第85・86号 「平成18年を迎えて」 ~小泉劇場は続く~


  皆様には健やかに新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。本年が皆様にとりまして輝かしい一年となりますようご祈念申し上げます。
 昨年は私にとって、大きな節目となる一年でした。前年に議席を失って以来、今までには得られなった様々な経験をさせていただきました。そして、昨年9月に皆様の暖かいご支援のおかげ様で国政に復帰させていただき、衆議院では経済産業委員会理事、自民党では国防部会長という大役も拝命いたしました。本年もよろしくご指導賜りますようお願い申し上げます。
 選挙戦とその後を通じて、私は今、自民党が大きく変貌していることを実感しています。ベテラン議員の引退と、多彩な分野からの個性的な83人の新人議員の加入により、自民党は新陳代謝を行ったのです。
 また、この度当選した自民党296人のうち、小選挙区において元職で復帰できたのは私を含めた9人のみでした。いかに皆様の私へのご支援が大きいものであったか、身に染みて感謝しております。

 党内の政策審議機関である政調審議会、その各部会長、調査会長も人事が一新されました。いわゆる族議員やドンと呼ばれていたお偉方の先生たちがリーダー
となっていた時代は終焉を迎え、総裁と党執行部の求心力が高まりました。それは部会での会議の様子にも顕著に表れています。以前は、会議の場で、重鎮の先
生の鶴の一声で議論が終結してしまい、大勢が決まってしまうことが少なからずありました。私が衆議院に初当選したばかりの頃のことですが、部会で意見を述
べようととした際に先輩議員から「あの(幹部の)先生のあとには発言するものではない」とたしなめられたこともありました。
 しかし今では新人が積極的にどんどんと発言し、納得いくまで議論されます。活発な新人議員たちと総裁のリーダーシップにより、自民党の体質は明らかに変化しつつあります。
 総裁任期が終わる今年9月に勇退することを明言している小泉総理は、自らの信念に基づいた政策実現の総仕上げに取りかかっています。徹底した歳出削減と財政再建、小さく効率的な政府の実現を果たし、国家運営の仕組みを根本から見直そうとする大きな仕事です。
 その象徴が郵政民営化と、それに連動した、郵貯・簡保の資金を原資としていた政府系金融機関の統廃合です。また、特定財源としていわゆる族議員の力の源
となっている特別会計の見直しや、定員純減を始め公務員の総人件費改革などの抜本的な行政改革も控えています。そしてその先には、私にとって初当選以来の
テーマである、憲法改正、教育基本法の改正、道州制の実現といったこの国の根本を形づくる大事業が見えています。
 長い間懸案とされていたにも係わらずなかなか手をつけられなかったこれらの政治的課題が今まさに実施されようとしているのは、選挙戦での国民との約束を通じて、小泉総理が時代を揺るがしたからこそです。
 小泉総理にとって最後の予算編成となる平成18年度予算案では、4.4兆円という過去最大の減額により新規国債発行の「30兆円枠」を達成、就任当初の公約を果たし、基礎的財政収支黒字化に向けた意気込みを示しました。
 思えば4年前、派閥反乱軍と言われながらも新しい自民党の総裁選びを目指した私には、感慨深いものがあります。小泉政権の最後の締めくくり、そして続くポスト小泉政権においても、私はこの改革路線を党内でしっかり支えていきたいと思っています。

 総選挙後一躍マスコミで注目された最年少議員、杉村太蔵さんに象徴されるように、自民党の新人議員は多種多彩な人材が揃っています。「政治家としての資
質」云々といった声もありますが、彼の26歳という等身大の目で同世代の若者たちを見つめる視点に大いに期待しています。こうした若者が「国のために」と
いう意識を持って働いてくれることが大切だと私は思っています。
 さまざまなキャリアを積んだ専門家や霞ヶ関出身の議員ばかりでなく、例えば主婦が自分の身近な家庭の感覚で、自分たちの立場で国を論じる。今の自民党は、そうした声を拾い上げていく体制が整いつつあると私は感じています。
 政治への参加意識を高め、みんなで国のことを考える-そうした民主国家の理念こそが小泉劇場の本質です。私も新しい仲間が加わった自民党で、自らの信念に基づき、国の改革と暮らしの改善に向け全力で取り組んで参りたいと存じます。本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

新 藤 義 孝