第132号 年金不信の解消に向けて    ~皆様にお詫びします~



 
まず始めに皆様に深くお詫び申し上げます。この度の年金不信問題の責任は社会保険庁と政府にあり、更に立法府である我々全ての国会議員にその責任がありま
す。私たちの老後の安心をつくる大切な年金制度の信頼確立については、決して政局や政争の道具とせずに、与・野党が建設的な議論・審議を行うべきです。一
刻も早く皆様の不安や不信を取り払うべく、具体的な作業を実行していかなければならないと思います。
 年金問題対策については、自民党のホームページ(http://www.jimin.jp)で資料が公開されておりますが、この週刊新藤でも私たち政府・与党が進めようとしている対策のポイントをご説明させていただきます。


① 未確認記録の名寄せを急ぎます
 平成9年より年金記録は1人1口とすることに法改正がなされ、就職や転職、結婚による改姓などにより、複数保有していた年金記録の統合が行われました。
1億人の人口の国で3億口の年金記録があったため、1人に1つの基礎年金番号を付する作業を行ってきましたが、約5,000万口の未確認年金記録が残って
しまっており、この度更に1,430万口の未電子化記録が明らかになりました。

○皆様の年金不安を払拭するためにも、来年5月までに電子記録の名寄せを完了させ、その上で記録もれの可能性のある方には速やかに通知します。また、未電子化記録の方でも、記録の不備が確定すれば、改めて本人や遺族が不足分の年金を受け取れるようにします。


② 年金の”未払い”が判明した場合は、時効により5年分しか受け取れなかったものを全額受給できるようにします
○領収書等の証拠がなくても、銀行通帳の出金記録、元雇用主の証言などを根拠として第三者委員会で判断してもらうなど、積極的に支給できる仕組みをつくります。


③ 年金記録相談体制を強化します
 国民の立場に立って、利用しやすい相談体制を敷くとともに、相談に対しては、丁寧に説明し、迅速に処理するよう、窓口に徹底させます。
○電話相談:土・日を含め24時間電話相談を実施します。
・0570-05-1165 (イイロウゴ)
・0120-65-7830 (ロウゴナヤミゼロ)
を導入し相談窓口を拡充し誠心誠意対応します。
○来訪相談:平日は毎日午後7時まで受け付けます。(これまでは午後5時15分まで)
○出張相談:市町村での出張相談に加え、大都市の繁華街での臨時窓口でも実施。可及的速やかに開始し、順次拡大します。
○インターネット照会:体制を強化し、処理時間を改善します。


④ 年金記録の統合に要する費用
 この問題による追加的経費については年金保険料を使わずに厚労省の予備費など国庫財源で対応します。


 以上に対応するために全5条からなる「厚生年金保険と国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律案」(年金特例法案)を私たちは国会に提出したので
す。野党はたった1日の審議で採決することは数の横暴だ、もっと慎重審議すべきだといって衆議院本会議での採決に際し、厚生労働大臣等の不信任決議案等を
提出しました。
 この時私にはとても不自然に思える出来事がありました。午後8時20分頃から再開された衆議院本会議で、民主党の行った柳沢厚労大臣の不信任決議案の趣
旨説明演説は、何と1時間47分行われました。通常10分程で終わるものが異例の長さとなったのですが、本会議が再開される前に私たちに伝わってきた情報
では、夜の10時のニュース番組が始まるまで演説を行い、国民にアピールするため長い演説を準備しているという話でした。
 国会法は審議や討論の時間制限を行っていますが、閣僚不信任決議案などの趣旨説明演説については慣例で時間制限を設けていないという制度の盲点を突いた戦略です。
 本来10時15分で終了する予定の本会議は、かくして深夜1時30分まで及んだのです。発言者は強い想いがあってのことだと思いますが、政策の中身ではなく国民やマスコミ向けのパフォーマンスが画策されているとしたら全く悲しいことです。
 繰り返しますが、私たち国会議員は与党も野党もなく、年金不信の解消策を一刻も早く実行しなくてはならないのです。


◆ 皆様の未来の安心を保証する為に
 この事態を招いた最大の原因は2つあると私は考えています。1つは「年金法の申請主義」の問題です。記録の訂正や受給申請は本人が申請しなければ行われ
ない仕組みになっており、このことは「週刊新藤」第53号(気がつかないないと損する「請求もれ年金」2005.4.18)で私も指摘しております。今
回、与党の提出した年金特例法でようやっと政府の責務を明記し、この問題は解消されることになります。
 もう1つは社会保険庁と社保庁労働組合(自治労国費評議会)との歪んだ関係ではないでしょうか。社保庁は2005年まで労働組合との間で「確認事項」や「覚書」という102件もの文書を取り交わしています。
・コンピューター導入による定員削減は行わない
・1時間につき15分の休憩時間を設ける
・1日1人あたりのパソコン操作は180分以内、等々です。
 そして年金財源で職員用の住居建設や公用車の購入、巨額の赤字施設となったグリーンピア建設など、年金保険料の無駄遣いやずさんな運営実態は皆様もご承知のことと存じます。
 この親方日の丸的体質を断ち切るために私たちが提出したのが社会保険庁改革法案です。社保庁を廃止の上、6分割し非公務員型の年金機構などを設立し、職
員は民間人としてやる気のある人だけを採用します。また年金の徴収などはできるだけ民間企業に委嘱しコスト削減を図ります。そして年金保険料は他に流用し
ないこととし、年金支給以外は相談や教育費に限定することにします。
 私たち与党が今回、年金特例法案と社保庁改革法案を提出し、早期に成立を図った理由がご理解いただけるでしょうか。私たちの暮らしの根幹となる年金制度
の改革は、少子高齢化社会を迎えるわが国の最大の懸案です。様々な意見を広く聞き、慎重に議論を行うことはもちろんですが、行うべき改革は必ず実行すると
いう強い意志を持ってこの問題に取組んで参ります。

新 藤 義 孝