第136号 安倍総理の辞任表明を受けて 自民党総裁選挙への想い



◆ 総理の突然の辞意表明

 
安倍総理が12日午後に辞任を表明しました。そのニュースを聞いたとき、私はあまりの突然の出来事に言葉を失いました。一寸先は闇という政治の現状をまさ
に見せつけられた思いです。今回の辞任に関する世論の反応は厳しいものがあります。総理はオーストラリアでインド洋上での海上自衛隊給油活動の継続につい
て「職を賭して取り組んでいく」と発言し、10日招集した臨時国会で所信表明演説をしました。そのわずか2日後に、代表質問が行われる衆議院本会議を前に
しての突然の辞意表明は、一国の最高責任者として一切言い訳のできない前代未聞の不祥事だと思います。テロ対策特別措置法の延長に「最大限の努力をする」
と発言した直後の辞任は、国内外に言葉の軽さ、威信の低下を感じさせてしまいました。
 国会審議が始まる当日に、総理は気力・体力ともに尽き果ててしまったのでしょう。今思えば、8月29日に皇居で副大臣の認証式が行われた際に、約2時間
ほど同じ控え室でご一緒いたしましたが、その間も元気がなく、かなり疲れている様子でした。普段は冗談を早口で喋る方が静かなので、やはり皇居内では控え
ているのかと思っておりましたが、すでに心と体の余裕を失ってしまった状態だったのです。
 しかし、どんな理由にせよ今度の辞任は国政を停滞させ国民に対し大きな迷惑をかけることになりました。自民党に所属する国会議員として皆様に深くお詫び申し上げます。
 そして、その上で私がとるべき行動は一つしかありません。一刻も早く新たに自民党の総裁を選任し、衆議院本会議場において首班指名選挙を行い、新内閣を
つくることです。現在の政治空白を埋め、国の向かうべき進路と暮らしの安心・安全のための施策を示さなければ、国がおかしくなってしまいます。
 自民党では9月13日、両院議員総会並びに総務会を開き、総裁選挙の日程・方式について話し合いが行われ、総裁選挙は14日告示、15日立候補届出、23日投・開票と決まりました。


◆ 総裁選への熱い想い

 13日に開かれた自民党津島派の総会で、私はこう発言しました。
「この度の政局は自民党結党以来の危機だ。今度の総裁選挙は、今この国にどんな政策が必要なのか、志を持った人たちがたくさん立候補して、国民の皆様の前
で政策や理念を示さなければならない。リーダーになるべき人が気力を持って『こういう日本をつくろう』というメッセージをわかりやすく強力に発信し、国会
議員や国を引っ張っていかなくてはならない。そういう気概を持って立候補の名乗りを上げる人に、我々は力を貸し支えるべきだ。権力を握るために派閥で誰か
を決め皆がそれに従うような形で選挙をやれば、自民党は国民から本当に見放される」ということを訴えました。
 私たち自民党は自ら招いた混乱を収拾して、責任政党として日本の未来を拓く清新で強力なリーダーを新たに選ばなければなりません。
 総裁選は誰を選ぶのかに加え、どのように選ぶのかが、とても重要です。私は国会議員になって以来一貫して、自民党を内部から変革すべく微力ですが大きな
志を持って行動して参りました。それは派閥によらない自由な総裁選挙の実現です。派閥間の権力闘争を排し、政策中心の開かれたものにすることにより、党内
の世代交代を促し、ポスト配分も年功序列から適材適所型に変えていくことができます。自民党旧来の悪習である派閥中心の総裁選挙の打破こそが私たち自民党
若手議員の役割だと心に決めて参りました。
 小泉総裁が誕生した平成13年総裁選挙では、若手3人の仲間とともに自民党初となる有志による候補者別懇談会を主催し、橋本派反乱軍などと呼ばれまし
た。そして派閥横断の中堅若手議員によるこうした活動が、総裁選の活性化と自民党の世代交代を促進し、新しい日本のリーダーを生み出すことこそが、この国
に新しい希望と活力をもたらすと信じて活動してきたのです。
 私は今回の総裁選が自民党立て直しの最後のチャンスと捉え、多くの国を想う仲間とともに精一杯活動しようと心に決めています。


◆ 経済産業副大臣を拝命しました

 皆様方には永年にわたりご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。
 私はこの度の内閣改造において経済産業副大臣を拝命し、内閣の一員として国政の重責を担わせていただくことになりました。
8月29日には、皇居正殿松の間において天皇陛下より官記(任命証)を受領して参りました。
 先の参議院選挙の大敗を受け、政府与党を取り巻く状況は極めて厳しいものがありますが、しかし、この不安定な政治状況下においても、重要な政策課題は山積しています。
国民の声とご批判を真摯に受け止め、政治に対する信頼を取り戻し、この国の経済の成長と産業の発展のために、緊張感を持って取り組む覚悟です。
 安倍総理の突然の辞意表明を受け、私の副大臣としての職務は内閣総辞職までの間の短い期間となりますが、与えられた在任期間を一生懸命務めたいと思います。
 皆様にはこれまで賜りましたご厚情に感謝申し上げますとともに、今後とも一層のご指導とご協力をお願い申し上げます。

新 藤 義 孝