第152号 道路財源問題の本当のこと  増やしてはいけない国債発行



原則、毎週日曜日午後4時30分頃から川口駅東口デッキで
街頭演説を行っております。


 去る4月30日、衆議院本会議が開かれ、道路特定財源の税率を復活させる法案について、憲法第59条第4項に基づく、いわゆる参議院でのみなし否決規定
を適用して56年振り、2度目の再議決が行われました。誠に残念で情けないのは、ここに至るまでの民主党の行動です。そもそも2月28日に法案が衆議院か
ら参議院に送付されて以降、3月中は1日も法案を審議する委員会を開会させませんでした。その後も参議院の審議は進まず、まともな委員会審議もできないま
まに参議院送付から60日が過ぎたのです。そして衆議院での再議決のための本会議の開会を阻止するために、河野洋平衆議院議長を議長室に閉じこめて力ずく
で手続きを妨害しました。
 その上で本会議は欠席、自分たちが反対する理由すら表明しませんでした。法案そのものには反対の共産党でも本会議に出席し討論を行い反対票を投じまし
た。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、民主党はマスコミや国民に向けて意見や態度を表明していますが、正式な議論の場である国会の委員会審議は3月
中はゼロ回、4月はのらりくらり、そして、本会議は欠席と、正式な議論を行っていないのです。新聞やテレビを見ているのと、国会の現場にいる私が目の前で
見ていることに、あまりの差がありすぎ、本質的な議論が行われていないことをとても残念に思います。
 ものごとの判断は十人十色です。違う考えがあって当然です。しかし、自分たちの考えが受け入れられなければ、審議を拒否、採決にも参加しないというの
は、どう考えても民主主義のルールに合致しません。いわゆる”自己中”であり、逆の意味で独裁的手法に走ってしまっているのでは、と私は心配しています。


◆ なぜ、再議決するのか

 では、私たち政府与党は、なぜ憲法の定めとはいえ、イレギュラーな形をとっても道路特定財源に係る法案を再議決するのでしょうか。
①道路・まちづくり関係の事業を計画通り進めるためです。既に20年度の予算は必要性を審議された上で成立しており、暫定税率が失効したままでは、国・地
方あわせて2兆6000億円もの歳入欠陥が生じてしまいます。埼玉県で約700億円、川口市でも19億円の穴が空いてしまうのです。これを埋める財源は今
年の予算にはどこにもありません。
②暫定税率を失効したままとすると、この歳入の穴は国債を追加発行して埋めるしか方法はありません。もちろんマッサージチェアやアロマの芳香器、職員のレ
クリエーション費などムダと思われるものは全て止めさせます。しかし、2兆円を超えるムダにはならないこともわかってもらわなくてはなりません。
 暫定税率の失効は国の借金が増えることになるのです。




◆ 国の借金が増えるとどうなる

 今、私達の国で絶対にやってはいけないこと、それは財政赤字を増やすことです。そんなことはわかりきっていると思われるでしょうが、事態は極めて深刻で
す。
 平成20年の国家予算の構成をご覧下さい。歳出は83兆円です。公共事業を半分に減らしODAを30
%減らし、年金や医療、教育の伸びを可能な限り抑え、国民の皆様に叱られる程、予算を絞っているつもりですが、それでも83兆円かかります。一方でその財
源となる税収は53兆円です。不足した分を国債発行で埋めている訳ですが、今年度は25兆円、累積で830兆円を超えており、先進国最悪の債務残高になっ
てしまっています。


◆ 予算の自由度がなくなってしまう

 もう一度歳出のグラフを見てください。83兆円の内、実際に皆さんの生活に使われる一般政策経費は47兆円しかありません。残りの内、最大なのは国債費
20兆円です。これは、政府が国民から借りたお金の返済金ですが、国債発行が巨額なものとなっているため、年間の税収が50兆円前後なのに、その内、20
兆円は国債の払い戻しと利払いのために出ていってしまうのです。国債発行を抑えなければ、財政の自由度が下がり、医療や年金、教育など生活に直結する予算
を増やすどころか削らなければ、予算が組めないことにもなりかねません。


◆ 道路財源の一般化を実現

 
一方で、予算が苦しいのに道路だけが特定財源で守られていて、しかも10年先まで予算を確保しようということは国民の理解を得られないと思います。福田総
理が打ち出した道路財源の一般財源化と道路中期計画の見直しは、必ず実行すべきです。
 税金は安く、予算は増やすといった方が人に喜ばれますが、結果として国の借金が増えたのでは意味がありません。今、日本の国は重大な岐路に立っていま
す。あらゆる分野のムダを無くし、効率を高めるとともに、経済を成長させ、お年寄りや子ども達のための予算を十分に確保しつつ、豊かな暮らしを創り出す工
夫が必要です。私はそのために必要な本当のことをこれからも皆様にお知らせし、一緒に考えていきたいと思います。


新 藤 義 孝