向上し、女性起業家もふえているわけですし、夫婦であっても独立した意思で財産を所有、管理、処分することや別々に事業を営むことは珍しいことではないというのが今日の状況です。

 ですから、今日的な観点から見て、実は、シャウプ勧告のもともとの原則からしてもそうですし、その後、資産性のものについては外しているということもあるわけですから、しかも、一人一人の個人の人格というものを見ていく今の観点からすると、所得税法五十六条というのは実態に合わなくなってきていると思うんですが、国税庁の方は、いわば未来永劫不変の原理とでもいうお考えに立っておられるのかどうか、伺っておきます。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 事業所得につきましては、個人事業者が売り上げなり必要経費を適切に記帳いたしまして、適切な申告を行っていただくことが大変重要でございます。

 我が国におきましては、先ほど申し上げましたような諸外国の制度と異なりまして、すべての個人事業者について記帳や帳簿保存の義務を課すわけではなくて、帳簿書類を基礎としました適正な申告を奨励する観点から、青色申告制度を設けまして、青色申告者につきましては、正確な記帳と帳簿書類の保存を求め、その申告には各種の税制上の優遇措置の適用を認める構造となっております。

 青色申告者につきましては、正確な記帳、記録に基づく家計と事業の分離ということが確保されますので、先ほど来御指摘の所得税法第五十六条の例外といたしまして、五十七条で実額での必要経費算入が認められているところでございます。

 一方、青色申告者以外の個人事業者につきましては、定額の事業専従者控除が認められております。

 青色申告者以外の個人事業者につきまして、その専従者につきまして、その事業者の給与制度の適用を受けるというお考えであれば、所定の帳簿を整備の上で容易に青色申告の承認を受けることが可能でございますので、所得税法の第五十六条の規定というのは現在におきましても不合理なものではないと考えております。

 

○吉井委員 あなたはもう御存じのように、青色を選ぶか白色を選ぶか、二つの中でどっちを選ぶかという選択は、納税者の任意の判断なんですね。国税庁が強制するものじゃないんです。

 それで、今、特例があるというお話ですが、実は、青色申告が導入されてから六十一年たちましたけれども、会計知識が今向上していますね。特に若い人たちはパソコンの時代で、パソコン会計の普及も進んでいるわけです、別に若くなくてもそうですが。同種同業者団体の作成する記帳ノートなどが行き渡って、青色申告者と白色申告者との間に実質的な差異はないというのが今の現状ですよ。所得税法五十六条のように納税制度によって家族労働の成果について差別することについて、既に合理性はない。事業に必要な経費はみんな同じなのに、支出の控除すら認めないで納税者を行政的に差別して不利益扱いをするということは、私は、これはもう今日の実態に合わないところへ来ていると思うんです。

 中小業者の場合、社会保障が劣悪といいますか非常におくれている中で、老後の年金が低くて暮らせない、休業補償や失業保障、出産休暇、育児休暇、介護休暇がもともとない。

 その上に、必要経費に算入できないことによる不利益が出ていますね。これは、保育園に入れるときに母の所得証明がないので入園が困難になってきたりとか、交通事故の死亡の場合でも、所得が八十六万というふうに低く査定されているので非常に不利だ、補償日額で見ても、専業主婦だったら五千七百円、家族従業者だったら二千三百円というふうに、非常に不利な状態に置かれているわけですね。下請業者の工賃や小売業者のマージンが低く抑えられるという問題など、これは、この五十六条によって随分不利な実態が生まれております。

 それで、私が伺ったのは、これは白色であれ青色であれ、現在そういうふうに実態として同じなんだけれども、これは何か、国の方で行政的にこっちを選びなさいと強制するものじゃないし、自由に選んだ場合に行政的に差別をされることがあってはならないというのは当然のことだと私は思うんですが、何か行政的に差別する理由があり、そして国税庁として、これをずっとこれからも続けるという、いわば不変の原理のように考えていらっしゃるのか。これは、実態に合わせてこれからはきちんと検討していくというお考えなのかを伺います。

 

○川北政府参考人 お答え申し上げます。

 青色申告の制度につきましては、先ほど申し上げましたとおり、正確な記帳と帳簿書類の保存ということを前提に、その申告には各種の税制上の優遇措置の適用を認める構造となっております。

 昨今、記帳の習慣も広まってきたという御指摘でございましたが、所定の帳簿を整備の上で青色申告の承認を受けていただけますと、現在の制度の利用が可能だということでございます。

 

○吉井委員 どっちを選ぶかは本人の自由な判断であって、こっちをやれば有利になりますとか、そういう行政的差別をしてはならないということを言っているんです。

 資料二に、お配りさせていただいておりますが、こうした問題が出てきているから、高知県議会の意見書、これは全会一致のものですが、それから、各地の税理士会はそれぞれに廃止を求める意見書、決議を行っております。全国女性税理士連盟も要望書を出しております。

 そこで、大臣、私はこれは、今度の相続税の場合と同じように、事業承継しやすくする相続税に関する法案とあわせて、やはり中小企業については、何を選ぼうとそれが税について行政的差別とか不利益を受けないような仕組み、その点では所得税法五十六条廃止を含めて、事業を承継したくなる仕組みとかやりがいの生まれる仕組みというものを考えていくということがこれからの方向としては大事ではないかというふうに思うわけです。

 その点について、高知県議会の意見書も見ていただくようにお渡ししましたが、大臣のお考えというものを伺っておきたいと思います。

 

○甘利国務大臣 五十六条は五十七条とあわせて考えるのが適切だと思いますが、青色と白色で、要するに、より正確な帳簿というか、より正確な記帳はやはり負担がかかるんだと思います。それに応じて、ある種、比較論でありますけれども、アバウトに対応するか、より厳しく、それはやはり、それだけ事業者に負担がかかることでありますが、それを選択するか、それに従って税の面での若干の対応の違いがあるということはあっていいのかなと思うんですけれども、たしか私の記憶だと、青申で今どうなっていたか、青色申告でも、簡易な申告方法とそれからより記帳義務の厳しい方向をとった際にも対応が違っていたというふうに記憶をいたしております。

 

○吉井委員 こういう例があるんですね。弁護士夫婦が別々に法律事務所を開いていて、忙しい夫の法律事務を別の妻の法律事務所で引き受けた場合、これは家族従業者扱いされるとか、夫の弁護士事務所の申告を妻の税理士事務所が扱った場合、これも家族従業者扱いされるとか、これについては、判例等でも地裁と最高裁で意見が真っ二つにというか、全く反対側の判断が示されるとか。だから、戦争直後から実態に合わなくなってきていることは事実なんです。

 世界のアメリカもフランスもイギリスもドイツも、五十六条というのはもうないんですよね。だから、実態に合わなくなっている所得税法五十六条を廃止せよというのは、これは、全商連婦人部のパンフレットの言葉では、人間らしく生きたいから私の働き分を認めてくださいというものですが、働いているのに働き分を認めないというのは人権にもかかわってくる問題でもあります。

 ですから、そういう点では、所得税法五十六条を廃止して、親族に対する対価の支払いについて、その支払い対価が適正な対価であるかどうかを判断する資料の保存義務を納税者に課すとか、これは当然だと思うんですね、それが適正であれば必要経費として算入を認めるという仕組みに改めていくことによって、特例扱いじゃなくてすべてそういうふうになってくるわけですから。

 そこで、大臣、私がもう一度伺っておきたいのは、相続税問題とともに、やはりこれが、さっきも業者の青年のお話を紹介しましたが、事業承継にやりがいを感じられるようにする上で、やはり、おやじのもとで働いているのにまともに一丁前に見てもらえないというのはおかしいんですよね。だから、事業承継にやりがいが感じられるように、所得税法五十六条についても、これは政府として世界標準に合わせていく方向で考えるべきだと思うんですね。国税庁だって、未来永劫不変の原理として持つこと自体おかしいので、世界の状況もよく検討して臨んでいただくということが政府として必要だと思いますので、もう一度、大臣に伺っておきます。

 

○甘利国務大臣 税制というのは、ある種理屈の世界、哲学の世界であります。その税を設定するには設定するなりの理屈があるわけでありますし、哲学があります。でありますから、その税制度の理屈、哲学を整理して、その上で、どういう形態かを考えるということは、政府全体としては、この税制に限らずあらゆる税制について取り組んでいくことだというふうに思っております。

 

○吉井委員 相続税の方も、法律でこう書いておいて、実際上は来年度の税制改正ということになってまいりますけれども、この五十六条問題、これはやはり、実際に後継者の方たちがおやじと一緒に仕事をしていて、ものづくりの技術を継承していく上で一丁前の人間として扱われるかどうかということにもかかってくる話でもありますし、これは妻の場合もそうです。ですから、世界が今、こういうものについては、五十六条はないのがアメリカ、フランス等ヨーロッパの状況ですから、日本もその方向にやはり進んでいくということが、これは後継者問題にとっても非常に大事な問題だということを申し上げまして、もう少しやりたいところなんですが、時間が参りましたから、これで終わります。

 

○東委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

 

○東委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

 

○東委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

 

○東委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、谷本龍哉君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び日本共産党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。大島敦君。

 

○大島(敦)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、中小企業がその活力ある事業活動を継続しつつ経営が円滑に承継されていくことが我が国の経済の持続的な発展を図る上で極めて重要であることにかんがみ、次の諸点について適切に措置すべきである。

 一 相続税の課税についての必要な措置のあり方については、中小企業や本委員会での非上場自社株式に係る納税猶予割合を一〇〇%に引き上げるなどの要望をふまえつつ、新たに創設される納税猶予制度について、経営の承継が一層円滑なものとなるよう引き続き検討を行うこと。

   また、中小企業への相続税の課税方式の変更等今後の相続税制の見直しに当たっては、中小企業のこれまでの取り組みや意見を十分踏まえながら本法の趣旨が損なわれることのないよう留意すること。

 二 相続税の納税猶予制度に係る適用要件等の具体的な検討に当たっては、租税回避行為の防止に留意しつつ、事業継続期間中における合併再編等中小企業の活発な経営戦略に支障が出ることがないよう、中小企業の経営の実態に即して可能な限りその具体化に努めるとともに、施策内容について関係中小企業者等に対し早期の情報提供に努めること。

   なお、雇用の確保を条件とするに当たり、当該中小企業の労働者の権利が不当に損なわれることのないよう、政府の適時の確認手続きを設けるなどその確保に万全を期すこと。

 三 遺留分に関する民法の特例措置について、当事者間の合意が適正になされ、経済産業大臣及び家庭裁判所に係る諸手続きが円滑になされるよう関係部局に趣旨が徹底されるとともに、その手続方法等についても具体的な例示等を用いるなど中小企業に十分理解されるよう周知徹底に努めること。併せて、中小企業の具体的な取り組みに資するよう指導・助言等の十分な支援を行うこと。

   また、当該措置の今後の実施状況等を踏まえ必要に応じて見直しを行うなど柔軟な運用に努めること。

 四 中小企業における経営人材の円滑な登用を促進する観点から、親族外への経営の承継に対する支援について、その一層の円滑化が図られるよう予算面の措置や金融支援を含め、総合的な取り組みを行うこと。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)

 

○東委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

 

○東委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、甘利経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利経済産業大臣。

 

○甘利国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

 

○東委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

 

○東委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

 

○東委員長 次に、内閣提出、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案及び企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。甘利経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案

 企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

 

○甘利国務大臣 まず、中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 近年、企業規模や業種、地域により景況に格差が見られる中、我が国が、地方を中心として元気を取り戻し、活力ある経済社会を構築するためには、地域経済の中核をなす中小企業者や農林漁業者の活性化を図ることが重要であります。

 このためには、中小企業者や農林漁業者が一次、二次、三次の産業の壁を越えて有機的に連携し、互いの有するノウハウ、技術等を活用することで、両者の有する強みを発揮した新商品の開発や販路開拓等を促進することが重要であります。この点を踏まえ、政府としても、農林水産省と経済産業省が一体となって、中小企業者と農林漁業者のつながりを応援し、それぞれの強みを十二分に発揮した事業活動を促進するための措置を講ずる必要があることから、本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、中小企業の経営の向上及び農林漁業経営の改善を図るため、中小企業者と農林漁業者が有機的に連携して実施する事業活動の促進及びその基本的な方向に関する事項等を示した方針を農林水産大臣、経済産業大臣等が策定いたします。

 第二に、この方針に基づいて、中小企業者と農林漁業者が共同で作成した新商品の開発や販路開拓等の事業計画に対し、農林水産大臣、経済産業大臣等が認定を行い、中小企業信用保険法の特例、小規模企業者への事業資金の無利子貸し付けに係る特例、食品流通構造改善促進法の特例、農業改良資金助成法の特例等の支援措置を講じます。

 第三に、中小企業者と農林漁業者との連携の機会の提供など、両者のつながりの形成を側面的に支援するNPO法人等の事業活動について、中小企業信用保険法の特例によって資金調達を支援します。

 続きまして、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国の多くの地域においては、農林漁業は主力産業として位置づけられており、農林漁業を中心に据えた地域経済の活性化に向けた取り組みが行われております。

 こうした取り組みをさらに強化、加速することにより、多くの地域がその自律的な発展の基盤を形成することができるよう、農林漁業を中核とした産業集積の形成及び活性化を促進する必要があることから、本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 本法律案は、農林漁業との関連性が高い産業の集積の形成及び活性化を促進するために、これらの産業が行う企業立地や事業高度化の取り組みに対して、食品流通構造改善促進法の特例の創設、設備投資に関する課税の特例の拡充等の支援措置を追加するものであります。

 以上が、両法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

 

○東委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会