第124号 平成19年年頭にあたり 「自らの役を果たす」



 皆様には健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。本年が皆様にとりまして輝かしい一年となりますようご祈念申し上げます。
 皆様のご支援のおかげ様で、昨年は自民党国防部会長という大任を果たさせていただき、また現在は、経済産業委員会理事、党総務・建設団体委員長などの役
職を賜り、精一杯働かせていただいております。私が国政の場で活動させていただいているのも、全て皆様のご理解とご支援の賜です。地域の皆様のお声を国政
へ届けられるようこれからも懸命に走り続けて参りますので、どうぞ本年もよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。

 
昨年は初の戦後生まれとなる安倍総理が誕生し、新しい国づくりが着々と進められております。憲法や教育、安全保障など国の根幹に関わる様々な改革が加速し
て参ります。私もチーム安倍の一員として、総理の提唱する「美しい国」を実現させるとともに、皆様の想いを国の政策に反映させつつ、次代を斬り拓く覚悟を
もって取り組んで参ります。
 構造改革と国民の自助努力により改革の成果が現われ始め、未来への明るい展望が開けてきました。改革の炎を燃やし続けながら、経済成長を維持しつつ、国や地方の無駄を省き、歳出歳入改革に取り組むことで、簡素で効率的な政府の実現を目指して参ります。

 安倍総理の下、昨年の臨時国会では、改正教育基本法、防衛庁の省昇格、そして地方分権改革推進法など多くの重要法案が成立しました。ご理解とご支持を下さった国民の皆様に感謝いたします。
 国家とは、領土とそこに住む人間と人々の日々の営みでなりたっています。その営みの集積が、その国特有の文化、社会規範、伝統を創り出します。日本人は
勤勉で規律正しいと言われてきました。他人に迷惑をかけるような恥ずかしいことはしない、困った人はみんなで助けていくという恥と共生の文化などの伝統的
規範を大切にしてきた国民でした。

 戦後、日本の教育は、豊かな経済社会や安心な生活を実現する原動力となるなど、多くの成果をあげました。しかし、現在の社会の状況を見ると、これまでの
教育が時代に適応し切れていない面も多くあらわれています。教育の憲法ともいうべき教育基本法が59年ぶりに改正されました。戦後教育は、自律の精神や公
共の精神、自分が生まれ育った地域や伝統に対する愛情といった日本本来の価値観をともすれば置き去りにしてしまいました。まずはこうした価値観を、私たち
大人が子どもたちに伝え、教えていかなければなりません。戦後60年を経て、祖父母と同居する家族が減り、兄弟姉妹の数も減り、地域のふれあいも減る中
で、こうした家庭や地域の大きな変化・教育力の低下を踏まえた、腰を据えた社会ぐるみの教育改革が必要だと思います。

 地方の活力なくして国の活力はありません。私も地元の皆様とお話しすると、「景気がよくなっていると国は言うけれども、私たちにその実感はない」という
声をよく耳にします。私もそのとおりだと思います。この景気回復をいかに実感できるものにしていくかが大変重要だと思っております。
 我が国の99.7%は中小企業です。企業の数としては430万社。そこに雇用されている人たちは全体の7割を占めています。まさに中小企業の活性化こそ
が日本経済の発展のカギになるわけです。日本経済は中小企業で支えられています。皆様方一人一人の声を真摯に受け止め、景気回復を全ての方々が確実に実感
できるものとするべく努力してまいります。未来に夢や希望を持てる日本にしていくために、また、社会保障制度を持続可能なものにするために、基盤を強化を
していくためにも、経済の成長は不可欠であります。成長戦略を着実に進め、景気回復を家計にも広げていく年にしていかなければならないと考えています。

 今年は、現在の憲法が施行されてから60年です。自民党の草案は既にできており、新しい時代にふさわしい憲法をつくっていくという意思を、今こそ明確に
していかなければならないと思います。まずは日本国憲法の改正手続に関する国民投票法案について、与野党間で議論を深め、今年の通常国会での成立を目指し
て参ります。
 日本をめぐる安全保障の環境は大きく変化をいたしました。大量破壊兵器やミサイルの拡散、テロとの闘い、地域紛争の続発、こうした中において日本の平和
と独立と自由と民主主義を守り、そして日本人の命を守るために、我が国の安全保障体制を一層強化していく必要があります。また、国際社会での我が国の平和
貢献をさらに進めるための法的基盤を再構築する必要があると考えております。集団的自衛権の問題も含め、憲法との関係の整理について個別具体的な類型に即
して研究を進めてまいります。

 この春には、私たちの街の未来を決める統一地方選挙が実施されます。また夏には参議院選挙もあります。自民党は、広く皆様の声に耳をかたむける体制を整
えなければなりません。政治への参加意識を高め、みんなで地域のことや国のことを考える。そうした民主国家の理念こそが今の自民党の根底にあると感じてい
ます。机上の議論だけでなく、実際にどういうことが必要なのか、皆様が何に困っているのか、苦しんでいるのか、いろいろな人の話を聞いていくことが、本当
に求められている施策につながっていくものだと思います。
 私は街の隅々の声をよく聞き、何よりも自分自身を足元から常に見つめ、私に何ができるか、何をやらなければならないかを考え、皆様からいただいた自らの役を果たせるよう今年も全力で取り組んで参ります。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新 藤 義 孝