第157号 西川口駅西口再生事業 -国の支援が決定しました-



西川口駅西口前の商店街:違法風俗店の退去した後の空き店舗には
子供たちの手で花の絵が描かれました。


 今号は、JR西川口駅西口で、本格的に動き出した新しいまちづくりをご紹介したいと思います。


◆ 地域・商店街の現状

 西川口駅周辺は、首都圏有数の風俗街となっています。そのうち、違法の性風俗店は200軒を超え、更には殺人や暴行など悪質な刑法犯罪も多発しておりま
した。事態を重く見た埼玉県警は違法性風俗店に対する一斉摘発など強力な取り締まりを行った結果、違法な店舗は昨年はゼロとなり、これに伴い刑法犯も激減
している状態です。
 その一方で、未だにかつての街のイメージは簡単に拭い去ることが出来ず、駅周辺でありながら、商業テナントの入居も進まず、空き店舗が連続し人通りも少
なく街の活気は失われております。
 川口商工会議所では昨年7月から本年の2月まで「西川口駅西口再生部会」を設置し、中高生などにより空き店舗のシャッターに花の絵を描いたり、来街者ア
ンケートやシンポジウムを開くなど、街の再生に向けた調査研究が進められてきました。
 昨年10月の現地調査によると、空き店舗は87棟、空きフロアが163件もあり、小規模な物件が多いという結果が出ています。



◆ 県・市の動き

 これまで市議会では立石・篠田両市議ら地元の議員が地域の意向を取り上げ、岡村市長も積極的に取り組んで参りました。県議会では奥ノ木
・田中両県議を始め川口選出議員が、県警などに働きかけを行って参りました。
 平成17年には県議会で迷惑行為防止条例が成立、続いて川口市防犯のまちづくり条例が制定され規制の強化が図られました。昨年6月の奥ノ木県議の質問、
去る7月10日の上田知事の現地視察により県の支援も方向付けがなされました。
 地域においては、地元商店街や町会を始め、警察や市役所、市議会や民間団体による防犯パトロールなどの地道な活動が続けられてきました。そして、第
150号の週刊新藤「ゴミ拾いで街を変える」で紹介した学生や市民ボランティアグループによるゴミ拾い運動のような取り組みが重なってきたのです。




学生や市民ボランティアによって、ゴミ拾い運動が地道に続けられています。
(毎月第1日曜朝9時、西川口駅西口交番前集合です。)

◆ 事業採択枠は10倍!

 さらに国にも支援を要請しました。5月には内閣府が窓口の「地方の元気再生事業」に川口商工会議所が、「西川口・安全で明るい街への再生~性風俗の街か
らの脱却~」という事業名で応募しました。しかし、ここからが大変でした。皆様もご存じのように国の事業には予算があり、採択件数もその範囲に限られま
す。平成20年度の採択枠120件に対して全国から1186件の応募があり、予算額は24億円に対し、合計230億円分の要望が出されていたのです。
 実に10件応募して1件しか採択されない厳しい状況です。国会の私のところにも川口商工会議所、市役所から本事業への支援要請がありました。こういう時
こそ地元選出議員の出番と心得、私は最大限の運動をさせていただき、先般、事業採択が決定いたしました。
 私が行った活動は、要は政府内に事業内容をより理解してもらうための丁寧な説明を行ったことです。要所要所によく話をし、西川口の事業の必要性や独自
性、地域の熱い思いを伝えました。
 選定方法は、全国8つのブロック毎に民間有識者などによる連絡会議を設け、まず約1200件を170件に絞り込み、更に政府内の地域活性化戦略チームが
専門的見地から評価を行い、最終的に120件を選定するという厳しいものでした。
 国への事業申請は、区画整理や道路・学校など公共事業と同様に、要望を出したから簡単に予算が付くというものではありません。関係者の取り組みの熱意と
事業内容が国に評価されたことが、今度の採択に結びついた訳です。


◆ 実現させようB級グルメの街

 今回の事業計画では、西川口の西口をB級グルメタウンにしようということが提案されています。その内容は、2年間の期間限定で「まちづくりステーショ
ン」を常設し、テナント側の出店意向とオーナー側との橋渡しを行い、まずは空きビルのうち、街の顔となる1階の路面店の募集に取り組みます。
 また、50万都市の川口には、外国人が約2万人住んでいます。アジア、中東、中南米など人種・国籍も多様であり、その活力を生かした国際色豊かな飲食店
の立地も考えます。「味はA級、値段はB級」をモットーにアジア、エスニックなどのメニューやこだわり(県産、地場産品、自然食など)を持った飲食店の展
開を行うというものです。
 B級グルメタウンをアピールする為に、既存店や新規参入希望者による西川口B級グルメ王選手権といった大会や、そこで選出された西川口代表チャレン
ジャーを埼玉県のB級グルメ王決定戦に進出させ、その大会を西川口に誘致しようといった楽しい企画も検討されています。
 この事業主体には、大学やNPO、ボランティア団体、そして民間企画会社など多様な人々が参加しています。防犯やまちの浄化と併せて商店街の活性化を図
る試みは全国的にも珍しく、是非、この事業が成功するようにみんなで応援、強力していきたいと思います。街づくりはみんなの手で、そして国・県・市の連携
を密にすることで実現させたいと願っています。


新 藤 義 孝