中心市街地の整備改善及び商業等の活性化に関する一部改正法律案(質疑)  衆議院本会議-14号 2006年3月16日

3月16日の衆議院本会議で、党を代表し質問に立ちました
 「中心市街地活性化法改正案」「都市計画法改正案」の2法案について、衰退に歯止めがかからない中心市街地に再び活気を取り戻すために、住んでいることに誇りを持てるような魅力と品格のある街づくり、地域のコミュニティ機能が向上するような街の再生をめざすべきというテーマで話をさせていただきました。

2006年3月16日 衆議院本会議 新藤義孝質疑

 中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案(内閣提出)及び都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑

○議長(河野洋平君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。順次これを許します。新藤義孝君。

    〔新藤義孝君登壇〕

○新藤義孝君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました中心市街地活性化法案及び都市計画法案につきまして質問させていただきます。(拍手)

 最近、国家の品格という言葉がよく聞かれます。私自身も、我が国は品格を失ってしまったのではないか、このように思うときが間々あります。特に、最近の国会の論戦を見ておりますと、にせメール問題等に象徴されるように、品格があるとは到底言いがたく、残念な状態が続いております。

 私たちは、代議士と呼ばれております。代議士というのは、国民のかわりに議論する侍だ、このように私は先輩から教わりました。我々は、この国民の代表として出処進退をよくわきまえて、そして、気概と自覚を持った品格ある論戦をしていこうではありませんか。

 さて、まちづくりに関する今国会の目玉として、この二法案が提出されております。

 かつて我が国では、全国総合開発計画のもとで、均衡ある国土の発展の旗印を掲げ、全国各地のまちづくりが進みました。しかし、金太郎あめとも言われる画一的な町並みができてしまったという反省もあります。こうした流れの中で、市街地から郊外へと大規模店舗を初めさまざまな機能が流出し、旧来の商店街はシャッター通りになり、中心市街地の衰退が進んだということでございます。

 このような社会的変化に対応するため、平成十年、中心市街地活性化法、改正都市計画法、そして大規模小売店舗立地法のいわゆるまちづくり三法が制定されました。しかしながら、八年が経過して、いまだ問題は解消されておりません。むしろ、大規模店舗に対する規制が緩められる一方で、都市計画制度はうまく活用されず、都市基盤整備が間に合わないまま、焼き畑的な乱開発が進んでしまう、無秩序なまちづくりになってしまっているのが現状ではないでしょうか。

 単純に大規模店舗を再び規制することは時代に逆行します。一方で、シャッター通りを放置することもできません。また、地域によりましては、大規模な工場跡地など、中心部が空洞化したことによって、新しいまちづくりのチャンスが生まれているところもあります。

 こうした状況のもとで、今回の法改正は、従来の金太郎あめ的な均衡ある国土の発展から、地域の判断による個性のあるまちづくりへ変えようとしている象徴的な法改正だと私は考えております。我々は、今後、どのようなまちづくりを進めていけばよろしいのでしょうか。

 私は、この我が国の都市が目指すまちづくりについて、冒頭に挙げました品格が必要だと考えております。品格とは、品位の程度、すなわち、その人や物に自然に備わっている、人が認めてくれる価値のことです。町の品格とは、住む人が自然に愛着を持ち、住んでいることに誇りを持てるような魅力のことだと思います。さらに、その町固有の歴史と文化とコミュニティーを感じられることが品格につながるのではないかと考えております。

 そこで、この今回の法改正を行うに当たり、我が国のまちづくりを品格のあるものとするためにどのようなお考えをお持ちか、経済産業大臣及び国土交通両大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

 次に、都市計画法の改正についてであります。

 現行の都市計画法は、郊外に行くほど規制が緩やかになっているため、大規模店舗が郊外に乱立し、交通渋滞の発生、ごみ問題や治安の悪化といった諸問題が起きています。この対策として、従来の拡散型の都市計画制度を改め、集約型の都市計画制度に転換する必要があると思っております。

 そのため、今回の改正では、郊外の大規模集客施設の立地を一たん制限し、乱開発にブレーキをかけた上で、都市計画手続と地域の判断により新たな施設を立地させることになっておりますが、この改正によってどのような変化が期待できるのか、国土交通大臣の御所見をお伺いいたします。

 最後に、中心市街地の再生について大切なことをお尋ねいたします。

 平成十年、中心市街地活性化法が制定され、多くの市町村が活性化への取り組みを試みておりますが、残念ながら、目に見える効果につながっておりません。まちづくりの主役はそこに住む人々であり、市町村の主体的な取り組みや民間事業者等の地域ニーズに対応した取り組みが町ぐるみで一体的に実施され、それによって地域のコミュニティー機能が向上してこそ町の再生が図られるものと思います。

 今回の改正法案が、シャッター通りを解消し、商業等の活性化を図るとともに、にぎわい回復のアクセルとして真に機能するため、どのような支援を講ずるのか、経済産業大臣の御所見をお伺いいたします。

 以上、本法案の審議を通じ、個性と魅力を持った我が国の品格あるまちづくりが推進されることを期待して、私の質問とさせていただきます。(拍手)

    〔国務大臣二階俊博君登壇〕

○国務大臣(二階俊博君) 新藤義孝議員にお答えをいたします。

 品格のあるまちづくりについてのお尋ねでありますが、地域がみずからの発意と判断によって中心市街地の活性化に向け積極的に取り組むことにより、人々が集い、語り合う、にぎわいのある新たなコミュニティーとして、また過去の古い歴史や文化の薫りを持続しながら、まさに品格のあるまちづくりを進めていくことが重要なことであります。

 このような認識のもとに、中心市街地活性化法案においては、まちづくりの司令塔としての役割を担う中心市街地活性化協議会を位置づけ、市町村の基本計画を作成するに際しまして、地域の関係者が集まり、地域の持つ魅力を活用しながら自立的ににぎわいのあるまちづくりに参画できる仕組みを導入しております。

 また、中心市街地に対する支援策についてのお尋ねでありますが、本法案におきましては、まちづくりの司令塔としての役割を担う中心市街地活性化協議会を位置づけして、地域の関係者が地域のコミュニティーとして魅力向上に向けて一丸となって取り組んでいただく、そういう御努力をいただくことを推進してまいります。

 また、地域における中心市街地活性化の多様なニーズに対応するため、市街地の整備や商業の活性化などに対する支援策を総合的かつ一体的に行うことが重要であると考えております。

 そのため、本法案におきましては、内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部を設置し、経済産業省のみならず関係省庁が連携して、総合的そして一体的に支援を実施し、まさに品格あるまちづくりを形成してまいりたいと考えております。(拍手)

    〔国務大臣北側一雄君登壇〕

○国務大臣(北側一雄君) 新藤議員にお答え申し上げます。

 まちづくりを品格のあるものとするための考え方についてお尋ねがございました。

 我が国のまちづくりを品格のあるものにするためには、地域固有の文化や歴史を継承しつつ、地域の主体的な創意と工夫を生かしたまちづくりを進めていくことが重要と認識しております。

 特に、これからの人口減少・超高齢社会におきましては、町の顔である中心市街地を再生し、都市の既存ストックを有効活用しつつ、高齢者も含めた多くの人々にとって暮らしやすいコンパクトなまちづくりを実現していくことが必要と考えております。

 今回の法改正はこれからのまちづくりの先駆けとなるものであり、中心市街地の再生を通じて、品格のあるまちづくりに取り組んでまいる所存でございます。

 都市計画法の改正で期待されるまちづくりの変化についてお尋ねがございました。

 現行の都市計画制度は、高度成長期において、人口が増大し、都市が拡大するという社会経済情勢を前提として創設をされました。結果として、大規模集客施設等の各種都市機能の郊外への無秩序な拡散を許してきました。

 そこで、今回の改正では、大規模集客施設について、商業地域等を除きその立地を一たん制限し、立地に当たっては都市計画手続を経させることで、地域の判断を反映した適正な立地を図ってまいります。また、病院等の公共公益施設についても開発許可の対象としてまいります。これらにより、今後は、中心市街地活性化法による支援策と相まって、高齢者等が歩いて暮らすことができるコンパクトなまちづくりが進むことが期待されます。(拍手)