第87号 「わが国のあり方を問う一年に」 ~通常国会開会に向けて~


 暮れから年始にかけて、数多くの地域の会合に参加しています。昨年の今頃を思い出し、改めて皆様に感謝を申し上げます。できる限り多くの皆様とふれあい、ご意見を頂戴したいと思っています。
 とりわけ感じることは、多くの方が、大きく変貌しつつあるこの社会のあり方に漠然とした不安を感じているということです。高齢化と出生率の低迷を背景と
した人口の自然減はわが国が今まで遭遇したことのないことであり、経済や社会保障など様々な面での変革が迫られています。膨れ続ける財政赤字は経済の活力
を削いでいき、所得階層の2極化は暮らしへの不安を生んでいきます。
 わが国が未だ体験したことのない新たな時代にどう立ち向かっていくべきか。皆様とともに新たな価値観を創造し、この国の目指すビジョン・方向性を明示することが政治家としての使命と心得て、決意を新たに活動を続けていきたいと参ります。


◆ 通常国会提出予定の注目法案

 1月20日より通常国会が開会されます。政府は、小泉改革の総仕上げと改革続行に向けた「行革国会」と位置付け、まさにこの国のあり方を問う数多くの重要な法案が提出される予定です。
 政策金融、独立法人、特別会計、公務員制度など行政改革に関するすべてのテーマについての方針を指し示す「行政改革推進法案」。政策金融は、中小零細企
業や個人の資金調達支援、国際競争力確保に不可欠な金融、円借款などに限定し、一つの機関に統合する。31ある特別会計は、統合・独立行政法人化・一般会
計化等によりスリム化し、財政健全化に向けて全体で45兆円に上る剰余金や資産・負債を今後5年間で約20兆円程度圧縮する。政府規模の縮小に向け、
68.7万人いる国家公務員(郵政公社職員を除く)を5年間で5%
以上純減させる。平成20年を目処に社会保険庁を廃止し、年金と健保の運営を分離した上でそれぞれ新組織を設置する。小さくて効率的な政府への道筋を確か
なものとするための多くの方針が示されています。
 昨年10月には立党50年の節目として自民党の新憲法草案が発表されました。新たな国家の将来像と理念を確立するための議論を、今年こそは一層深めていかなければなりません。この通常国会では、
憲法改正に必要な国民投票の手続きを具体化する「国民投票法案」
が大きな焦点となります。
 そして憲法に次いでわが国の理念を指し示す、全ての教育の根本となる「教育基本法改正案」。国家の理念は、教育の力によってこそ実現されるのです。現行
法の基本理念を引き継ぎながら自らの国や地域の伝統・文化について理解を深め,尊重し,郷土や国を愛する心をはぐくむことを盛り込みます。両者は、私に
とっても国会議員就任以来の最大のテーマです。
 テロや弾道ミサイル等の新たな脅威への対応が国際社会の差し迫った課題となっている現在、国民の生命・財産を守るためより安定した安全保障体制を整備し
ようというのは、独立国として当然の責務です。自民党国防部会長というお役目をいただいたこの時期に、「防衛省設置法案」や「米軍再編推進関連法案」とい
う重要法案に携わることに、緊張感を持って取り組んでいくつもりです。
 財政的に危機的状態にある医療制度を将来にわたり持続可能なものとするため、世代間負担の公平化を図る「医療制度改革関連法案」。年金制度を再構築する
ための第一弾としての「議員年金廃止法案」など、生活に安心と活力をもたらす礎となる社会保障制度の改革も力を尽くしていかなければなりません。


◆ 改革を加速する国会に

 小泉総理は年頭所感で、「改革の芽がさまざまな分野で大きな木に育ちつつある現在、改革を止めてはならない」と述べ、「改革が成功するか否かは、国民の強い意思と政治家の断固たる行動力にかかっている」ことを訴えました。
 改革を成すには、国民の多くの監視の下で、今まで目が届かなかった不合理・不経済な部分を洗い出し、さらけ出す必要があります。9月に実施される自民党
総裁選の行方も多くの方が気にされているところでしょうが、小泉政権にとって最後となるこの通常国会が、わが国のあり方を根本から問うに相応しいものにす
るためにも、是非とも皆様に強い関心を持って見守っていただきたいと思います。

新 藤 義 孝