第150号 ゴミ拾いでまちを変える! ~ある若者の運動~



1人で始めた運動が多くの人の共感を呼んでいます。私の左隣が大熊君。
毎月第1日曜日午前9時 西川口駅。あなたも参加してみませんか。


 4月6日の日曜日午前9時、私は西川口駅の西口に向かいました。ある1人の大学生が始めたゴミ拾い運動に参加するためです。集合場所に行ってみると約
40人位の人達が集まっています。子供から大人まで、親子連れの方もいれば、グループ、単独参加の方、色々な人が思い思いの格好でおりました。やがて、ゴ
ミを入れるポリ袋、軍手、ホウキとちり取りセットが配られ、主催者の学生から今回の予定について説明が始まりました。


◆ ゴミ拾いのキッカケ

 学生の名前は、大熊隆司君(21)といい、東京工科大学3年に在学中で、川口市末広に住む川口生まれの川口っ子です。大熊君から活動内容について話を聞
かせてもらいました。大熊君が始めた運動はゴミ拾いでまちを変えようという運動です。
きっかけは2年前の2006年3月、母校である市立川口高校を卒業する時に、何か世の中のために自分ができることはないかと考え、思い立ったそうです。そ
の時は卒業する同級生311人にメールなどを使って呼びかけ、高校生88人が参加を表明し、卒業式翌日の朝、川口駅周辺のゴミ拾いを行ったのです。
 大熊君は、
○人目をはばからずゴミを拾ったり人を助けたりすることを当たり前に感じる人が増えれば。
○良いことなのに社会の中で実行するには勇気がいる。自分たちが進んで動くことで若者を見る大人の目を変えてみたい。
と思ったといいます。
 その後も1人で活動を続けていましたが、やがて「ゴミ拾いという小さなことだが、小さなことから許さずに街を変えたい」と思うようになります。風俗の街
として有名な西川口駅周辺のイメージを「危ない、きたない」から「安全、地域活動」に変え、商店街の活性化につながれば、と昨年11月から月1回第1日曜
日の朝にゴミ拾い運動を行うようになったとのことです。
 この日はとても暖かくて良い天気で、私も一緒にゴミ拾いをさせていただきました。夜になるとカラフルなネオンがともる繁華街も、休日の朝はシャッターが
降り、静かなものです。空き缶や紙くずも落ちていますが、なんと言ってもタバコの吸い殻がたくさん落ちていて、私も意地になって拾いまくりました。西口と
東口で計1時間強のゴミ拾いでしたが、動いているうちにすっかり汗をかいてしまいました。中腰のままゴミを拾うので、腰は痛くなりましたが、とても善いこ
とをしたような爽快な気持ちになりました。




◆ 参加者はクチコミ

 また元の集合場所に戻ると、ゴミ袋を世話役さんがまとめてくれ、軍手とホウキを返した後で、参加者の自己紹介がありました。
 まずは、かわいい子供隊員もいるガーディアンエンジェルス川口支部の皆さんです。次に川口トラック協会青年部の人達が奥さんや子ども達を連れて大勢参加
していました。そして大熊君の市立川口高校時代の同級生が1人、更に、若者自立支援センター、メディア・オブ・アートプロジェクト、川口の未来の会といっ
た川口を母体とした様々な団体のメンバーの皆さん、川口青年会議所(JC)メンバーに加えて、極めつけは埼玉県警の繁華街対策チームの現職の警部まで参加
しておりました。キレイな街をつくり犯罪者を寄せ付けない街をつくるために参加しているとのことでした。
 大熊君の話では、参加者はみんなクチコミか人づてで特別なPRは行っていないとのこと。世の中の人のつながりを実感していると語ってくれました。大熊君
は特に肩ひじを張るわけでもなく、気負わず自然にこの素晴らしい活動を続けています。ゴミ拾いをしてくれと同級生に言うのは恥ずかしいので1人でやってい
ると笑っていました。


◆ 父の背中

 最後に私が一番嬉しかったことを皆様に報告します。実はこの大熊君の父親を私は知っています。その人は長い間、子供会やPTA活動を続けている人で、人
のために汗をかくことを実践している人です。ある時の会合で、川口にすごい学生がいるらしいという話をしたら「それは俺の息子だ」と言われビックリすると
ともに、直ぐに納得しました。
 私はその人に言いました「すごいね。あなたの背中を見て育った息子だからこんなことをやるんだね」。するとその父親は本当に嬉しそうに誇らしげに言いま
した「俺は何も言ってないよ」。でもその目には涙が一杯で、私は気が付かない振りをしました。
 みなさんもこの運動に参加してみませんか。申込みはいりません。当日、自由参加です。清掃道具は貸してくれるので、動きやすい服装で気軽に寄ってみてく
ださい。
 
次回は5月4日(日)午前9時に西川口駅の西口前に集合です。
(雨天中止)


新 藤 義 孝