第134号 参議院選挙を振り返って ~これからの政界展望~



◆ 参議院選挙の結果を受けて

 安倍政権発足後、初の大型選挙となる第21回参議院選挙が17日間にわたる戦いを終え、7月29日、国民の皆様の審判が下されました。
 結果は誠に残念ですが、私たち与党にとって非常に厳しい事態となりました。自民党は改選64議席から37へと議席数を大きく減らし、公明党も3議席を減
らし9議席にとどまり、与党は非改選を含め参議院で105議席と過半数を大きく割ることとなりました。勝敗の鍵を握る29ある1人区で自民党が6勝23敗
と負け越したのも大きな痛手です。年金記録漏れ問題や閣僚の不祥事が逆風となり、民主党が一気に支持を伸ばすことになりました。
 
埼玉県選挙区におきましては、川口市で古川としはるさんの得票が全候補者中トップとなりました。選挙期間中には、安倍晋三総理大臣や塩崎恭久官房長官、額
賀福志郎元防衛庁長官等の応援をいただき、私も同志である川口・鳩ヶ谷選出の県議・市議、そして党員・後援会員の皆様と共に一生懸命活動させていただきました。ご支援いただいた有権者の方々に心よりお礼申し上げます。
 一方、定数3の埼玉選挙区において、公明党現職の高野博師さんが惜敗し与野党数が逆転してしまったのは誠に残念です。
 比例区選挙では、2002年に私が外務大臣政務官を努めていたとき外務大臣だった川口順子さんを始め、私やこの街に縁のある橋本聖子さん、有村治子さ
ん、中山恭子さんらが相次いで我が街を訪れ、それぞれが立派に当選されました。皆様のご支援に重ねて感謝申し上げます。


◆ 国民の皆様の民意をどう受け止めるか

 それにしてもこの度の選挙結果は私たち自民党にとってまさに冷や水を浴びせられたような惨憺たる大敗北となりました。年金不信や政治とカネの問題、更に景気回復が遅れている地方の格差問題や、農業の将来不安などの問題が総合的に作用した結果だと思います。
 選挙後の7月31日、自民党本部において党の最高意思決定機関である総務会があり、現在メンバーの一員である私も出席して会合が開かれました。衆参31
人で構成される総務会の大半は、閣僚経験者や党の重鎮の方々です。中川秀直幹事長や青木幹雄参院会長から辞任の申し出とともに、選挙の総括報告がなされま
したが、出席者からは極めて厳しい意見が続出しました。
主な声は、
○一人区、中小企業、農業、地方の声が敗因だ。
○参院側よりは政府の運営に問題があった。安倍総理は続投の上挙党一致と言っているが、その前に敗因分析が重要だ。地域社会が壊れている=自民党基盤の底割れだ。
○自ら政権選択選挙と言ったのだから総理は責任をとるべきだ。
○赤城農相は辞めるべきだ。
○政治資金問題をまず明確にすべきだ。
 等々、一時間以上に及ぶ会議となったのです。
 翌8月1日には赤城農相は辞任、政治資金法も1円以上の領収書の添付の義務づけなど再改正の流れができました。自民党はまず現状を把握し、一刻も早く体制の建て直しを図らなければなりません。


◆ 「衆参ねじれ」現象下において

 こうした中で私が憂慮するのは、衆参ねじれ現象下における政治の不安定化です。この不安定な政治状況下においても、重要な政治政策課題は山積しています。とりわけ国益や国民生活の安定に関わる政策は粛々と進めていかなければなりません。
 しかしながら、小沢党首率いる民主党は、政権交代を最大の目的に置いており、政府の提出する重要法案には反対する意向を示しています。
 例えば、自衛隊がインド洋で給油活動を行うテロ特措法は11月1日に法の期限が切れますが、小沢党首は延長に反対することを明言しています。国の根幹を
なす重要法案が衆院で可決されたものを参院で否決し、また衆院で2/3以上の多数で再可決するような事態をたびたび招くならば、わが国は国際社会からの信
頼を失うとともに、経済市場は混乱し、やっと回復基調が本格化しようとする景気が再び腰折れする可能性が出てきてしまいます。
 政治の目的が政権獲得という権力ゲームとなり、与野党が立場だけで反目しあえば、国の将来に大きな暗雲が立ち込めることになります。衆参ねじれ現象下の
国会は、各党の政策競争の場としなければなりません。私も自民党の一員として、今一度この国に必要な改革と、生活に求められているものは何かを考え直して
みたいと思っています。そして小泉構造改革の光と影、市場原理主義と小さな政府体制によるひずみ、都市と地方の格差問題や社会保障体制の見直しが必要と考
えております。
 衆議院と参議院で与党と野党が議論しながらどちらが国民の信頼を得る法案を出せるか、という風に競い合っていけば、日本の政治はより成熟し活性化するのではないでしょうか。
 当面の政局の課題は、9月に予想される臨時国会までに自民党が国民に期待される体制構築と政策の方向性を打ち出せるかにかかっております。
 まずは政治とカネの問題に思い切って取り組み、内閣改造と党役員人事によって国民の信頼を得られる体制をつくれるかが改革続行の試金石となります。今回
の選挙結果は自民党にとって大打撃となりましたが、ピンチこそチャンスでもあります。私も街の声に耳を傾けながら、必死に活動して参ります。

新 藤 義 孝