第137号 自民党総裁選挙の結果と 福田新内閣の船出にあたり



◆ バランスの取れた結果

 9月23日、自民党本部において総裁選挙が行われ、第22代目となる福田康夫新総裁が選出されました。総裁選は、国会議員票387票(衆院304人、参
院83人)と地方票141票の計528票で争われました。8派閥が支持を表明した福田候補は、議員票で254票を得、地方票でも76票を取り、合計で
330票と過半数を確保しました。一方の麻生候補は、議員票は福田候補を支持した派閥からも票が流れた形で132票、また地方票では都市部を中心に65票
を集め、合計197票と予想以上に善戦しました。党員投票を行った35都道府県での得票総数は、麻生候補が約3,000票上回る結果となりました。
 埼玉県の予備選挙においては、福田候補10,498票、麻生候補10,055票となり、トップとなった候補者に持ち票である3票が投じられましたが、その差はわずか400票余りでした。
 総裁選挙の結果は、よい意味でバランスのとれたものだったと思います。いわゆる派閥談合のような結果が出てしまえば、党内はおさまっても、国民、有権者
の支持は得られず、自民党政権は死に体になってしまいます。その危機感は、国会議員をはじめ党員、党友の皆さんがはっきりと共有し、その意識のもとで行動
した結果が今度の総裁選であったと思います。
 麻生候補の演説は政策的に高いレベルとなっており、聴衆の受けもよく人気の高さを物語っていました。一方で、福田候補の演説によって、多くの人が安定感を感じ、民主党との厳しい国会運営をのりきっていくための底力を感じさせました。
 福田総裁の誕生は、小泉内閣、安倍内閣と続いた改革に対し、もう少しスピードを緩めて痛みをやわらげる時間を作ったほうがよいという世の中のニーズを感じ取った結果だったのではという気がします。


◆ 自らの意思による投票

 そして私自身は皆様にお約束したとおり、派閥の意向ではなく自らの意思による投票を行いました。
 党本部での立会演説会や、渋谷ハチ公前での街頭演説会での街の聴衆の反応もじっくり拝見いたしました。休日には地元に戻り、駅前の街頭演説や各種会合で
皆様からの貴重なご意見をちょうだいし参考にさせていただきました。どちらの候補者がよいかはまさに半分半分の反応であり、私も最後まで悩みながら真剣に
考え続け、今、この国にとって必要かつふさわしいリーダーはこの方だという候補者に、自らの信念を持って一票を投じさせていただきました。
 
特に感慨深かったのは9月21日、自民党青年局主催の候補者別公開討論会の開催です。小泉総裁が選出された平成13年以来毎回行われており、今では当然の
ごとく開催されておりますが、私たち当時当選1・2回の有志議員が派閥の圧力を受けながら、自分自身の一票を入れるために候補者との懇談会を開催したのが
始まりです。いまや党内に定着し、青年局主催行事として続けられているのです。


◆ 福田内閣の船出

そして9月25日には、衆・参両院で首相指名選挙が行われ、憲法の規定により衆議院での結果を優先し、第91代となる福田康夫首相が誕生しました。我々自
民党は新首相のもとで一致結束し、何よりも安倍前首相の突然の辞意表明による政治空白を埋め、一刻も早く国政を安定させなければなりません。
 福田内閣を取り巻く情勢は極めて厳しく、総理自らが「背水の陣内閣」と銘打たれました。直面する課題の解決には、逆転参議院の高い壁を越えなければなりません。野党は今を政権交代の最大のチャンスと捉え、判断基準はすべて政局がらみとなるに違いありません。
 私はこういう時だからこそ、自民党は政策勝負に出なくてはならないと考えています。これから始まる国会審議で、与党の提出する法案に野党は全て反対し、
対決することになるでしょう。自民と民主は互いを受け入れることをせず、賛成(1)対反対(1)のままでは結論を出せず、多数決は成立しません。多数決の
最小単位は2対1、与党1票、野党1票、これにもう1票が加わらないと決着しないのです。
 民主主義の社会において、この最後の1票を持っているのは国民世論ではないでしょうか。国民生活にとってより良い政策や目指す道筋を提案した政党が、世論の1票を得て多数決を制することができる。
今こそ民主主義の原点に立った政治を行う時であり、政党と所属する議員の真価が問われています。
 背水の陣を引き崖っぷちの自民党福田内閣。私もその一員として、皆様の暮しの声に耳をすまし、何をなすべきか自分の役割をどう果たしていくかを必死に考え行動して参ります。


◆ 経済産業副大臣に再任

 この度の福田内閣において、引き続き経済産業副大臣を拝命いたしました。9月26日に任命を受け、宮中にて再び天皇陛下より官記を賜りました。ご支援いただいた皆様に改めて深く感謝申し上げます。
 副大臣として、経済産業諸施策の推進に努め、地域の中小企業を元気に、国の産業を発展させ、国際的経済圏の確立を図り、国家の生産活動の根幹となる資源エネルギーの確保に向けて、与えられた役に全力を傾注して参ります。

新 藤 義 孝